佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
[48]  [49]  [50]  [51]  [52]  [53]  [54]  [55]  [56]  [57]  [58
作曲 チャイコフスキー
指揮 スチュアートスタットフォード
振付 クリストファーホフマン
管弦楽 イングリッシュナショナルバレー管弦楽団

 クララ アカホシケイ
ドッセルマイヤー ダニエルジョーンズ
くるみ割り人形 マックスウエストウエル
シュガープラムフェリー タカハシエリナ
プリンス ディミトリグラズエフ

 日本では年末にベートーベンの第9交響曲をきくってのがアッパークラスの年末行事ということになっているらしいが、欧米では家族でくるみ割り人形を見るってのがそれに当たります。だから、12月に欧米に行くと山ほどやってるわけです。ちょうど金曜のマチネでやっているので、ロンドンに住んでいる時にも二流のイメージのあったロンドンコロセウム、イングリッシュナショナルオペラの牙城には一度も踏み入れなかったのですが、今回行ってみました。夜にロイヤルオペラのくるみ割り人形を見るので一日に2回もバレエのくるみ割り人形を見ることになります。きっと一生に一度だと思います。予想はされたのですが、舞台はとてもポップな感じになっていまして、踊りのひとつをローランプティへのオマージュ(確かロシアの踊りだったと思いますが)にしていました。とにかく見ていて楽しい演劇的なポップなくるみ割り人形でした。例えば、中国の踊りはもう全編カンフーなわけです。客席は大いに湧き、子供たちは喜んでいました。ここではバレエの技術や表現というよりもエンタティメント性が重要なのかもしれません。しかし、プリマドンナの二つの役。クララとプラムを日本人がやっていて、それは見事に踊るのです。見ていてそれは誇らしく、それも誰が見ても分かるように超絶技でやるわけです。たとえば、不要に早い回転、多い回転とか。
 演出も舞台装置も面白かったです。見て良かったです。劇場も美しく何でもっと早く来なかったのか後悔しました。



2008年12月19日
ロンドンコロセウム劇場(ロンドン)
PR
監督 フィリダ・ロイド
脚本 キャサリン・ジョンソン
出演 メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、

日本では劇団四季の上演でおなじみ。70年代の世界というかディスコを席巻したスェーデンのABBAのヒット曲で構成されたブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。僕はこの舞台は香港でオーストラリアのカンパニーが上演している時に見ているのだが、まあ、どうでもいい話なんですけどね。母娘愛とかが主軸なのかなあ。見た理由はひとつです。メリルストリープが山ほど唄って踊るというのを見たかったからです。「プラダを着た悪魔」「マディソン郡の橋」のメリル・ストリープが唄う。踊る。007のピアース・ブロスナン、コリン・ファースも!。エーゲ海に浮かぶギリシャの小島は奇麗だし、まあ、見て楽しみました。




2008年12月16日
監督 ランドール・ミラー
脚本 ジョディー・サヴィン夫婦
主演 アランリックマン

 アカデミーデュバン誕生秘話って感じなのですが、1976年にパリのブラインドテイスティングでカリフォルニアのナパバレーのワインが一位になります。それに関わったのがアカデミーデュバンの元となるワイン屋?さんで、美味しいのがあるとカリフォルニアまでテイスティングに行き…ってまあそんな話です。パリとカリフォルニアの風景がキレイですし、アランリックマンのフランス人役ってのも面白いです。ワイン好きには楽しいのではないでしょうか。見ていて楽しい映画です。




2008年12月16日
監督 脚本 ジョスアマイケルスタン
出演 ケビンコスナー デニスホッパー ネイサンレイン ほか



 大統領選イヤーなのです。2000年の大統領選では当時のゴア副大統領と馬鹿ブッシュとの一騎討ちで総得票数ではゴアの勝ち、ところがフロリダでのホントに僅かな票数の差で、(それも数え直したりいろいろとありましたが)馬鹿ブッシュが勝ち、最悪の8年間になったのはご存知の通り。2008年。政治にも強い興味をしめすケビンコスナーならではの出演作ですね。誰も知らないニューメキシコの小さな町でのたった1票の再投票によって大統領が決まるという設定にしたコメディです。2008年に公開した作品ですから、みなさん棄権しないで投票しましょうというメッセージですね。面白かったです。でも、ここがスゴいとか、映画史に残るとか、新しい才能とか、そういうのは一切ありません。でも見て損はない、そんな映画です。


2008年12月16日
ハーマスタイン&ロジャース 作詞作曲
アンドリューロイドウエッバー プロデュース

 わざわざ「サウンド」を見たのかというと、これをあのアンドリューロイドウエッバーがプロデュースして新制作したからだ。前に別所哲也さんからも面白いよと薦められていた。主役のマリアをテレビオーディションで選んだというのも話題だった。
 見て面白かった。元々の舞台版は1950年代の終わりに作られて、1965年にジュリーアンドルーズで映画化された。舞台版で使われた曲が2曲くらいカットされ、新たに映画版に曲が足された。例えば、「自信をもって」というマリアが教会からトラップ家に行く時の唄だ。映画はオーストリアの美しい風景をともにマリアの魅力を伝えた。舞台ではどうやるんだろ?
 驚いたのは冒頭の名曲サウンドオブミュージックも物凄く大掛かりな仕掛けで野原を駆け回るマリアを舞台で創りだしていた。アンドリューロイドウエッバーは映画を見て、映画の「サウンド」を愛している人がこの舞台を見に来るのだと肝に銘じて本当に新しく作り上げた。だから、映画で使われた曲はすべてあるし、実は映画ではカットになった舞台のみの曲も残した。物凄い数の曲があるのに全部使い、そして、2時間半で終わる。ちなみに映画は2時間50分もある。
 唄の数は多い。舞台。それなのに、休憩を除くと実質2時間ちょいで終わる舞台。唄でつないでいくのだが、処理が見事で何か駆け足感がない。全体的にアップテンポで曲は進むのだが今の時代にあっているんだろう。直ぐになれてしまう。子供たちがはすっぱに見えたのは頂けないし、トラップ大佐が上手いのだけれど歳を取りすぎていて気になったけれど、観客の多くが、昔を懐かしみ、子供たちは楽しみ、誰もが納得していた。アンドリューロイドエッバーの力を感じさせてくれた作品だった。舞台の装置は美しく、イメージは壊さず、新たな部分もたしていた。これはできそうでできないことなのだ。最後に一家は山を登って行き終わった。 




2008年12月17日
ロンドンパラディウム劇場

テリージョンソン演出
ジョシュハートネット アダムゴッドリー ほか出演






 ダスティンホフマンとトムクルーズ出演の傑作映画「レインマン」の舞台化だ。「ブラックホークダウン」「パールハーバー」「ラッキーセブン」「ハリウッド的殺人事件」。ハリウッドの売れっ子二枚目のジョシュハートネットが舞台に挑戦。ニューヨークでやって酷評されるのが怖いからロンドンでやったのかなあと思うくらい芝居が単調だった。もう、思い詰めて怒る。その繰り返し。トムクルーズのように、怒りや焦りが増して行ったり、とか変化がない。ワンパターン。映画俳優は怖いなあと思った。
 その点、ダスティン役のゴッドリーは、ホントに面白く上手かった。近作は映画版の「Xファイル」、「チャーリーとチョコレート工場」では、ジョニーデップと渡り合った実力派だ。「I
dont know」という台詞を100回くらいいうのだが、全部違って聞こえる。気持ちが込めらる。芝居は終始アダムゴッドリーがリードし、お客さんも途中からアダムのことを見るのである。台本がいいので、面白かった。しかし、ジョシュのもっているカリスマ性というかスター性には叶わない。お客さんの多くはジョシュハートネットを観に来た女性ばかりで、ジョシュのラブシーン、特に上半身裸になったりすると、もうキャーキャーいい、写真を取るのである。何だこれ?と思うくらい。芝居中は写真撮るな。ちなみに半額チケットで見ました。



稽古場より
2008年12月16日
アポロ劇場(ロンドン)
フンパーベルグ作曲
コリンディビス指揮
アンジェリカキリヒンガー ダイアナダイマウ エリザベートコーベル トーマスアレン
演出 モーゼライザー ほか

 昔から知ってるヘンゼルとグレーテルのオペラ。でも生は初めてである。ロイヤルオペラの新演出ということで、プレミアムキャストで上演される。キュヒリンガーやトーマスアレンが唄い、指揮はコリンディヴィス。豪華である。そして、数年前にきいた時は愕然としたオケも今日はまともに演奏していた。いい時と悪い時があり過ぎだよ!
 この作品は初めて生でみたのだが、なんのひねりもない作品だが、一流がやると面白いし飽きない。そして、演出や美術もキッチュな感じで良かったです。到着初日に見たので寝るかと思ったけど、ギラギラに楽しみました。キュヒリンガーもこういう作品だと自分の声を自慢したような唄い方をしないのでいいですね。 
 演出面でもおとぎ話にせず、大人も楽しめるブラックな笑いも取り入れていて、1等席で見たのですが、どうみても金持ちの方々もゲラゲラ笑っていました。オペラもパフォーミングアーツのひとつだと割り切るイギリスの姿勢。賛成です。



さて映像です。実はこの日、僕は劇場におりました。1階席の平土間のやや後方で見ています。
僕が見た日の映像です。





ユーチューブを探してもらうと全幕観られるようです。スゴい時代だなあ。
2008年12月16日 
ロイヤルオペラハウス(ロンドン)
監督 : エリック・ブレヴィグ
出演 : ブレンダン・フレイザー 、 ジョシュ・ハッチャーソン 、 アニタ・ブリエム

 別にケチをつけるわけではないのですが、最近のディズニーはディズニーランドに作ったアトラクションを題材に映画を作るってのは増えましたね。昔は先ず映画があって、アトラクションだったのに。例えば、「ホーンテッドマンション」「カリブの海賊」、そして、これもそうらしいですね。ジューヌベルグの名作「地底探検」を原作にしたアトラクションを、なぜかハムナプトラシリーズのブレイザーを主演に92分のお手軽な長さでの作品に仕立てた。見ていて、笑いました。いろんな映画のつぎはぎみたいです。インディージョーンスとかジュラシックパークとか。次々と場面が変わるし、CGがスゴいので見ていて飽きません。楽しい冒険活劇になっていますから、ぜひお子さんとどうぞ!




2008年12月28日
ケラリーノサンドロヴィッチ 作/演出
高橋克美 渡辺いっけい 余貴美子 ほか 出演




夏目漱石的な人間関係のそれを書くんだろうと思っていた。このごろのケラさんは純文学だから。ところが、この日の僕は体力も集中力もなかったのだろう。何かきちんと見られなかった。というよりも長く思えたり、何だろこれと思ったり、すっかり分からなくて、ああ、演劇を見る時は体力も必要なのだと思ったのでありました。山西さんは面白く楽しかったし、柄本佑もうないなあと思ったし、もちろん赤堀さんはあの中年感はなんだと思ったし、渡辺いっけいも高橋克美もやっぱり良かったんだけど。余さんは色っぽいし、高橋ひとみは女を前面に出していて素敵だったし。

12月14日
世田谷パブリックシアター
監督 ロブ・コーエン
脚本 マイルズ・ミラー アルフレッド・ガフ
出演者 ブレンダン・フレイザー ジェット・リー マリア・ベロ

 恐ろしく薄っぺらく、何のオリジナリティもないCG映画。登場する人物もつまらない。何でこのシリーズが3作も続いているのか分からない。

 

 2008年12月16日
<< 前のページ 次のページ >>
最新記事
(01/06)
(12/25)
(08/05)
(06/30)
(12/16)
(08/21)
(04/10)
(09/25)
(11/30)
(11/18)
(11/03)
(10/04)
(09/19)
(08/28)
(06/25)
(06/10)
(12/30)
(02/21)
(12/31)
(09/28)
(06/09)
(05/12)
(12/31)
(09/08)
(06/02)
プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
フリーエリア
最新CM
[08/24 おばりーな]
[02/18 清水 悟]
[02/12 清水 悟]
[10/17 栗原 久美]
[10/16 うさきち]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]