自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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庄司智春 ピンネタライブ
久しぶりにお笑いライブにいった。庄司智春氏は人気コンビ品川庄司の右側の青年である。ツイッターでちょっとだけ品川庄司のお二人とやりとりをしたのだ。というのも、4月のバラエティの番組でご一緒し、別に会話を交わしたわけでもないのだが、その佇まいに何かね面白さを感じたのです。10年ほど前は若くアイドル的な存在的だったお二人だが、この5年の間にそれぞれが進化しよしもとの中堅を担う存在になった。ツイッターでのやり取りがお二人とも非常に誠実でちょっとテレビで見せていない芸人としての姿を見て見たくなった。
庄司智春さんが新宿のブラッツという100人も入れば満杯になる劇場でピンネタライブをやるという。それも前売1200円、当日1500円。劇場費もでないライブ。いったいどんな感じなんだろう。行くかどうかも迷っていたが、当日劇場に電話をすると当日券も出ますとのことなので、入れるかもと思っていったらガラガラだった。30人ほどの観客のうち20人くらいはきっとファンの女の子なのだろう。どんなことでも笑う。関係者も何人かいて。正直いって、自分を含めてピュアな意味でのお客さんって何人いたんだろうと思う感じ。つまり、そういう状況でライブをやるというのはすごく大変だ。ちゃんとしたお客とのコミュニケーションができない。ひとりで虚空に向って芸を見せるのと同じだ。それを見られている。ひとりで空間に佇み演じ続けなくてはならない。ものすごく孤独なのである。大阪の吉本に若い頃、東京から観に行ったことがある。大阪で仕事があれば見ていた。大阪の吉本のお客さんはとても厳しい。今は知らないので厳しかった。面白くないと笑わない、それどころが容赦ないヤジだ。すごいところだった。それは、グランド花月だけでなく、梅田もそうだし、2丁目劇場もそうだった。その厳しさと同じ空気が昨日のライブではあった。
何をしても笑う客、それは、ウソ笑い。笑いたくて笑っている笑いはプロの演技者には間違いなく通じる。友達のように声をかける熱狂ファンの女の子、わあっ、大変だこりゃ。そんな中でテレビの仕事で忙しくしている男がどれだけのことをやるのかと思っていたら、すごく丁寧に作っていたライブだった。ツイッターでのやり取りのように誠実だった。
ネタを自分でつくり、4人くらいの作家さんとネタを練り、映像作品も揃えてのライブだった。
例えば映像作品の「デート」「デート2」はほとんど一発撮りである。編集点が少ししかなく、ありゃ大変な長廻し。家庭の中にある家具などをタレントに見立てていく作品は、重ねて行くのだが、最後のオチがぼやけてるなあと思ったけれども、勢いで見せてしまう。両方とも、途中でネタの全体構造は曝けだされる。それを最後までやり通して笑いに換えるのはとてつもない技術を要す。
例えば、切り替えを「はい」というひと言で決めるやり方は決して新しくないのだが、決して古くなく感じない。それは、きちんと演じているからだ。
コンビニやFFの新商品を食べてコメントを言うのはテレビでできないネタだが面白い。ふわっと本音が漏れてくるところできちんと笑いに昇華されていた。クイズ番組の問題をメチャクチャ分かりやすいものにする。客はこんなことでも笑うかというところで笑う。見事な突っ込みのところとどうでもいいところの笑いが同じで、わあ、残酷だなあと思う。見事なところで爆笑にならない。孤独だ。
最後のトークコーナーはちょっとグタグタで、あれはファンに対するサービスなのかなあ。そこだけ挑戦している感じがしなかった。芸として演じていなかった部分が多く残念。
大きな赤字を負って、決してすぐには見返りもない孤独な時間をどれだけ重ねたかで次の飛躍がある世界なのだろう。ちょっと自分のことも振り返りつつ、何かちょこっと生きざまも見えた素敵なライブだった。2010年10月13日 新宿シアターブラッツ
久しぶりにお笑いライブにいった。庄司智春氏は人気コンビ品川庄司の右側の青年である。ツイッターでちょっとだけ品川庄司のお二人とやりとりをしたのだ。というのも、4月のバラエティの番組でご一緒し、別に会話を交わしたわけでもないのだが、その佇まいに何かね面白さを感じたのです。10年ほど前は若くアイドル的な存在的だったお二人だが、この5年の間にそれぞれが進化しよしもとの中堅を担う存在になった。ツイッターでのやり取りがお二人とも非常に誠実でちょっとテレビで見せていない芸人としての姿を見て見たくなった。
庄司智春さんが新宿のブラッツという100人も入れば満杯になる劇場でピンネタライブをやるという。それも前売1200円、当日1500円。劇場費もでないライブ。いったいどんな感じなんだろう。行くかどうかも迷っていたが、当日劇場に電話をすると当日券も出ますとのことなので、入れるかもと思っていったらガラガラだった。30人ほどの観客のうち20人くらいはきっとファンの女の子なのだろう。どんなことでも笑う。関係者も何人かいて。正直いって、自分を含めてピュアな意味でのお客さんって何人いたんだろうと思う感じ。つまり、そういう状況でライブをやるというのはすごく大変だ。ちゃんとしたお客とのコミュニケーションができない。ひとりで虚空に向って芸を見せるのと同じだ。それを見られている。ひとりで空間に佇み演じ続けなくてはならない。ものすごく孤独なのである。大阪の吉本に若い頃、東京から観に行ったことがある。大阪で仕事があれば見ていた。大阪の吉本のお客さんはとても厳しい。今は知らないので厳しかった。面白くないと笑わない、それどころが容赦ないヤジだ。すごいところだった。それは、グランド花月だけでなく、梅田もそうだし、2丁目劇場もそうだった。その厳しさと同じ空気が昨日のライブではあった。
何をしても笑う客、それは、ウソ笑い。笑いたくて笑っている笑いはプロの演技者には間違いなく通じる。友達のように声をかける熱狂ファンの女の子、わあっ、大変だこりゃ。そんな中でテレビの仕事で忙しくしている男がどれだけのことをやるのかと思っていたら、すごく丁寧に作っていたライブだった。ツイッターでのやり取りのように誠実だった。
ネタを自分でつくり、4人くらいの作家さんとネタを練り、映像作品も揃えてのライブだった。
例えば映像作品の「デート」「デート2」はほとんど一発撮りである。編集点が少ししかなく、ありゃ大変な長廻し。家庭の中にある家具などをタレントに見立てていく作品は、重ねて行くのだが、最後のオチがぼやけてるなあと思ったけれども、勢いで見せてしまう。両方とも、途中でネタの全体構造は曝けだされる。それを最後までやり通して笑いに換えるのはとてつもない技術を要す。
例えば、切り替えを「はい」というひと言で決めるやり方は決して新しくないのだが、決して古くなく感じない。それは、きちんと演じているからだ。
コンビニやFFの新商品を食べてコメントを言うのはテレビでできないネタだが面白い。ふわっと本音が漏れてくるところできちんと笑いに昇華されていた。クイズ番組の問題をメチャクチャ分かりやすいものにする。客はこんなことでも笑うかというところで笑う。見事な突っ込みのところとどうでもいいところの笑いが同じで、わあ、残酷だなあと思う。見事なところで爆笑にならない。孤独だ。
最後のトークコーナーはちょっとグタグタで、あれはファンに対するサービスなのかなあ。そこだけ挑戦している感じがしなかった。芸として演じていなかった部分が多く残念。
大きな赤字を負って、決してすぐには見返りもない孤独な時間をどれだけ重ねたかで次の飛躍がある世界なのだろう。ちょっと自分のことも振り返りつつ、何かちょこっと生きざまも見えた素敵なライブだった。2010年10月13日 新宿シアターブラッツ
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
HP:
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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