佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
[41]  [42]  [43]  [44]  [45]  [46]  [47]  [48]  [49]  [50]  [51
チャイコフスキー作曲 スペードの女王
ミハエルプレトニュフ 指揮
V フォーキン 演出
タチアーナモノガローワ(リーザ)、ウラディミールガルーシン(ゲルマン)、ワシリーラデューク(公爵)、エレナオブラスツオワ(伯爵夫人)

ボリショイ



 歌唱もオーケストラもすごかった。ガルーシンは何回もきいた。確かゲルギレフと来日したときに初めて聴いたはずである。でも、今回の素晴らしい歌は今までのそれと次元の違うものだった。絶唱である。演技もスゴかった。モノガローワの天性の素晴らしい声は何だろう。ラデュークもよく、全盛期とは違うもののオブラスツオワが健在だったのも嬉しかった。それ以外のすべてのソリストは満足する歌唱をし、合唱は見事だった。そして、プレトニョフ指揮のオケの素晴らしさ!何と行ってもボリショイこそがロシアを代表するオペラハウスなのだ!と言いにきているように気迫のこもった演奏だった。感動した。
 しかし、演出や美術はなんだろう。ああいうのを独りよがりという。ドイツのオペラにあるようなシンボライズさせて、ドラマツルギーを作り上げるものでもなく、写実的でもなく、何か中途半端な思いつきアイデアで全編を通したような演出だった。分かりにくく、ドラマが浮き上がってもこない。衣装もセットも全員が黒。バカみたいなこだわりだった。

 17年前の来日のときに、親子で鑑賞した「エフゲニーオネーギン」を思い出した。僕は2001年にモスクワに行った時に、ボリショイ劇場でそれに再会。劇場は古びていたし、客席は携帯なり放題でオケも歌手もイマイチだった。今回の来日はどうだろう?と思ったら、ホントに新生ボリショイいっていいほど素晴らしかった。それなのに、この演出!ホントに残念。客席も空席だらけだった。


2009年6月21日
NHKホール
PR
企画 五大路子
脚本 高橋亜子 演出 遠藤吉博
出演/五大路子、増沢望、伴美奈子、松本梨香、加山到、今橋由紀、由愛典子、福田麻恵、井田智美

 女優五大路子がどれほど日本と横浜、いや人間を愛しているか。生きることをどれほど愛しいと思っているか。そういう本質的なものが伝わってくる。それは若い俳優にも間違いなく伝授されている。とにかく演劇を愛し身体が動くことを面白がり。五大路子の思いは、ものすごく広いスペースでの上演にも関わらずそれはまだまだ小さい。増沢望、伴美奈子を始めとする名うての俳優陣もそんな思いを五大と共有していた。商業演劇かな?と思って観に行ったのだが、商業演劇のいやな瞬間はまったくなく、一瞬一瞬がホントの時間になっていた。
 技術だけでない五大路子の思い。それは、永久に通じるものでした。スゴい!いいもの見たなあ!!




2009年6月13日
大さん橋ホール
演出 エドワードホール
出演 プロペラ


 野田秀樹が絶賛するイギリス発のカンパニー。自らの就任記念プログラムで招聘した劇団だ!
 楽しい、ヘンテコな読み替えをしない。そして、何と行っても台詞回しが美しい。シンプルな舞台だけに役者達が舞台上と客席との間で作る空気がすべてを支配するのだが、これが心地よいのだ。客席は通常のシェイクスピアの公演と比較すると圧倒的に若者も多く大いに笑っている。シェイクスピアの王道でなさそうで、王道な作品だった。最後のパックの台詞で湧いた拍手も本物だった。この作品の演出、エドワードホールはピーターホールの子息だそうでイギリスでも世襲が行われているんだね。才能は受け継がれるのかとちょっと思った。オススメ。


  トレバーナン、ピーターブルック、ジョンケアード、木野花、加納幸和、そして、蜷川幸雄。内外の数々の演出家でいろんなマナツを見て来たのだが、日本では見て美しい蜷川版が何と行っても多くの人の心をとらえているのだと思う。このエドワードホールの演出のそれは、シェイクスピアの台本に立ち戻り、役者間と役者と客席との間で作られるコミュニケーションによって作られる空気をものすごく大切にし、それによって人々の心を動かした。肉体をものすごく使うし、そして、英語の美しい発音、台詞回しを楽しんだ。  シンプルな舞台、白人以外も多い男だけの出演者、繰り出されるギャグ…。こういう部分を見ていると、とても現代的に思えるのかもしれないが、私には現代の王道をいっていると思った。ヘンテコな読み替えをしない演出。シェイクスピアを敬愛し、作品を他の人の解釈に委ねず向き合って、作り上げたからこそ生まれた濃密感があったように思う。シェイクスピアの時代も今日の舞台のようにシンプルな舞台で、男の役者だけで演じられたわけなのだから。


東京芸術劇場中ホール
2009年7月5日
ドン・ラミーロ アントニーノ・シラグーザ
ダンディーニ ロベルト・デ・カンディア
ドン・マニフィコ ブルーノ・デ・シモーネ
アンジェリーナ ヴェッセリーナ・カサロヴァ
アリドーロ ギュンター・グロイスベック
クロリンダ 幸田 浩子 ティーズベ 清水 華澄

合 唱 新国立劇場合唱団 管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
指 揮デビットサイラス
演出美術衣装 ジャンピエールポネル

 待っていました!こういうロッシーニ。すべてが超一流!観客の反応もよくシラクーザはアリアをもう一度唄うくらいにノリノリ!楽しくばかばかしくでもスピーディで美しくでも簡素なポネルの演出と美術も素晴らしい。カサロヴァや他の招聘歌手だけでなく、日本勢のお二人も大健闘。演技が少しアジア風でしたけど。ロイヤルオペラで働くサイラスの指揮も手堅い。世界でもホントに一流の歌手を集め演出も借りて来たのだから簡単に喜んでいいのか分からないが、日本のオペラ団体がこれほどロッシーニを見事に上演できると誰が思っていただろうか。ロッシーニ!ホントに難しいのだ!!
 何が難しいって、あれですよ。重くないんです。軽くふんわり流れて富んで行く音楽。笑いと軽さ、その中に人生の真実を折込んで。粋で品が良くて。早口で唄い、ピアニシモで唄い、その真髄を客に伝えるのは難しいですよ。何しろ話はシンデレラなわけだしね。
 新国立劇場のオペラの中でも最高レベルの傑作として長く人々の記憶に残るだろう。もう一度見たいなあ。



2009年6月12日
新国立劇場オペラパレス
作演出出演/山口良一 たかはし等 大森ヒロシ フジワラマドカ まいど豊 ほか


 山口良一さんに大森ヒロシさん、フジワラマドカさんともうカンパニーの半分と同じ舞台をさせて頂いたということで身内的な気持ちで見てしまう反面、もう10年くらい見ているわけで前年と比較したりもしてしまう。今年は!例年以上に面白い!非常に閉まっていて、そして、ちょっとした毒も加わって非常に面白い。ただ、ダンスは山口さんと他の人たちの技術的な部分がほとんど同じに見えてしまった。例年は山口さんが頑張っているのに共感を覚えたのだが…。






2009年6月9日

下北沢ザスズナリ
原題:Gran Torino
監督・製作:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
美術:ジェームズ・J・ムラカミ
2008年アメリカ映画 上映時間:1時間57分
出演 クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー、クリストファー・カーレイ、ジョン・キャロル・リンチ

 
 非常に力強い映画である。観るものを感動させるとともに、強く問いかける映画でもある。そういう意味で年老いたイーストウッド氏からの遺言状でもあるように思える。現代のアメリカの問題でもあり9.11以降のアメリカで逆行してしまった問題も投影されているが、そのようなことはどうでもいいのだ。そこから目を背けることはしてはいけないのだが、もっと個人一人一人にずしりと迫ってくるのだ。あなたは、そうやって生きていますか?とである。人生は孤独で虚無なものでもあるけれど、生き方によって、永遠の幸福を手に入れることができることを優しく問いかける。
 孤高に気高く生きることは厳しく寂しいものであるけれど、外に向かって開かれていれば美しい孤独かもしれないが幸福なものをを手に入れることもできるのだ。
 素晴らしい台本、静かだけれどパワフルな映像、誠実でハートフルな演技、本当に素晴らしい21世紀の映画が生まれた。いつか僕が死んだ後も語り継がれる永遠の命をもった作品が生まれた。



アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。

2009年5月26日

 ブロードウェイミュージカル来日公演

 2007年にも来日したカンパニーが再来日。もちろん出演者は違うはず。前回も感じたのだが、ビッグママであるエドナが唄えない。今回も「こんにちは60年代」のナンバーなどメロディ無視でほとんど唄わずに台詞にしてしまった。タモリの「笑っていいとも!」のオープニングのようだった。トレイシーも前回ほうがよく、二枚目役のリンクもイマイチ。しかし、彼らも踊りは上手く、他のキャスト、カンパニーは歌踊りとも前回を上回る実力を魅せつけ会場を熱狂の渦に巻き込んだ。
 いい音楽、ウキウキする踊り、ナイスなストーリー。この3つが揃ってミュージカルは成功する。その典型的な成功例だ。美術が前回より少し安っぽく見えたこと。PAが良くないのかオケがリズムセクションばかりがきこえてきて肝心の歌が聞こえて来ない。技術スタッフの再考を求めたい。
      




2009年6月5日
東京厚生年金会館
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 The Curious Case of Benjamin Button
監督 デヴィッド・フィンチャー
製作 キャスリーン・ケネディ/フランク・マーシャル
脚本 エリック・ロス
出演者 ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット
2008年 アメリカ映画 上映時間 167分



 素晴らしい映画である。人生の素晴らしさを歌い上げた叙情詩のような作品だ。ケイトブランシットとブラッドピットの美しさも筆舌につくしがたい。アメリカ南部から、ロシア、パリまで各国での美しいロケーションも映画をみる楽しみにあふれている。20代のブラッドピットの修正があまりうまくいっていないのが唯一の欠点かな。ちょっと、作りすぎていて引いてしまった。
 



2009年5月26日
ブロードウェイミュージカル
劇団四季公演

 ブロードウェイに年に一度くらいは出かけて新作の芝居を見ている僕にとって、この作品は当日キャンセルを並んでも取れない難物なのです。もうオリジナルキャストでないので、東京で劇団四季版で予習してから海外で観りゃ良いやくらいの気持ちで観に行きました。もちろん、CDは山ほど聞いてもう口ずさめるくらいです。音楽は最高だというのは事前から知っていました。始めて入る海劇場は、緊縮財政の中で作られた劇場ですが、舞台そのものは豪華でした。昔の四季はミュージカルも音楽はテープでしたが、生演奏。この生演奏のレベルが非常に高かった。昨年末に「テイクフライト」を見たときも思ったけれど、日本のミュージシャンのレベルは本当に高い。
 作品は子どもから大人まで見て楽しめる作品だし、そして、徹底的にエンタティメントでありながら、現代社会が、いや人間が抱える根源的な問題に肉迫しているのです。いやあ、素晴らしい。本当に素晴らしい。泣けたし、劇作もするものにとって悔しくてたまらない。スゴい作品に出会ったと思ったのです。美術はお金をかけているけれど、お金をかけた以上の効果をもち、最高にサイケでゴージャスな衣装も素晴らしい。演出はスピード感がある。
この作品は2003年10月にニューヨークで初演されている。そうである。同時多発テロの後、アメリカがスゴくウルトラ右旋回している時代に生まれている。人種問題、宗教の問題、マイノリティ…。さまざまな背景をもった人たちのとてつもないエネルギーで発展してきたアメリカが、経済と軍事力を背景にアングロサクソンのキリスト教文化を頂点とした世界観に凝り固まっていた時代に生まれたのである。テーマは視点を変えれば、こうだと思っても実はこうだってさ。和解。許容。そういったことなのである。もちろん、そういったことが前面に出てきているわけではない。しかし、脈々と作品の根底に流れている。音楽、ダンス、美術、登場人物のキャラ、ストーリー展開…。全部最高である。観る人を幸せにするのだ。
 今日も、一幕90分が終了した時点で、会場中が息を飲む瞬間があった。観客の集中力が放たれた時間なのである。そして、多くの観客が興奮してスゴい作品を観に来たなあと口にするのである。感動に討ち震えながら、二幕の展開を見守るのである。そして、カーテンコール。何回も何回も。スタンディングオベーションの価値の十分あるパフォーマンスだった。
 これは、アメリカで生まれた作品であるが、日本人のパフォーマンスも素晴らしい。特にエルファバ役の樋口麻美の歌唱の素晴らしさ。リズム感、音程の正確さ、そして、パワフルな表現力。ブロードウェイで十分通用する素晴らしさなのである。また、マダムモリブルを演じた武木綿子のムチムチ感のある存在感と台詞の確かさ、オーラの出し方の良さ。僕は昨年塩沢ときさんがなくなって、ああいう面白いキャラの女優はもう出て来ないだろうと本当に哀しかったんだけれど、ここにいました!武さん。素晴らしい。そして、劇団四季は進化している。今日のアンサンブルキャストの素晴らしいこと。ホント、おひとりおひとりお名前と顔を一致させたいくらいだ。最初に劇団四季を見たのは1973年。子どもミュージカルだった。当時はアンサンブルで街の人を歌い踊っていた、市村正親さんも、鹿賀丈史さんも、いまは大御所。あの当時との差。いや、前回四季を見たのは、10年前に招待で見た「ライオンキング」と仕事で見た「異国の丘」。そして、2年くらい前の「ベニスの商人」なんだけど、何かこのアンサンブルのすごさは、また、何か越えているのだ。
 そうそう、オズの魔法使いを洒落っ気たっぷりに演じられていたのは飯野おさみさん。僕が始めて四季を見た時、そう子どもミュージカル「王様の耳はロバの耳」を見た時に、主役の床屋さんを演じていたその人だ。何かとてつもなく懐かしく思ってしまった。35年ぶりの再会って感じです。
 騙されたと思って観に行ってください。素晴らしいです。ブロードウェイの一般的なミュージカル公演のレベルと遜色ありません。むしろ、アンサンブルは日本の方が上かもしれません。
 
 
劇団四季の公式ページ 日本の公演の模様だけでなく、リンク先からはブロードウェイの動画も観られます。http://www.shiki.gr.jp/applause/wicked/index.html



2008年4月19日
電通四季「海」劇場



 春に見た劇団四季「ウィキッド」があまりにも良かったのでもう一度見た。昨日はキャッツを見たので、二日続けて劇団四。そんなの初めてだ。見ていて、何か前回と違うなあ、ダメなんだよなあと思ってみていたのだけれど、家に帰って調べたら、ダメだと思った人は前回とキャストが違ってた。それも大幅。前のはベストキャストに近かったんだろうな。今日のはダメ。
 例えば、四季のテキスト、台詞はとても難しい。とにかくはっきりと滑舌よく話すことが絶対的な第一課題となっている。唄でもそう。音楽でも音程と歌詞をきちんと伝えることが重要。
 で、たいていの役者さんはそこで終わる。四季の俳優でも終わる。その枠の中で役を膨らまし魅力的にできる人は限られているようだ。
 今日のマダムモリブルの森さんの台詞は酷かった。はっきりと口に出して言ってるだけで、そこに生きた人間はいない。前回の武さんとは大違い。それからオズの魔法使い。前回はベテラン飯野おさみさんが素晴らしい歌唱と演技をみせてくれたが、今日の松下武史さんてのは、中田カウスみたいなウソ笑いをずーっと続けているだけ。ただのチビ詐欺師ですなあれじゃあ。彼の哀しさとかが出ていないよ。名曲、ワンダフルのナンバーも、あれじゃノンワンダフル。そして、最大の問題は、フィエロをやった李さん。日本語ができていないことと、立ち振る舞いがなんか変なのだ。ハートがないっていうか。舞台上の役者間で立ち上がるものがないっていうか。昨日のキャッツの金子さんという中国人?キャストの方が素晴らしかったので期待したのですが、ホントに酷かった。あれじゃあ、廻りで俺にやらせろと言ってる人も少なくないはず。
 ミュージカルは唄って踊るだけではダメで、そこにドラマを作らなくては…ね。
 反対に前回と同じキャスト、エルファバの樋口さん、ポックの伊藤さん、ネッサローズの山本さんは良かったなあ。特に樋口さんの歌唱は本当に素晴らしい。でも、彼女の唄がいいだけじゃ感動できませんよね。お芝居はアンサンブルが良くないと。今日のアンサンブルの方達は本当に素晴らしいのに、メインの役者さんが総崩れでした。今回が2回目で良かったです。

 2008年6月4日マチネ

約1年ぶりに劇団四季のウィキッドを見た。アンサンブルは今回もスゴかったけれど、主要キャストの台詞のやり取りにヘンテコな間があったり、グリンダの最初のナンバーで高音が半音外れる箇所が何カ所もありちょっと驚いた。もちろんこちらは、最高峰のものを求めるからの驚きなのだ。

 2009年5月30日 ソワレ
 
ヴェルディ作曲 ナブッコ
指揮/ネロサンティ 演出/ジョナサンミラー
チューリッヒ歌劇場管弦楽団/合唱団


出演/MitAngeles Blancas (Abigaille), Stefania Kaluza (Fenena), Liuba Chuchrova (Anna); Leo Nucci (Nabucco), Carlo Colombara (Zaccaria), Boiko Zvetanov (Ismaele), Valeriy Murga (Der Oberpriester des Baal), Miroslav Christoff (Abdallo)


 スイスにバカンスにでかけた時にやっていたので聴いてみた。チューリッヒ歌劇場はとても評判のいい歌劇場で、先年の初来日時には、Rシュトラウスのバラの騎士とサロメを演じて高い水準を証明してみせた。この上演でも、ネロサンティやジョナサンミラー、カルロコロンバーニ、ネロヌッチなど手堅い名前が並んでいた。歌劇場は1000人と少ししか入らない非常に小振りなもので、驚いた。演出はお金がないところがやるオーソドックスなものだったし、音響も日本のオペラハウスに比べてもデッドな響きであまり歌に適しているとは思わなかったが、序曲が終わり、物語が流れ始める頃にはオケはものすごいイタリアンサウンドを奏でるし、歌手たちの絶唱や名唄がきけた。こんなに水準が高いとは。何か良く分からないストーリーで、まだ青いベルディの作品をこれほどまでに魅力的に聴かせる凄さを感じた。また機会があったらこのオペラハウスできいてみたい。



2009年5月20日
チューリッヒ歌劇場
<< 前のページ 次のページ >>
最新記事
(01/06)
(12/25)
(08/05)
(06/30)
(12/16)
(08/21)
(04/10)
(09/25)
(11/30)
(11/18)
(11/03)
(10/04)
(09/19)
(08/28)
(06/25)
(06/10)
(12/30)
(02/21)
(12/31)
(09/28)
(06/09)
(05/12)
(12/31)
(09/08)
(06/02)
プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
フリーエリア
最新CM
[08/24 おばりーな]
[02/18 清水 悟]
[02/12 清水 悟]
[10/17 栗原 久美]
[10/16 うさきち]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]