自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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原作 三遊亭円朝
脚本/演出 加納幸和
出演 加納幸和 水下きよし 原川浩明 溝口健二 山下禎啓 桂憲一 八代進一 大井靖彦 各務立基 松原綾央 谷山知宏 丸川敬之 小林大介 美斉津恵友 ほか
敬愛する花組芝居の作品はどれもが必見だ。それでもこのような古典に臨むときの加納さんの姿勢はまた一段と違う。じっくりと時間をかけてテキストをもう一度読み直すことをする。多くの芝居をみて、いろんな芸術を知っているのに、じゃあ自分はこれとどう対峙しようと向かい合うのだ。
それに応える役者陣の素晴らしさ。若手勢で5人もピカイチがいるのが花組芝居の恐ろしさ。上手いだけでなく華もあるんよ。
休憩をいれて2時間40分でどーっと見せてしまおうという企画です。牡丹灯籠の全体像をスピーディな展開で見せてくれるのであります。先ずは普通はありえない企画であること。教育的効果、文化的な意味合いもありますね。加納さんは、名前は知っていてもあんまりしらない作品をきちんと遡上にのせて美しく面白く見せてくれる。昨年の忠臣蔵でも2段目3段目を丁寧に組み込み、何と10段目を組み込んでくれたおかげで全体像がふわーっと見えた。今年も勘三郎さんが仮名手本忠臣蔵の通し狂言をされるのだけれど、10段目だけはやらないんですよね。面白いのになあと思ってしまう。
今回は花組芝居の役者陣のすごさが前面に出た公演でした。八代進一の女形は美しく、着物も豪華で、お茶目で面白い。匂い立つ良さがある。水下きよしの立ち役は昭和の匂いのする圧倒感。山下禎啓は大きな役ではないのに瞬間で客席を魅了する。それは、北沢洋や高荷邦彦、大井靖彦、原川浩明などもブラボー。美斉津、磯村、堀越はその力量をさらにあげ、小林大介、丸川敬之などはセンターにどうどうと立てる力と華をもつ。そして、桂憲一の見事な役作り。全体のレベルが物凄く高いので、少しでも嫌らしいことをすると目立ってしまう(のだろう)。今回も加納幸和は上手いし魅力的でダントツなのだが、花組芝居役者陣の総合力が物凄く、それはこの劇団の新時代を確実に印象づけるものだった。
2008年9月10日
あうるすぽっと
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プロフィール
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佐藤治彦 Haruhiko SATO
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男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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