自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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ヴェルディ作曲「オテロ」
Marco Armiliato/Conductor Andrei Serban/Stage director Peter Pabst/Sets
Aleksandrs Antonenko/Otello、Sergei Murzaev/Jago、Michael Fabiano/Cassio
Francisco Almanza/Roderigo、Renée Fleming / Desdemona、Nona Javakhidze/Emilia Paris Opera Orchestra and Chorus
パリオペラ座は先年来日し「トリスタンとイゾルテ」「青ひげ公の城」「」を上演した。非常にモダンな演出であった。パリオペラ座バレエは、現代のバレエと古典の名作をバランス良く日本に持ってきてくれるが、パリのオペラ座は来日自体がまだ1回だけなのである。何年に一度はパリにいく機会があり、バレエは「白鳥の湖」と「バヤデール」「ベジャールの夕べ」と観た事があったが、オペラは「マハガニー市の興亡」というクルトワイルの渋いオペラを観ただけだった。で、今回パリに行って1日だけオペラを観ることのできる日があってガルニエで古典的な「コシファントゥッテ」、そして、バスチーユでモダンな「オテロ」をやっていた。チケットがとれる方で観ようと思ってボックスオフィスに行ったら、どっちも最高席でとれるのである。迷ったあげく、ルネフレミングが歌うというので、「オテロ」となった。
来日時に観た「トリスタンとイゾルデ」と同じように、舞台上にイメージ映像を重ねて行く。例えば、今回は冒頭の嵐のシーンで、波の映像だったりするわけで、正直うるさい。それだけでなく、稲妻や嵐の効果音まで入れるのだ。うるさい。
ということで映像はうるさいのだが、舞台セットは簡素なもので、観客としては音楽と歌手の演技に集中できるものだったからいいのだろう。しかし、モダンな演出になったかと思えば、非常に古典的なものが入ってきたり、京劇の影響が出ていたりとバラエティ豊かというか、バラバラな感じなのである。衣装のことはあまりよく分からないが、こちらもモダンだったり、原作に忠実な感じだったり、時代や場所が少しずれるようなものも混ざっているように思えた。
作品の普遍性を出したいのかなあと思ったくらいに、何かね。
しかし、音楽はゴージャスそのものだった。イヤーゴを歌ったムラレフは演技も見事で堂々としたもの。最後はみんな死んでイヤーゴだけ生き残るという演出でありましたけど、この悪役ぶりじゃ生き残るねという感じだ。ロシアの歌手に悪役やらせたら本当にいいなあ。オテロのアントネコは徐々に調子をあげたが、未熟で嫉妬に走ってしまうという子供っぽい部分ばかりが見えていた。ルネフレミングはきっとキャリアの終わりに近いだろうが、長く歌う事もないからだろう。柳の歌を頂点に非常にコントロールされた、しかし女性らしい見事な声を聞かせてくれた。
合唱もよかったが、オーケストラの音がゴージャスだった。ヴェルディでもシェークスピア原作の作品として重厚な音をだした、ムーティ/スカラ座の来日公演。メトでも観ているが印象は強くなく、今までの最高はムーティ/スカラとともに、20年以上前にロンドンのロイヤルオペラで観た、キリテカナワ/ドミンゴ/クライバーのそれだった。今宵の公演はそれと十分比較できる質の高い物だった。パリオペラ座の管弦楽がとにかく明るくヴェルディの音楽を楽しく奏でていたのが印象的だった。
2011年6月28日 パリオペラ座(バスチーユ)
Marco Armiliato/Conductor Andrei Serban/Stage director Peter Pabst/Sets
Aleksandrs Antonenko/Otello、Sergei Murzaev/Jago、Michael Fabiano/Cassio
Francisco Almanza/Roderigo、Renée Fleming / Desdemona、Nona Javakhidze/Emilia Paris Opera Orchestra and Chorus
パリオペラ座は先年来日し「トリスタンとイゾルテ」「青ひげ公の城」「」を上演した。非常にモダンな演出であった。パリオペラ座バレエは、現代のバレエと古典の名作をバランス良く日本に持ってきてくれるが、パリのオペラ座は来日自体がまだ1回だけなのである。何年に一度はパリにいく機会があり、バレエは「白鳥の湖」と「バヤデール」「ベジャールの夕べ」と観た事があったが、オペラは「マハガニー市の興亡」というクルトワイルの渋いオペラを観ただけだった。で、今回パリに行って1日だけオペラを観ることのできる日があってガルニエで古典的な「コシファントゥッテ」、そして、バスチーユでモダンな「オテロ」をやっていた。チケットがとれる方で観ようと思ってボックスオフィスに行ったら、どっちも最高席でとれるのである。迷ったあげく、ルネフレミングが歌うというので、「オテロ」となった。
来日時に観た「トリスタンとイゾルデ」と同じように、舞台上にイメージ映像を重ねて行く。例えば、今回は冒頭の嵐のシーンで、波の映像だったりするわけで、正直うるさい。それだけでなく、稲妻や嵐の効果音まで入れるのだ。うるさい。
ということで映像はうるさいのだが、舞台セットは簡素なもので、観客としては音楽と歌手の演技に集中できるものだったからいいのだろう。しかし、モダンな演出になったかと思えば、非常に古典的なものが入ってきたり、京劇の影響が出ていたりとバラエティ豊かというか、バラバラな感じなのである。衣装のことはあまりよく分からないが、こちらもモダンだったり、原作に忠実な感じだったり、時代や場所が少しずれるようなものも混ざっているように思えた。
作品の普遍性を出したいのかなあと思ったくらいに、何かね。
しかし、音楽はゴージャスそのものだった。イヤーゴを歌ったムラレフは演技も見事で堂々としたもの。最後はみんな死んでイヤーゴだけ生き残るという演出でありましたけど、この悪役ぶりじゃ生き残るねという感じだ。ロシアの歌手に悪役やらせたら本当にいいなあ。オテロのアントネコは徐々に調子をあげたが、未熟で嫉妬に走ってしまうという子供っぽい部分ばかりが見えていた。ルネフレミングはきっとキャリアの終わりに近いだろうが、長く歌う事もないからだろう。柳の歌を頂点に非常にコントロールされた、しかし女性らしい見事な声を聞かせてくれた。
合唱もよかったが、オーケストラの音がゴージャスだった。ヴェルディでもシェークスピア原作の作品として重厚な音をだした、ムーティ/スカラ座の来日公演。メトでも観ているが印象は強くなく、今までの最高はムーティ/スカラとともに、20年以上前にロンドンのロイヤルオペラで観た、キリテカナワ/ドミンゴ/クライバーのそれだった。今宵の公演はそれと十分比較できる質の高い物だった。パリオペラ座の管弦楽がとにかく明るくヴェルディの音楽を楽しく奏でていたのが印象的だった。
2011年6月28日 パリオペラ座(バスチーユ)
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
HP:
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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