佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団来日公演 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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 文化の日。サントリーホールへ。この秋、東京の音楽ファンから最大の期待をもって迎えられたミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団の演奏会だ。この楽団はマーラーなどの名曲を世界初演した楽団であるとともに、ルドルフケンペとチェリビダッケという二大指揮者で戦後の楽壇をリードしてきた。僕は幸いにもチェリビダッケのコンサートは何回も聴いたことがある。最初の機会の時、驚いた。名曲「展覧会の絵」が真新しく聞こえた。新曲のようなのだ。そして、100人以上の一流の演奏者の綿密なアンサンブル!続いて聴いたシューマンの交響曲。つまらないと思っていた楽曲がこれほど豊かな楽想に紡がれているのだと驚いた。東京でチケットを取るのが不可能だと思うと、アジアツアーの時に香港まで演奏会を聞きにもいった。一生忘れないであろうチャイコフスキーの5番の交響曲は極限までテンポを遅くし、ひとつひとつの音符の魅力、フレ−ジングの素晴らしさを丁寧に披露してくれた。ミュンヘンフィルは、著名なカラヤンに率いられたベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶドイツを代表するオーケストラなのだ。むしろ、南の首都バイエルン地方の代表として音楽ファンの中には、ベルリンフィルよりも高く評価する人も少なくないオーケストラだった。しかし、偉大なチェリビダッケがなくなって、つまり偉大なリーダーを失いこの楽壇は輝きを失う。
 そこに登場したのがクリスチャンティーレマンなのだ。1959年生まれ。まだ40代という若さだ。ドイツの地方オペラなどで経験を積み出てきたのだ。僕はもうコンサートには30年以上も通いつめていて、19世紀生まれの、もしくは、20世紀初頭に生まれた大指揮者を山ほどきいてきたものだから、今の指揮者の器の小ささ、商業主義、おもねる音楽、軽い音楽にあまり興味を示さなかった。演劇が僕の芸術に関する興味の中心になったこともあり、どんどんとコンサート通いは減り、本当に素晴らしい演奏会と思える時以外はいかなくなってしまったのだ。
 ティーレマンは何回かオペラの来日公演の時にきいていたが、正直あんまりピンとこなかった。しかし、2003年にNHK交響楽団やバイエン国立歌劇場の指揮者として何回もきいた高齢なウォルフガングサバリッシュとウィーンフィルハーモニー管弦楽団との演奏会を楽しみにしていた。しかし、来日はキャンセル。代役がティーレマン。その時の素晴らしさ。ええ、何だこいつ!と思ったのだ。聞き慣れた楽曲を洗い直し音楽を組み立てていた。伝統を大切にしつつも、自らの音楽の芯をもっている。
 もう大指揮者はいないのだと思っていたのだが、ドイツのヨーロッパの文化は、こうして若く新しい大指揮者を生んだのだ。文化の厚みが生んだのだと思う。
 ミュンヘンフィルの音楽監督にティーレマンが2004年に就任した時に誰もが楽しみにしたものだ。どんな音楽を聴かせるのかと!そして、3年という時を経て満を持しての来日。
 今日はブラームスの交響曲第一番。そして、リヒャルトシュトラウスの「死と変容」と「ドンファン」。素晴らしかった。アンコールではワーグナーの「ニュールンベルグのマイスタージンガー」の前奏曲。ドイツオーストリア音楽文化の最高峰の演奏だった。
 会場にはなかにし礼さんや小泉前首相もきていた。ま、どうでもいいんだけど。素晴らしい演奏に心を打たれ、年齢のことも考えると、おそらく僕の人生の最後までこの新たな巨匠の音楽を聴き続けるのだろうな。その今日は第二回目だったんだなと思った次第。
 明日も聴く。あしたはブルックナーの交響曲第5番。2001年に亡くなったギュンターワントの死の直前の来日公演で取り上げられた大曲だ。僕は同じプログラムを2回聴きに行き、感動に打ち震えた。それと同じ曲。もうあれ以上の感動はないのだと思っていたのだが、楽しみにしている。

2007年11月3日
サントリーホール

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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