佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 映画鑑賞記録 2010年9月 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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 どうも僕は映画館で映画を見るというよりもDVDなどで観る事が多くなった。そんなら、今日から見た映画はその記録だけでもつけておこうじゃないかと思うのであります。

2010年9月
 6日 天国と地獄  黒澤明監督    貸していたのが戻ってきたら無性に見たくなった。
           大滝秀治が台詞のない役で一シーンだけ出ているの発見。アップもなし。
 

 7日 小早川家の秋 小津安二郎監督  やっと観れた。面白かった。松竹でできなかったこと
           をやってる。人の死ぬ話。最後は墓場にカラス。シュールで現代的で。
           音楽の黛俊郎はイマイチ。ここでも島津雅彦。子役史上頂点極めた人。
           何しろ芝居がうまい。     
 8日 インドへの道 デビットリーン監督 久々にみて脚本とキャメラ、美術の素晴らしさに感嘆。
           リーン映画のアレックギネスを観ると彼がスターウォーズに出た事を
           後悔している事が良く分かる。まるで別人。素晴らしい。


 9日 ボーンアルティメイタム 21世紀に作られた映画の最高傑作のひとつではないか。
           映画のもつ素晴らしさを存分に取り入れたハリウッド的頂点に立つ。
           それも例えばカメラ技術の進歩を取り入れた映像など素晴らしい。
           シノプシス、キャスティング、音楽、美術、アクション、テーマまで完璧。

           これを観るとミッションインポシブルが惨めに見えるなあ。
 10日 インテルビスタ フェリーニの映画へのというよりシネチッタへのいや自分の人生を愛おしく            回想する叙事詩。フェリーニ映画をある程度見た人じゃないとつまらない。
           私小説。前に見たときよりも好きになった。


 12日 パリのアメリカ人 ビンセントミネリ監督の名作は欧州人にもジーンケリーの名前を
              不動のものにした傑作でもある。全編能天気だが、肉体が躍動する。
              音楽がはねる。見てない人は必見のハリウッドの実験映画。



 16日 男はつらいよ「寅次郎夕焼け小焼け」
シリーズの中でも傑作と思う作品。大地喜和子が田舎の芸者でとにかく明るい可愛い色気がある。彼女が出てくると画面全体が明るくなるのである。そして、宇野重吉が渥美清と絡むだけでなく、寺尾聡のさりげない親子共演。櫻井センリの田舎役人も面白いし、岡田茉莉子の晩年の姿もここにみることができる。もちろんおなじみのレギュラー陣も快調で楽しい。冒頭の「ジョーズ」のひねりがいまひとつ。
昭和51年(1976年)の作品。





9月17日 オリエント急行殺人事件 シドニールメット監督
 
 ポワロものの作品はこのあとにも幾つか作られたがこの作品がダントツである。僕は確か中学の夏の中間試験の合間に新宿3丁目の映画館に観に行ったことを覚えている。音楽、美術、イスタンブールの風情も映画をみるものを興奮させる。アルバートフィーニーのポワロ役もそうだが、イングリットバーグマン(この役で3度目のオスカー。助演女優賞獲得)やローレンバコール、ショーンコネリー、ジャクリーヌビセット、バネッサレッドグレープ、マーティンバルサム、リチャードウィドマーク、ジョンギルウッド、アンソニーパーキンスなどなど豪華キャストの魅力もすごいしなあ。見たときは映画史上に残る傑作とは思ってみなかったけれども、テレビの放映などでちょこちょこみたりしながらも、この作品はなかなかビデオDVD発売されなかった作品でやっと2007年頃に自分の手元におけるようになった。そうして、何回も見直すとこの作品の面白さがもうね。虜です。見たことない人は絶対に見た方がいいです。別に驚くようなどんでん返しとかそういうのじゃないんですが、ね。映画のもってる、芝居のもってる楽しさ面白さが凝縮されたような娯楽作品です。
 僕はロンドンの舞台で生アルバートフィニーを見た時にワクワクしたもんな。ポワロだ!ってね。 
どんな芝居だったかも全く覚えていないけれども。それから2008年にイスタンブールのヨーロッパ側の出発駅というところと、そこに併設されてるレストランに行ったんだけど、映画と違ってちゃちくてがっかりしたものです。ここいら辺の事情は特典映像にたっぷりあるので、本編だけでなくそちらも見て欲しいです。

 ごあんあれ!このただただ汽車が出発するだけのシーンなのに美しいこと。音楽、キャメラ、音響効果、照明、美術、エキストラの方の演技が見事に融合し、まるでバレエのようではありませんか!映画史上に残る名シーンとされています。そして、これ確かロンドンにセットを組んで撮影したんですよ。



9月20日 クイズショウ ロバートレッドフォード監督

 僕がテレビ関係の仕事が多かったからかどうか分からないけれども、事実に基づく精密な映画で、1950年代終わりの美術もめちゃくちゃ素晴らしく再現。何よりも虚像が作られて行く課程が面白い。テレビが衰退するいま、こういうこともなくなるのかなあ。映画などにおける美術で一番難しいのは数十年前のものと言われている。なぜなら、観客の多くが本物を覚えているからだ。数百年前のことなら飛躍やいい意味でのごまかしも聞くけれどというわけだ。アメリカ映画の底力を感じさせる力作。ロバートレッドフォードは「普通の人々」でアカデミー賞の監督賞受賞し、ブラッドピットなどを世に送り出した人でもあるのだけれど、日本での評価はそれほど高くない。なぜだろう。俳優としてアカデミー賞ももらってないしなあ。この作品も娯楽作品としても大変よくできている。見たことがない人は早めに見た方がいいと思う。レンタルの棚からどんどん消えている作品だからだ。
 アメリカンドリームが失われて行く時代。アメリカ社会に芽生えた歪みやにごり、焦燥感などがにじみ出ています。
 ジョンタトゥーロ、レイフファインズ、マーチンスコセッシなど役者陣も脇役まで素晴らしいです。

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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