佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 劇団新派 金色夜叉 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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劇団新派「金色夜叉」@三越劇場 鑑賞。三越劇場というアールヌーボーの美しい日本では数少ない劇場には、僕が生まれる前の昭和の空気が残っていて、劇場としてはいろいろと問題もあるのかもしれないが、東京でも独特の劇場だ。そこに劇団新派が立つとそこに時代が立ち上がる。流れる空気が平成の忙しいものから、もう小津安二郎監督映画や溝口健二の映画でしか観られない、影の中にしか残っていない空気が立ち上がる。亡くなった森光子、山田五十鈴、田中絹代、京マチコ、そして杉村春子といった僕にとっての本物の女優が逝ったいま、日本でこの空気を作り出せるカンパニーはもう劇団新派でしかない。それは、水谷八重子や波乃久里子といった看板女優だけでなく、今回も大活躍した田口守や高橋よしこ、伊東みどり(今回は出演していない)といった脇役にもいえる。さらに、劇団新派には希望がある。瀬戸摩純や井上恭太(今回は出演していない)といった俳優にもその精神は引き継がれているからだ。新派が、日本の和物の殿堂であることは前から言ってるけれども、今回は、この若い男女の華際を演じるには若干年齢が高いキャスティングにも関わらず、見事に演じたのを見て思ったのは、何回も生の舞台を拝見した杉村春子の「女の一生」やブランチを彼女が70歳を遥か越えて演じていたのにだぶる。何しろ波乃久里子が、まだ成熟しきっていない女を見事に演じるのだ。そして、過去を後悔する自分と、人生の過ちを受け入れられない思いを見事に演じきる。若さってこうだよなあと思いつつ観た。
 そして、水谷八重子が面白い。とことん楽しい。女の性を根っこに芝居で笑わせるから、笑いの奥が深い。「東京物語」「華岡青洲の妻」「お嬢さんに乾杯」でも思ったけれど、こういう役柄をやると僕は山田五十鈴を思い出して仕方が無い。水谷さん「たぬき」とかやらないのかなあ。3時間と、ちと上演時間が長いのが唯一の欠点だが、まあそれは細かい部分。退屈な時間はなかったのだから。ただ、相変わらず客席がお年寄りばかりで、僕がもっとも若い年齢の観客層というのは平日の午後としてもちょっと哀しい。何とかもっと若い人見てもらえないか。せめて、若く日本人として芝居のプロを志す俳優のタマゴさんたちには見てもらえないかと思う。この観劇経験が将来のどれだけの財産になるのか分かっていないのか。水谷八重子、波乃久里子のような空気感をもった女優って他に誰がいるだろうと思ったら、あともう1人思い出した。それは、自分の小さなカンパニーの芝居にでてもらったことがある、それは、奇跡のような出会いからだったからなのだけれど、文学座の新橋耐子さんくらいだなと思う。
2013年6月12日@三越劇場
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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