佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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7月
7月1日  東京バレエ団「ラ・バヤデール」
7月2日  東京バレエ団「ラ・バヤデール」
7月8日  イングリッシュナショナルバレエ団 コッペリア
7月14日 イングリッシュナショナルバレエ団 海賊
7月17日 デトロイト交響楽団&スラトキン 文京シビックホール 
7月19日 デトロイト交響楽団&スラトキン オペラシティ
7月20日 来日ミュージカル「ウエストサイドストーリー」シアターオーブ
7月22日 フルシャ&都響 ブラームス3 芸術劇場

8月
8月20日 東京バレエ団「バレエコンサート」目黒パーシモンホール
8月24日 ファビオルイージ特別演奏会 読響@芸術劇場
      ドンファン、英雄の生涯、ハイドン「熊」

9月
9月2日  ワグネルソサエティOBオケ@芸術劇場 近藤嘉宏のラフP2
9月9日  東京バレエ団 プティ/ベジャール/キリアン 東京文化
9月10日 東京バレエ団&ロベルトボッレ 別キャスト 東京文化
9月16日 NHK交響楽団&ヤルヴィ タコ7 NHKホール
9月17日 ベトレンコ&バイエルン国立管 マーラー5 東京文化
9月18日 チョンミンフン&東フィル ベートーベン オーチャード
9月21日 ペトレンコ&バイエルン国立歌劇場「タンホイザー」NHKホール
9月23日 NHK交響楽団&ヤルヴィ ロシアプロ NHKホール
9月28日 NHK交響楽団&ヤルヴィ バルトークプロ サントリー

10月
10月1日 ペトレンコ&バイエルン国立管 ワルキューレ第1幕ほか NHKホール
10月4日 新国オペラ「神々の黄昏」
10月7日 ルツェルン祝祭管&シャイー シュトラウスプロ サントリー
10月10日 上海歌劇場「アイーダ」@香港文化センター
10月20日 エッシェンバッハ&N響 ブラ2&3 NHKホール
10月21日 ジョナサンノット&東京交響楽団 名曲集 サントリー
10月26日 エッシェンバッハ&N響 ブラ1&4 サントリー


11月
11月5日 ボストン交響楽団&ネルソンズ マーラー1 チャイコV協 ギルシャハム 
      @ミューザ川崎
11月8日 都響&ハンヌリントゥ クレルヴォ交響曲 東京文化
11月9日 フェドセーエフ&チャイコ交響楽団
      「エフゲニーオネーギン」(演奏会形式)@NHKホール
11月11日 ヤノフスキ&N響 英雄 NHKホール
11月12日 ブロムシュテット&ライプチヒゲヴァントハウス管 ブル7 メンV協(レオニダス・カヴァコス)サントリー
11月13日 ブロムシュテット&ライプチヒゲヴァントハウス管 ウィーン楽友教会合唱団 ドイツレクイエム NHKホール
11月15日 ナイロン100℃「ちょっとまって、ください」@本多劇場
11月17日 ソヒエフ&N響 イワン雷帝 NHKホール
11月22日 ベジャールバレエ団&東京バレエ団合同公演 
        ベジャールセレブレーション@文化
11月23日 ソヒエフ&N響 プロコフィエフプロ サントリー


12月
12月3日  デュトワ&N響 ラヴェルプロ NHKホール
12月9日  デュトワ&N響 火の鳥 NHKホール
12月10日 ゲルギエフ&マリンスキー管 デニスマツーエフ ラフマニノフ祭 サントリー
12月11日 都響&フルシャ ブラームス2 マルティーヌ2 東京文化
12月13日 デュトワ&N響 ハイドン/細川/メンデルスゾーン サントリー
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2017年 1月
1月14日 NHK交響楽団定期演奏会+ファンホメナ スペイン物@NHKホール
1月24日 ベルリン八重奏団 @東京文化会館

2月
2月8日  陥没 ケラリーノサンドロビッチ作演出 シアターコクーン
2月11日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 シベリウス2@NHKホール
2月17日 新国立劇場バレエ「バレンタインバレエ」
2月18日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 タコ10 シベV協@NHKホール
2月18日 文学座 食いしん坊万歳! @紀伊国屋サザンシアター
2月22日 東京バレエ団 ウィンターガラ オーチャード
2月23日 パーヴォヤルヴィ&N響 マーラー6 横浜みらいホール
2月24日 新国立劇場バレエ「コッペリア」

3月
3月11日 パリオペラ座グランガラ 東京文化会館
3月13日 インバル&ベルリンコンツェルト管 マーラー5 すみだトリフォニー

4月
4月4日  NHK交響楽団&ヤノフスキ 神々の黄昏@文化会館
4月7日  新日本フィル&上岡 敏之 ドボルザーク7&V協@すみだトリフォニー
4月10日 メトロポリタンオペラ アイーダ@MET(ニューヨーク)
4月11日 in Transit @サークルインザスクエアシアター(ブロードウェイ)
4月12日 サンセットブルバード@パレスシアター グレンクロース主演(ブロードウェイ)
4月12日 メトロポリタンオペラ エフゲニーオネーギン@MET ネトレプコ(ニューヨーク)
4月13日 メトロポリタンオペラ ばらの騎士@MET ルネフレミング(ニューヨーク)
4月14日 メトロポリタン美術館&MOMA 鑑賞
4月14日 ハロードーリー@シューベルト劇場 ベットミドラー主演(ブロードウェイ)
4月22日 ルイージ&N響定期 ブラームス4 ベトP協1@NHKホール

5月
5月 3日 団菊祭夜の部@歌舞伎座 伽羅先代萩(御殿、床下、対決、刀傷)壽曽我対面 彌生の花浅草祭 
5月 6日 バーミンガムロイヤルバレエ トリプルビル@エブリマンシアター(チェルトナム イングランド)Wink,Arcadia,The Moors Pavane
5月11日 『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』@ミレニアムシアター(カーディフ・ウエールズ)
5月11日 国立モスクワサーカス@カーディフFC駐車場特設テント
5月12日 大英博物館
5月12日 ロイヤルオペラ ドンカルロ@ロイヤルオペラハウス(ロンドン)
5月13日 ロイヤルバレエ マイヤーリンク(うたかたの日々)@ロイヤルオペラハウス ティアゴソアレス、Lカスバートン、Cアレステス、Tダイヤー、平野良一(ロンドン)
5月13日 「ハーフ a 6ペンス(心を繋ぐ6ペンス)」@ノエルカワード劇場 チャーリーステンプ
5月14日 ワーナーブラザースハリーポッタースタジオツアー
5月14日 ロンドン交響楽団定期&ニコラススナイダー@バービカンセンター チャイコ5

5月19日 フェドセーエフ&N響 ボロディン2 チャイコ4@NHKホール
5月24日 フェドセーエフ&N響 チャイコP協 ベレンスキー @NHK
5月27日 インキネン&日本フィル ラインの黄金 東京文化会館大ホール

6月
6月1日  ジークフリート@新国立劇場オペラハウス
6月7日  ジークフリート@新国立劇場オペラハウス
6月12日 ボリショイバレエ「白鳥の湖」東京文化会館 
        スミルノワ&チュージン→ラントラートフ
6月14日 N響&コープマン モーツアルトプロ 41 魔笛 フルートとハープ協
6月16日 東京バレエ団スタジオパフォーマンス@東京バレエ団スタジオ
6月17日 ラザレフ&日本フィル プロコフィエフプロ
6月21日 都響定期&大野 田園 フランスもの
6月24日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 フランスプロ
6月30日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 ザ・グレート シューマンC協

文学座「食いしん坊 万歳!」を紀伊国屋サザンシアターで観劇した。正直言うと、今さら正岡子規の評伝ものを見たいとは思ってなかった。午後6時40分ごろ、劇場について上演時間を見たら、2時間40分(15分の休憩含む)にあると知って、観劇した日が朝5時から働いて疲労困憊だったので、8時5分の休憩時にこっそり退散しようかとまで考えていたのだ。
 じゃ、何でそんなことまでして劇場に行ったのか?と言われたら、それは久々に、新橋耐子さんの名前が出演者にクレジットされていたことが第一である。昨年、とうとう平幹二朗さんまで亡くなられて、もう舞台で見たい役者がほとんどいなくなってしまった(歌舞伎の若手で良いのは何人かいるけれど)なあと思っていたのです。


 20代の頃から新橋さんの芝居は、杉村春子さんとの共演で何本も見てきたけれど、文学座で杉村さんとの舞台の時には、アンサンブルを大切にされていて、文学座の俳優陣のおひとりという感想しか持っていなかったのだけれど、これも20代のころ、初めて井上ひさしさんの芝居を見たのが、「頭痛肩こり、樋口一葉」で、その舞台で花蛍というお化けに扮した新橋さんのスゴかったこと。面白かったこと、哀しかったこと。その後は意識していろんな外部公演、例えば、蜷川幸雄さんやら、最近ではケラリーノサンドロヴィッチさんの演出の舞台でも見たのであります。
 ちなみに、井上芝居は、これがきっかけで見始めたわけですが、なかなかこれ以上に面白いのに出会えなかった。僕はこれと渡辺美佐子の演じた「化粧」かなあ。あれにも泣いた、この二本は芝居ってすごいなあと心から思った作品である。
 誰が読んでいるか分らないSNSなのでさらっと書くが、遅すぎた青春時代?のごとく、演劇に全精力を傾けていた40代のころ。
たまたま、新橋さんが、僕が出してもらったフランス翻訳物の二人芝居をたまたま見て下さって、そして、褒めてくれたのです。それだけでなく、その芝居に折り込んでいた僕のやっていた演劇の出演者募集のチラシを見て、出ると言ってくれたのです。ということで、僕の作演出の舞台にまで出て下さった。これはもの凄いことです。2010年ことでした。
 40も過ぎて演劇なんかやるもんだから、四面楚歌の十乗みたいな状況で本当に辛かった。そんな時に、僕の演技を認めてくれた。その演技については、テアトロという歴史ある演劇雑誌でも褒めてもらった。あの辛い時期の数少ないいい思い出です。
 「相寄る魂」というギィフォワシという人の二人芝居だったのですが、相手役が読売演劇大賞にノミネートまでされた南谷さんというスゴい人だったことが良かっただけだと思うのですけれど。そういう経験をさせてもらったのです。
 もうひとつ、この芝居には佐野和正さんの名前もクレジットされていた。別に交流があるわけではないのですが、これも10年近く前のこと、文学座のサマーワークショップを受けたことがあって、亡くなった演出家の高瀬さんがやったものだったのだけれど、そこのアシスタントのような立場で佐野さんがいて、稽古場にいる時の雰囲気がものすごく真摯で強い印象に残った。その後で、佐野さんが出る文学座の芝居は何本か見せてもらったのだけれど、あまり大きな役ではなかったこともあったのか、やはりアンサンブルのひとりとして出演されていた。今回は主役。正岡子規の役をやるらしいというので、ぜひ見てみたいと思ったのです。
まだ読んでくれていますか?ありがとうございます。
この芝居、始まったらこれが面白い。正岡子規の話なんだけれど、そこから離れて、ひとりの人間の生き様というところに本はフォーカスされていく。芝居はこうじゃなくちゃね。 
 肉体的に生きる力をどんどん剥ぎ取られながらも、前向きに生きて行く男と、息子の死を受け入れながらも前向きに生きて行く母親。新橋さんは、この男の母親にふさわしい人物像を作り上げ、佐野さんは、どんどん剥ぎ取られて行く生に負けまいと食い下がりながら生きて行く。その凄まじさ。それが、テンポ良く重いニヒリズムで描くこと無く、すすめて行くものだから。
終幕近くの宴会シーンに至るまでの生がもぎ取られ、それに抗う男の生き様、しかし、最後には全てを受け入れるという、その演技の見事さ。それに寄り添う明治の、いや、それ以前の時代も知ってる誇り高い士族の母親。その所作、その声のトーン、間合い。見事というしかない。母息子での臨終シーンの新橋さんの子守り歌。歌うではなく、語るでもなく、何だろう、シャンソンですな、あれは!
所作は、もう新派以外では、美しい和物の振る舞いは見られないだろうと思っていたら、新橋さんが芝居の中心にいるからか、見事でね。
いやあ、面白かったです。素晴らしかったです。
これ、文学座の新しい代表作になる可能性もある見事な作品となっていました。

2017年2月18日@紀伊国屋サザンシアター
2016年1月
  5日 初春花形歌舞伎 海老蔵 白波五人男 七つ面@新橋演舞場
 10日 山田和樹+N響 おもちゃ箱、ペトルーシュカ @NHKホール
 13日 平幹二朗主演「王女メディア」@東京グローブ座
 15日 ハーディング+新日本フィル 戦争レクイエム (→事故で行けず!)
 16日 ソヒエフ+N響 二重協奏曲 幻想 @NHKホール
 22日 ロスタラントス フラメンコライブ@ロスタラントス(グラナダ)
 23日 フラメンコショー@エルパルシオアンダルス(セビリア)
 25日 歌劇「魔笛」@テアトルレアル(マドリード)
 30日 アランギルバード+都響 ベートーベン7@東京芸術劇場

2月
  5日 東京バレエ団「白鳥の湖」@東京文化会館
  6日 2月大歌舞伎@歌舞伎座 ひらかな盛衰記 籠釣瓶花街酔醒(さとのえいざめ)
      小ふじ此兵衛 浜松風恋歌(かぜこいのよみびと)吉右衛門、菊五郎
  9日 シュターツカペレベルリン+バレンボイム
     ブルックナー1 モツ・ピ協27 @サントリー
  10日 シュターツカペレベルリン+バレンボイム
     ブルックナー2 モツ・ピ協20 @サントリー
  12日 ヤルヴィ+N響 ブラームスV協(ジャニーヌヤンセン)
     ニールセン交響曲5番@NHKホール 
  18日 ヤルヴィ+N響 シューマンP協(ブニアティシュヴィリ)
     変容 ツァラストラはかく語りき@サントリー
3月
  11日 歌劇「イエヌーファ」@オペラパレス
  12日 文学座「春疾風」@紀伊国屋ホール
  16日 ムーティ指揮 イタリアオペラ名曲集@文化会館
  17日 三谷幸喜作演出「ショーガール」@PARCO劇場
  22日 歌舞伎座「中村雀右衛門襲名興行 夜の部」@歌舞伎座
  26日 キタエンコ+東響 チャイコV協 ショスタコ5@サントリー
  29日 インバル+都響 モツP協27 ショスタコ15@文化会館

4月
  4日 「ロック・ア・フラ」@ロイヤルハワイアン劇場 ホノルル
  10日 楽劇「ジークフリート」ヤノフスキ&N響@東京文化会館
  13日 歌劇「ウェルテル」@新国立劇場オペラ プラソン指揮
  16日 N響&スラトキン@ NHKホール プロコフィエフ5番
  18日 エリッククラプトン来日公演@日本武道館
  23日 N響&スラトキン@ NHKホール
     ベアトリスとベネディクト序曲 ファミリトリー
     ブラームス交響曲1番
  24日 東響&ジョナサンノット@ サントリーホール
     ワルシャワの生き残り、ベルク「ルル」組曲、
     ドイツレクイエム
  25日 文学座「野鴨」イプセン作 @文学座アトリエ(行けず)
  28日 N響&スラトキン@ サントリーホール
     バーンスタイン名曲集、マーラー交響曲4番
  30日 東京バレエ団「ラ・シルフィールド」@東京文化会館

5月
  
  8日 8月の家族たち@シアターコクーン ケラリーノサンドロヴィチ作演出
  11日 ベルリンフィル&サイモンラトル@サントリー
     ベートーヴェン1番&3番「英雄」
  15日 尾高&N響@NHKホール チックコリア モーツアルトP協10
     エニグマ「謎」ほか
  16日 東京フィル・バッティストーニ指揮@サントリーホール
     イタリアプロ レスピーギ「教会のステンドグラス」ほか
  18日 ウィーンフォルクスオパー「こうもり」@東京文化会館
     最終ゲネプロ
  19日 ゲキバカ「ごんべい」@東京芸術劇場west (途中まで)
  21日 NHK交響楽団&ネーメヤルヴィ@NHKホール
     カリンニコフ2番交響曲・田園
  23日 ワーグナー「ローエングリーン」@新国立劇場オペラパレス
     ゲッツフリードリッヒ演出 フォークト、ペトラヤングほか
  26日 NHK交響楽団&ネーメヤルヴィ@サントリーホール
     プロコフィエフ6番交響曲・未完成
  28日 東京交響楽団&ウルパンスキ@サントリーホール
     チャイコ4番&プロコフィエフP協3 ロマノフスキー(pf)
  
6月
  1日 ジュリエットグレコ ラストツアー@オーチャード(来日中止)
  12日 NHK交響楽団&アシュケナージ@NHKホール 
     メンデルスゾーン「スコットランド」ほか
  21日 樋口隆一指揮 N響団友オーケストラ@サントリー
   フォーレ「レクイエム」
  23日 NHK交響楽団&アシュケナージ@サントリー
   シューマン2番 エルガー2番
  28日 リヨン管&スラトッキン@東京文化
      ダフニスとクロエ、スペイン狂詩曲、ブルッフV協


7月
 4日 ダニエルハーディング&新日本フィル@サントリー
    マーラー作曲「1000人の交響曲」
 
 5日 歌舞伎座 夜の部 海老蔵&猿之助

 7日 徳永二男楽壇生活50周年記念演奏会@サントリー
    広上淳一&N響 チャイコ&メンデルV協ほか
 
 
 24日 チョンミンフン&東京フィル@オーチャード
    演奏会形式「蝶々夫人」

 25日 ケラリーノサンドロヴィッチ 作・演出
    「ヒトラー、最後の20000年〜ほとんど、何もない〜」
    @本多劇場 行けなかった!

 
8月
 
 9日 ゲルギエフ&PMFオケ@サントリー
   イタリア&ショスタコ8番

 20日 ラインの黄金@バイロイト祝祭歌劇場

 21日 ワルキューレ@バイロイト祝祭歌劇場

 23日 ジークフリート@バイロイト祝祭歌劇場

 24日 パルジファル@バイロイト祝祭歌劇場

 25日 神々の黄昏@バイロイト祝祭歌劇場

 26日 サイモンラトル指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会
    マーラー6番 ほか @ ベルリンフィルハーモニー
 
 27日 サイモンラトル指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会
    ブラームス2番 ほか @ ベルリンのどこかの公園 

31日 Iwaki ballet Company 井脇幸江30周年リサイタル
             @新宿文化センター
 
 

9月
  6日 N響創立90周年特別演奏会@NHKホール
     パーヴォヤルヴィ指揮 マーラー1000人の交響曲

  15日 エリアフインバル&都響@東京文化会館
     プロコフィエフP協2 バルトーク オケコン 他

  17日 パーヴォヤルヴィ指揮&NHK交響楽団@東京芸術劇場
     禿げ山の一夜、展覧会の絵 武満徹
  
  20日 エリアフインバル&都響@サントリー
     ショスタコ8番&モーツアルトV協3

  22日 ミラノスカラ座バレエ団@東京文化会館
     「ドンキホーテ」

  24日 ユベールスダーン&東響@サントリー
     「ファウストの劫罰」

  25日 パーヴォヤルヴィ指揮&NHK交響楽団@NHKホール
     ブルックナー2番&モーツアルトP協27 フォークト

10月
1日 NHK交響楽団&パーヴォヤルヴィ ラフマニノフ3番交響曲&プロコP2
                      @NHKホール

5日 新国立劇場オペラ『ワルキューレ』@新国立劇場オペラパレス

7日 モントルージャズフェスティバルジャパン@恵比寿ザ・ガーデンホール

9日 ズビンメータ&ウィーンフィル シューベルト「グレート」&海@川崎ミューズ

10日 ズビンメータ&ウィーンフィル ブルックナー7番&リンツ@サントリー

12日 マリンスキー歌劇場来日公演 ゲルギレフ指揮「ドンカルロ」@東京文化会館

13日 東京バレエ団「ザ・カブキ」@新国立劇場中劇場

14日 ゲルギレフ&マリンスキー管「ロミオとジュリエット」@NHKホール

15日 マリンスキー歌劇場来日公演 ゲルギレフ指揮「エフゲニーオネーギン」@東京文化会館

16日 ヴェルデニコフ&N響、スラブ行進曲、「春の祭典」ほか@NHKホール

22日 ヴェルデニコフ&N響、ドボC協&悲愴@NHKホール

27日 ソヒエフ&N響@サントリーホール 新世界交響曲&ベトP協3

28日 ウィーン国立歌劇場来日公演「ナクソス島のアリアドネ」@東京文化会館

11月

2日 ブロムシュテット&バンベルグ響@サントリー ベトV協&運命

3日 ブロムシュテット&バンベルグ響@サントリー 未完成&田園

9日 ウィーン国立歌劇場来日公演「ワルキューレ」@東京文化会館

21日 MTトーマス&サンフランシスコ響@サントリー ショスタコP協1&巨人

22日 ティーレマン&シュターツカペレドレスデン@サントリー アルプス交響曲&ベトP協2

23日 ティーレマン&シュターツカペレドレスデン@サントリー 皇帝&ロメジュリ&前奏曲

24日 ハーディング&パリ管@芸術劇場 4つの海の間奏曲&ブラV協&ロミジュリ

25日 ハーディング&パリ管@芸術劇場 メンV協&マーラー5

26日 ラザレフ&日本フィル@サントリー ショスタコV協1&グラズノフ5

27日 ヤンソンス&バイエルン放送響@サントリー マーラー9

28日 ヤンソンス&バイエルン放送響@サントリー ベトV協&火の鳥


12月

1日 デュトワ&N響@サントリー 3つのオレンジの恋&マメールロワ&運命

9日 デュトワ&N響@NHKホール 「カルメン」演奏会形式

13日 フルシャ&都響@芸術劇場 ドボV協&巨人

17日 デュトワ&N響@NHKホール 4つの海の間奏曲&プロコV協1&オネゲル2&ラヴァルス

18日 東京バレエ団「くるみ割り人形」@東京文化会館

19日 フルシャ&都響@サントリー マルティーヌ&ショスタコ10

23日 ブロムシュテット&N響@サントリー ベートーヴェン9「合唱付」

Iwaki Ballet Company

『井脇幸江 30周年リサイタル』@新宿文化センター


8月の終り、バイロイトを中心としたヨーロッパ旅行の帰国日を30日と決めたのは、この公演はどうしても見たかったからだ。昨年、「ドンキホーテ」の全幕ものを観に行って、すでに東京バレエ団を退団してしばらくする井脇幸江や、元東京バレエ団のダンサーたちのレベルの高さ、菅野英男を初めとする現役で、日本を代表するカンパニーに属する人たちの、本家?とは別の顔を見られることの喜び。そして、カンパニーでバレエを学び始めた人たちの活き活きとしたバレエ愛に満ちた公演が本当に面白く心を打たれてしまったからだ。
今年は、東京バレエ団を退団した高岸直樹との「D/カルメン」をメインに3部構成。



1部は様々なバレエの名シーンからガラコンサート風の競演だ。「グランパクラシック」のアダージョを踊った井脇と菅野は今宵の開幕を告げるトップバッターとしてふさわしい踊り。井脇は東京バレエ団を離れてから、表現者として新たな境地に達している。
菅野はトップクラスの技術力のある人であるが、新国立劇場で踊る時には職人に徹する。振付家や劇場の公演に関する方向性を関知しそれを忠実に表現するのだ。しかし、井脇カンパニーに来た時には、まるで別の顔を見せる。自分の心のままに踊ってやるぜ、弾けてやるぜという気持ちも前面に出てくる。新国立劇場でもっとデカイ役を自由にやらせてみた方がいい。お客の心をつかみ集客にも貢献するはずだ。
「ダイアナとアクティオン」からグランパドドゥを踊った新国立劇場バレエ団などで活躍する芳賀望、ダイナミックな動きをしても軸がものすごくしっかりしているので力強さが増す。めちゃくちゃスゴい。栗島悠衣はコケティッシュな魅力に満ちている。近年はこういう魅力を持ったダンサーは少ないので全幕もので見てみたいなあと思った次第。
「海賊」のグランパドドゥでの浜崎のジャンプ力の高さは、身体と表現したいという気持ちが一体化していてもの凄く魅力的だ。調べるとこの人も新国立劇場のアーチスト契約をしている人なのだが、この踊りは、前にいたKバレエの熊川の全盛期を思わせるものだ。熊川がロイヤルバレエ団と来日した時に日本中を湧かせたのを思い出す。「白鳥の湖」のパドトロワの3人はちょっと守りに徹し過ぎの感じ。
第2部は、井脇のダンスの幅の広さを証明する。コンテンポラリーなダンス。ヒップホップやストリートダンスの面もあるが「十戒」は、日本人振付家だからか、そこに能や謡曲の要素を感じさせる。面白い。僕はパリオペラ座バレエ団は世界でももっとも素晴らしいバレエカンパニーのひとつだと思うのだけれど、それは、古典や現代ものだけでなく、真正面からコンテンポラリーや民族ダンスも取り組むことにある。先年パリに出かけた時に、オレリーデュポンが勅使河原の新作を、ほとんどの観客がメチャ拒否反応しているのに堂々と踊りきって、ひとり嬉しくなってブラボーコールをしてしまったのを思い出す。
東京バレエ団のスゴさも同様で、古典だけでなく現代の振付家の作品がもの凄く多い。そこが魅力なのだ。古典と現代もの、コンテンポラリーな要素のあるものも、それらが互いに反応しあい、ダンサーは発見して作用しあうものだからだ。相手役の三枝氏も初見だが、すごく面白かった。



こういうダンスを踊る機会を井脇はひとり占めしない。カンパニーの女性ダンサーに「GROUND」という民族ダンスの要素が強い作品を託した。このカンパニーに客演しているダンサーは実力だけでなく1回きりの舞台にかける気迫がすごいのだろう。それが若いダンサーにもすごくいい化学反応を与えている、見ていて幸せな時間となった。
第3部はカルメンである。D/CARMENは劇中劇の形を取る作品でおそらく新作である。面白かった。日本で一番贅沢な男性コールドバレエのメンバーを揃えて、女性のコールドバレエダンサーの魅力的なこと、この上ない。心と技術が一体化している。菅野、芳賀はもちろんいいけれど、やはり井脇幸江である。オペラのアグネスバルツアが持っていた野性なカルメンを思わせる存在感であった。作品はカルメンだけに焦点を絞らず多面的だった。注目の高岸直樹はダンサー的な部分よりも演技部分の方が強調されていて物足りない。この人のダンサーとしての歴史を考えるともっと高度でギリギリ感のあるものを見たい。井脇と高岸の、もしくは、菅野や芳賀を含めた超絶技をたっぷり見られるシーンがあったら、この作品はもっともっと魅力的だったはずだ。
井脇バレエカンパニーの唯一の欠点は、広告宣伝が十分でないところだ。チケット代もすごく安く、もっと多くの人に見て欲しいなあと思う、その部分だけである。客席は満席になる価値のある公演なのに、空席も散見された。まあ、カンパニーの運営は、今の時代本当に大変。だから、観客の方で頑張って公演を探すしかない。個人的な希望は、東京バレエ団を退団した人たちをもっともっと起用して欲しいということだ。若くして退団して、もう指導者に甘んじている人が多すぎて本当に残念だ。
 東京バレエ団がどうのこうのとは知らないが、組織というものは一般的に理不尽に動く。その中で弾かれる才能も少なくない。弾かれたからといって、踊り手が自らのダンサーとしての命を自分で断つ必要はない。ぜひ、次回は井脇カンパニーに参加して欲しい。
 日本のダンス環境は酷い。例えば、海外から客演は招いても、国内のカンパニー間で客演を招くことはまずない。この井脇カンパニーだけは、カンパニーに現役として属する、退団していたとしても現役の力のあるダンサーを一堂に介すことをしている唯一のカンパニーである。活きのいい日本人ダンサーが同じ舞台で火花を散らすところをみられる数少ない必見の舞台なのだ。

神よ、あなたは本当にいるのですか?

「アマデウス」のサリエリのように思います。




父、団十郎を若くして天に奪われ、そして、今度は愛妻まで恐怖の渕に。ああ、今の歌舞伎界を背負っている、希望の星、海老蔵さん。私は祈るしかできないが、涙が出てたまらないです。あなたの芝居でどれほど楽ませてもらったか。それだけでない。あなたの芝居にかける姿勢は、伝統を重んじながらも常に革新していこうというチャレンジ性に富んでいて、私はこの若き青年の生き方にどれほど…。そのチャレンジも、話題性作りとか、商売っけとか、そんな低級ではありません。たとえば、あなたがルテアトル銀座での興行で挑戦した、歌舞伎でありながら、現代口語演劇の発声や演劇手法を取り入れた時の驚き。それを歌舞伎芝居のなかで見事に昇華させ、いまや、あの歌舞伎座での芝居でも、時々、披露するようになった。私はどれほど驚いたか。大演目に活き活きとした現代演劇の息吹を注入したのは、あなたです。
 大名跡を背負うことに負けていない、越えて行く人物は今もいるんだと。

 それにしても、今でも悔しい。お父さんとの「オセロ」が見られなかったことがどれだけ残念だったか。
 幸いなことに来月の歌舞伎座の入場券を手にしています。しかし、きっと涙なくしては見られないでしょう。

どうか、奥様のご快復を心よりお祈りします。

2016年6月9日

カラヤン、アバド時代の栄光のオーケストラでなくなったBPO

もちろん、音楽関係者は口が裂けても言えないだろう。
だから、私が申し上げる。



ベルリンフィル&サイモンラトルのベートベンチクルス第1夜に行った。
交響曲第1番と3番。
その演奏は、あまりにも、普通でした。
チケット代が42000円(私は37000円のA席)という異常なものなので、それに見合った、演奏も神々しい後世に残る名演を期待しましたが、第一バイオリンはコンマスの音ばかりが飛び出して聞こえてくる。第1交響曲の3楽章ではティンパニの音がずれる、ホルンの音が決まらないといったがっかりポイントが山ほどあり、絶好調のNHK交響楽団や東京交響楽団はもちろん、東京都交響楽団など在京の一流オケではありえないようなことが山ほどありました。

第3番の3楽章くらいから、奏者の集中力も高まりましたが、昨日はいびきも散発、第3番では途中退場者もでるような有り様でした。きっと演奏が退屈したのではなく、疲れていたり予定があって帰られたのでしょうが、少なくとも、予定を変更させる力は演奏にはなかったということです。

 先日もヨーロッパ在住の音楽好きと話しましたが、いまやベルリンフィルはドイツ一のオーケストラではないのです。カラヤンやアバドがいた頃の圧倒的な栄光のオーケストラではないのです。
演奏力なら、ティーレマンのドレスデンシュターツカペレ、バレンボイムのベルリンシュターツカペレに、完全に越されてしまいました。音楽の味わいなら今秋来日する、ブロムシュテットが指揮するバンベルグ交響楽団のベートーヴェンには適わないでしょう。



 私は思い出しました。
 ホロヴィッツが初来日したときに、NHKホールで5万円のピアノリサイタルを開いたということで、テレビのワイドショーまでが駆けつけた。それはもう酷い演奏で、吉田秀和氏の生涯でもっとも有名になった名言「割れた?ひびの入った?骨董品」が出た以外は、専門家(業界関係者)はみな絶賛しました。
 私はひとりがっかりしてました。何しろ期待が大きかった、チケット入手も困難を極めた。何しろ、きっとあれが生涯で1回こっきりの徹夜して手に入れたチケットだったのです。
 それはそれは酷い。音大のピアノ科の中くらいの生徒の演奏の方が圧倒的に上手かったからです。いい悪いの前に技術が壊れていたのです。
 会場の外で、ホロビッツを見たことだけで満足している人が、紅潮の趣で絶賛コメントをしていました。そんな人たちを取材するテレビクルーに苦虫を噛み締めながら眺めていた私に、新聞記者が声をかけてきたので答えました。それが、生まれて初めて新聞(日刊スポーツ)に自分のコメントが載った晩でした。23歳くらいのことだったと思います。自慢じゃないけど、その記事に並んで批判して出たのが坂本龍一氏でした。あとは大絶賛。バカだなあと思いました。


 今回もそれと同じことが起きています。
 ベルリンフィルが酷いといってるのではありません。
 42000円も払って行く公演ではない。かつてのカラヤンやアバドがいた頃の演奏とは格が違う。きっと他のオケが圧倒的に上手くなったと申し上げているのです。

 カラヤンとベルリンフィルとの最後の来日公演はサントリーホールだったのですが、それは聞いていないです。ですから、私にとって、サントリーで聞いたベルリンフィルの名演奏は、今でもアバドが振ったマーラーの交響曲第2番こそが、圧倒的に一番です。ああいうレベルの演奏を聴かせてこそ、42000円の価値があるというものです。



 お願いです。
 42000円出して行く経済力があるのであれば、東京のオケの定期会員になって下さい。バンベルグ交響楽団の演奏会に行って下さい。何で2月のバレンボイムのあの素晴らしいブルックナーチクルスに行かなかったのですか?私は2晩行きましたが空席が山ほどありました。

 ベルリンフィルがクラシック音楽の最強ブランドだった時代は終わったのです
 そして、ベルリンフィルは、ポストラトルに、またもや若手を起用してしまった。10年後は分りませんが、少なくともこれからの数年は、バレンボイムやティーレマンのいるオケがドイツナンバーワンでしょう。ベルリンフィルは楽員たちの民主的な合議制によって運営される非常に自主性の高い団体だということはよく知られています。しかし、今回はカリスマ性の強い専制君主を迎えて、かつての栄光を取り戻すべきでした。そのチャンスも捨ててしまった。


神々でさえ黄昏れたのです。
ベルリンフィルが黄昏れても決して不思議ではありません。
そして、昨夜はその決定的瞬間に立ち会ってしまったと思います。

 私は、ベルリンフィルは東京や横浜ではもちろん、ロンドンやベルリンなどでも聞いてきました。カラヤン、アバド、アーノンクール、バレンボイム、ラトル、小澤、ヤンソンスなどなど。かつては、日常聞いているオーケストラとは、別のものだと思ったものです。ブラボーとも叫びました。しかし、栄光の時代は終わったんだなあと思いました。

多くの人が素晴らしい演奏だったと言うでしょう。
しかし、それは仕事がらみの発言、普段あまり演奏会を聞いていないので比較的できない人の感想、ベルリンフィルの栄光の時代を知らない人の感想だったりします。悪気があるとは思いません。しかし、そう、そういうものです。

 昨晩の観客の多くは、日本社会での経済的成功者です。何しろ2時間の演奏に42000円を払うことができる。そして、子どものころから親しんできたクラシック音楽は、栄光のドイツグラモフォンレーベルのカラヤン&ベルリンフィルの演奏であってもおかしくない。ベルリンフィルは世界一という思い込みと、夫婦で8万4000円のチケットを買える自分の成功へのプライドをくすぐれる、そんな素晴らしいイベントだったのかもしれません。


 私はそんなことには興味はありません。いい演奏に出会いたいだけです。いい演奏なら、どこの団体でもかまいません。ベルリンフィルは、カラヤン、アバドと生演奏で聞いてきて、ラトルになって、ベルリンフィルは黄昏たということです。これからもベルリンフィルの演奏は聴きたいとは思いますが、私は馬鹿ではありませんので、4万2000円も払って聞くようなおろかな行為はいたしません。それなら、他の公演に行く。もしくは、日本のオケに寄付します。

もう、いいかげん。多くの人に気づいて頂きたいです。

 日本のオケは素晴らしくなった。音楽を愛するのなら、少なくとも自分の感性でどの団体が素晴らしいのか、真摯な演奏しているのか少しは探ってみる努力をするべきです。かつてのブランド名や、チケット代の高さでその価値を計るのはやめましょう。それが、音楽を愛するものができる、真摯に演奏してくれる演奏家に対してできる、誠実でまともな行為だと思うのです。




2015年1月
7日 ダイアナロス・ライブ@日本武道館
9日 文学座「リア王」@文学座アトリエ
17日 ノセダ+N響@NHKホール
22日 ノセダ+N響@サントリーホール
28日 ファドライブ@カフェ・クルーゼ リスボン


2月
7日 東京バレエ団「眠れる森の美女」@文化会館
7日 ヤルヴィ+N響@NHKホール
   エルガーチェロ協奏曲 巨人
18日 ヤルヴィ+N響@サントリーホール
   ドンファン 英雄の生涯

3月
4日 サロネン+フィルハーモニア管@サントリーホール
   ブラームスV協奏曲 シベリウス5
6日 サロネン+フィルハーモニア管@サントリーホール
   チャイコフスキーP協奏曲 火の鳥
8日 インバル+都響@東京芸術劇場コンサートホール
   シューマンプロ
12日 東京バレエ団「ジゼル」@ゆうぽうとホール 
   ザハロワ ボッレ
13日 文学座「女の一生」@三越劇場←行けず
14日 東京バレエ団「ジゼル」@ゆうぽうとホール
   渡辺 柄本 
14日 ノット+東京交響楽団@サントリーホール
   パルシファル 抜粋版
18日 ヤノフスキ+ベルリン放送響@サントリーホール
   シベリウスV協奏曲 ブラームス1
4月
11日 N響+ヴァイグレ@NHKホール 田園 ワーグナープロ
12日 新日本フィル+メッツマッハー@サントリー
    シェーンベルグ「5つの管弦楽局」シンフォニエッタ オケコン
17日 新日本フィル+メッツマッハー@すみだトリフォニー
    ヴァーレーズ作曲 アメリカ、アルカナ ティルオイル 死と変容
18日 N響+フェドセーエフ@NHKホール シエラザード ラフマニノフP協奏曲2
27日 バーミンガムロイヤルバレエ団「白鳥の湖」@東京文化会館 
      平田 マシューゴールディング
29日 都響+オードラン@東京芸術劇場 北欧プロ ペールギュントなど

5月
3日 バーミンガムロイヤルバレエ団「シンデレラ」@東京文化会館
      エリシャ・ウィルス イアンマッケイ
9日 N響+ユッカ・サラステ@NHKホール
     シベリウス「クオレマ」から3曲 バルトークV協 シベリウス2
14日 東京交響楽団+スダーン@サントリーホール
     モーツアルト31番交響曲 フランクニ短調交響曲 ほか
16日 トロピカーナキャバレーショー@ハバナ キューバ
31日 佐藤信 構成/演出 渡辺美佐子主演「リア」@座高円寺1

6月
4日 日本のポピュラー音楽の歩み@大手町読売ホール 
   出演 雪村いづみ / 水谷八重子 / 伊東ゆかり / 前田美波里 / ジュディ・オング / 姿月あさと
   演奏 宮間利之とニューハード
6日 東京+ノット@サントリー ブルックナー7
7日 N響+ドゥネーブ@NHKホール 道化師の朝の歌 スペイン交響曲 ルーセル3 ボレロ
8日 動物電気「ふっくら!人間関係」@駅前劇場
11日 東京バレエ団「ラ・バヤデール」東京文化会館 
12日 N響+ボーガ+パボラーク モーツアルト・シュトラウス ホルン協奏曲
     モーツアルト交響曲1番 ラフマニノフ交響的舞曲
13日 新国立劇場バレエ「白鳥の湖」@オペラパレス
23日 文学座「明治の柩」@あうるすぽっと 演出;高瀬久男 出演;坂口芳貞
30日 来日ミュージカル「ジャージーボーイズ」@東急シアターオーブ

7月
1日 ラッパ屋「ポンコツ大学探検部」@紀伊国屋ホール
8日 ドレスデンフィル/M・ザンデルリンク 田園・運命
   @ 東京文化
11日 ハーディング+新日本フィル マーラー2@トリフォニー
13日 立川流 上野広小路亭 談四楼「一文笛」 談慶「明烏」ほか
14日 椿組「幕末太陽伝」@新宿花園神社野外ステージ
16日 東京交響楽団/ジョナサンノット@サントリー
   ピアノ/ラーンキ バルトークピアノ協1 運命
23日 歌舞伎座 夜の部 怪談 牡丹灯籠
31日 歌劇「ドンジョバンニ」@アリーナディベローナ イタリア

8月
2日 歌劇「セヴィリアの理髪師」@ミラノスカラ座 イタリア
11日 納涼歌舞伎第3部@歌舞伎座 祇園恋尽くし 芋掘長者
29日 横浜ベイサイドバレエ 東京バレエ団 @象の鼻パーク
30日 井脇バレエカンパニー「ドンキホーテ」@ゆうぽうと

9月
11日 広上淳一/NHK交響楽団 ドボルザーク8番
    ラフマニノフピアノ協奏曲2番@NHKホール
12日 ジョナサンノット/東京交響楽団 藤村美穂子 
    @サントリーホール マーラー3
15日 ナイロン100℃「グッドバイ」@世田谷パブリックシアター
16日 ブロムシュテット/NHK交響楽団 @ サントリーホール 
    ベートーベン交響曲1番&3番
17日 ロイヤルオペラ来日公演「ドンジョバンニ」@NHKホール
19日 東京都交響楽団/クリスチャンマチュラル @ サントリーホール     
    ショーソン「詩曲」序奏とロンドカプリチオーソ 悲愴
21日 ロイヤルオペラ来日公演「マクベス」@東京文化会館
30日 ハイティンク/ロンドン交響楽団@ミューザ川崎ホール
    ブルックナー7番 モーツアルト、ピアノ協奏曲24番(ペライア)


10月3日 パーヴォヤルヴィ/NHK交響楽団 マーラー2
      @NHKホール
   8日 パーヴォヤルヴィ/NHK交響楽団
      牧神・ラベルP協・幻想交響曲 @NHKホール
  14日 ラインの黄金@新国立劇場
  15日 パーヴォヤルヴィ/NHK交響楽団
      リヒャルトシュトラウスプログラム@サントリーホール
  17日 ウルパンスキ/東京交響楽団@サントリーホール 
      悲劇的序曲 モツV協5 火の鳥
  18日 ラザレフ/日本フィル@サントリーホール
      大学祝典序曲 リストピアノ協1 ボロディン交響曲2番
      ピアノ 小川典子
  20日 チョンミンフン/東京フィル@サントリーホール
      ヴェルディ「椿姫」抜粋・マーラー「巨人」
  23日 ヤルヴィ/NHK交響楽団 みどり@NHKホール
      ショスタコV協1 管弦楽のための協奏曲
31日 マリンスキーオペラ 「戦争と平和」プロコフィエフ作曲
      ゲルギエフ指揮 @マリンスキー劇場 サンクトペテルブルグ

11月
   4日 ピエロフラーヴェク指揮/チェコフィル@NHKホール
     わが祖国
   8日 ハーディング指揮/新日本フィル@サントリー
     ブルックナー7
  18日 シュットガルドバレエ団来日公演
      「ガラ公演〜シュットガルドの奇跡」@東京文化会館
  19日 フランクフルト放送響 チャイコピ協 ブラームス1@芸術劇場
  20日 ウラディミールフェドセーエフ指揮 NHK交響楽団 ショパンピ協1 
      「ガイーヌ」組曲 序曲「1812年」ほか@NHKホール
  22日 ジョナサンノット指揮/東京交響楽団@サントリー
      ブルレスケ ショスタコ15番 エマニュエルアックス
  26日 マリナー&ゲルハルトオピッツ+N響@サントリーホール
      モーツアルトピ協24 ブラームス4
  28日 マリンスキーバレエ「愛の伝説」@東京文化会館
  29日 オッコカム指揮フィンランドラハティ交響楽団@東京オペラシティ
      シベリウス交響曲 5・6・7番

12月
   2日 マリインスキーバレエ「ロミオとジュリエット」@東京文化会館
   6日 シャルルデュトワ指揮 NHK交響楽団 「サロメ」@NHKホール
   12日 ファビオルイージ指揮 ローマ聖チェチェーリア管弦楽団
      モーピ協21 ブルックナー4 ラドゥルプー @音楽堂(ローマ)
   17日 シャルルデュトワ指揮 NHK交響楽団 中国の不思議な役人 
           オルガン付 @サントリーホール
   22日 パーヴォヤルヴィ指揮 NHK交響楽団 ベートーヴェン第9交響曲 @NHKホール   23日 エリアフインバル指揮 東京都交響楽団 第9@東京芸術劇場

井脇の見事なキトリと菅野の底抜けに明るいバジル
若手の台頭著しい東京バレエ団で木村和夫の楷書なバジル



 二日続けてバレエを見た。1本目は東京バレエ団の横浜ベイサイドバレエ。象の鼻パークという横浜の山下公園のそばというよりも大桟橋埠頭のそばにある公演に特設ステージを作っての野外バレエ。ちょうど1ヶ月ほど前にイタリアのベローナで、野外オペラを始めてみたのだけれど、今度はバレエだ。チケットを買った時には8月だから暑くてたまらんだろうなあと思っていたら、涼しくて助かった。夕刻から始まるので最初の演目「タムタム」などは暮れ行く横浜を行き交う客船などの姿もあって楽しい。
 タムタムはアフリカのリズムに合わせて踊るものだから、祭典の始まりの演目としても素晴らしい。バレエというよりもダンスに近いのだが、東京バレエ団はパリオペラ座バレエ団と並んで、いろんなタイプの踊りをレパートリーに入れているカンパニーなのでお手のものである。岸本秀雄という若いダンサーがソロを踊るのだが、白い衣装を身にまとっているのだが、薄暗い中で手足が長くて日本人離れしているなあと思った次第。この東京バレエ団も1980年代の半ばから見ているのだが、昔はホントに体躯に関してはデコボコだったから。
 群舞が大切なのだが、ここでやはり吉田蓮のことを言わずにはいられない。この人は数年前の子どものためのバレエで「眠り」の猫の役柄をやって出て来て、それがね、もう楽しそうで楽しそうで、相手の女の子を完全に引張っていて、すごいなあと思った次第。群舞でも悪目立ちしているわけでもないのに、すっと目に入って来てしまう吉田蓮であります。「タムタム」面白かった。



 次は明るいスペインのバルセロナの朝である。ドンキホーテの一幕からキトリとバジルを中心に明るい恋の駆け引きに、笑いを誘うサンチョパンサが加わって最高に楽しい作品である。1年前に東京バレエ団でも観たのだが、こうして野外で見ても楽しい。上野水香がキトリ、そして、もう半ば引退した重鎮の木村和夫がバジルである。
 バレエの技術のことは何も分らないが、上野のキトリは踊ることの楽しさがこちらにも伝わってくる。上野キトリを活き活きと踊る姿は見ていて嬉しくなる。木村バジルは楷書のよう。ひとつひとつの動き、トメを丁寧に愛おしく思って踊っているようだ。そして、このカンパニーの今や最長老の現役先輩がメインの舞台を共にするのを、後輩達がすごく喜んで踊っているのも手に取るように分る。そして、最近思うのだけれど、今回も奈良春夏の品のいい踊りは何回見てもいいなと思う。品がいいのだ。エスパーダの森川は堂に入って立派。氷室はサンチョパンサも、がマーシュも見事に踊れるだろうから、次はガマーシュも見てみたい。そして、今宵のガマーシュは岡崎。今の日本の若いダンサーはこうした個性的なダンスも見事にできるようになったんだなあ。でも、まだ岡崎は若いのだから超絶技巧も見せて欲しい。「ドンキ」1幕より 楽しかった



ボレロは今宵がメロディデビューの柄本弾。この人は、普通のノーブルな役柄よりもこういう偶像系の役柄の方が向いている。もしくはちょっとクセのある役。どうも、東京バレエ団の女性と踊るとサイズが合わないと感じる事も多い。渡辺や上野とは役柄によってはいいんだけど。普通のバレエでいいなあと思ったのはロミオ。ロミオって狂気だからね。そして、去年のエスパーダ。気持ちよく踊っていた。今年のソロルは他の予定で見られなかったから。上野水香がベジャールから古典まで何を踊っても見事だけれど。で、感想。今日のはちょっと守りのメロディだったように思う。もうこのボレロをいろんな人で見て来たけれど、東京バレエ団の男だったら後藤の狂い方が良かったな。
 強烈なカリスマが世の中を革命して行く、ジョルジュドンを上回ったと言われるようになるか!要はもっと狂気というか、陶酔感というかね。クールすぎた。ま、これから何十ステージも10年以上踊るのだろうから、弾メロディが成長して行くのも楽しみである。

翌日観たのが、井脇バレエカンパニー Iwaki Ballet Comnpany(初見)の「ドン・キホーテ」。1ステージしかやらないのが勿体ないくらい高い水準のもので驚いた。
 申し訳ないけれど、通常はこの手の公演は、バレエ教室の発表会的な要素が強いものも少なくなく、客席も関係者だけで埋め尽くされる。今回、東京バレエ団で数々の名舞台を踊った井脇がキトリを踊るというので、そして、井脇のキトリは見た事が無かったので出かけた。
 バジルは新国立劇場バレエ団の菅野英男だったが、今日の菅野は、僕が初台で舞台で見ていた菅野と違う。初台では、何か守りのバレエというか、国立の劇場らしい重々しさ、それは、歌舞伎座と国立劇場の公演にも言える事なんだけれど、を感じてしまう。もちろん個々のダンサーが打破してくれたりすることもあるのだけれど、全体を覆う「安全パイ」な雰囲気は否定できない。今日の菅野バジルは若々しく、自由で踊る喜びに溢れていた。終幕でのマネージュ、ピルエットアラスゴンド。びしっと決まる。俺はもっと先にいけるぜ!みたいに踊ってくれるので見ていて、迫力あるし緊張感あるし面白い。挑戦するのを楽しんでいるのだ。一流のダンサーが自分の肉体と自問自答している感じ。
 キトリも舞台を知り尽くしたベテラン井脇ならではの、見事なもので、若いというよりも、熟したスペイン女の恋の駆け引きを見事に演じていて、それはそれで面白い。技術的に衰えたかな?と思って意地悪く見るのだが、先のシーンだけいっても、グランフェテ、アントゥールナン
 最後に軸がちょいとずれるかなと思ったら踏みとどまって、ほっとして、嬉しくなった。こんなギリギリまで挑戦して踊っているのだ。それは、客席に伝わらないわけはない。ピケも、ブラボーなのです。
 主役だけでなく、吉田和人、小笠原亮という東京バレエ団出身者が、ガマーシュとパンサ。吉田ってこういう役もこんなに見事に演じるのだと思って驚いた。小笠原亮は元々技術も演技力も凄いのだから当たり前だけど。他にも宮本祐宣など、東京バレエ団出身者が何人も出ていた。今日の男性陣はとにかく水準が高かった。群舞がビシビシ決まるのが心地よい。会わせることに気を使うというよりも、ギリギリ感を持って踊っている。踊り自体も合ってはいるのだけれど、それ以上にギリギリ感を攻めてる気持ちがひとつなんです。俺はもっと踊りたいんだ!踊れるし!踊るから!その気持ちがひとつ。
 一流のダンサーでもカンパニーを去るととたんに踊る機会が減る日本の舞台事情。今日は、水を得た魚のように、この舞台で全力を出し切る一流のダンサー達だ。
 それは、このカンパニーの他のコールドの人達にも十分伝わっていい化学変化を生んだ。
 1幕のバルセロナシーン。街の人がほとんど女性でアレレ!となってはいるがそれはご愛嬌。みんな舞台に立つ喜びを全身で表現してくれていて、何かね、いいんですよ。夢の場でのコールドも緊張感があって綺麗だったなあ。他の水準が高いからね、ここで私だけが落ちるわけにはいかないってことなんでしょうか?分らないけれど、ひとりひとりが美しいお嬢様たちでした。
 他のソリスト、江本のエスパーダ、工藤加奈子の踊り子も見事。亀田の森の女王も美しい。ということで、きっとまだバレエを勉強中という方も混ざっている公演だったはずなのに、昨晩の東京バレエ団の第1幕と遜色ない出来で驚いた。
 強いて言うと、メイン以外の衣装は東京バレエ団の方が良かったが、舞台美術も照明も美しく楽しんだのでありました。
 会場には高岸直樹が来ていた。来年当たり、出演かな?

しかし、井脇さん。こうやって自ら公演をする苦労は想像を絶する。俺も前に小劇場の舞台やったからね10回も。しかし、こうやって、もう見られないかもしれないと思っていたダンサーのすごさも分る素晴らしい舞台を作ってくれて感謝したい。
 希望としては、小笠原亮にもっと技術的に難しいダンスの見せ場のあるものを見たい。そして、高橋竜太にも踊ってもらいたいと思った。東京バレエ団をやめた女性達も招いてあげて欲しいと思った、まあ、女性で踊りたい人は山ほどいて、上手い男性は比べると多くないだろうからこうなるのは分るのだけれど。 

 東京バレエ団 横浜ベイサイドバレエ 2015年8月29日 横浜象の鼻パーク特設ステージ
 井脇バレエカンパニー「ドン・キホーテ」 2015年8月30日 五反田ゆうぽうとホール

極みまで削ぎ落とし悲劇としての作品の本質に肉迫した舞台は、日本の表現手法を駆使したもの。83才の渡辺美佐子は「化粧」と並ぶ代表作を生み出した。

 最初に申し上げておきたいのは、よく芝居を作る人たちの中に、今回の芝居のテーマはなんていう人や質問したりする人がいて、まるで、それを伝えることが芝居の目的の様に思ってる人がいるが、私に言わせればお笑いぐさだ。言いたい事があったら、直接言えばいい。回りくどい方法でテーマを伝えるなんてバカバカしい。特に戦争反対とか、親子愛とか、もちろん、英霊に感謝なんてテーマの芝居もアレレなのである。
 例えば、ソビエト時代のショスタコーヴィチは、当局からソビエト共産党のプロパガンダ的テーマで作曲を強制されてあたかもそれに乗っかったような作品も書いた、と言われるが、本質は多面的、多層的で、表面上のそんな仕草は浅薄な感性と知性しか持ち合わせない人の為のもので、もう少しきちんと作品に当たる人間は、何とシニカルな〜!くらいにしか思わないものである。
 芸術なんて高邁なことを言わなくても、すべての作品は、造り手と受け手の協業によって成立するものだ。受け手によって作品は万華鏡のように変化する。それでいいのだ。
 芝居にテーマなんか必要ない。いいたい主張もいらない。ストーリーなんかもっと要らない。ただ、そこに表現があり、嘘でない人間ドラマが創出していればいいのだ。あとは受け手の問題である。…ちょっと言い過ぎたかな。
 
 さて、言わずとしれたシェイクスピア悲劇の代表作である。
 今年の始めに大病から復活した江守徹の「リア王」を観た。よほど不安だったのだろう。上演をキャンセルしても大けがにならない文学座の稽古場での上演。耳にはイヤホンが入っていて、プロンプ万全体制での上演。何だよ!ではない。これが良かったのだ。江守徹そのものが狂気の王とだぶったからだ。ずるいのだが演劇は利用できるものは何でも利用していい。

 私のリア王観劇歴は幾つかあるが、書いておかなくてはならないのはロイヤルシェイクスピアカンパニーの役者と真田広之、蜷川幸雄演出での「リア王」だ。ナイジェルホーソンというリア王を演じる為に生れてきたような老俳優を使っての上演。こういう体制を作って上演すると、もう誰も批判できない。誉め称える新聞評で埋め尽くされた。僕はそんなにスゴいのだろうか?と思ったけれど。さらに、リア王は、例えば黒澤明が「乱」という映画に、ハーウッド作「ドレッサー」などスピンオフな名作も山ほどある。
 その演劇の権威の極みのような作品を佐藤信は切り刻んだ。上演すると3時間ほどかかる作品を1時間15分にした。作品を解体し再構成したのだ。浮き上がってきたのは作品の本質だった。もう見尽くしたと思っていた作品の本質がやっと見えてきたのだ。

 世界中で上演される「リア王」はシンデレラのように上演される。親不孝な2人の娘の老人いじめ。唯一親を大切にする三女は死に、老人も狂って死んで行く。おお、何と悲劇なのか!そう多くの人が思う。「歳は取りたくないものね」。そんな作品なんだろうか?それじゃホームドラマだ。渡る世間…になってしまう。そういう私も、老いることとか、人は欲得で生きてるもんだから、親娘だからといって、全部領地を渡しちゃなあ〜、ああやられるよ、みたいな、ホームドラマの感覚でこの悲劇をみてしまう。っていた。
 ところが、佐藤信は台詞以外もミニマムにした。登場人物の造形も徹底的に削ぎ落としたのだ。道化も娘達もまるで能か狂言の登場人物のごとく。色がついていない。こうして、私はこのリア王の物語を始めて先入観を捨てフラットな立場で見られたのだ。
 そうしてみると、娘達の主張もそれなりに筋が通っているし、リア王の身勝手さも見えてくるし。何だろう。登場人物との距離感が均等になった。何より、私には、リア王こそが道化よりも、道化に見えてしまったのだ。
 老いてなおも人間の本質をつかんでいない。自分中心にものごとを見ることしかできない。そして、敢えてヘンテコな意地を貫く為に墜ちていってしまう。そんなことよりも、もっと大切なものはあるはずだったし、だいたい廻りの人まで巻込んでしまった。それなのに、自分のことばかりを嘆く。娘のことを嘆いている様で自分は何て不幸なんだという視点でしか生きられない、悲劇を見いだした。
 ホームドラマ的な視点から、リア王の悲劇が初めて見えたのだ。悲劇は廻りの人たちによってもたらされたのではなく、リア王自身によって引き起こされかき回され収束して行ったのだ。そして、最後までそれに気がつかない、悲劇。
 舞台は削ぎ落とされているからこそひとつひとつが浮き彫りにされる。
会場に入ると黒である。わざわざ光が差し込んでいるがごとくの、揺らぎの映像。最後まで使われない椅子が向こう側においてあったりする。そこに、観客がいるような空気が出てくる。黒い島のような舞台があり、そこにも椅子がある。玉座のようであるが、向こう側の椅子と同じなので観客のようでもある。物語をぐるりと囲んで見ているような錯覚がある。
 物語が始まると、向こう側には椅子が次々と落ちてくる。死がつきまとう芝居なので三途の川の石のようでもあり、バリケードのようでもある。照明は決して押し付けるような強さを持たずに極めて慎重に色合いを変えて行く。これらの美術、照明、映像が見事なのである。
 渡辺美佐子の演技は、いや渡辺は復活したと言いたいくらいに強烈である。台詞はフラットで、そこに意味合いのある感情を上塗りしたりしない。そのまま、台詞を届けることしか彼女はしない。彼女の代表作の化粧を20代のころ。もう30年以上前に見て、芝居ってすごいなあと思った。それ以来、渡辺の舞台はいろいろと見たけれど、化粧を上回るもの、化粧に肉迫できるものはひとつもなかった。今回のものはスゴい。渡辺は俳優人生の後半、83才ににして、やっと次の代表作に出会ったのだ。
 今回はキャスティングも見事だった。女性の渡辺にリアの役。おどけることとは無縁の普通の常識人のような田中壮太郎に道化。男の植本潤(この人は、花組芝居を代表する女形である。普通の男が女を演じる人である。女の役柄なのにスキンヘッドというのもいい)。つまり、老王とも、娘達とも、道化とも、元々は無縁の名うての俳優たちに、演じさせたのである。面白い。だからこそ、私は等距離で、ヘンテコな役に対するイメージを削ぎ落として、見ることができたのである。
 暴風雨はリアの心の中でのそれの方が、荒野の嵐よりも圧倒的だったはずだ。だから、そんなものはこの舞台にはない。
 もう一度申し上げるが、芝居は万華鏡というかプリズムのようなもので、受け手によって、その感想はそれぞれでいいと思う。劇評を仕事にする人たちは勝手に評価して、いいとか悪いとかすればいいが、観客はそんなものは要らない。私の隣のオバさんは、5月にしては暑い中劇場に来たからか。心地よい空調の中で眠っていた。ほとんど見ていないが、渡辺さんは元気でスゴいわねえと言っていた。それも、また事実であり、そういう観劇があってもいいと思うのだ。
 
 切り刻まれたシェイクスピアは、何と言ってるだろうか、ニヤッとして、なるほど、これもありだなあ。ワシの書いた作品はスゴいなあと自画自賛しているのではないか。この能やら歌舞伎やらさまざまな日本演劇のエッセンスがあるからこそできる、シェイクスピア劇であるけれども現代日本演劇の、日本的表現を駆使した作品。
 あのね、野田さんも蜷川さんも三谷幸喜もいいけれど、こういう作品こそ税金を使って、ロンドンとパリとベルリンとモスクワの人に見せてもらいたいと思う。それが国策ってもんでしょ。
 欧州の教養のある人たちは思うはずだ。日本の文化は奥深い。今度歌舞伎や能をみてみようか、盆栽も生け花も日本庭園も知りたい、着物を生活に根ざした美術作品なのではないか、日本食は哲学である、となるはずなのだ。
 佐藤信の「リア」はヨーロッパの文化の中心部と融合した、極めて日本的な作品なのだから。文化庁さん、国際交流基金さん、お金を出すべきなのはこれです。

2015年5月31日 座高円寺1


補足;舞台は1時間20分弱で3部構成になっている。2幕だけ渡辺は舞台に出ていない。渡辺の小休憩の意味合いもあるのだろうと思う。そこでは、2人の男優が劇中劇なのか、芝居はしているが、テンションをリセットするための心の休憩なのか、リアと関係あるけれども、役柄から抜け出して、ほとんど俳優というよりも素の人間に近いところで演じる時間がある。自由で軽くていいと思う人もいるかと思うけれど、私はあまり好きでない。ちょっとやり過ぎな感じがする。あれなら、10分間の休憩の方がいいのではないかと思うくらい。まあ、好き嫌いなので。
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
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自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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