佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作詞・作曲ジェリー・ハーマン(Jerry Herman)
脚本 ハーヴェイ・ファイアスティン(Harvey Fierstein)






 僕が見た公演は主演の2人の最終日で盛り上がりがスゴかった。この作品は映画「バードケージ」でもあるように、もう傑作中の傑作なので、なにも言うことはない。完璧に作られたエンタティメントなのだ。前にブロードウェイでも見たのだが、疲れきった体で見たのでなんか寝てしまって、今回はきっちしみられて勉強になった。もう面白いのは当たり前なのでなにも驚かない。
 思っていたよりも音楽も名曲があるなあという感じ。

 僕が見た物とは相当違いますが…。




ロンドンプレイハウス劇場
2009年11月29日
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 主役を演じる  と尼僧長の  が偉い俳優らしいが、とにかく何か最初から最後まではしゃいでいる感じでイマイチだなあ。歌もソウルな感じは分かるんだけど、イマイチ。脇役の描き方も分かりやすく、王道感ありありでイマイチ。でもまあ楽しみましたけど。いつまでも残るって作品じゃないなあ。映画がスゴすぎるからね。ウーピーがやったらどんな感じなんだろうと思いました。



2009年11月24日
ロンドンパラディウム劇場
高き彼物

マキノノゾミ作 高瀬久男演出
出演 加藤健一 小泉今日子 占部房子 石坂史朗 海宝直人 滝田裕介 ほか



 とても自然で深みのある作品だった。さすがマキノノゾミ。そして、それをさらに素晴らしい人間ドラマにしたすべての出演者に拍手を送りたい。休憩入れて2時間25分。決して派手なことが起きるのではないのに、観客の心のうちに喜怒哀楽の気持ちが生まれているのが分かる。そうだ。人生の喜びも哀しみも日常の中にあるのだ。そんなとても大切なことを加藤健一は教えてくれた。

2009年11月20日ソワレ 本多劇場
意外な形で参加することになりました。
事務局からの要請で次の作品の演出家クリスコンディックと対談、インタビューすることになりました。

作レジナルドローズ
演出 蜷川幸雄
出演 中井貴一、筒井道隆、辻萬長、西岡徳馬、品川徹、石井宣一、斎藤洋介、岡田正 ほか



 この希代の名台本。途中休憩15分を挟んで2時間40分間、12人の役者はほぼ出ずっぱりで芝居を続ける。オーソドックスな演出だが、出ている役者さんが華やかな分、そういった空気が全体を通して流れる。辻、品川、石井、斎藤、そして、岡田。本当に素晴らしい。筒井も抑えた演技ですばらしく、観客がこの民主主義の原点のような作品と出会っていることを心から感激しているのが手に取るように分かる。そういいながらも、自分は数年前の和田憲明演出の「12」を上に上げる。何か華やかすぎて。


2009年11月18日
シアターコクーン
『ヘンリー六世』三部作
<第一部>百年戦争 <第二部>敗北と混乱 <第三部>薔薇戦争
作:ウィリアム・シェイクスピア 
演出:鵜山仁      

出演 浦井健治 中嶋しゅう 津嘉山正種 勝部演之 渡辺徹 金内喜久夫 村井国夫 木場勝己 鈴木瑞穂 上杉祥三 立川三貴 久野綾希子 中嶋朋子 ソニン 今井朋彦 岡本健一
ほか



 素晴らしい。初めて見る作品だが、どうも西洋時代劇の匂いがぷんぷんとして、時代劇だし、登場人物は多いし、長いし(9時間)、、、、ユートピアの岸へが第二部で挫折して1枚チケット無駄にしていることもあり、正直引いていた。
 ところが、美しいセット。新国立劇場の中劇場の広い空間を見事につかった、しかし素舞台といってもいいほどシンプルな舞台で、特にヘンテコな読み替えもせず、ただただ台本をやってるだけなのに、何でこれだけ面白いのだろう。時間じゃなくて、ぐんぐん進むスピード感。一瞬たりとも客席のテンションと集中力を下げさせないように、舞台上の空気を紡いで行く役者陣。すごいなあ。非常に基礎的なんです。それで、十分面白い。一瞬も退屈しないんです。
 台詞をとちったりする役者も少なくないのだが、実はシェイクスピアはそういうこと計算済みで台本書いているんじゃないかなあ。全然グラグラしない。美しい詩的な台詞も恥ずかしくなく心に入ってくる。
 何か、演劇とはこういうこと。っていうのを教えてくれる今年屈指の名舞台だし、これほどまでのレベルでヘンリー6世を観られることってそんなにあるのかな?

 新国立劇場中劇場
 2009年11月
作/出演 パニッシュ




 いろんな意見があるのだとは思うけれども、とにかくお客さんがこれだけ喜んでいる。お見送りといって、サンシャイン劇場に来たお客さんを送り出す。徹底したサービス精神。スゴいです。

2009年10月31日
サンシャイン劇場
マリスヤンソンス指揮
バイエルン放送交響楽団

11月11日
ドヴォルジャーク作曲 チェロ協奏曲 独奏 ヨーヨーマ
ワーグナー作曲    管弦楽名曲集「タンホイザー」序曲「ワルキューレ」ワルキューレの騎行
   「神々の黄昏」ジークフリートのラインの旅 葬送行進曲
 ヨーヨーマをきいたのは何年ぶりだろう。20年ほど前には普通のチェリストとして気軽にきけたのに、彼が出るだけでチケット代が1万円も高くなる。ロストロポーヴィッチよりも、マイスキーよりも高いチケ代のチェリストって>>と思っていたわけです。しかし、何年も前からヤンソンスを現存する数少ないマエストロとして溺愛している僕は、もう選択の余地はなかった。ベルリンフィルのチケ代だよなこれは?と思いながら出かけた。何か金の話ばかりで恥ずかしい。
 先日のウィーンフィルでもソリストはランランで欧州でも大人気だという。何でも音楽界では中国人ブームだ!という人もいるくらいだ。それほど中国人アーチストの台頭はスゴい。何であろう?そんなことも思いながら聞いた。
 ヨーヨーマの節回しには、東洋人独特の間合いの美学があって、旋律の唄わせ方があって、それが受けているのではないかと感じた。欧州の伝統を学び尽くしたあとに、自分のルーツのエッセンスを注ぎ込む。それは魅力的な音楽になるだろう。オケも良かったけれど、やはり今宵の曲作りに新鮮さを加えていたのはヨーヨーマだった。誰にも好かれるステージングマナーも含めて、多くの人が聞きたがるのも良く分かった。
 とにかく会場を席巻し、アンコールもバッハの無伴奏を2曲やったものだから、後半は大変だった。ヤンソンスはスケールの大きいワーグナーを聞かせるのだけれども、客は前半で体力と感性を使い果たして気もそぞろなので、すっかりつけたしの感じ。
 すっかりヨーヨーマナイトとなった今宵の演奏会でした。


作演出 ラサール石井
出演  熊倉一雄 小宮孝泰 ほか




 素敵な劇場で3時間の長尺。笑いのポイントも山ほどある台本はラサール石井さんが劇場向けに書き下ろす芝居の台本として今年唯一?熊倉一雄さんがとにかく素敵でして82歳だとか。森光子さん並にスゴい肉体を使った芝居をしてらっしゃる。
 全体的にはいつも見ている小劇場から商業演劇と違ったテンションでして、ちょっと驚いた。


恵比寿エコー劇場
2009年11月12日
ライプチヒゲヴァントハウス管弦楽団 来日演奏会
指揮:リッカルドシャーイ

曲目
10月27日 モーツアルト作曲   バイオリン協奏曲3番
       マーラー作曲     交響曲第1番「巨人」
  バイオリン独奏 アラベラ美歩シュタインバッハー

11月2日  メンデルスゾーン作曲 交響曲第3番「宗教改革」
       ブルックナー作曲   交響曲第4番「ロマンチック」
      




 このオケを初めて聞いたのは大学生の頃だから、もう25年以上前になる。まだ東側の頃で、確かクルトマズア指揮できいているはずだ。その時の印象を聞かれてもなにも覚えていたいのだが、ドイツのオケだなあという印象くらいがあったのだと思う。きっとベートーヴェンやブラームスをきいたはずだ。そして、今回、イタリア人のスター指揮者、シャーイの演奏で聞いたそれは、世界最高峰のアンサンブルと表現力を備え、指揮者の明るい輝かしい音作りの導入もあり、見事は21世紀のインターナショナルなオケになっていた。それも最高峰である。
 宗教改革をこれほどまで退屈せずに聞かせてもらった。明るくリズムは弾む。
 マーラーの第一交響曲で聞かれるボヘミア的なメロディもあくまでも美しいメロディとして演奏され、何かそこに深い精神的なものを追求しようというような張りつめた空気はない。むしろ、高度な演奏をするための集中力の高まりを感じられた。明るく輝かしい合奏の頂点だ。
 ブルックナーも同じで、極端に遅いテンポで絶妙に変わって行く楽想の変化を丁寧にきかせてみたりする面白さがある。しかし、何かシャーイの個性を無理矢理だすためにやってんじゃないか?と思うくらい極端なのだ。もうちっと絶妙なバランスってのがあるのではないか?と思ったくらい。
 
 いづれにせよ、2回とも素晴らしい演奏会であったことは間違いない。昨年だと思うがシャーイの急病で来日が中止になった演奏会の穴埋めということもあるのだろう。世界最古のオケは今風の明るい近代的で高技術なオケに変身していた。そう、シカゴ交響楽団のイメージかなあ。

2009年10月27日/11月2日
サントリーホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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