佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 ベルガモ・ドニゼッティ劇場来日公演 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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ベルガモ・ドニゼッティ劇場来日公演
ドニゼッティ作曲 
愛の妙薬

指揮 スティファノモンタナーリ
演出 フランチェスッコ ベロット

アディーナ リンダカンパネッラ
ネモリーノ ロベルトイウィアーノ
ベルコーレ レオナルドガレアッティ
ドズルカマーラ マッティオペイローネ



 2007年の来日時にも観た劇場が再来日。何となく観に行った。このオペラハウスはイタリアの地方の劇場で、ミラノスカラ座などのトップクラスのオペラハウスと比べることはできない。オケの技術を考えても東京の一流の交響楽団に比べれば数段落ちる。合唱も普段の新国立劇場の方がいまや上だろう。だからこそ、技術よりも、いい意味でのイタリア的なサウンドを求めていくのである。素朴で情熱のあるイタリア的な悦びにあふれた音楽を求めるのである。
 しかし、この10年あまりイタリアからの来日組をいろいろときいてみて、イタリアのミュージシャンは疲れているんだなあといつも思う。スカラ座やボローニャ、いい時のフィレンツェなどはのぞくと、どこもかしこもボロボロなのである。疲れていて音楽をやる喜びもない、技術もハートもないから、幕開けの音楽はだらしなく緩んだサウンドだ。今回も例外ではなかった。


 それでも、この夜のモンタナーリという指揮者は決して一流とはいえないメンバーを統率し実力を出し切るために一生懸命鼓舞しそれはある程度成功した。音楽は後半につれて活き活きし、良く鳴っていくのである。歌手はみんなそこそこ。期待したイウリアーノは、音域によってムラがあるし、かすれた声をごまかしてばかりいた。輝かしいテノールの快感は最後まで聞くことができなかった。
 ドゥルカマーラのペイローネは、歌手というよりもコメディアン。それも、節度をわきまえていないので、カンパニーの統率を崩してしまう。余計なことをしすぎてしまう。演出がもっとしっかりして欲しい。
 しかし、これだけオーソドックスな美術と演出だと、超一流の歌手と音楽でないと僕はもう満足できないな。何かなにもかにも中途半端なレベルでちょっとがっかり。ホントにつまらない凡庸なのだ。オペラを聴き始めたばかりの人にはいいかもしれないが、僕はもうつまらなくて仕方がない。
 モンタナーリという指揮者はきっとここを足場にしてもっと上のオペラハウスを振るようになるんだろうな。。。そんなことを思ったくらいの公演だった。

 2010年1月19日
 武蔵野市民文化会館
 
 
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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