佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 内田光子 指揮/ピアノ クリーヴランド管弦楽団 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K136
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K466
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K595
 



 内田光子のモーツアルトの協奏曲を聴いたのは何年ぶりなんだろう。サントリーホールで開館当時のシリーズで全曲演奏があった。イギリス室内管弦楽団でジェフリーテイトの指揮。当日発売に鳴ったフィリップスのレコーディングでも話題だった。この時も何曲かは弾き振りをしたっけ。その後もサントリーホールで一度きいて、そして、今回。今回はこの2大曲を弾き振り。会場は大喝采だった。日本が生んだ世界的なピアニスト。それも欧米の音楽の頂点で深く入り込むことのできた唯一の演奏者である。他の日本人演奏者と格が違う。会場は内田光子教のような雰囲気だったのかもしれない。
 僕は今回の内田光子は好きでなかった。僕の好きなモーツアルトのコンチェルトは、27番だったらバックハウス、20番だったら、ゼルキンやグールド。ぶっきらぼうというほどさらっと弾いてしまうのが好きだ。少し前の内田光子のモーツアルトはそれとどこか似ていたと思う。もっと清楚で品があった。磨き上げられ一音一音考え抜かれ磨き上げられた音楽じゃなかったと思う。モーツアルトの協奏曲は下手をすると音楽大学に入る前の技術でも弾くことができる。それをコネクリ廻すのではなく、まる
で子供が弾くようにさらっと無邪気に、いや、素朴に弾くべきではないか。だって、すべてはモーツアルトが書いてくれているのだから。聞き手に音楽のファンタジーを楽しむ余地を与えて欲しい。内田光子のファンタジーは表現できたのかもしれないけれど、それはモーツアルトのそれとは違う。何かね、内田光子の音楽であって、モーツアルトのそれに感じられない。モーツアルトより、内田光子が前に出て来ているんです。そういう演奏を僕はあまり好きではない。
 あげくの果てにものすごいミスを27番のコンチェルトではしちゃったことも付け加えておきます。
 もうひとつ、最初の有名なディベルメントは指揮者無し、バイオリンなどは立ったままの演奏だったけれど、何であんなに急ぐのだろう?クリーブランド管弦楽団はアメリカを代表する名門オケだけれど、いい指揮者と組んだ時のNHK交響楽団はそれ以上の演奏をするんだなあと思った。今日の弦なんかN響の方がいいことが多し。この数年だけれど。
 2010年11月16日 サントリーホール



この動画の感じだったらいいのになあ。
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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