佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作演出出演 松居大悟
出演    目黒立樹

 前作が面白かった。ものすごい才能を感じさせるよりも手堅さを感じさせてくれたんです。これが脅威。王道感。さすが慶応だなあ。目黒もものすごく存在感があり、8月に見た芝居でも、うん。そうですね。めちゃ良かったよ。今回のチラシを見たら、スタッフが超豪華に変身。もう出世街道に乗ったゴジケン。最後のマイナー公演です。次回は吉祥寺シアターだからね。


 期待が大きすぎた。面白かったけれど、驚くほどではなかったなあ。スタッフが超一流になり、アミューズの名前なんかがあったことに驚いた。





 シアターブラッツ
 2009年9月


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キャスト:アダム・パスカル(ロジャー)アンソニー・ラップ(マーク)他
作詞・作曲・脚本: ジョナサン・ラーソン 演出: マイケル・グライフ



 楽しみにしていた。正月にニューヨークに行った時に、全米をこのツアーカンパニーが廻っていることをしって、いいなあと思っていた。東京に来るということで何ヶ月も前にいい席(1階M列センター通路際)という最高にいい席を確保。顔の表情も全体も見られるベストな席で開幕をまった。しかし、会場が何か違う。そう、ライブのノリなのだ。観客は舞台上の伝説に既に寄り添い、酔いしれるために会場にいる。何か宗教ぽい。苦手だ。
 手拍子も口笛も興ざめ。あげくの果てにはエグジットミュージックまで手拍子全員のスタンディング。気持ち悪くなって先に出たくらいだ。
 カンパニーはそういう客に対して、どれだけのことをしてくれたのか?何かね。流した感がものすごくあった。ドラマが音楽や芝居から立ち上がっていかなかった。もちろん上手いし手堅いし、伝説の人たちだし、それは十分に認めるのだけれど、例えばブロードウェイで評判がいいから来てみたけれどホント?みたいな感じの時に、舞台上の連中は本当の真剣勝負で客に対峙する。そういう時は、幕があき舞台と観客の間がどんどん縮まっていく。それに舞台上の演技者もノリノリになってやる。
 そういうエキサイティングな劇場の空気ではないのだ。もう、予習しまくった観客が最初からノリノリで。。。。。そんな感じの公演だった。







2009年8月26日
赤坂ACTシアター
東京オレンジ
構成・演出 横山仁一
出演 清水宏 今林久弥 佐藤拓之 絹川友梨 ほか



大変面白かった。即興の魅力が詰まっている2時間20分。癖になりそうです。ポツドールなどで観客は生なドキュメント的な面白さに気がついた。そうなのだ。ライブなのだから作られたものではなく、常にそこで生まれていなくてはいけない。きちんと作られた芝居であっても、そこで毎日何かか生まれているものを求めるものなのだ。それがここにはある。それも名うての役者がそれまで何年、十数年かけて培ったものを瞬間的に選択して舞台にあげて勝負する。そこには、個々のパーソナリティも生の技術力もセンスもでるものなのだ。井上奈美は可愛いしキレイだ。それに女の嫌な部分を出したり隠したりでやるからたまらない。それは吉井俊哉にも言えてフリーでここまで生き残って来てるのも分かるなあ。今林、佐藤の双数二人が上手いのは分かっている。そして、清水宏。やはりこの人は天才だ。この即興芝居でも見せ物としてきちんと成立させ観客に満足してもらおうとしている。ホントの座長だ。見ていて泣けて来た。

2009年7月26日
駅前劇場
演出 大谷亮介
作  原田宗典
出演 大谷亮介 中西良太 かんのひとみ 大塚健司 大谷亮介 ほか



 傑作である。冒頭の人間蝉の声からラストの「ピースの煙」の歌声まで素晴らしい。笑って笑って泣けてしまう。終戦直前から戦後の復興の足音までの人間の営みを丁寧に描きながらの人間讃歌。生きるということの素晴らしさ、兄妹や男女や親子の思いを丁寧に綴っていくことで、強い反戦メッセ−ジになっている。そして日本という国への短絡的でない真の愛国心というか誇りも沸き起こるように描かれている。人間が愛おしくなる。笑って笑って笑って、泣けて。じーんと心に残る。そんな作品で、そういう作品に出会うために、自分を含めた観客は劇場に通うのだと思った。
 こういう作品を書けるようになりたいと思った。しかし、大谷亮介を初めとして役者陣の見事なこと。きっとこの作品は再演を重ねていくだろう。この作品が一番適しているのは吉祥寺シアターとか、新国立劇場のピットだろうけど、シアタークリエでやるのもスゴく適していると思う。
 商業的にも成功する要素をきちんと持っているところがスゴい。でも、つい数週間前に関係者からの話だとほとんど台本が書けていないときいていた。いったい稽古場でどんな奇跡が生まれたのだろう。とにかく傑作。とにかく推薦。ああ、悔しい。ああ、感動した。


2009年7月28日
ザスズナリ
演出 串田和美
出演 中村勘三郎 橋之助 七之助 亀蔵 ほか



 久々のコクーン歌舞伎はX列という舞台後方にしつらえた席だった。ここも一等席(13500円)とも思うが致し方ない。ホントに顔が見えないのだ。歌舞伎を背中から見るとはね。話は女が誰にでも愛想よくしてしまうことから起こるコクーン歌舞伎らしいドロドロ系の話でまあそれはいいのだけれど、シンプルなセットで行われるそれを見ていて、歌舞伎はホントに総合芸術だなあと思うのです。もちろん、皆さんの芝居は素晴らしいのだけれど、舞台美術がシンプルだったり現代的だったりするだけで、気持ちがそちらに飛んでいけないのですね。何でだろう。
 来月の納涼歌舞伎で堪能することにいたします。


シアターコクーン
2009年7月25日 マチネ
作演出 岡部尚子
出演  上瀧昇一郎 平本光司 岡部尚子 小池浩之



 とてもよい作品だった。岡部さんは人間に対する暖かい視点と希望を決して捨てない。絶対にぶれない。この作品にはこの劇団の旗揚げメンバ−でタイで不慮の死(殺人)で参加できない若い女優への無念な気持ちが通奏低音として流れている。それなのに人間自体へは決して希望を捨てない。
 いろんなことが東京を拠点におく劇団から比べるとちゃちい。良く言えばシンプルだ。きっと自分たちでも気がついているのかもしれないが、舞台空間を埋めるために多くのダンボール箱を並べる。前に見た時もそうだった。痛々しいくらいだ。
 しかし、台本と芝居はぶれない。そこだけはちゃんとやる。いつか、上瀧昇一郎 平本光司 岡部尚子の3人を自分の芝居に呼んでみたいと思いつつも、関西という距離ともろもろのハードルの高さに実現できない。上瀧、岡部の2人はまずます味が出て来ていいのだが、この中では若手の平本君はランニングシアターダッシュで爽やかに走り回っていた20代前半の生命力あふれる青年から、ちょっとお疲れモードの色合いがでてきてしまっている。いい意味での若いからこそのアホ感がなくなりつつある。ああ、早くしなくちゃなあと思うのだ。


2009年7月25日
下北沢OFFOFFシアター 


下北沢OFFOFFシアター
2009年7月25日 ソワレ
作・演出/わかぎゑふ
出演/ 桂憲一 コング桑田 千田訓子 野田晋市 朝深大介 谷川未佳 ほか


 役者は上手いし、話は心から心酔できる。演劇の王道。心地よい時間を過ごせた。いま、日本で間違いなく面白い芝居を期待できる数少ない劇団のひとつ。ああ観に行って良かった。




全労済ホールスペースZERO
2009年8月1日
作演出 柿ノ木タケヲ
出演  石黒圭一郎、鈴木ハルニ、伊藤今人、渡辺穀、玲奈、片桐はづき、遠山晶司、小堀紗矢香、岡田一博 ほか



 劇団コーヒー牛乳は2回めの観劇だ。そして、1回目は苦手だった。1年と少し前に見た作品だった。http://palove.blog.shinobi.jp/Entry/100/ 僕は相変わらず辛辣に書いているのだが、今回なぜか気になってもう一度見ることに。今回は前回よりも脚本は荒削りで完成度は高くないと思ったけれども、作品の魅力は遥かにあったように思う。ひとつひとつのことが有機的につながり、どんどんかぶさって行く。個々の登場人物の役割がはっきりしていて分かりやすい。それは俳優の力で、舞台は結局役者のものだとつくづく思ってしまうのだ。石黒圭一郎のもつ独特の間合いはいったいなんだろう。あのキレはすごい。鈴木ハルニのヤリきりぶりもすごい。玲奈は見せ場は少ないがひたすらラテンで魅力的。小堀、片桐は達者に演じ、遠山、岡田は自分の居場所を決して忘れない。伊藤のダンスも見ていて楽しく、他の出演者にもそういうことはいえて、何か楽しく2時間過ぎていた。

 新宿シアターモリエール
 2009年7月14日
椿組 新宿ジャカジャカ 〜その日、ギターは武器になったのか〜

出演 昇太師匠 福島まりこ 山田まりや 草野徹 外波山文明 ほか
中島淳彦作演出






 去年はパスしたので、今年は…と思って出かけました。うーーーーーん。夏まつりですからね。あまり細かいことよりも団扇を仰ぎましょう。暑いので。今年の見どころは、昇太師匠でも福島まりこさん、山田まりやさん????いいえ違います。絶対違う。それは、歌奴さんです。2人のデュオが唄うシーンです。ここが、見どころ?聴きどころです。ここが燦然と輝いて見えると思います。山田まりやさんや福島まりこさん、昇太師匠らは、他では見られない感じです。もちろん脇役ではないのですが、他の人の芝居を遠巻きにずーっとずーーーーっとリアクションし続けるんです。ちょっとうがった見方をすれば圧巻。ちょっとした罰ゲーム感覚?。出演者のみなさん、本当に本当にお疲れさまです。素敵な椿組の役者さん、外波山さんがどれほど苦労してこの芝居を成立させているのかを知っています。でもなあ。来年はどんな作品でしょう。来年こそ!

 新宿花園神社特設ステージ
 2009年7月13日
脚本演出/モダンスイマーズ
出演/モダンスイマーズ 古川悦史 ほか



 面白かった。岸田戯曲賞まで受賞した蓬莱竜太の作品ではなく10周年記念だからとみんなで書いて作った作品で、芝居でありながら、どこか10年間結束して頑張って来たモダンスイマーズ自らを祝祭するような作品だった。男の弾けぶりを見ろ!みたいな。それが妙に心地よく、そして、作品をきちんとしめて終わるところも良かったなあ。
 最初に観たのは5年以上前のことだと思うのだけれど、不思議な芝居だった。メンバーは毎回、手書きで来て下さいと手紙をくれた。いまは3000人近く集客するという。手書きの案内状はいつか来なくなったが、作品作りにその誠実さ、一本気さが残っていて本当に気持ちよかった。

2009年7月17日
赤坂レッドシアター
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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