佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 青年団 眠れない夜なんてない 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作演出  平田オリザ
出演   山内健司 松田弘子 志賀廣太郎 篠塚祥司 大崎由利子 ほか





 マレーシアには日本の高齢者が多く住む場所がある。日本が嫌いで抜け出したのなら日本人ばかりが住む老人ホームともホテルとも言えない場所に住む必要はあまりないのではないか。やはり物価が安いということがその理由なのだろう。しかし、そこは既にある意味「死んだ」人が残りの時間を過ごすサナトリウムというかある意味ホスピスみたいなところでもある。そこにまつわる人々を描いて平田オリザさんは死を迎えることについて、生きて行くことについて観客に向き合うことをさせるのである。作られたものでなく自然に生まれるユーモアがたっぷりなのは、志賀さんや大崎さんを初めとする強力な演技陣がそれこそチェホフの芝居をするように登場人物間のコミュニケーションをきちんと成り立たせるからであろう。平田の代表作になるのかは分からないが、少なくとも面白い作品なのだから、それで良しである。
 ただ、青年団だからこそ相当高度な水準でのトータルとしての作品を求めてしまうのだが、吉祥寺シアターの中にある舞台の美術からは、洞窟というか地下世界ような空気を出しているのだから残念だ。床も黒いまま背景も黒が目立つ。おいたる調度品や植木も東南アジアのそれには見えない。
 この作品は人間の死を意識させるからこそ、それが生命観あふれる東南アジアの陽射しの中で行われてこそ面白いのではないか。美術からは東南アジアのそんな場所には見えなかった。昼の陽射しから夕刻に向かう時間の変化を照明はあまり見せてくれない。そして、日本人なのに、現地の副支配人といっても現地の民族衣装は着ないのではないか?そんな、美術、照明、衣装では一考の余地ありと思った公演だった。

 

2008年7月5日
吉祥寺シアター

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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