佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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NHK交響楽団から定期会員に手紙が届いた。
2020年ー22年のNHKホールの長期改修工事の期間中の会場についてのお知らせだ。

20−21年のシーズンはAプロは2月まで6プログラム、12公演をNHKホールでそのまま行う。そして、4月からサントリーホールで3プログラム6公演を特別公演として行うという。
Cプロはシーズンの最初、9月から池袋に移動する。9プログラム18公演を池袋の東京芸術劇場で今まで通り、金曜夜と土曜昼に行うという。
翌年の2021ー22年のシーズンは、A・Cプロとも全ての公演を池袋に移動する、サントリーのB定期はそのまま。
そういうことになった。





 東京在住の私にとって、一番怖れていたのは定期演奏会の横浜化である。遠い。遠すぎる。もう一つは東京文化会館の利用である。あそこはパフォーミングアーツを観る劇場だと思ってる。20代前半まではあそこでよくオーケストラの演奏会を聴いたが、なんか時代が30年以上も逆戻りだ。渋谷で地の利のいいオーチャードホールでもいいのだが、すでにオーチャード定期があるから無理だろうしな。そんな風に色々と思ってたのだ。
繰り返しになるが、NHKホールの改修の発表があった時からN響のAC定期演奏会の会場は可能性として、サントリーホール、すみだトリフォニーホール、東京芸術劇場、もしかしたら、東京文化会館や、オーチャード、思い切っての横浜移動(川崎含む)ということ以外には考えられないと思ってた。本当に横浜や川崎もあるかもと思っていた。何しろ、サントリーホール改修中にB定期の代替定期を音響的に大評判の、そして確かに音のいいミューズ川崎で3公演したこともあるから、横浜・川崎化もゼロではないと思って恐れてた。だから、池袋駅から歩いて3分程度の東京芸術劇場コンサートホールに落ち着いたことでほっとしている。あそこはいいコンサートホールだからだ、
 きっとNHK交響楽団事務局は全ての定期演奏会のサントリーホール化をまずは希望した、狙ったとは思う。しかし、あのホールは人気が高すぎる。日本フィル、東フィル、東京交響楽団、読売交響楽団、都響がすでに定期公演をしている。外来オケの公演も多い。すでに稼働率が高く空きがないのだ。週末の金土日に毎月4公演を抑えられるわけがない。そして、サントリーホールからもぎ取ることはやはりできなかったのだ。ただ、Aプロが2020−21シーズンは2月までで終わることで開催される、サントリーホールでの特別公演。3プログラム6公演。きっと平日なのだろう。N響はそれまで週末に聞いていた観客のうち、どのくらいの人数が平日の公演にくるか、来てくれるか、気になって仕方ないだろう。
 結果として駅からも近く、ターミナル駅である池袋芸術劇場に落ち着いた。これは最善の選択である。そして、今までサントリーホールも、NHKホールも遠いと思っていた、池袋ターミナルの観客、埼玉県の人など、新たな聴衆、定期会員を獲得することができるかもしれない可能性も秘めているのだ。
 そして、多くのN響ファン、定期会員がこうも思っているはずなのだ。池袋の芸術劇場のコンサートホールならその音響は今のNHKホールより抜群に良くなるな。そして、駅からも近いのは嬉しいな。
 しかし、渋谷から池袋に移ることで決定的な大きな違いがある。それは座席数の違いだ。これは、チケットの問題に直結する。


「間違いなく起こることは、全てのN響定期公演チケットの争奪戦、入手困難化が始まる」

 さて、池袋に移動する定期演奏会でどんなことが起こるだろう。一番気になるのは、会場のキャパなのである。NHKホールは1階席1090、2階席1335、3階席1175の3600席もある。東京芸術劇場は1階676、2階683、3階640の1990席なのである。つまり、NHKホールの座席より45%も座席数が減るのである。


NHKホール座席表(座席数3600)

東京芸術劇場座席表(座席数1990)

 
 現在のN響定期でNHKホールが満席になることは少ないが、N響のチケットで通常販売される当日券というのは300枚程度と発表されることが多い。もちろん、そういう発表があったとしても3600席のうち3300枚が売れたということはないだろう。N響は留学生の招待など無料で出している席も多数あるからだ。しかし、今のNHKホールを使う、Aプロ、Cプロで、当日の空席率が45%以上ということもほとんどない。つまり、今の観客数が池袋に移動すると芸術劇場コンサートホールの座席はほぼ埋まる。いや、少し足りないかもしれないということなのだ。
 もちろん、渋谷のNHKホールから池袋に移るのなら、その間はお休みしようという人も少なからず出るはずである。しかし、逆に池袋に来てくれるのなら聞きに行こうという埼玉県や池袋ターミナルの聴衆もいるはずなのである。
 少なくとも間違いなく言えることは、N響定期のチケットは手に入りにくくなるということだ。今まではお気楽に聞けていた。世界でもこんなにお気楽に聞ける一流オケは他にないと言ってもいいくらいだ。その代表例がAプロとCプロのたった1500円(この10月から1600円)で聞けた自由席だ。これは池袋では無くなるはずだ。客席数2006のサントリーホールでのB定期に自由席がないのと同じである。他にもいろんなことが起こるだろう。

 まずは会員の中には、渋谷界隈にこだわる人が少なからずいるはずだ。渋谷あたりでN響を聞きたいという人だ。世田谷や大田区の人、特に横浜など神奈川方面の人などは池袋には行きたくない、遠くて行けない人もいるだろう。その人たちの選択肢として考えられるのが、それなら、サントリーホールのBプロで聞こうという人が出てくることだ。つまり、A・C定期会員からサントリーホールB定期への移動である。サントリーホールの年間定期会員券は、この数年はS席A席でまだ若干数の余裕がある。2日で200席くらいはあるのではないか。それが、きっと、このAC会員からサントリーBへの移動でほぼ無くなってしまうだろう。
 つまり、起こりうるひとつは、サントリーホール定期の1回券はほぼ買えなくなるということだ。プレミア化である。
 二つ目は渋谷と週末の演奏会の両方にこだわる人の選択である。サントリーも嫌だし、平日の夜に聞きにいくのも嫌だという人だ。これらの人はN響オーチャード定期への移動ということが予想される。
 オーチャードは渋谷だし、日曜など週末の午後3時30分開演だ。
 ただし、オーチャード定期の年間公演は5公演しかない。演奏される曲も多くは初心者向け、特に問題なのは5回のうち3回くらいは指揮者がN響の本定期に登場する前のお試し採用的な若手が多く含まれていることである。でも、まあそれでもいいから渋谷で週末の公演がいいので、オーチャード定期を選択をする人も少なからずいるだろう。そして、オーチャード定期にはかつて、NHKホールの公演では行われていた、開演前の室内楽演奏のサービスも続けられている。

 オーチャード定期も年間定期会員券には、今のところ200席くらいの余裕がありそうだ。これが1回券に出てくる。しかし、この座席も、きっと多くが埋まってしまうだろう。1回券に回る枚数は確実に減る。ということで、サントリーのB定期だけでなく、オーチャード定期の1回券も買いにくくなるということが予想される。




 さらに、2020−21シーズンはCプロは当初から池袋に移動するが、Aプロは2月までの6プログラム12公演はNHKホールに残る。ということで、土日の渋谷がここには残っているので、ここにCプロから移動してくる人も多数いるはずなのである。こうして、Aプロの定期会員数が増えることも予想される。
 そして、その自由席も今まで以上に早く売れてしまうだろう。何しろ月に2回しかないからである。また、それだけでなく今までは自由席でお気楽に聞いていた人の中には、D券あたりの会員になっておくかと考える人が出てくるはずだ。
 その理由は池袋に移ると自由席はなく、D席が最も気軽な価格の席になるが、その座席を確保するのは大変だと考えるからだ。確実に抑えるためには優先予約権がある、その前のシーズンの定期会員になっておく必要があると悟るからだ。こうして、今まで自由席で聞いていた人、当日券で聞いていた人が新たに定期会員になる人が出てくると予想される。


 つまり、2020ー21年のシーズンから、サントリーB定期、オーチャード定期、20−21シーズンのA定期の会員数が増える。唯一6公演だけ残る、お気軽な1500円自由席も前売りの早い段階で完売してしまう。さらに池袋に移るCプロ会員も座席数が少ないので年間会員でほぼ埋まってしまう。少なくとも池袋のCプロ会員も価格の安いBーDまでの会員席は、サントリーB定期と同じく年間会員で埋まってしまうと思われるからだ。
 こうして、N響のチケットは今まで当日券でも気軽に1500円で買えていたのが、よほどのことがない限り、B会員までが定期会員席で完売してしまい、当日券は一気にA席7300円からとなる可能性が高まる。それでも買えるだけ良かったという場合も多くなり、今までサントリーB定期では良くあるものの、NHKホールのAC定期では年に数回しかない前売り完売公演が頻出するようになるだろう。




「N響をこれからも聞きたければ、そのベストな対策は2019−20のシーズンから定期会員になっておくことである」

 この流れを引き継いで2021ー22シーズンは「N響のチケットは前売りで早いうちに買わないと聞けない」という認識が高まり、池袋のAプロ、Cプロ、サントリーB定期、オーチャード定期ともチケットは前売り販売率が俄然上がり、N響定期のチケットのプレミアム化が進むと思われる。
 
 中には、N響から他の在京の交響楽団、例えば都響や東京交響楽団、東フィルなどに移る人もいるかもしれないが、N響の会員はN響が本当に好きなのだ。その数は限定的なものと思われる。

 さて、チケット争奪戦に勝つためには、この2019ー20のシーズンから定期会員になっておくことをオススメしたい。現役の定期会員こそが、次のシーズンの定期会員の最優先購入権利を得られるからである。
 これから、徐々に2020−21シーズンの演奏内容が公表されていく。最終的には2020年1月に全てが公表される。

その中にはパーヴォヤルヴィが毎シーズン演奏してきたマーラーの残りの演目。9番シンフォニーや大地の歌が入ってくるはずである。元気であれば、ブロムシュテットも引き続き演奏するだろうし、人気のソヒエフなど、N響ならではの世界的巨匠の演奏会が多数含まれるはずだ。すでに、2020年12月には、巨匠・マイケルティルソントーマスの客演が発表された。さすがN響である。今までは当日券、自由席などで気軽に聞けた時代、それはこの2019ー20のシーズンで終わりだ。2020年9月から、そう東京五輪の後からN響のチケットはずっと買いづらくなるはずである。

 そして、その時になって多くの音楽ファンが気がつくはずである。ベルリンフィルやウイーンフィル、シカゴ交響楽団、アムステルダムコンセルトヘボウ管。それらのオケと比べても双璧と言えるレベルのN響の演奏の素晴らしさを、それらのオケに振りにくるのと同じ指揮者がN響は毎月のように登場してくれるだけでなく、来日オケにありがちな凡庸なプログラムではなく常に刺激的な演奏会を提供してくれているということを。



 そして、NHK交響楽団の定期演奏会のチケット代は最高にいいS席でも定期会員なら1回7200円でしかないことのありがたさにも気がつくだろう。この秋のウィーンフィルの来日公演では最も安い席でも17000円、ベルリンフィルでは、18000円。S席はウィーンフィルで3万7千円、ベルリンフィルに至っては4万2000円だということを考えると、本当に驚くほど気軽に世界最高峰の演奏会のチケットを手に入れることができるのがNHK交響楽団の定期演奏会ということに気がつくのである。今まであまりにも気軽に格安でAプロ、Cプロのチケットが手に入っていたので、そういうありがたさにあまり気がつかなかったのである。 


最後にちょっとだけきになること。それはN響定期会員の年齢である。非常に高齢な方も多数いる。その方達は、これを機械に定期会員をやめるのかもしれないなとも思ってる。それだけはちょっと気になる。
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ツイッターのアカウントで、鑑賞した映画やコンサート、芝居、バレエ、オペラなどの140字コメントを続けています。よろしければ見てやってください。

https://twitter.com/satoharuhiko2
2018年1月
10日 都響&大野和士 Rシュトラウス町人貴族+ツェムリンスキーの人魚姫@サントリー
15日 ワルシャワ国立フィル 新世界・ショパンPC1@サントリー
17日 劇団新派「家族はつらいよ」三越劇場
18日 N響&アフカム 小山実雅恵 モPC20・ドンファン・バラ騎士・ラヴァルス@サントリー
22日 劇団ラッパ屋「父の黒歴史」@紀伊国屋ホール(大雪の為に行けず)


2月
10日 N響&ヤルヴィ マーラー7@NHKホール
11日 ハンブルクバレエ団「ニジンスキー」@東京文化会館
16日 読響&テミルカーノフ ルガンスキー パガニーニの主題、フランス物@池袋芸術劇場
17日 N響&ヤルヴィ 樫本大進 サンVC3・フォーレのレクイエム@NHKホール
22日 N響&ヤルヴィ 諏訪内 武満徹 ニーベルングの指輪@サントリー


3月
3日  歌舞伎座夜の部 玉三郎・仁左衛門 @歌舞伎座
13日 ニューヨークフィル ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン&ユジャワン 
              ブラP協1 春の祭典@サントリー
26日 都響&インバル ショスタコPC2・幻想交響曲@サントリー
28日 ミュージカル「メリーポピンズ」@シアターオーブ



2018年4月
5日  N響&フォークト・ウルフシルマー「ローエングリン」@東京文化会館
7日  バレエの響宴 東京バレエ団、新国立バレエ団、吉田都ほか@NHKホール
12日 ジョアンピリス リサイタル ベートーベン&シューベルト@サントリー
14日 ノット&東響 マーラー10&ブル9@サントリー
15日 ブロムシュテット&N響  幻想@NHKホール
27日 ブロムシュテット&N響 ベト7&8@サントリー
28日 東京バレエ団「真夏の夜の夢」@東京文化会館





5月
4日 5月団菊祭@歌舞伎座 雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)
              昼の部 海老蔵
6日 5月団菊祭@歌舞伎座 白波五人男 夜の部 菊五郎(急用で行けず)
9日 ウィーン国立バレエ団「ヌレエフガラ」@オーチャードホール
12日 ウィーン国立バレエ団「海賊」ヤコヴレワ&キシンキム@オーチャードホール
13日 パーヴォヤルヴィ&N響 シベリウス、ベトV協(テツラフ)@NHKホール
18日 パーヴォヤルヴィ&N響 ブルックナー1&タコP協2@NHKホール 
24日 パーヴォヤルヴィ&N響 ストラヴィンスキープロ@サントリー
27日 広上淳一&N響 チャイコV協、ペールギュント1・2組曲@かつしかSH



6月
3日  アシュケナージ&N響 チャイコ4&P協(アリス)@オーチャード
9日  エストラーダ&フランクフルト放送響@ミューザ川崎 リエンツィ
    メンコン&新世界 ダニエル・ロザコヴィッチ(バイオリン)
10日  アシュケナージ&N響 ドビッシープロ@NHKホール
16日 アシュケナージ&N響 ゴーダイ、ヤナーチェクほか@NHKホール
27日 ジョンソン&ジャクソン「ニューレッスン」@CBGKシブゲキ
28日 東京バレエ団「白鳥の湖」ゲネ 秋元&川島@東京文化会館
29日 東京バレエ団「白鳥の湖」上野&弾@東京文化会館

7月
 6日 ナイロン100℃「睾丸」@東京芸術劇場シアターウエスト
 9日 ケルビングローブ美術館(グラスゴー)
    スコットランド国立美術館(エジンバラ)
    スコットランド国立肖像美術館(エジンバラ)
17日 リバーダンス@ゲイリー劇場(ダブリン)
18日 アイルランド国立美術館(ダブリン)
    ヒューレーンアートギャラリー「ベーコンのギャラリー」(ダブリン)
21日 アランギルバート&都響 アメリカプロ@東京芸術劇場
28日 世界バレエフェス「ドンキホーテ」コジョカル&コラレス@東京文化


8月
1日 ゲルギエフ&PMF@サントリー マーラー7
25日 東京バレエ団 めぐろバレエ祭り@パーシモン


9月
1日  東京バレエ団 プティパガラ@神奈川県民ホール
6日  都響&アントニビット ショパンP2&ルトスワ3@サントリー
12日 アレクサンダーガヴリリュク&東響 チャイコ、プロコ3、ラフマ2@芸術劇場
13日 秀山祭九月大歌舞伎夜の部 三番叟、俊寛(吉右衛門)幽玄(玉三郎・鼓童)@歌舞伎ア
15日 新日本フィル&上岡敏之 Rシュトラウスプロ ドン、ティル、死と、オーボエ協
    オーボエソロ 古部堅一 @すみだトリフォニーホール
16日 パーヴォヤルヴィ&N響 ウィンナワルツ&マーラー4@NHK
20日 ローマ歌劇場「マノンレスコー」@東京文化
22日 パーヴォヤルヴィ&N響 クレルヴォ交響曲 @NHK
24日 ビクトリア国立美術館(メルボルン)
    オーストラリアバレエ「スパルタカス」@メルボルン州立劇場
28日 アシュケナージ&シドニー響@シドニーオペラハウス 家庭交響曲 ロココの主題

10月
5日   都響&チョンミンフン オルガン付・ブラV協(鄭キョンファ)@サントリー
13日  日本フィル&インキネン@サントリー ブル9 
13日  ブロムシュテット&N響@ NHK プラハ ブル9
20日  ブロムシュテット&N響@ NHK ロンドン、巨人



11月
 1日  ドレスデン&ティーレマン シューマン交響曲3&4@サントリー
 3日  ジョナサンノット&東響@サントリー ブラPC2 ラフS2
10日  ノセダ&N響@NHKホール ラベルP協(サラオット)ロミジュリ
11日  サンクトペテルブルクフィル&アレクセーエフ(テミルカーノフ代役)
           チャイコ5 ラフPC2(ルガンスキー)
12日  Stペテルブルクフィル&アレクセーエフ ラフS2 シベVC(紗矢香)
     バッティストーニ&東フィル ゲネ・ロッシーニ序曲@オペラシティ
     ピエールボナール美術展(国立新美術館)
15日  ノセダ&N響@サントリー 交響的舞曲など


25日  IBC「ジゼル」@新宿文化センター 井脇幸江
29日  マリンスキーバレエ「ドンキホーテ」@東京文化会館
30日  東京バレエ団「20世紀の傑作バレエ2」@新国立劇場

12月
1日  東京バレエ団「20世紀の傑作バレエ2」@新国立劇場
    トレチャコフ美術館展「ロマンチックロシア」ザ・ミュージアム
    ヴェルデニコフ&N響@ NHK スクリャービンP協 グラズノフ7
6日  新国立劇場「ファルスタッフ」ーオペラパレス リッツィ指揮
7日  歌舞伎座夜の部 玉三郎の阿古屋
8日  Kバレエカンパニー「くるみ割り人形」
10日 ギルバート&都響@サントリー 春の祭典&シューマン春
13日 フェドセーエフ&N響@サントリー くるみ全曲
16日 東京バレエ団「ザ・カブキ」@東京文化会館
18日 ギルバート&都響@芸術 ドンキホーテ カルメン組曲 スペイン奇想曲
26日 千々岩英一 バイオリンリサイタル@王子ホール プーランク&ブラームス3
27日 NHK交響楽団&ヤノフスキ「第9」@サントリー

映画「グレイテストショーマン」

多くの人が絶賛する映画である。

誰にでも強みはある、頑張ればいろんな夢は叶うのだという、現代人が信じたいテーマなので受け入れられるのだろう。このタイトルから1950年代の名作「史上最大のショー」のリスペクト作品かと思ったが、そういうことでもなかった。苦労して成り上がった男が自分を信じて来てくれた妻や仲間を裏切って不倫に走るものの、事件と転落の危機でそんなことじゃダメだと反省する。ということで、話に深みはない。冒頭部分の1曲で苦労時代もさっと流してしまうのはミュージカルの魔法ではある。ヒュージャクソンは「レミゼラブル」の成功での起用だろうがCGに主役は譲ってしまった。ダンスも俳優生身の至芸を披露するのではなく、コンピュータが全てを制御してしまう。だから、かつてのような温かみはあまり感じられない。楽曲は悪くないがすぐに口づさみたくなるような曲はストーリーの中に埋没させてしまった。ミュージカルシーンは歌舞伎と同じで、その間は話を進めてはいけないのだ。その時の心情を歌と踊り(肉体)で表現する。歌舞伎の見得のような扱いをさせるべきなのだ。歴史に残るミュージカルは全部そういう楽曲とシーンを持っている。10代で「ハイスクールミュージカル」で出て来たザックエフロンがメインキャストで出ていた。絶対消えると思っていた俳優だが、「ヘアスプレー」に続いて大役を射止めた。歌唱力とダンス力という極め技があるからだ。普通に演技したものではことごとく失敗してもそうやって生き残っていくものだと感心した。芸は身を助くである。75点
https://www.youtube.com/watch?v=GuadtzQB2hk
ミューザ川崎で、フランクフルト放送響を聞いた。久しぶりだ。前に聞いたのはパーヴォヤルヴィの来日公演でもう10年近く前だと思う。今回はワーグナーの「リエンツィ」序曲で始まったのですが、冒頭のコントラバスの音が深く驚きました。とくに弦楽合奏は素晴らしい。しかし、エストラーダがテンポを上げると音が少し乱雑になってしまう。ちょっと残念です。
 今回の来日は、来週あるサントリーホールは完売。チョソンジンのラフマニノフ2番コンチェルトと巨人です。こちらは、さらに名曲コンサートみたいで、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲、ドヴォルザークの新世界。もう聞き飽きてよほどの演奏で無いと心は動きません。こちらはチケットがまだまだあるということ。会場に来てみると客席は9割くらい埋まっていて安心しました。で、バイオリン協奏曲です。

 今宵のスターは何といても独奏のバイオリニスト、ダニエル・ロザコヴィッチです。知りませんでした、何しろストックホルム生まれの17歳。見た目はアジアの血も混ざってるなあと思ったら9カ国の血が混ざってるとのこと。まあ、そんなことはどうでもいいのですが、会場に出て来た少年の緊張が伝わってきます。
 冒頭でちょっと音がつまずいたかと思ったのですが、聞いていて驚きました。僕はこの曲はそれこそ、子どものころからアイザックスターンやオイストラフのレコードで聞き始めた。スターンやヘンリックシェリングで始まったライブも、パールマン、ツインマーマン、ヒラリーハーン、クレーメル、ムターなどと世界最高峰を聞き続けて来た。今もヤンセン、みどり、樫本大進、五縞龍、庄治紗矢香、諏訪内晶子など本当に素晴らしい演奏を聴いて来ている。でもね、彼らは大きく捕えると、みんなスターンやオイストラフの系列なのです。もちろん個性はあるけれど、あのロシア系バイオリニストの系譜。雄弁に歌う系の奏法です。それはそれで大満足なのだが、この若いバイオリニストはちょっと違う。音量を大きく動かすことで音楽を語らない。むしろ小声で囁くように語る。ところが、耳を傾けると繊細で同じ四分音符でもギリギリまで粘る。フレージングの中でもいろんな色合いを見せてくれる。音譜の長さ、音の質感、色合いに対するこだわりがスゴい。

 公演チラシに水晶のような音とあったのだけれど、水晶ってどんなものか良く分からないが、クリスタルって感じです。それは、息をすることを許さないくらいの緊張感の中で、この少年が酸欠で煽れるのではないかと思うほどです。ヘンテコな息をしたら、奏でてる音楽が崩れてしまう。そんなギリギリ感が曲全体を支配する。それは、バカラのワイングラスに光が当ったとき、もしくは、ブルゴーニューの透明感のある赤、いや、黄金色の白ワインが注がれたものをグラス越しに光に課さす時に思う不思議な気持ち。グラスを廻した時に、グラスの脇に張り付いたワインが動くときの、そんなすごく繊細で表現するのが難しいものに似た音なのです。私も聞いていてヘタな息継ぎができなくなり、曲が終るとぐったりしてしまった。
 ランランが出て来てピアノの世界に新しい光を当てている。欧米を席巻している。このロザコヴィッチは、バイオリン界のランランです。この繊細さで演奏されるのであれば、シベリウス、チャイコフスキー、モーツアルト、ベルク、バルトーク、ショスタコーヴィチ、ラロ、サンサーンスなどいろいろと聞いて見たいです。
 後半は新世界交響曲でした。今宵の主役はロザコヴィチでした。
(2018年6月9日 ミューザ川崎にて)
2017年 1月
1月14日 NHK交響楽団定期演奏会+ファンホメナ スペイン物@NHKホール
1月24日 ベルリン八重奏団 @東京文化会館

2月
2月8日  陥没 ケラリーノサンドロビッチ作演出 シアターコクーン
2月11日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 シベリウス2@NHKホール
2月17日 新国立劇場バレエ「バレンタインバレエ」
2月18日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 タコ10 シベV協@NHKホール
2月18日 文学座 食いしん坊万歳! @紀伊国屋サザンシアター
2月22日 東京バレエ団 ウィンターガラ オーチャード
2月23日 パーヴォヤルヴィ&N響 マーラー6 横浜みらいホール
2月24日 新国立劇場バレエ「コッペリア」

3月
3月11日 パリオペラ座グランガラ 東京文化会館
3月13日 インバル&ベルリンコンツェルト管 マーラー5 すみだトリフォニー

4月
4月4日  NHK交響楽団&ヤノフスキ 神々の黄昏@文化会館
4月7日  新日本フィル&上岡 敏之 ドボルザーク7&V協@すみだトリフォニー
4月10日 メトロポリタンオペラ アイーダ@MET(ニューヨーク)
4月11日 in Transit @サークルインザスクエアシアター(ブロードウェイ)
4月12日 サンセットブルバード@パレスシアター グレンクロース主演(ブロードウェイ)
4月12日 メトロポリタンオペラ エフゲニーオネーギン@MET ネトレプコ(ニューヨーク)
4月13日 メトロポリタンオペラ ばらの騎士@MET ルネフレミング(ニューヨーク)
4月14日 メトロポリタン美術館&MOMA 鑑賞
4月14日 ハロードーリー@シューベルト劇場 ベットミドラー主演(ブロードウェイ)
4月22日 ルイージ&N響定期 ブラームス4 ベトP協1@NHKホール

5月
5月 3日 団菊祭夜の部@歌舞伎座 伽羅先代萩(御殿、床下、対決、刀傷)壽曽我対面 彌生の花浅草祭 
5月 6日 バーミンガムロイヤルバレエ トリプルビル@エブリマンシアター(チェルトナム イングランド)Wink,Arcadia,The Moors Pavane
5月11日 『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』@ミレニアムシアター(カーディフ・ウエールズ)
5月11日 国立モスクワサーカス@カーディフFC駐車場特設テント
5月12日 大英博物館
5月12日 ロイヤルオペラ ドンカルロ@ロイヤルオペラハウス(ロンドン)
5月13日 ロイヤルバレエ マイヤーリンク(うたかたの日々)@ロイヤルオペラハウス ティアゴソアレス、Lカスバートン、Cアレステス、Tダイヤー、平野良一(ロンドン)
5月13日 「ハーフ a 6ペンス(心を繋ぐ6ペンス)」@ノエルカワード劇場 チャーリーステンプ
5月14日 ワーナーブラザースハリーポッタースタジオツアー
5月14日 ロンドン交響楽団定期&ニコラススナイダー@バービカンセンター チャイコ5

5月19日 フェドセーエフ&N響 ボロディン2 チャイコ4@NHKホール
5月24日 フェドセーエフ&N響 チャイコP協 ベレンスキー @NHK
5月27日 インキネン&日本フィル ラインの黄金 東京文化会館大ホール

6月
6月1日  ジークフリート@新国立劇場オペラハウス
6月7日  ジークフリート@新国立劇場オペラハウス
6月12日 ボリショイバレエ「白鳥の湖」東京文化会館 
        スミルノワ&チュージン→ラントラートフ
6月14日 N響&コープマン モーツアルトプロ 41 魔笛 フルートとハープ協
6月16日 東京バレエ団スタジオパフォーマンス@東京バレエ団スタジオ
6月17日 ラザレフ&日本フィル プロコフィエフプロ
6月21日 都響定期&大野 田園 フランスもの
6月24日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 フランスプロ
6月30日 パーヴォヤルヴィ&N響定期 ザ・グレート シューマンC協

7月
7月1日  東京バレエ団「ラ・バヤデール」
7月2日  東京バレエ団「ラ・バヤデール」
7月8日  イングリッシュナショナルバレエ団 コッペリア
7月14日 イングリッシュナショナルバレエ団 海賊
7月17日 デトロイト交響楽団&スラトキン 文京シビックホール 
7月19日 デトロイト交響楽団&スラトキン オペラシティ
7月20日 来日ミュージカル「ウエストサイドストーリー」シアターオーブ
7月22日 フルシャ&都響 ブラームス3 芸術劇場

8月
8月20日 東京バレエ団「バレエコンサート」目黒パーシモンホール
8月24日 ファビオルイージ特別演奏会 読響@芸術劇場
      ドンファン、英雄の生涯、ハイドン「熊」

9月
9月2日  ワグネルソサエティOBオケ@芸術劇場 近藤嘉宏のラフP2
9月9日  東京バレエ団 プティ/ベジャール/キリアン 東京文化
9月10日 東京バレエ団&ロベルトボッレ 別キャスト 東京文化
9月16日 NHK交響楽団&ヤルヴィ タコ7 NHKホール
9月17日 ベトレンコ&バイエルン国立管 マーラー5 東京文化
9月18日 チョンミンフン&東フィル ベートーベン オーチャード
9月21日 ペトレンコ&バイエルン国立歌劇場「タンホイザー」NHKホール
9月23日 NHK交響楽団&ヤルヴィ ロシアプロ NHKホール
9月28日 NHK交響楽団&ヤルヴィ バルトークプロ サントリー

10月
10月1日 ペトレンコ&バイエルン国立管 ワルキューレ第1幕ほか NHKホール
10月4日 新国オペラ「神々の黄昏」
10月7日 ルツェルン祝祭管&シャイー シュトラウスプロ サントリー
10月10日 上海歌劇場「アイーダ」@香港文化センター
10月20日 エッシェンバッハ&N響 ブラ2&3 NHKホール
10月21日 ジョナサンノット&東京交響楽団 名曲集 サントリー
10月26日 エッシェンバッハ&N響 ブラ1&4 サントリー


11月
11月8日 都響&ハンヌリントゥ クレルヴォ交響曲 東京文化
11月9日 フェドセーエフ&チャイコ交響楽団
      「エフゲニーオネーギン」(演奏会形式)@NHKホール
11月11日 ヤノフスキ&N響 英雄 NHKホール
11月13日 ブロムシュテット&ライプチヒゲヴァントハウス管 ウィーン楽友教会合唱団 ドイツレクイエム NHKホール
11月15日 ナイロン100℃「ちょっとまって、ください」@本多劇場
11月17日 ソヒエフ&N響 イワン雷帝 NHKホール
11月23日 ソヒエフ&N響 プロコフィエフプロ サントリー


12月
12月3日  デュトワ&N響 ラヴェルプロ NHKホール
12月9日  デュトワ&N響 火の鳥 NHKホール
12月10日 ゲルギエフ&マリンスキー管 デニスマツーエフ ラフマニノフ祭 サントリー
12月13日 デュトワ&N響 ハイドン/細川/メンデルスゾーン サントリー
文学座「食いしん坊 万歳!」を紀伊国屋サザンシアターで観劇した。正直言うと、今さら正岡子規の評伝ものを見たいとは思ってなかった。午後6時40分ごろ、劇場について上演時間を見たら、2時間40分(15分の休憩含む)にあると知って、観劇した日が朝5時から働いて疲労困憊だったので、8時5分の休憩時にこっそり退散しようかとまで考えていたのだ。
 じゃ、何でそんなことまでして劇場に行ったのか?と言われたら、それは久々に、新橋耐子さんの名前が出演者にクレジットされていたことが第一である。昨年、とうとう平幹二朗さんまで亡くなられて、もう舞台で見たい役者がほとんどいなくなってしまった(歌舞伎の若手で良いのは何人かいるけれど)なあと思っていたのです。


 20代の頃から新橋さんの芝居は、杉村春子さんとの共演で何本も見てきたけれど、文学座で杉村さんとの舞台の時には、アンサンブルを大切にされていて、文学座の俳優陣のおひとりという感想しか持っていなかったのだけれど、これも20代のころ、初めて井上ひさしさんの芝居を見たのが、「頭痛肩こり、樋口一葉」で、その舞台で花蛍というお化けに扮した新橋さんのスゴかったこと。面白かったこと、哀しかったこと。その後は意識していろんな外部公演、例えば、蜷川幸雄さんやら、最近ではケラリーノサンドロヴィッチさんの演出の舞台でも見たのであります。
 ちなみに、井上芝居は、これがきっかけで見始めたわけですが、なかなかこれ以上に面白いのに出会えなかった。僕はこれと渡辺美佐子の演じた「化粧」かなあ。あれにも泣いた、この二本は芝居ってすごいなあと心から思った作品である。
 誰が読んでいるか分らないSNSなのでさらっと書くが、遅すぎた青春時代?のごとく、演劇に全精力を傾けていた40代のころ。
たまたま、新橋さんが、僕が出してもらったフランス翻訳物の二人芝居をたまたま見て下さって、そして、褒めてくれたのです。それだけでなく、その芝居に折り込んでいた僕のやっていた演劇の出演者募集のチラシを見て、出ると言ってくれたのです。ということで、僕の作演出の舞台にまで出て下さった。これはもの凄いことです。2010年ことでした。
 40も過ぎて演劇なんかやるもんだから、四面楚歌の十乗みたいな状況で本当に辛かった。そんな時に、僕の演技を認めてくれた。その演技については、テアトロという歴史ある演劇雑誌でも褒めてもらった。あの辛い時期の数少ないいい思い出です。
 「相寄る魂」というギィフォワシという人の二人芝居だったのですが、相手役が読売演劇大賞にノミネートまでされた南谷さんというスゴい人だったことが良かっただけだと思うのですけれど。そういう経験をさせてもらったのです。
 もうひとつ、この芝居には佐野和正さんの名前もクレジットされていた。別に交流があるわけではないのですが、これも10年近く前のこと、文学座のサマーワークショップを受けたことがあって、亡くなった演出家の高瀬さんがやったものだったのだけれど、そこのアシスタントのような立場で佐野さんがいて、稽古場にいる時の雰囲気がものすごく真摯で強い印象に残った。その後で、佐野さんが出る文学座の芝居は何本か見せてもらったのだけれど、あまり大きな役ではなかったこともあったのか、やはりアンサンブルのひとりとして出演されていた。今回は主役。正岡子規の役をやるらしいというので、ぜひ見てみたいと思ったのです。
まだ読んでくれていますか?ありがとうございます。
この芝居、始まったらこれが面白い。正岡子規の話なんだけれど、そこから離れて、ひとりの人間の生き様というところに本はフォーカスされていく。芝居はこうじゃなくちゃね。 
 肉体的に生きる力をどんどん剥ぎ取られながらも、前向きに生きて行く男と、息子の死を受け入れながらも前向きに生きて行く母親。新橋さんは、この男の母親にふさわしい人物像を作り上げ、佐野さんは、どんどん剥ぎ取られて行く生に負けまいと食い下がりながら生きて行く。その凄まじさ。それが、テンポ良く重いニヒリズムで描くこと無く、すすめて行くものだから。
終幕近くの宴会シーンに至るまでの生がもぎ取られ、それに抗う男の生き様、しかし、最後には全てを受け入れるという、その演技の見事さ。それに寄り添う明治の、いや、それ以前の時代も知ってる誇り高い士族の母親。その所作、その声のトーン、間合い。見事というしかない。母息子での臨終シーンの新橋さんの子守り歌。歌うではなく、語るでもなく、何だろう、シャンソンですな、あれは!
所作は、もう新派以外では、美しい和物の振る舞いは見られないだろうと思っていたら、新橋さんが芝居の中心にいるからか、見事でね。
いやあ、面白かったです。素晴らしかったです。
これ、文学座の新しい代表作になる可能性もある見事な作品となっていました。

2017年2月18日@紀伊国屋サザンシアター
2016年1月
  5日 初春花形歌舞伎 海老蔵 白波五人男 七つ面@新橋演舞場
 10日 山田和樹+N響 おもちゃ箱、ペトルーシュカ @NHKホール
 13日 平幹二朗主演「王女メディア」@東京グローブ座
 15日 ハーディング+新日本フィル 戦争レクイエム (→事故で行けず!)
 16日 ソヒエフ+N響 二重協奏曲 幻想 @NHKホール
 22日 ロスタラントス フラメンコライブ@ロスタラントス(グラナダ)
 23日 フラメンコショー@エルパルシオアンダルス(セビリア)
 25日 歌劇「魔笛」@テアトルレアル(マドリード)
 30日 アランギルバード+都響 ベートーベン7@東京芸術劇場

2月
  5日 東京バレエ団「白鳥の湖」@東京文化会館
  6日 2月大歌舞伎@歌舞伎座 ひらかな盛衰記 籠釣瓶花街酔醒(さとのえいざめ)
      小ふじ此兵衛 浜松風恋歌(かぜこいのよみびと)吉右衛門、菊五郎
  9日 シュターツカペレベルリン+バレンボイム
     ブルックナー1 モツ・ピ協27 @サントリー
  10日 シュターツカペレベルリン+バレンボイム
     ブルックナー2 モツ・ピ協20 @サントリー
  12日 ヤルヴィ+N響 ブラームスV協(ジャニーヌヤンセン)
     ニールセン交響曲5番@NHKホール 
  18日 ヤルヴィ+N響 シューマンP協(ブニアティシュヴィリ)
     変容 ツァラストラはかく語りき@サントリー
3月
  11日 歌劇「イエヌーファ」@オペラパレス
  12日 文学座「春疾風」@紀伊国屋ホール
  16日 ムーティ指揮 イタリアオペラ名曲集@文化会館
  17日 三谷幸喜作演出「ショーガール」@PARCO劇場
  22日 歌舞伎座「中村雀右衛門襲名興行 夜の部」@歌舞伎座
  26日 キタエンコ+東響 チャイコV協 ショスタコ5@サントリー
  29日 インバル+都響 モツP協27 ショスタコ15@文化会館

4月
  4日 「ロック・ア・フラ」@ロイヤルハワイアン劇場 ホノルル
  10日 楽劇「ジークフリート」ヤノフスキ&N響@東京文化会館
  13日 歌劇「ウェルテル」@新国立劇場オペラ プラソン指揮
  16日 N響&スラトキン@ NHKホール プロコフィエフ5番
  18日 エリッククラプトン来日公演@日本武道館
  23日 N響&スラトキン@ NHKホール
     ベアトリスとベネディクト序曲 ファミリトリー
     ブラームス交響曲1番
  24日 東響&ジョナサンノット@ サントリーホール
     ワルシャワの生き残り、ベルク「ルル」組曲、
     ドイツレクイエム
  25日 文学座「野鴨」イプセン作 @文学座アトリエ(行けず)
  28日 N響&スラトキン@ サントリーホール
     バーンスタイン名曲集、マーラー交響曲4番
  30日 東京バレエ団「ラ・シルフィールド」@東京文化会館

5月
  
  8日 8月の家族たち@シアターコクーン ケラリーノサンドロヴィチ作演出
  11日 ベルリンフィル&サイモンラトル@サントリー
     ベートーヴェン1番&3番「英雄」
  15日 尾高&N響@NHKホール チックコリア モーツアルトP協10
     エニグマ「謎」ほか
  16日 東京フィル・バッティストーニ指揮@サントリーホール
     イタリアプロ レスピーギ「教会のステンドグラス」ほか
  18日 ウィーンフォルクスオパー「こうもり」@東京文化会館
     最終ゲネプロ
  19日 ゲキバカ「ごんべい」@東京芸術劇場west (途中まで)
  21日 NHK交響楽団&ネーメヤルヴィ@NHKホール
     カリンニコフ2番交響曲・田園
  23日 ワーグナー「ローエングリーン」@新国立劇場オペラパレス
     ゲッツフリードリッヒ演出 フォークト、ペトラヤングほか
  26日 NHK交響楽団&ネーメヤルヴィ@サントリーホール
     プロコフィエフ6番交響曲・未完成
  28日 東京交響楽団&ウルパンスキ@サントリーホール
     チャイコ4番&プロコフィエフP協3 ロマノフスキー(pf)
  
6月
  1日 ジュリエットグレコ ラストツアー@オーチャード(来日中止)
  12日 NHK交響楽団&アシュケナージ@NHKホール 
     メンデルスゾーン「スコットランド」ほか
  21日 樋口隆一指揮 N響団友オーケストラ@サントリー
   フォーレ「レクイエム」
  23日 NHK交響楽団&アシュケナージ@サントリー
   シューマン2番 エルガー2番
  28日 リヨン管&スラトッキン@東京文化
      ダフニスとクロエ、スペイン狂詩曲、ブルッフV協


7月
 4日 ダニエルハーディング&新日本フィル@サントリー
    マーラー作曲「1000人の交響曲」
 
 5日 歌舞伎座 夜の部 海老蔵&猿之助

 7日 徳永二男楽壇生活50周年記念演奏会@サントリー
    広上淳一&N響 チャイコ&メンデルV協ほか
 
 
 24日 チョンミンフン&東京フィル@オーチャード
    演奏会形式「蝶々夫人」

 25日 ケラリーノサンドロヴィッチ 作・演出
    「ヒトラー、最後の20000年〜ほとんど、何もない〜」
    @本多劇場 行けなかった!

 
8月
 
 9日 ゲルギエフ&PMFオケ@サントリー
   イタリア&ショスタコ8番

 20日 ラインの黄金@バイロイト祝祭歌劇場

 21日 ワルキューレ@バイロイト祝祭歌劇場

 23日 ジークフリート@バイロイト祝祭歌劇場

 24日 パルジファル@バイロイト祝祭歌劇場

 25日 神々の黄昏@バイロイト祝祭歌劇場

 26日 サイモンラトル指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会
    マーラー6番 ほか @ ベルリンフィルハーモニー
 
 27日 サイモンラトル指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会
    ブラームス2番 ほか @ ベルリンのどこかの公園 

31日 Iwaki ballet Company 井脇幸江30周年リサイタル
             @新宿文化センター
 
 

9月
  6日 N響創立90周年特別演奏会@NHKホール
     パーヴォヤルヴィ指揮 マーラー1000人の交響曲

  15日 エリアフインバル&都響@東京文化会館
     プロコフィエフP協2 バルトーク オケコン 他

  17日 パーヴォヤルヴィ指揮&NHK交響楽団@東京芸術劇場
     禿げ山の一夜、展覧会の絵 武満徹
  
  20日 エリアフインバル&都響@サントリー
     ショスタコ8番&モーツアルトV協3

  22日 ミラノスカラ座バレエ団@東京文化会館
     「ドンキホーテ」

  24日 ユベールスダーン&東響@サントリー
     「ファウストの劫罰」

  25日 パーヴォヤルヴィ指揮&NHK交響楽団@NHKホール
     ブルックナー2番&モーツアルトP協27 フォークト

10月
1日 NHK交響楽団&パーヴォヤルヴィ ラフマニノフ3番交響曲&プロコP2
                      @NHKホール

5日 新国立劇場オペラ『ワルキューレ』@新国立劇場オペラパレス

7日 モントルージャズフェスティバルジャパン@恵比寿ザ・ガーデンホール

9日 ズビンメータ&ウィーンフィル シューベルト「グレート」&海@川崎ミューズ

10日 ズビンメータ&ウィーンフィル ブルックナー7番&リンツ@サントリー

12日 マリンスキー歌劇場来日公演 ゲルギレフ指揮「ドンカルロ」@東京文化会館

13日 東京バレエ団「ザ・カブキ」@新国立劇場中劇場

14日 ゲルギレフ&マリンスキー管「ロミオとジュリエット」@NHKホール

15日 マリンスキー歌劇場来日公演 ゲルギレフ指揮「エフゲニーオネーギン」@東京文化会館

16日 ヴェルデニコフ&N響、スラブ行進曲、「春の祭典」ほか@NHKホール

22日 ヴェルデニコフ&N響、ドボC協&悲愴@NHKホール

27日 ソヒエフ&N響@サントリーホール 新世界交響曲&ベトP協3

28日 ウィーン国立歌劇場来日公演「ナクソス島のアリアドネ」@東京文化会館

11月

2日 ブロムシュテット&バンベルグ響@サントリー ベトV協&運命

3日 ブロムシュテット&バンベルグ響@サントリー 未完成&田園

9日 ウィーン国立歌劇場来日公演「ワルキューレ」@東京文化会館

21日 MTトーマス&サンフランシスコ響@サントリー ショスタコP協1&巨人

22日 ティーレマン&シュターツカペレドレスデン@サントリー アルプス交響曲&ベトP協2

23日 ティーレマン&シュターツカペレドレスデン@サントリー 皇帝&ロメジュリ&前奏曲

24日 ハーディング&パリ管@芸術劇場 4つの海の間奏曲&ブラV協&ロミジュリ

25日 ハーディング&パリ管@芸術劇場 メンV協&マーラー5

26日 ラザレフ&日本フィル@サントリー ショスタコV協1&グラズノフ5

27日 ヤンソンス&バイエルン放送響@サントリー マーラー9

28日 ヤンソンス&バイエルン放送響@サントリー ベトV協&火の鳥


12月

1日 デュトワ&N響@サントリー 3つのオレンジの恋&マメールロワ&運命

9日 デュトワ&N響@NHKホール 「カルメン」演奏会形式

13日 フルシャ&都響@芸術劇場 ドボV協&巨人

17日 デュトワ&N響@NHKホール 4つの海の間奏曲&プロコV協1&オネゲル2&ラヴァルス

18日 東京バレエ団「くるみ割り人形」@東京文化会館

19日 フルシャ&都響@サントリー マルティーヌ&ショスタコ10

23日 ブロムシュテット&N響@サントリー ベートーヴェン9「合唱付」

Iwaki Ballet Company

『井脇幸江 30周年リサイタル』@新宿文化センター


8月の終り、バイロイトを中心としたヨーロッパ旅行の帰国日を30日と決めたのは、この公演はどうしても見たかったからだ。昨年、「ドンキホーテ」の全幕ものを観に行って、すでに東京バレエ団を退団してしばらくする井脇幸江や、元東京バレエ団のダンサーたちのレベルの高さ、菅野英男を初めとする現役で、日本を代表するカンパニーに属する人たちの、本家?とは別の顔を見られることの喜び。そして、カンパニーでバレエを学び始めた人たちの活き活きとしたバレエ愛に満ちた公演が本当に面白く心を打たれてしまったからだ。
今年は、東京バレエ団を退団した高岸直樹との「D/カルメン」をメインに3部構成。



1部は様々なバレエの名シーンからガラコンサート風の競演だ。「グランパクラシック」のアダージョを踊った井脇と菅野は今宵の開幕を告げるトップバッターとしてふさわしい踊り。井脇は東京バレエ団を離れてから、表現者として新たな境地に達している。
菅野はトップクラスの技術力のある人であるが、新国立劇場で踊る時には職人に徹する。振付家や劇場の公演に関する方向性を関知しそれを忠実に表現するのだ。しかし、井脇カンパニーに来た時には、まるで別の顔を見せる。自分の心のままに踊ってやるぜ、弾けてやるぜという気持ちも前面に出てくる。新国立劇場でもっとデカイ役を自由にやらせてみた方がいい。お客の心をつかみ集客にも貢献するはずだ。
「ダイアナとアクティオン」からグランパドドゥを踊った新国立劇場バレエ団などで活躍する芳賀望、ダイナミックな動きをしても軸がものすごくしっかりしているので力強さが増す。めちゃくちゃスゴい。栗島悠衣はコケティッシュな魅力に満ちている。近年はこういう魅力を持ったダンサーは少ないので全幕もので見てみたいなあと思った次第。
「海賊」のグランパドドゥでの浜崎のジャンプ力の高さは、身体と表現したいという気持ちが一体化していてもの凄く魅力的だ。調べるとこの人も新国立劇場のアーチスト契約をしている人なのだが、この踊りは、前にいたKバレエの熊川の全盛期を思わせるものだ。熊川がロイヤルバレエ団と来日した時に日本中を湧かせたのを思い出す。「白鳥の湖」のパドトロワの3人はちょっと守りに徹し過ぎの感じ。
第2部は、井脇のダンスの幅の広さを証明する。コンテンポラリーなダンス。ヒップホップやストリートダンスの面もあるが「十戒」は、日本人振付家だからか、そこに能や謡曲の要素を感じさせる。面白い。僕はパリオペラ座バレエ団は世界でももっとも素晴らしいバレエカンパニーのひとつだと思うのだけれど、それは、古典や現代ものだけでなく、真正面からコンテンポラリーや民族ダンスも取り組むことにある。先年パリに出かけた時に、オレリーデュポンが勅使河原の新作を、ほとんどの観客がメチャ拒否反応しているのに堂々と踊りきって、ひとり嬉しくなってブラボーコールをしてしまったのを思い出す。
東京バレエ団のスゴさも同様で、古典だけでなく現代の振付家の作品がもの凄く多い。そこが魅力なのだ。古典と現代もの、コンテンポラリーな要素のあるものも、それらが互いに反応しあい、ダンサーは発見して作用しあうものだからだ。相手役の三枝氏も初見だが、すごく面白かった。



こういうダンスを踊る機会を井脇はひとり占めしない。カンパニーの女性ダンサーに「GROUND」という民族ダンスの要素が強い作品を託した。このカンパニーに客演しているダンサーは実力だけでなく1回きりの舞台にかける気迫がすごいのだろう。それが若いダンサーにもすごくいい化学反応を与えている、見ていて幸せな時間となった。
第3部はカルメンである。D/CARMENは劇中劇の形を取る作品でおそらく新作である。面白かった。日本で一番贅沢な男性コールドバレエのメンバーを揃えて、女性のコールドバレエダンサーの魅力的なこと、この上ない。心と技術が一体化している。菅野、芳賀はもちろんいいけれど、やはり井脇幸江である。オペラのアグネスバルツアが持っていた野性なカルメンを思わせる存在感であった。作品はカルメンだけに焦点を絞らず多面的だった。注目の高岸直樹はダンサー的な部分よりも演技部分の方が強調されていて物足りない。この人のダンサーとしての歴史を考えるともっと高度でギリギリ感のあるものを見たい。井脇と高岸の、もしくは、菅野や芳賀を含めた超絶技をたっぷり見られるシーンがあったら、この作品はもっともっと魅力的だったはずだ。
井脇バレエカンパニーの唯一の欠点は、広告宣伝が十分でないところだ。チケット代もすごく安く、もっと多くの人に見て欲しいなあと思う、その部分だけである。客席は満席になる価値のある公演なのに、空席も散見された。まあ、カンパニーの運営は、今の時代本当に大変。だから、観客の方で頑張って公演を探すしかない。個人的な希望は、東京バレエ団を退団した人たちをもっともっと起用して欲しいということだ。若くして退団して、もう指導者に甘んじている人が多すぎて本当に残念だ。
 東京バレエ団がどうのこうのとは知らないが、組織というものは一般的に理不尽に動く。その中で弾かれる才能も少なくない。弾かれたからといって、踊り手が自らのダンサーとしての命を自分で断つ必要はない。ぜひ、次回は井脇カンパニーに参加して欲しい。
 日本のダンス環境は酷い。例えば、海外から客演は招いても、国内のカンパニー間で客演を招くことはまずない。この井脇カンパニーだけは、カンパニーに現役として属する、退団していたとしても現役の力のあるダンサーを一堂に介すことをしている唯一のカンパニーである。活きのいい日本人ダンサーが同じ舞台で火花を散らすところをみられる数少ない必見の舞台なのだ。

神よ、あなたは本当にいるのですか?

「アマデウス」のサリエリのように思います。




父、団十郎を若くして天に奪われ、そして、今度は愛妻まで恐怖の渕に。ああ、今の歌舞伎界を背負っている、希望の星、海老蔵さん。私は祈るしかできないが、涙が出てたまらないです。あなたの芝居でどれほど楽ませてもらったか。それだけでない。あなたの芝居にかける姿勢は、伝統を重んじながらも常に革新していこうというチャレンジ性に富んでいて、私はこの若き青年の生き方にどれほど…。そのチャレンジも、話題性作りとか、商売っけとか、そんな低級ではありません。たとえば、あなたがルテアトル銀座での興行で挑戦した、歌舞伎でありながら、現代口語演劇の発声や演劇手法を取り入れた時の驚き。それを歌舞伎芝居のなかで見事に昇華させ、いまや、あの歌舞伎座での芝居でも、時々、披露するようになった。私はどれほど驚いたか。大演目に活き活きとした現代演劇の息吹を注入したのは、あなたです。
 大名跡を背負うことに負けていない、越えて行く人物は今もいるんだと。

 それにしても、今でも悔しい。お父さんとの「オセロ」が見られなかったことがどれだけ残念だったか。
 幸いなことに来月の歌舞伎座の入場券を手にしています。しかし、きっと涙なくしては見られないでしょう。

どうか、奥様のご快復を心よりお祈りします。

2016年6月9日

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