佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 読響/カンブルラン 2012年10月サントリー名曲 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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指揮/シルヴァン・カンブルラン
管弦楽/読売日本交響楽団


合唱;新国立劇場合唱団
ラヴェル:バレエ音楽「マ・メール・ロワ」(全曲)
ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)

楽曲の面白さには到達できなかった読響のラベル

 ラベルは難しい。クラシックの音楽でありながらジャズの要素がある。そのひとつの特徴は即興性。再生音楽ではなく、いまそこで生まれた様なアドリブ感と躍動感。そして、演奏者の個性が十分に放たれ、全体としてもひとつの求心力を求められる。楽曲をひとつの楽想で突き通すだけでなく、微妙な変化や音色が変わって行く面白さ。そういう万華鏡的色彩感がなければならない。
 テンポもリズムもスコアに書かれてあるから動いて行くのではなく、もっと内的なものから発した自己性を求められるのだ。フランスのオケが演奏するラベルは、その面白さが出ていることが多く面白いのだ。日本ではN響がデュトワとの長年の共演から面白い演奏を聞かせることが出てきた。
 しかし、今宵の読響はそういったラベルの面白さは伝わってこなかった。ひたすら、カンブルランの楽想に演奏者が寄りかかり演奏している感じがしたのだ。
 特に前半の「ラメールロア」は、高度の緊張感を持続させ微妙な変化。冬の厚い雲の中で陽射しがもれてくるような微妙な変化の面白さを聞かせなくてはいけないのだが、そこに音の面白さは見いだせなかった。僕には退屈な演奏になってしまった。後半の「ダフニスとクロエ」も90年代にN響がピーエルブレーズと、またシャルルデュトワと聞かせた様な面白さはない。カンブルランは懸命に指揮をするのだが、ラベルの面白さをオーケストラから引き出すことはできなかったと言えるのではないか。やっと終曲のフルートソロの部分からラベルになってきたという感じ。そこからは、オケ全体が有機的に変化しラベルだった。ラベルは難しいのである。合唱は非常に素晴らしかった。期待した演奏会だっただけに残念な結果だった。


2012年10月18日@サントリーホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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