佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 わが街 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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ソーントンワイルダー作
宮田慶子演出
音楽・ピアノ生演奏 稲本響
出演 小堺一機 鷲尾真知子 斎藤由貴 相島一之 佐藤正宏 ほか

1938年発表のワイルダーの名作をカット無しで上演したもの。美しい空間は広いこの劇場ならではの圧倒的質量と美しい照明、そして、ピアノともちろん役者によって素晴らしい世界が立ち上がった。3時間10分で途中20分の休憩が入るが、そこには人生の何気ない日々が2幕までで語られる。3幕は死者の思いから人生を俯瞰してみせるのだ。やはり3幕が圧巻。演劇的な、教訓じみた、もしくは、文化の薫りが高い名台詞が流れを区切ることがないから滲みてくる。さいたまゴールドシアター出身の役者さんがいい味を出している。欲のある役者も無欲の役者も混ざっているところがナイスなチョイスだと思うのだ。どちらもいることでどちらも見えてくるから。若いアンサンブルの役者は身体が本当に動いて羨ましい。歩くとき手を伸ばすとき、役者の手入れをしていることが良く分かる。それは生命力のほとばしりにつながるな。
 客の入りは良くない。ガラガラだけれども、それだけに、客としては何か観やすく良かった。途中で帰る人もいた。自分で書く本で途中帰る方がひとりでもいると大きく落ち込むものだが、この作品でも帰るのだと思うとあまり気にしなくていいものかなと思った。

2011年1月21日
新国立劇場中ホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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