佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 文学座 風のつめたき櫻かな 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作  平田オリザ
演出 成井市郎
出演 坂口芳貞 加藤武 川辺久造 新橋耐子 ほか

 とても面白かった。演劇をみる楽しさを味わうことができた。感謝。平田オリザさんの作品の中でももっとも見やすい作品の一つだと思う。時間があっという間に過ぎて行く。文学座のように名うての役者が多くいて、年齢層も広いところに書く平田さん。いつもと同じように、家族やコミュニティの問題。人と人とのことを丁寧に描いている。それを描く背景に選んだのが東京におきた大震災の復興途中というもの。そして、人と人との関係の中からこそ、さまざまな社会や地域や世代の問題が噴出する。
 演技に関しても、この大御所揃いの座組の演技に、僕がコメントすることはなにもない。素晴らしい。スゴいのは年齢が上の方のお芝居。上手いのか、味があるのか。それは、盆踊りみたいなシーンがちょこっとあるのだが、そこに象徴的にでていた。大御所は身体のキレは若者に劣るのだろうが、ホントに踊っているし、無駄な動きがない。ところが、若い人には時折、振りつけられた痕跡が少し見え隠れする。ここでこんな踊りするのに、そんな腰を折り曲げて踊るかよ?みたいな突っ込みを入れたくなった。でも、それも大御所と一緒だから目立ったんだと思う。いや、もちろん素晴らしいんです、若手も。

 上手い演技から味のある演技、好かれる演技へとつなぐのに必要なものが見えたような気がした。

 いづれにせよ、文学座は大成功したこの作品を再演すると思う。いやして頂きたい。

 最後に。この上演の成功はこの一回の公演で生まれたわけではない。文学座と青年団のこの数年間の綿密な交流から生まれたものだ。毎年何本も協業して小さな劇場で上演を重ねて来た。混じり合い影響を与えながら積み重ねたものなのだ。丁寧に演劇を作ることの大切さを思い知らされたのである。

 





2008年6月1日
紀伊国屋サザンシアター
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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