佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 インディアナジョーンズ クリスタルスカルの王国 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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プロデューサー ジョージルーカス
監督  スティーブンスピルバーグ
撮影 ヤヌスカミンスキー
出演 ハリソンフォード ケイトブランシット ジョンハート ほか

 「インディジョーンズ」というとてつもなく面白い映画をやってると教えてくれたのは、いま慈恵医大で教授をやってる浦島だ。高校時代の悪友である。吉祥寺の二番館で「ビックウェンズデー」との二本立てで見たのだが、元々の目的はこのサーフィン映画をみるためだったのだ。浦島に借りがあるとすると、この映画は絶対に面白いと言ってくれたことだ。説得力があった。「1941」などでスピルバーグは時々はちゃけるなあと思っていたので、あまり期待もしていなかった。
 まあそんな気持ちで出会ったのだ。身を乗り出してみた。最後は拍手をしていた。
 「インディジョーンズ」は最初から最後までとてつもなく生命力にあふれた映画だった。こうなるともうダメだ。2作目「魔宮の伝説」はいまはなき日比谷スカラ座での特別試写会を手に入れて観に行った。僕の隣には、少年役のキーホイクアンが座り、前席にはプロデューサーのロバートワッツが座っていた。この人たちとコミュニケーションできるようになればハリウッドで仕事ができるようになるかもしれない。僕は確かロバートワッツに何かひと言いった。覚えていないけど、そして、やはり英語は必要だ!そう真剣に思ったものだ。ああ、20代。銀行員になって3作目を見たのはマンハッタンの映画館だった。ちょっと英語が難しいところもあってアレレだったのだが、面白かったのは覚えている。
 
 1作目からすでに25年以上が経ち、映画にあるのは、老いと死への暗い影である。ハリソンフォードは台詞も身体のキレもなくなるし、スピルバーグはETや宇宙、現実世界と異なる世界との接点にあまりにもこだわった。現実の世界のあとのことを強く思っているのが伝わってくる。
 しかし、この金とコンピューターに頼り切った映像は、たとえアマゾンのジャングルの中でのチェイスシーンの撮影でもスタジオ感が漂う。例えば1作目でエジプトカイロへの道で敵とインディーがトラックチェイスをするシーン。インディがジープの下をロープで進んでいき引きづられるシーンなどは、スタントマンがコマ撮影でホントに肉体を使って撮影している。その肉体を使っている感がフィルムに刻まれたのだ。蛇が山ほど出てきても、良く集めたなあと、何万匹の蛇は、少なくとも画面に映るそれは、一匹一匹が懸命に生きている本物で、観客はその本物の何万匹の蛇の生命を見たものだ。
 しかし、今回は崖でのカーチェースは、はいはい。CGですね。奇麗な絵ですとなり、人食い蟻の大群がでてきても、全部CGだあ。本物は一匹もなしとなる。パソコンってすげーなーとしか思えない。人の頭の中で作られたこの世には存在しない生命を人の頭で創りだした像をパソコンで映画の中に入れているから迫力がないのだ。そこには、生命力は感じられない。
 脚本にも相当な無理がある。冒頭にソビエトの諜報部員がアメリカ国内で奪い取る宇宙人の死体。それが、後半の話の前振りになっていない。つながらない。なぜ?がサイコの最終戦を行いたいと思っている。それで終わる。当時は原水爆というとてもリアルな最終兵器の開発の時代にその発想か。ソビエトの動機は分からない。
 インディが水爆実験に巻き込まれ、その爆心地あたりで、冷蔵庫に隠れて助かるのだが、まずあり得ない。そして、冷蔵庫が転げ回るようにしてそこからはじき出されるのに怪我ひとつないどころか、ほとんど直ぐに歩き出す。生身の人間らしかったインディは超人ハルクになってしまっったのか?
 映像のすごさは感じるのだが、そこに真の迫力がないし、生命がないので、冒険アクション、アドベンチャーの空気がまったく伝わって来なかった。僕にとってはインディジョーンズは19年前に終わったのかもしれない。
 







2008年7月24日
新宿ピカデリー スクリーン5
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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