佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10

 ロイヤルバレエの「不思議の国のアリス」@東京文化会館を観る。イギリスにとってキラーコンテンツのアリスのバレエ版である。とても良くできた作品で、アリスのことだけでなく、バレエのことを知ってれば知ってるほど笑える、楽しめるバレエのパロディがてんこ盛り。映像や視覚のトリック、文楽的な手法なども上手く取り入れている。音楽も19世紀のものでも21世紀のものでもないが、現代に作られたそれは伝わってくる。2時間50分の公演は楽しんだのだが、もちろんバレエではあるのだが、味わった感想がちょいとね、ちょいとディズニーランドなどのショーの感慨と同じなのだ。つまり、バレエの高揚感に欠けるという作品。一方で演劇的な部分は多くある。一番喝采を得ていたのが、ディズニーアニメと同じ役作りのハートの女王であった。そう、相当ディズニーの1950年代の不思議の国のアリスに影響を受けていたなあと思った。この作品についてひと言申し上げると、冒頭の部分が長過ぎる。例に寄って現実のイギリスのティーパーティに集まった人たちは、あとの不思議の国に出てくる人なのは分かっているのだが、そこはバレエ的なオモシロさもほとんどないし、それなら、もっとコンパクトにしてくれればいいのにと思った。そうすると休憩を外して1時間40分くらいになる。これだともっと見やすいのになあと思った。このバレエの多くの役柄に求められているのは高度な技術力よりも、演劇的な演技力という作品。しかし、バレエなのである。新しいバレエ作品としての売れるコンテンツをこうやって世界は探しているのである。今宵もぼ満席だった。2013年7月5日@東京バレエ団

http://youtu.be/0mBuL38dLgI

英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演
「不思議の国のアリス」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ジョビー・タルボット
編曲:クリストファー・オースティン、ジョビー・タルボット

-------------------------

アリス:サラ・ラム
ジャック/ハートの騎士:フェデリコ・ボネッリ
ルイス・キャロル/白うさぎ:エドワード・ワトソン
アリスの母/ハートの女王:ゼナイダ・ヤノウスキー
アリスの父/ハートの王:ギャリー・エイヴィス
マジシャン/いかれ帽子屋:スティーヴン・マックレー
ラジャ/イモ虫:エリック・アンダーウッド
侯爵夫人:フィリップ・モズリー
牧師/三月うさぎ:リカルド・セルヴェラ
聖堂番/眠りネズミ:ジェームズ・ウィルキー
料理女:クリステン・マクナリー
召使い/さかな:ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル:蔵 健太
アリスの姉妹たち:ベアトリス・スティックス=ブルネル、リャーン・コープ
執事/死刑執行人:マイケル・ストイコ
3人の庭師:ジェームズ・ヘイ、ダヴィッド・チェンツェミエック、ヴァレンティノ・ズケッティ
不思議の国の登場人物たち:英国ロイヤル・バレエ団

指揮者:デヴィッド・ブリスキン
オーケストラ:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

PR
演目
一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき) 一幕
二、四代目市川猿之助襲名披露 口上(こうじょう) 一幕
三、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)川連法眼館の場 一幕


出演者
■毛  抜
粂寺弾正 市 川 右  近
小野春道 市 川 猿  弥
秦秀太郎 市 川 春  猿
小野春風 市 川 笑  也

■口  上
亀治郎改 め 市 川 猿之助 幹部俳優出演

■義経千本桜 
佐藤忠信 忠信実は源九郎狐   亀治郎改 め 市 川 猿之助
川連法眼 市 川 寿  猿
静御前 市 川 門之助
源義経 中 村 梅  玉

■毛抜(けぬき)
 小野春道の館では、家宝の短冊が盗まれて御家騒動が起こり、さらに姫君錦の前が病にかかったため輿入れが先延ばしとなっています。そこへ姫の様子を伺いに、許嫁の文屋豊秀の家臣粂寺弾正がやって来ます。髪の毛が逆立つという姫の奇病を見た弾正が、思案しながら毛抜で髭を抜いていると、不思議なことに毛抜が宙に浮き始めます。これを見て病の原因に思い当たった弾正は真相を突き止め、悪人から短冊も取り返し、悠々と屋敷を後にするのでした。
 豪快な弾正が事件を解決しながら、悪事を曝いていく荒事の一幕。遊戯性に溢れ、明るくユーモアたっぷりの弾正が活躍する歌舞伎十八番をお楽しみください。

■口上(こうじょう)
 平成二十四年六月、東京の新橋演舞場で二代目市川亀治郎が四代目市川猿之助を襲名し、その襲名興行は大きな話題となりました。このたびは、猿之助が各地の皆様に襲名の御挨拶を申し上げます。

■義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 吉野にある川連法眼の館に匿われている源義経のもとへ家臣の佐藤忠信が訪ねて来ます。そこへ静御前と忠信の到着が告げられますが、やって来たのは静ひとり。不審に思った義経はもうひとりの忠信の詮議を命じます。静御前が初音の鼓を打つと、どこからか忠信が現れます。実はこの忠信は、初音の鼓の皮に用いられた夫婦狐の子。親を慕い、忠信の姿に化けて鼓と静御前に付き添っていたのです。孝心に感嘆した義経が、静を守護した褒美として鼓を与えると、狐は喜んで古巣へ帰って行くのでした。
 義太夫狂言三大名作のひとつ『義経千本桜』の中でも有名な「四の切」。澤瀉屋型ならではの数々の仕掛けや早替りなど趣向溢れる華やかな一幕です。親子の情愛を描いた名作をご覧ください。
 昨年市川亀治郎から襲名をした四代目市川猿之助が満を持して登場。『義経千本桜 川連法眼館の場』(通称「四の切」)を上演するこの公演は、襲名後初の巡業であり、江戸川でその初日を華々しく飾ります。

2013年7月1日@江戸川区総合文化センター  大ホール
ロシア人指揮者というと、ぶっちぎり系演奏の人も多い。軸はあっても詳細なところは荒れれのれ。その代表格がロジェストヴィンスキー。詳細までがっちり制御するのがムラヴィンスキー。2009年の春、旅でよったザグレブの夜。クラシックコンサートがあるというので、出かけたザグレブフィルの定期で、確かチャイコフスキーを聴かせてくれたのが、キタエンコだった。名前は知っていたけれど初めて聴いた。何か、いいのだ。骨は太いのだが、興奮してテンポが異常に早くなることも、最初から最後まで大げさに歌ってみせたりもしない。きちんと組み立て、心を込めて音楽を作って行く。クール&ビューティ。フレージングはしっかりするし、ボーイングも大切にする(ロシア系結構と雑)、個々の名人芸も尊重する。でも骨はどかーんとある。
 帰ってきてN響の定期に出演すると喜んでチケット買ったのに行けなかった。そんで、ずーっとお預け。東京交響楽団の定期のラインナップ見て好きな指揮者がぎょうさんいた。その一人が、キタエンコ。もうひとりが来月のミッシェルプラソン。
 そのキタエンコ登場の定期が6月最後の日、日曜のマチネにあった。
 もちろんプロコフィエフのチェロ協奏曲も良かったけれど、楽員と2回のコンサートとは思えないほどの充実なラフマニノフ交響曲第2番。
 このメロウなロマンチックな音楽は、この作曲家の心の幻想が花火のように無造作に飛び出てくるから、楽想が急に変わったりするギアチェンジや、細かいところにこだわらないと面白くない。それがね、何かすごく良かったんですよ。俺の愛するN響も今年ウンジャンという指揮者と取り組んだけれど、東京交響楽団のそれは、指揮者とオーケストラの一体感がさらに強くてよかったな。
 東京交響楽団。ジョナサンノットが音楽監督を受け入れた理由が、たった2回のコンサートで分かったような気がする。2013年6月30日@サントリーホール


指揮 シャルルデュトワ

【プログラムA】
シベリウス: 「カレリア」組曲 op.11
ドビュッシー: 海
    ***
バルトーク: バレエ「中国の不思議な役人」op.19 組曲
ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲

2013年6月25日@文京シビックセンター

【プログラムB】
ウェーバー: オペラ「オイリアンテ」序曲
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
               (ヴァイオリン:イェウン・チェ)
    ***
ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14

2013年6月26日@東京文化会館
ナイロン100℃結成20周年記念企画第三弾 ナイロン100℃ 40thSESSION
「わが闇」(再演)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ 峯村リエ みのすけ 三宅弘城 大倉孝二 松永玲子
長田奈麻 廣川三憲 喜安浩平 吉増裕士 皆戸麻衣 / 岡田義徳 坂井真紀 長谷川朝晴

2013年6月24日@本多劇場



其俤対編笠
一、鞘當(さやあて)
   
不破伴左衛門 橋之助
名古屋山三 勘九郎
茶屋女房お駒 魁 春

六歌仙容彩
二、喜撰(きせん)
   
喜撰法師 三津五郎
所化 秀 調
同 亀三郎
同 亀 寿
同 松 也
同 梅 枝
同 歌 昇
祇園のお梶 時 蔵

平家女護島
三、俊寛(しゅんかん)
   
俊寛僧都 吉右衛門
丹波少将成経 梅 玉
海女千鳥 芝 雀
平判官康頼 歌 六
瀬尾太郎兼康 左團次
丹左衛門尉基康 仁左衛門


第二部

一、壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経 仁左衛門
曽我十郎 菊之助
曽我五郎 海老蔵
化粧坂少将 七之助
八幡三郎行氏 松 江
近江小藤太成家 男女蔵
梶原平次景高 亀 蔵
梶原平三景時 市 蔵
鬼王新左衛門 愛之助
小林妹舞鶴 孝太郎
大磯の虎 芝 雀


二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)
僧智籌実は土蜘の精 菊五郎
待女胡蝶 魁 春
巫子榊 芝 雀
番卒太郎 翫 雀
同 次郎 松 緑
同 藤内 勘九郎
太刀持音若 玉太郎
石神 実は小姓四郎吾 藤間大河
坂田主馬之丞公時 尾上右近
卜部勘解由季武 亀 寿
碓井靭負之丞貞光 亀三郎
渡辺源次綱 権十郎
平井保昌 三津五郎
源頼光 吉右衛門

第三部
一、御存 鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)
   
幡随院長兵衛 幸四郎
東海の勘蔵 團 蔵
飛脚早助 錦 吾
北海の熊六 家 橘
白井権八 梅 玉


十二世市川團十郎に捧ぐ
二、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
  河東節十寸見会御連中
   
花川戸助六 海老蔵
三浦屋揚巻 福 助
通人里暁 三津五郎
朝顔仙平 又五郎
福山かつぎ 菊之助
三浦屋白玉 七之助
男伊達山谷弥吉 亀 鶴
同  田甫富松 松 也
同  竹門虎蔵 歌 昇
同 砂利場石造 萬太郎
同  石浜浪七 巳之助
傾城八重衣 壱太郎
同  浮橋 新 悟
同  胡蝶 尾上右近
同  愛染 米 吉
同 誰ヶ袖 児太郎
茶屋廻り 竹 松
同 廣太郎
同 種之助
同 廣 松
文使い番新白菊 歌 江
奴奈良平 亀 蔵
国侍利金太 市 蔵
遣手お辰 右之助
三浦屋女房お京 友右衛門
曽我満江 東 蔵
髭の意休 左團次
くわんぺら門兵衛 吉右衛門
白酒売新兵衛 菊五郎
   
口上 幸四郎

第1部&第2部 2013年6月12日
第3部 2013年6月21日 @歌舞伎座


◆主な配役◆

ラ・シルフィード:渡辺理恵
ジェイムズ:柄本弾
エフィー(花嫁):吉川留衣
ガーン(ジェイムズの友人):永田雄大
マッジ(魔法使い):木村和夫
アンナ(ジェイムズの母):坂井直子

【第1幕】
パ・ド・ドゥ:高木綾-梅澤紘貴

【第2幕】
シルフィード(ソリスト):乾友子-矢島まい-川島麻実子

指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック交響楽団
協力: 東京バレエ学校
2013年6月15日@東京文化会館

◆主な配役◆

ラ・シルフィード:沖香菜子
ジェイムズ:松野乃知
エフィー(花嫁):河谷まりあ
ガーン(ジェイムズの友人):和田康佑
マッジ(魔法使い):後藤晴雄
アンナ(ジェイムズの母):坂井直子

【第1幕】
パ・ド・ドゥ:奈良春夏-原田祥博

【第2幕】
シルフィード(ソリスト):乾友子-矢島まい-川島麻実子
2013年6月16日@東京文化会館

チョンミンフン指揮 
ベートーベン作曲 交響曲第2番
ロッシーニ作曲 スターバト・マーテル

2013年6月14日@NHKホール
劇団新派「金色夜叉」@三越劇場 鑑賞。三越劇場というアールヌーボーの美しい日本では数少ない劇場には、僕が生まれる前の昭和の空気が残っていて、劇場としてはいろいろと問題もあるのかもしれないが、東京でも独特の劇場だ。そこに劇団新派が立つとそこに時代が立ち上がる。流れる空気が平成の忙しいものから、もう小津安二郎監督映画や溝口健二の映画でしか観られない、影の中にしか残っていない空気が立ち上がる。亡くなった森光子、山田五十鈴、田中絹代、京マチコ、そして杉村春子といった僕にとっての本物の女優が逝ったいま、日本でこの空気を作り出せるカンパニーはもう劇団新派でしかない。それは、水谷八重子や波乃久里子といった看板女優だけでなく、今回も大活躍した田口守や高橋よしこ、伊東みどり(今回は出演していない)といった脇役にもいえる。さらに、劇団新派には希望がある。瀬戸摩純や井上恭太(今回は出演していない)といった俳優にもその精神は引き継がれているからだ。新派が、日本の和物の殿堂であることは前から言ってるけれども、今回は、この若い男女の華際を演じるには若干年齢が高いキャスティングにも関わらず、見事に演じたのを見て思ったのは、何回も生の舞台を拝見した杉村春子の「女の一生」やブランチを彼女が70歳を遥か越えて演じていたのにだぶる。何しろ波乃久里子が、まだ成熟しきっていない女を見事に演じるのだ。そして、過去を後悔する自分と、人生の過ちを受け入れられない思いを見事に演じきる。若さってこうだよなあと思いつつ観た。
 そして、水谷八重子が面白い。とことん楽しい。女の性を根っこに芝居で笑わせるから、笑いの奥が深い。「東京物語」「華岡青洲の妻」「お嬢さんに乾杯」でも思ったけれど、こういう役柄をやると僕は山田五十鈴を思い出して仕方が無い。水谷さん「たぬき」とかやらないのかなあ。3時間と、ちと上演時間が長いのが唯一の欠点だが、まあそれは細かい部分。退屈な時間はなかったのだから。ただ、相変わらず客席がお年寄りばかりで、僕がもっとも若い年齢の観客層というのは平日の午後としてもちょっと哀しい。何とかもっと若い人見てもらえないか。せめて、若く日本人として芝居のプロを志す俳優のタマゴさんたちには見てもらえないかと思う。この観劇経験が将来のどれだけの財産になるのか分かっていないのか。水谷八重子、波乃久里子のような空気感をもった女優って他に誰がいるだろうと思ったら、あともう1人思い出した。それは、自分の小さなカンパニーの芝居にでてもらったことがある、それは、奇跡のような出会いからだったからなのだけれど、文学座の新橋耐子さんくらいだなと思う。
2013年6月12日@三越劇場


2013年6月2日@東京シアターオーブ
<< 前のページ 次のページ >>
最新記事
(08/28)
(06/25)
(06/10)
(12/30)
(02/21)
(12/31)
(09/28)
(06/09)
(05/12)
(12/31)
(09/08)
(06/02)
(02/09)
(01/10)
(12/31)
(10/17)
(10/13)
(08/02)
(04/11)
(12/31)
(10/10)
(09/14)
(09/10)
(09/07)
(08/31)
プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
カレンダー
08 2018/09 10
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
フリーエリア
最新CM
[08/24 おばりーな]
[02/18 清水 悟]
[02/12 清水 悟]
[10/17 栗原 久美]
[10/16 うさきち]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]