佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 東京バレエ団「M」 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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東京バレエ団
モーリスベジャール振付

 老いを感じたダンサー達
 


 東京バレエ団の代表作でもあるこの作品を、1993年の初演、2005年の再再演と見て来た。そして、今回も見たのだ。三島の分身を踊る1〜4の4に今回、小林十市さんがキャスティングされたのが話題。モーリスベジャールバレエ団の団員として活躍されたものの、故障で引退。ダンサーとして舞台に立つのは7年半という。その間に、俳優として舞台経験を積んだ。それが、舞台にものすごくプラスの効果を生んだのではないか。ちょっとした視線や表情、身体の使い方で、三島の世界が伝わって来る。初演をどう踊ったのかは覚えていないが、他の3人のようにもっと純粋にダンスだったと思う。
 今回は前から3列目のど真ん中というちょっと贅沢な席でみた。というのも、この演目の鑑賞の総仕上げになると思ったからだ。ベジャールが三島のどこに共鳴したのか、また、作品作りとしてどう工夫したのかといったことが今回は手に取るように分かった。次々と出て来る美島作品のモチーフも今回が一番良く分かったし、聖セバスチャンが、三島のナルシズム的なものの象徴として出て来て、三島の分身がそれを見るところなど、うんうんと思いつつ見たのだ。長瀬さんという若いダンサーが踊ったのだが、これが効果的で、面白かった。それ以外のコーラスのダンサーも若いのだ。それに対して、1〜4のダンサーは初演から17年経っている。それだけ年を取った。きっと40才前後になったダンサーもいるはずで、三島が恰幅自殺したころの年齢に相当近づいたわけで、三島が自分の書いた作品から飛び出て、それらを見ている感じになり、もはや自分にはない若さといったものを見ている姿も面白いのだ。息を切らしている姿も何か効果的で。
 女性ダンサーはますます身体の奇麗な人が増えて、東京バレエ団やるなあという感じ。吉岡、小出などもう貫禄も充分で、それは女であったり、母性的なものに変身したりこれまた効果的。ふむふむと思った。
 初演のころは、1から4まで若すぎて、こういう効果はなかった。肉体を酷使して踊っている感じも今と比べるとなくて、酷使して大変だ〜という今回の方が断然良かった。そう、ビスコンティの「ベニスに死す」の匂いが出ていたのだ。あのダーグボガードのやった男の役を若い男がやったら面白くない、話が成立しないのと同じ。モーリスベジャールが今回の公演をみていたら、とても喜んだのではないか。 2010年12月18日 東京文化会館大ホール 1階3列目
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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