佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 マリンスキー歌劇場来日公演2011 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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マリンスキーオペラ来日公演 ワシリーゲリギレフ指揮


影のない女 Rシュトラウス作曲 演出 ジョナサンケント
皇帝:オレグバラショフ/ヴィクトル・リュック(バラショフ体調不良のため2幕から)皇后:エレーナ・ネベラ 乳母:エレーナヴィトマン バラク:エデム・ウメロフ バラクの妻:エカテリーナ・ポポワ
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 東京文化会館1階の17列センターブロックで見たのだが、1階席で見るとしてももっと前かもっと後ろが多い、でも、このあたりの座席の良さを痛感した。オペラを見るのにはもっとも適している。細かい表情や仕草も分かるし、全体も観られる。音響的にも何かの音ばかりが聞こえるということもなり。
 さて、ゲルギレフ。正直言ってゲルギレフには辟易していたのだが、前に来日した時のプロコフィエフチクルスで評価が変わった。もう一度!と思った口であった。
 それでも、オペラはきっとロシアもの以外はなあと思っていた。過去何回かの来日公演でことごとくロシアもの以外は裏切られた。オランダ人、カルメン、ワルキューレなどは途中で帰ったくらい。これでもかというほど、ロシア的、どかーんと来て、メリハリばかりが耳について不愉快だった。良かったのはヴェルディの大作「運命の力」くらいだったかなあ。
 そう、ゲルギレフは他の人が手に負えないほどのどでかい作品があっているのだ。この作品もそうだった。東京文化会館で20年近く演奏して来ているものだからホールの音響の特質なども心得ているのだろう。まあ、すごくこのリヒャルトシュトラウスの音楽を明解に提示してくれた。
 この話の寓話性などの部分を感じることはできなかったが、シノポリ/ウィーン国立歌劇場、サバリッシュ/バイエルンオペラ(猿之助演出)、昨年の新国立劇場版と比較してみても、非常に分かりやすくいいプロダクションだった。バラクのセットと幻想の世界のセットは同じ人が創ったものかと思うほど明確に違っていて、そうだよな、こうじゃなきゃと思ったくらい。バラクの家はリアルな洗濯屋。それもコインランドリーというか今風のクリーニングマシーンが並び、横には食卓があり、車がおかれていたりする。最近、日本で飽きられたゲルギレフであるが、こうやって実績を積み重ねてまた新しい新境地を創り上げて欲しい。

2011年2月13日 東京文化会館


トゥーラントッド プッチーニ作曲
マリアグレギーナ、ウラディミールガルーシン、ヒブラゲルズマーワ
 きっとダメだと思ったけれどもとにかくチケットがダンピングされていて、S席が2万円という破格値だったこともあって出かけてみた。そしたら、グレギーナ、もちろん最盛期の(僕が初めてMETで彼女のトゥーラントッドを聞いた時のような)声はないものの、プロ中のプロ。どこで聞かせるべきかを心得ているのである。演技力もまし十分楽しめた。それよりはガルーシンがイマイチ。ゲルズマーワは水準以上。演出は回り舞台を中心に作られていた。まあ、そこそこのものでした。
2011年2月20日 NHKホール

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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