佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 天守物語 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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泉鏡花 作
白井晃 演出
出演 篠井英介 奥村佳恵 平岡祐太 坂本健児 小林勝也 田根楽子 江波杏子 ほか 


 モダンな感覚で見事につくりあげた美しい日本美に溢れる名舞台

 美しい、ひたすら美しい。そして豪華でモダンな見事な舞台だ。
 篠井英介はダイレクトメールの挨拶文の中で富姫を演じるのはこれが最後になるだろうと書いていた。この泉鏡花の作品でも幽玄な世界を中心に取り入れた作品で不思議な作品だ。新国立劇場中劇場の奥行きと舞台機構を徹底的に使った見事な美術である。それもモダンなのに日本的な美しさに溢れていて、僕は何か日本の歴史の中に、日本のさまざまな工業プロダクツの美がその歴史の中にあることをすごく実感した。衣装も美しく、近代日本洋画家の美感が出ていた感じがした。音楽は録音か?生演奏がいいなあ。
 篠井英介は例によって見事。玉三郎のそれとは違うのだが、自らの富姫を堂々とプレゼンテーションする。江波杏子はすすき役である。この幽玄の世界を取り仕切る役柄に彼女はベストキャストだろう。田根楽子、小林勝也の存在感と演技力もこの世界を高めていく。驚いたのは坂本健児の朱の盤坊で迫力もあり、見事な身のこなしで、LIONキング坂本の能や狂言も見てみたいと思ったくらいだ。アンサンブルも見事でつまり細かいところまで行き届いた見事な舞台なのだ。殺陣も決まるしなあ。
 で、最も驚いたのは平岡裕太が良かったこと。ジュノンスーパーボーイだから姿はいいのは当たり前だが、この泉鏡花の台詞を見事にものにしていた。すげえなあ。

 日本の舞台芸術の水準を底上げする美しい見事な舞台だ。こういう舞台こそ、新国立劇場で税金を使ってやるべき作品で、納税者としても納得のいく見事な作品だった。 

2011年11月9日 新国立劇場中劇場
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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