自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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指揮/アントニ・ヴィット
ピアノ/ 中村紘子
モニューシュコ:歌劇「パリア」序曲
Moniuszko: "Paria" Overture
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11( ピアノ:中村紘子)
Chopin: Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
Beethoven: Symphony No.5 in C minor Op.67
アンコール
ブラームス/ハンガリー舞曲5番 プロコフィエフ/古典交響曲第3楽章
ルトスワフスキ/小組曲からポルカ
「大時代がかった演奏も時にはいいものだ」
ワルシャワフィルは10年以上前にこのヴィットの指揮で確か北とぴあで聞いた事があって、何を聞いたのかも覚えていないけれどもいい印象はなかった。また、ワルシャワでも一度聞いた事があると思う。いづれにせよ、10年ぶりくらいに聴くオーケストラである。今宵出かけた理由は中村紘子の協奏曲を20数年ぶりに聞いてみたくなったからだ。彼女は一昨年あたりでデビュー何周年かとかで大きなコンサートを精力的に開いたりしているが、最近の日本のクラシック音楽会は、20代前半までの若い演奏家が世界的な賞を取って、一気に協奏曲の市場を奪ってしまう。
若く美貌のある演奏家ばかりになってしまって、40歳以上のソリストの活躍の場所はほぼ壊滅状態である。国内のオケでも日本人ソリストは若く美貌のコンクール覇者ばかりである。中村紘子は20年以上前は女王だった。いろんなオーケストラの定期演奏会のソリストに呼ばれていたものだが、最近は自ら演奏会を主催しないと協奏曲は弾けていないのではないか?まあ、それがマーケットだから仕方ないのだが、僕はそのような状況に目を白黒させてきたわけだ。
その中村紘子をソリストに迎えてショパンのピアノ協奏曲1番というのだから聞いてみようと思った。中村の演奏で記憶に残っているのは既に25年前の、ソビエト国立管弦楽団、確かスビャトラーノフが指揮だった(調べたら1987年5月24日神奈川県民ホール、グリンカ/ルスランとリュドミラ、序曲 チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番(P/中村紘子) ショスタコーヴィチ/交響曲第5番)で、ソリストを務め、それが物凄いド派手な演奏だったと記憶している。それ以外は聞いたのかなあ?彼女のリサイタルは行った事がないから。中村のショパンの1番協奏曲を聞くのは始めたのだが、技術の衰えがあるのだろう。時々音の粒が奇麗に聞こえない。オケの伴奏のないところで、テンポを物凄く動かしたり(リタルダントっていうレベルでなく)して色合いをつけようとしているようだった。彼女は技術的にはそれほどでない、遅いテンポのピアニシモなどは年齢相応の枯れたいい演奏をするのだが、派手なところでオケと張り合ったりするから、破綻ギリギリまで追い込まれてしまう。女の性を感じた演奏だった。もう一度言うけれども、彼女はネスカフェなどテレビコマーシャルも山ほど出ていた日本ピアノ界のスターであり、女王であったからね。
まあ、そこそこのショパンの協奏曲。でも、今宵の拾い物、驚いたのは、オケ自身だった。時々管楽器がバランスを崩すくらいがなり立てる音を立てたりしたのだが、おおむね素晴らしい「合奏」で、このヴィットという老指揮者をオケが敬愛し、集中して音楽に取り組んでいるのが良くわかる。素晴らしいアンサンブルだ。
運命の交響曲などでは、時にロマンチックすぎる音を奏でるし、大音量で迫ってきたりもして、何か1960年代前の大指揮者時代の演奏を聴いているようだった。そうレコードでしか聞いたことのない演奏なのだ。現代のクールな演奏とは全く別の時代がかった演奏だが、時にはこれもいいもんだなあと思った。こういう演奏が少なくなったから稀少です。
ルトワフスキ。アンコールで出て来て聞き入ってしまった。こんなにすぐにまた聞けるとは思っていなかった。いい作曲家だなあ。
今宵は久しぶりに最安値の4000円というチケットを手に入れて聞きにいったのだが、結構ガラガラだったので、誰も座っていない3階正面席で聞いた。その席が音のバランスや響きがとても良くて気に入ってしまった。オペラシティのコンサートホールは3階もいいね。
2012年2月21日@東京オペラシティ タケミツメモリアルホール
ピアノ/ 中村紘子
モニューシュコ:歌劇「パリア」序曲
Moniuszko: "Paria" Overture
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11( ピアノ:中村紘子)
Chopin: Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
Beethoven: Symphony No.5 in C minor Op.67
アンコール
ブラームス/ハンガリー舞曲5番 プロコフィエフ/古典交響曲第3楽章
ルトスワフスキ/小組曲からポルカ
「大時代がかった演奏も時にはいいものだ」
ワルシャワフィルは10年以上前にこのヴィットの指揮で確か北とぴあで聞いた事があって、何を聞いたのかも覚えていないけれどもいい印象はなかった。また、ワルシャワでも一度聞いた事があると思う。いづれにせよ、10年ぶりくらいに聴くオーケストラである。今宵出かけた理由は中村紘子の協奏曲を20数年ぶりに聞いてみたくなったからだ。彼女は一昨年あたりでデビュー何周年かとかで大きなコンサートを精力的に開いたりしているが、最近の日本のクラシック音楽会は、20代前半までの若い演奏家が世界的な賞を取って、一気に協奏曲の市場を奪ってしまう。
若く美貌のある演奏家ばかりになってしまって、40歳以上のソリストの活躍の場所はほぼ壊滅状態である。国内のオケでも日本人ソリストは若く美貌のコンクール覇者ばかりである。中村紘子は20年以上前は女王だった。いろんなオーケストラの定期演奏会のソリストに呼ばれていたものだが、最近は自ら演奏会を主催しないと協奏曲は弾けていないのではないか?まあ、それがマーケットだから仕方ないのだが、僕はそのような状況に目を白黒させてきたわけだ。
その中村紘子をソリストに迎えてショパンのピアノ協奏曲1番というのだから聞いてみようと思った。中村の演奏で記憶に残っているのは既に25年前の、ソビエト国立管弦楽団、確かスビャトラーノフが指揮だった(調べたら1987年5月24日神奈川県民ホール、グリンカ/ルスランとリュドミラ、序曲 チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番(P/中村紘子) ショスタコーヴィチ/交響曲第5番)で、ソリストを務め、それが物凄いド派手な演奏だったと記憶している。それ以外は聞いたのかなあ?彼女のリサイタルは行った事がないから。中村のショパンの1番協奏曲を聞くのは始めたのだが、技術の衰えがあるのだろう。時々音の粒が奇麗に聞こえない。オケの伴奏のないところで、テンポを物凄く動かしたり(リタルダントっていうレベルでなく)して色合いをつけようとしているようだった。彼女は技術的にはそれほどでない、遅いテンポのピアニシモなどは年齢相応の枯れたいい演奏をするのだが、派手なところでオケと張り合ったりするから、破綻ギリギリまで追い込まれてしまう。女の性を感じた演奏だった。もう一度言うけれども、彼女はネスカフェなどテレビコマーシャルも山ほど出ていた日本ピアノ界のスターであり、女王であったからね。
まあ、そこそこのショパンの協奏曲。でも、今宵の拾い物、驚いたのは、オケ自身だった。時々管楽器がバランスを崩すくらいがなり立てる音を立てたりしたのだが、おおむね素晴らしい「合奏」で、このヴィットという老指揮者をオケが敬愛し、集中して音楽に取り組んでいるのが良くわかる。素晴らしいアンサンブルだ。
運命の交響曲などでは、時にロマンチックすぎる音を奏でるし、大音量で迫ってきたりもして、何か1960年代前の大指揮者時代の演奏を聴いているようだった。そうレコードでしか聞いたことのない演奏なのだ。現代のクールな演奏とは全く別の時代がかった演奏だが、時にはこれもいいもんだなあと思った。こういう演奏が少なくなったから稀少です。
ルトワフスキ。アンコールで出て来て聞き入ってしまった。こんなにすぐにまた聞けるとは思っていなかった。いい作曲家だなあ。
今宵は久しぶりに最安値の4000円というチケットを手に入れて聞きにいったのだが、結構ガラガラだったので、誰も座っていない3階正面席で聞いた。その席が音のバランスや響きがとても良くて気に入ってしまった。オペラシティのコンサートホールは3階もいいね。
2012年2月21日@東京オペラシティ タケミツメモリアルホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
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性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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