自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作 アラン・エイクボーン
翻訳・演出 G2
上演台本 桝野幸宏
出演 松尾貴史 大和田美帆 市川しんぺー 島田歌穂 ほか
とっても微妙な感想をもつ芝居。面白かった。松尾さんが面白かった。エイクボーンとかそういうことじゃなくて、松尾さんが面白かった。そういう感想を持ちました。
アガペストアは青山円形劇場で1998年に上演された超老伝から、大好きなもので、今回も期待が高まる中でかけたのであります。アガペストアの魅力はメインの松尾さんと対抗することのできる最強の役者陣が常に舞台上にいたことでありました。例えば、八十田さん、坂田さん、粟根さん、山西さん、後藤さん、そして、松永玲子。そういった信頼できる人たちを一切排して、今回は新しい人たちとの作品作り。それも、エイクボーン。果たして?
アガペストアの最高傑作は誰がなんといおうと、BIZシリーズです。設定も話のスケール感もなにもかも好きなのであります。ハリウッドで映画化されてもいいのになと思ってます。ジョージクルニーがこの台本を知れば、きっと買って作ってしまうと思うのです。それほど面白い。シチュエーションコメディとしても最高の作品です。それも誰の真似でもない。
そして、作り上げた作品に、松尾さんは時事ネタや物真似を存分に、観客からするとアドリブのように入れて行く。それこそが、待ってました!のシーンとなる。BIZシリーズでは、観ようによっては暴走気味な松尾さんのハイテンションさは作品にアクセルを踏ませることはあっても、脇道にそれることはなかったのであります。
先ずは今回のエイクボーンの作品なのですが、最初は大和田さん(何て美しくなったのだ!)が、次に佐藤真弓さんが、冒頭に延々と長台詞を言いまくる。そこで客席はどんより感が漂い始めてしまうのです。エイクボーンの台本か、日本版台本のせいなのかは分かりません。しかし、観客にとってみると、まだ見たことのないいろんな人たちの名前を羅列されて、その人のエピソードを延々と聞かされてもなにも感情移入できないのではないでしょうか?エイクボーンの作品の初演は、イギリスの地方で、それこそ、観客とのある程度のお約束のもとに書かれている部分もあるときいています。そうなると、これは日本版では相当考えなくちゃいけない部分だったのではないでしょうか?
佐藤真弓さんも大和田さんも、この台本に果敢に戦いを挑んでいました。こんなに頑張る佐藤真弓は初めてみた!ってくらい頑張るのです。それも、次に出てくる松尾さんのことも考え、負けまいとものすごくリスクをとって最初からハイテンションで飛ばす。時にはそれが観客の拒絶反応を引き起こし、時には受け入れられ、本当に大変だなあと思うのです。これは佐藤真弓さんの演技のスタイルではないのでは?と思うのです。やはり、松永玲子さん向きのシーンだよなあと思ってしまうのです。藤山直美さんでもいいです。何て言うか、佐藤真弓さんは、元々、波のない湖のような、白いキャンバスのように舞台に出てくるのですが、作品の中の毒や狂気の中で、いろんな色がついていく、あげくの果てには、エイリアンがお腹の中から出てくるみたいな演技をされる。それが面白いんだと思うのです。普通の人の狂気というか。なんていうか。どんな役柄にも化けることのできるいい女優さんです。それに反して、藤山直美さんは何をなさっても基本的に直美さん、松永玲子さんも、そういうタイプの女優さん。松永さんは守備範囲は広いけれども…ね。冒頭のシーンは佐藤さん向きだと思えないのです。
別にミスキャストではないけれど。ちょっと違うなあと思ったのはそういうことなんだと思うのです。佐藤さんのそういった面白さが観客に理解されたのは後半であり、観客がやっと笑いになじんだです。ここまで佐藤真弓が全身全霊頑張って、やっとこさって感じでした。
冒頭からそんな感じで本当に大変でした。30分近くに感じた時間が過ぎて、やっとこさ、松尾さんが登場!
しかし、その直前に松尾さんは上手奥で唄い始めるのですが、客席がやっとここで爆笑となるのです。やっとアガペストアだあ!って感じでしょうか。松尾さんは出てくると、ギアを入れまくり、どかーんと頑張るのですが、期待の市川しんぺーさんでさえ、松尾さんとがぶりとやってくれない。若い柳さんや、大和田さんには期待できない役割で、しんぺーさんしかいないのに!!!
こうして松尾さん以外のキャストは松尾さん面白いなあって見てるだけ感が強くて、かぶせていくリスクをとってくれない。松永さんや山西さんや八十田さんと違うところです。松尾さんは面白いでしょうが、あんなに舞台で出演者が素で笑っているように見えるとしらけてしまうのではないでしょうか。
アガペストアは、松尾さん以外の最強キャストがしっかりとストーリーと笑いの外枠を固め、そこを松尾さんが縦横無尽にいじる。それに負けじと戦うキャストの演劇一騎討ちが面白いのですが、それがね。今回はほとんどなかった。
それから、アランエイクボーンの作品の面白さは…あまりね。伝わらなかったです。
だから、感想は松尾さんがとにかく面白かった。麻生首相の物真似も、中川大臣へのちょいとした嫌みも全部面白かった。やっぱり松尾さん、面白かった。これが、僕の感想です。
2009年2月16日
紀伊國屋サザンシアター
翻訳・演出 G2
上演台本 桝野幸宏
出演 松尾貴史 大和田美帆 市川しんぺー 島田歌穂 ほか
とっても微妙な感想をもつ芝居。面白かった。松尾さんが面白かった。エイクボーンとかそういうことじゃなくて、松尾さんが面白かった。そういう感想を持ちました。
アガペストアは青山円形劇場で1998年に上演された超老伝から、大好きなもので、今回も期待が高まる中でかけたのであります。アガペストアの魅力はメインの松尾さんと対抗することのできる最強の役者陣が常に舞台上にいたことでありました。例えば、八十田さん、坂田さん、粟根さん、山西さん、後藤さん、そして、松永玲子。そういった信頼できる人たちを一切排して、今回は新しい人たちとの作品作り。それも、エイクボーン。果たして?
アガペストアの最高傑作は誰がなんといおうと、BIZシリーズです。設定も話のスケール感もなにもかも好きなのであります。ハリウッドで映画化されてもいいのになと思ってます。ジョージクルニーがこの台本を知れば、きっと買って作ってしまうと思うのです。それほど面白い。シチュエーションコメディとしても最高の作品です。それも誰の真似でもない。
そして、作り上げた作品に、松尾さんは時事ネタや物真似を存分に、観客からするとアドリブのように入れて行く。それこそが、待ってました!のシーンとなる。BIZシリーズでは、観ようによっては暴走気味な松尾さんのハイテンションさは作品にアクセルを踏ませることはあっても、脇道にそれることはなかったのであります。
先ずは今回のエイクボーンの作品なのですが、最初は大和田さん(何て美しくなったのだ!)が、次に佐藤真弓さんが、冒頭に延々と長台詞を言いまくる。そこで客席はどんより感が漂い始めてしまうのです。エイクボーンの台本か、日本版台本のせいなのかは分かりません。しかし、観客にとってみると、まだ見たことのないいろんな人たちの名前を羅列されて、その人のエピソードを延々と聞かされてもなにも感情移入できないのではないでしょうか?エイクボーンの作品の初演は、イギリスの地方で、それこそ、観客とのある程度のお約束のもとに書かれている部分もあるときいています。そうなると、これは日本版では相当考えなくちゃいけない部分だったのではないでしょうか?
佐藤真弓さんも大和田さんも、この台本に果敢に戦いを挑んでいました。こんなに頑張る佐藤真弓は初めてみた!ってくらい頑張るのです。それも、次に出てくる松尾さんのことも考え、負けまいとものすごくリスクをとって最初からハイテンションで飛ばす。時にはそれが観客の拒絶反応を引き起こし、時には受け入れられ、本当に大変だなあと思うのです。これは佐藤真弓さんの演技のスタイルではないのでは?と思うのです。やはり、松永玲子さん向きのシーンだよなあと思ってしまうのです。藤山直美さんでもいいです。何て言うか、佐藤真弓さんは、元々、波のない湖のような、白いキャンバスのように舞台に出てくるのですが、作品の中の毒や狂気の中で、いろんな色がついていく、あげくの果てには、エイリアンがお腹の中から出てくるみたいな演技をされる。それが面白いんだと思うのです。普通の人の狂気というか。なんていうか。どんな役柄にも化けることのできるいい女優さんです。それに反して、藤山直美さんは何をなさっても基本的に直美さん、松永玲子さんも、そういうタイプの女優さん。松永さんは守備範囲は広いけれども…ね。冒頭のシーンは佐藤さん向きだと思えないのです。
別にミスキャストではないけれど。ちょっと違うなあと思ったのはそういうことなんだと思うのです。佐藤さんのそういった面白さが観客に理解されたのは後半であり、観客がやっと笑いになじんだです。ここまで佐藤真弓が全身全霊頑張って、やっとこさって感じでした。
冒頭からそんな感じで本当に大変でした。30分近くに感じた時間が過ぎて、やっとこさ、松尾さんが登場!
しかし、その直前に松尾さんは上手奥で唄い始めるのですが、客席がやっとここで爆笑となるのです。やっとアガペストアだあ!って感じでしょうか。松尾さんは出てくると、ギアを入れまくり、どかーんと頑張るのですが、期待の市川しんぺーさんでさえ、松尾さんとがぶりとやってくれない。若い柳さんや、大和田さんには期待できない役割で、しんぺーさんしかいないのに!!!
こうして松尾さん以外のキャストは松尾さん面白いなあって見てるだけ感が強くて、かぶせていくリスクをとってくれない。松永さんや山西さんや八十田さんと違うところです。松尾さんは面白いでしょうが、あんなに舞台で出演者が素で笑っているように見えるとしらけてしまうのではないでしょうか。
アガペストアは、松尾さん以外の最強キャストがしっかりとストーリーと笑いの外枠を固め、そこを松尾さんが縦横無尽にいじる。それに負けじと戦うキャストの演劇一騎討ちが面白いのですが、それがね。今回はほとんどなかった。
それから、アランエイクボーンの作品の面白さは…あまりね。伝わらなかったです。
だから、感想は松尾さんがとにかく面白かった。麻生首相の物真似も、中川大臣へのちょいとした嫌みも全部面白かった。やっぱり松尾さん、面白かった。これが、僕の感想です。
2009年2月16日
紀伊國屋サザンシアター
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
HP:
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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