佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 最後の巨匠 アルドチッコリーニ 来日 2011年 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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 真の巨匠、最後の巨匠級ピアニスト。アルドチッコリーニ(85歳)が来日してくれる。佐藤治彦にだまされたと思って是非出かけてみて下さい。クラシック音楽をきいたことのない人でも、その深い感動に衝撃を受けるはずです。このお歳です。まもなく永遠に聞けなくなってしまいます。


トーマス・カルブ[指揮]
新日本フィルハーモニー交響楽団[管弦楽]
曲目 モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
          ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
10月27日






「この演奏は幸福感と辛さが入り交じったものだった?」
 モーツアルトの20番コンチェルト。第一楽章はミスタッチが多かった。それはどうでもいい。しかし、オケと微妙にずれていくのはとても残念だった。きっと長いパッセージでの着地の時の微妙なずれが後に響いていくのだと思う。チッコリーニはテンポを微妙に変えることも影響しているのかもしれない。時にテンポにギアを入れるとオケが遅れてしまうのだ。2楽章は淡々と主題を初めてチッコリーニの良さが大変出ていた楽章だと思う。しかし、ここでもテンポの揺れがオケとの微妙なすきま風を感じさせてしまう。チッコリーニのピアノだけ聞いていれば、珠玉の音なのだけれども、協奏曲とすると残念ながら傷ものだ。3楽章は幾分良くなったが、一番聞いていていいのは、各楽章のカデンツアだ。チッコリーニの音だけが響いている時がちゃんと世界として完結しているのだ。
 23番のコンチェルトはずっと良かった。特に2楽章は枯れた味わいが本当に良かった。しかし、今宵の演奏で一番良かったなあと思ったのはアンコールだ。
 スカルラッティのソナタホ長調K380をやってくれたのだが、それはそれは幸福な時間だった。チッコリーニのリサイタル。他の予定をどうしても変更できず行けそうにもない。とても残念だ。きっとリサイタルの方が格段に聞いていていいはずだ。それは、ソロである限り、チッコリーニの世界がそこで完結されるからだ。




2011年10月27日 すみだトリフォニーホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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