自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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100年近く前の時代を背景にかかれた作品を現代に上演するということはどういうことか。それを考えさせてくれたのがケラリーノサンドロヴィッチ潤色、演出のナイロン100℃『パン屋文六の思案~続・岸田國士一幕劇コレクション~』である。大正の終わりから昭和一桁に書かれた岸田國士の作品を上演した。7年ほどまえにも岸田作品の一幕ものを上演している。今回もさまざまな作品をひとつの作品として絡めてコラージュしている。それでもきちんと区切りもつけるために、作品の終わりごとに、原作名と出演者と演者を紹介する。
3時間10分の作品を通して古さは感じられない。原作を読んだわけではないのだが、作品を再演するということはこういうことなのではないか。
日本での古典での上演は、特に新劇系の、もしくは宗教的に作品と作者を信奉するグループの作品に見られるように、まるで博物館、史料館を訪れたような気分になってしまう上演が多い。
ケラさんの作品にはそれがない。今までこの世に産み出された素晴らしい作品を心から愛するケラさんではあるが、それを神棚にあげて奉るような失礼な事はしない。現代の視点できちんと見つめ、作品の本質をつかんで上演する。だから見ていて古さは何にもないのだ。
ケラさんは自分の思いを伝えたくて伝えたくてたまらない。劇場に入ると、多くのやじろべえというかモービルのオブジェが下がっている。そして、舞台上にはやじろべえのように、何とかバランスを保っている人間やじろべえが創出される。やじろべえは手で故意に触れるとグラグラと揺らぐ。でも、まあ元の鞘に納まって行く。その揺れ具合を舞台で創出している。舞台のど真ん中の頭上に大きくあるのはシンプルなやじろべえ、その先には XX XY と書かれている。岸田の時代にはまだ解明されていない染色体である。男と女。うーーーん、分かりやすい。流れる音楽は、この時代の少しあとの昭和を彩ったエノケン。舞台にある美術はまるでカンディンスキーである。色使いも線も。ワシリーカンディンスキーはロシア出身の画家で、ピカソやミロやいろんな画家に影響を与えた19世紀の人。その作品もよく分からないものがひとつのキャンパスに創出されるが、不思議とバランスが取れているものだ。
ナイロン100℃の上演の魅力のひとつはその俳優陣であることを否定する人はいないだろう。僕はテレビや映画で大人計画出身の俳優達が山ほど出ているのに対し、こんなに魅力的なナイロン系の俳優陣がイマイチなのが残念でたまらない。ケラさんは自分の劇団の俳優を、いや俳優そのものを愛している。ナイロン100℃の若手にもきちんと爪痕を残せるような役回りを作った台本には俳優への深い愛情を感じるはずだ。べらぼうにうまい松永玲子や味わいのあるみのすけ。出演者が多いのでケラさんが理解している事をどれだけ分かってやってるのかな?と思う役者もいるし、でかい役をもらっている人も、ああ、ここは得意なんだ。ここは綱渡りなんだ。あれ、あれ?みたいなところもあるし。ちょっと悪目立ちだなあと思う瞬間もあったりするのだが、やじろべえのように、何か上手ーーく落ち着くところに落ち着くのだ。
ひとつだけ、俳優さんのこと。緒川たまきさんの立ち姿が美しい。あれ、自然に見えているが大変なのである。まるで歌舞伎俳優のように舞台に立ち向かうのであった。
円形劇場、どこから見ても面白い。不思議な演劇やじろべえをご覧あれ。
2014年4月10日
3時間10分の作品を通して古さは感じられない。原作を読んだわけではないのだが、作品を再演するということはこういうことなのではないか。
日本での古典での上演は、特に新劇系の、もしくは宗教的に作品と作者を信奉するグループの作品に見られるように、まるで博物館、史料館を訪れたような気分になってしまう上演が多い。
ケラさんの作品にはそれがない。今までこの世に産み出された素晴らしい作品を心から愛するケラさんではあるが、それを神棚にあげて奉るような失礼な事はしない。現代の視点できちんと見つめ、作品の本質をつかんで上演する。だから見ていて古さは何にもないのだ。
ケラさんは自分の思いを伝えたくて伝えたくてたまらない。劇場に入ると、多くのやじろべえというかモービルのオブジェが下がっている。そして、舞台上にはやじろべえのように、何とかバランスを保っている人間やじろべえが創出される。やじろべえは手で故意に触れるとグラグラと揺らぐ。でも、まあ元の鞘に納まって行く。その揺れ具合を舞台で創出している。舞台のど真ん中の頭上に大きくあるのはシンプルなやじろべえ、その先には XX XY と書かれている。岸田の時代にはまだ解明されていない染色体である。男と女。うーーーん、分かりやすい。流れる音楽は、この時代の少しあとの昭和を彩ったエノケン。舞台にある美術はまるでカンディンスキーである。色使いも線も。ワシリーカンディンスキーはロシア出身の画家で、ピカソやミロやいろんな画家に影響を与えた19世紀の人。その作品もよく分からないものがひとつのキャンパスに創出されるが、不思議とバランスが取れているものだ。
ナイロン100℃の上演の魅力のひとつはその俳優陣であることを否定する人はいないだろう。僕はテレビや映画で大人計画出身の俳優達が山ほど出ているのに対し、こんなに魅力的なナイロン系の俳優陣がイマイチなのが残念でたまらない。ケラさんは自分の劇団の俳優を、いや俳優そのものを愛している。ナイロン100℃の若手にもきちんと爪痕を残せるような役回りを作った台本には俳優への深い愛情を感じるはずだ。べらぼうにうまい松永玲子や味わいのあるみのすけ。出演者が多いのでケラさんが理解している事をどれだけ分かってやってるのかな?と思う役者もいるし、でかい役をもらっている人も、ああ、ここは得意なんだ。ここは綱渡りなんだ。あれ、あれ?みたいなところもあるし。ちょっと悪目立ちだなあと思う瞬間もあったりするのだが、やじろべえのように、何か上手ーーく落ち着くところに落ち着くのだ。
ひとつだけ、俳優さんのこと。緒川たまきさんの立ち姿が美しい。あれ、自然に見えているが大変なのである。まるで歌舞伎俳優のように舞台に立ち向かうのであった。
円形劇場、どこから見ても面白い。不思議な演劇やじろべえをご覧あれ。
2014年4月10日
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感想は短文では、Twitterのアカウント satoharuhiko2 。少し長めの感想は、Facebook https://www.facebook.com/haruhiko.sato.503 に記しております。よろしければ読んでやって下さい。
9月6日 ミラノスカラ座「ファルスタッフ」ハーディング指揮@東京文化会館
9月7日 文楽 通し狂言 伊賀越道中双六「第二部」@国立劇場
9月9日 ミラノスカラ座「リゴレット」ドゥダメル指揮@NHKホール
9月11日 N響&ブロムシュテット ブラームス交響曲第1番ほか@サントリーホール
9月12日 ミラノスカラ座「ファルスタッフ」@東京文化会館
9月14日 新日フィル メッツマッハー チャイコ5番、法悦の詩ほか@サントリーホール
9月16日 ミラノスカラ座 ガラコンサート ドゥダメル指揮 @NHKホール
9月19日 ミラノスカラ座「アイーダ(コンサート)」ドゥダメル指揮@NHKホール
9月20日 ミラノスカラ座バレエ「ロミオとジュリエット」@東京文化会館
9月20日 N響&ブロムシュテット ブラームス交響曲第2&3番@NHKホール
9月27日 N響&ブロムシュテット ブラームス交響曲第4番VC@NHKホール
10月4日 フランス国立フィル チョンミンフン指揮 カルメン、ラヴァルスほか @NHKホール
10月9日 N響&ノリントン指揮 ベートーベン交響曲6番、ピアノ協奏曲2番ほか @サントリーホール
10月20日 N響&ノリントン指揮 ベートーベン交響曲8番 ほか @NHKホール
10月21日 文学座 松井周作 未来を忘れる @文学座アトリエ
10月31日 東京春祭特別オケ リッカルドムーティ指揮 ヴェルディプロ @すみだトリフォニー
11月3日 都響&インバル マーラー交響曲6番@東京芸術劇場
11月4日 パリ管弦楽団@パーヴォヤルヴィ プロコフィエフ交響曲5番ほか@東京文化会館
11月7日 パリオペラ座バレエ キリアン×勅使河原他 @パリオペラ座(ガルニエ)
11月11日 パリオペラ座「エレクトラ」フィリップジョルダン指揮@パリオペラ座(バスチーユ)
11月12日 パリオペラ座「アイーダ」フィリップジョルダン指揮@パリオペラ座(バスチーユ)
11月17日 ウィーンフィル&ティーレマン ベートーヴェン8&9番@サントリーホール
11月21日 N響&ソヒエフ+諏訪内 ショスタコV協2&チャイコ5番@サントリーホール
11月22日 歌舞伎「毛抜き」獅童「連獅子」右近 ほか@明治座
11月30日 N響&デュトワ+ハフ リストP協1、ショスタコ15@NHKホール
12月7日 N響&デュトワ プーランク「グローリア」ベルリオーズ「テデウム」@NHKホール
12月8日 トリノ歌劇場「トスカ」@東京文化会館
12月9日 文学座「太陽の虹を見ると私の心は踊る」鄭義信作@紀伊国屋サザンシアター
12月9日 バッハコレギウムJAPAN モーツアルト「レクイエム」@東京オペラシティ
12月11日 クレーラーミュラー美術館展@新国立美術館(乃木坂)
12月17日 王立美術館(オールドマスター部門)@ブリュッセル
12月17日 ベルギーモネ歌劇場 トマ「ハムレット」@ブリュッセルモネ歌劇場
12月19日 アムステルダム国立博物館@アムステルダム オランダ
12月20日 アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団定期演奏会@コンセルトヘボウ 指揮 Tピノック
12月20日 ネーデルランドオペラ プロコフィエフ「賭博師」@ミュージックテアター アムステルダム
12月21日 クレーラーミュラー美術館@クレーラーミュラー美術館 オッテルロー オランダ
9月6日 ミラノスカラ座「ファルスタッフ」ハーディング指揮@東京文化会館
9月7日 文楽 通し狂言 伊賀越道中双六「第二部」@国立劇場
9月9日 ミラノスカラ座「リゴレット」ドゥダメル指揮@NHKホール
9月11日 N響&ブロムシュテット ブラームス交響曲第1番ほか@サントリーホール
9月12日 ミラノスカラ座「ファルスタッフ」@東京文化会館
9月14日 新日フィル メッツマッハー チャイコ5番、法悦の詩ほか@サントリーホール
9月16日 ミラノスカラ座 ガラコンサート ドゥダメル指揮 @NHKホール
9月19日 ミラノスカラ座「アイーダ(コンサート)」ドゥダメル指揮@NHKホール
9月20日 ミラノスカラ座バレエ「ロミオとジュリエット」@東京文化会館
9月20日 N響&ブロムシュテット ブラームス交響曲第2&3番@NHKホール
9月27日 N響&ブロムシュテット ブラームス交響曲第4番VC@NHKホール
10月4日 フランス国立フィル チョンミンフン指揮 カルメン、ラヴァルスほか @NHKホール
10月9日 N響&ノリントン指揮 ベートーベン交響曲6番、ピアノ協奏曲2番ほか @サントリーホール
10月20日 N響&ノリントン指揮 ベートーベン交響曲8番 ほか @NHKホール
10月21日 文学座 松井周作 未来を忘れる @文学座アトリエ
10月31日 東京春祭特別オケ リッカルドムーティ指揮 ヴェルディプロ @すみだトリフォニー
11月3日 都響&インバル マーラー交響曲6番@東京芸術劇場
11月4日 パリ管弦楽団@パーヴォヤルヴィ プロコフィエフ交響曲5番ほか@東京文化会館
11月7日 パリオペラ座バレエ キリアン×勅使河原他 @パリオペラ座(ガルニエ)
11月11日 パリオペラ座「エレクトラ」フィリップジョルダン指揮@パリオペラ座(バスチーユ)
11月12日 パリオペラ座「アイーダ」フィリップジョルダン指揮@パリオペラ座(バスチーユ)
11月17日 ウィーンフィル&ティーレマン ベートーヴェン8&9番@サントリーホール
11月21日 N響&ソヒエフ+諏訪内 ショスタコV協2&チャイコ5番@サントリーホール
11月22日 歌舞伎「毛抜き」獅童「連獅子」右近 ほか@明治座
11月30日 N響&デュトワ+ハフ リストP協1、ショスタコ15@NHKホール
12月7日 N響&デュトワ プーランク「グローリア」ベルリオーズ「テデウム」@NHKホール
12月8日 トリノ歌劇場「トスカ」@東京文化会館
12月9日 文学座「太陽の虹を見ると私の心は踊る」鄭義信作@紀伊国屋サザンシアター
12月9日 バッハコレギウムJAPAN モーツアルト「レクイエム」@東京オペラシティ
12月11日 クレーラーミュラー美術館展@新国立美術館(乃木坂)
12月17日 王立美術館(オールドマスター部門)@ブリュッセル
12月17日 ベルギーモネ歌劇場 トマ「ハムレット」@ブリュッセルモネ歌劇場
12月19日 アムステルダム国立博物館@アムステルダム オランダ
12月20日 アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団定期演奏会@コンセルトヘボウ 指揮 Tピノック
12月20日 ネーデルランドオペラ プロコフィエフ「賭博師」@ミュージックテアター アムステルダム
12月21日 クレーラーミュラー美術館@クレーラーミュラー美術館 オッテルロー オランダ
"Conductor in Residence"就任記念はエキサイティング・チャイコフスキー
―インゴ・メッツマッハー Conductor in Residence就任披露公演―
ムソルグスキー作曲(R.コルサコフ編) 歌劇『ホヴァーンシチナ』前奏曲「モスクワ川の夜明け」 *
スクリャービン作曲 法悦の詩 op.54 *
チャイコフスキー作曲 交響曲第5番ホ短調 op.64
2013年9月14日@サントリーホール
―インゴ・メッツマッハー Conductor in Residence就任披露公演―
ムソルグスキー作曲(R.コルサコフ編) 歌劇『ホヴァーンシチナ』前奏曲「モスクワ川の夜明け」 *
スクリャービン作曲 法悦の詩 op.54 *
チャイコフスキー作曲 交響曲第5番ホ短調 op.64
2013年9月14日@サントリーホール
2013年9月6日(金)18:30開演/東京文化会館
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 「ファルスタッフ」全3幕
Giuseppe Verdi FALSTAFF Commedia lirica in tre atti
指揮:ダニエル・ハーディング Direttore:Daniel Harding
演出:ロバート・カーセン Regia:Robert Carsen
In coproduzione con Royal Opera House, Covent Garden, Londra; Canadian Opera Company, Toronto
The Metropolitan Opera, New York; The Nederlandse Opera, Amsterdam
サー・ジョン・ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ Sir John Falstaff:Ambrogio Maestri
フォード:マッシモ・カヴァレッティ* Ford:Massimo Cavalletti
フェントン:アントニオ・ポーリ Fenton:Antonio Poli
医師カイウス:カルロ・ボージ Dr. Cajus:Carlo Bosi
バルドルフォ:リッカルド・ボッタ Bardolfo:Riccardo Botta
ピストラ:アレッサンドロ・グェルツォーニ Pistola:Alessandro Guerzoni
フォード夫人アリーチェ:バルバラ・フリットリ Mrs. Alice Ford:Barbara Frittoli
ナンネッタ:イリーナ・ルング Nannetta:Irina Lungu
クイックリー夫人:ダニエラ・バルチェッローナ Mrs. Quickly:Daniela Barcellona
ページ夫人メグ:ラウラ・ポルヴェレッリ Mrs. Meg Page:Laura Polverelli
ミラノ・スカラ座管弦楽団、ミラノ・スカラ座合唱団 Orchestra e Coro del Teatro alla Scala
2013年9月6日(金)18:30開演/東京文化会館
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 「リゴレット」全3幕
Giuseppe Verdi RIGOLETTO Melodramma in tre atti
指揮:グスターボ・ドゥダメル Direttore:Gustavo Dudamel
演出:ジルベール・デフロ Regia Gilbert Deflo
マントヴァ公爵:フランチェスコ・デムーロ Il Duca di Mantova:Francesco Demuro
リゴレット:レオ・ヌッチ Rigoletto:Leo Nucci
ジルダ:エレーナ・モシュク Gilda:Elena Mosuc
スパラフチーレ:アレクサンドル・ツィムバリュク Sparafucile:Alexander Tsymbalyuk
マッダレーナ:ケテワン・ケモクリーゼ Maddalena:Ketevan Kemoklidze
2013年9月9日(月)18:30開演/NHKホール
2013年9月
ラヴェル:オペラ「こどもと魔法」「スペインの時」 グラインドボーン音楽祭との共同制作。
「こどもと魔法」
出演: こども:イザベル・レナード
肘掛椅子、木:ポール・ガイ
母親、中国茶碗、とんぼ:イヴォンヌ・ネフ
火、お姫様、うぐいす:アナ・クリスティ
雌猫、りす:マリー・ルノルマン
大時計、雄猫:エリオット・マドア
小さな老人、雨蛙、ティーポット:ジャン=ポール・フーシェクール
安楽椅子、こうもり:藤谷佳奈枝
合唱:SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団
「スペインの時」
出演: コンセプシオン(時計屋の女房):イザベル・レナード
ラミロ(ロバ引き):エリオット・マドア
トルケマダ(時計屋):ジャン=ポール・フーシェクール
ゴンザルヴ(詩人気取りの学生):デイビット・ポーティロ
ドン・イニーゴ・ゴメス(銀行家):ポール・ガイ
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾「こどもと魔法」、ステファヌ・ドゥネーヴ「スペインの時」
演出:ロラン・ペリー
装置:バーバラ・デリンバーグ「こどもと魔法」
キャロリーヌ・ジネ「スペインの時」
オリジナルデザイン:キャロリーヌ・ジネ、フロランス・エヴラール
照明:ジョエル・アダン
衣裳:ロラン・ペリー/ジャン=ジャック・デルモット
「小沢征爾さんありがとう」
今回で5回目くらいの同音楽祭だが、前回の「ヴォッエック」の時にも思ったけれども、まつもと芸術市民館という世界にも誇れる素晴らしいホールを得て、この音楽祭は本当に充実するようになった。これで、日本のオケをひとつ、海外のオケをひとつゲストとして呼んでもっと大きなものにすれば、松本に滞在し、音楽祭を楽しむ人も増えるだろうにと思うくらい。僕は日帰りだった。
先ずはこの音楽祭のオペラ上演らしく、あまり上演されない現代、もしくはそれに近いオペラを世界最高峰のレベルで上演するという具合は今回も成立していた。二つのオペラとも高いレベルであった。子どもと魔法は昨年のN響・デュトワの名演のあととうこともあるけれど、あれだけ実際に見せられるとなあとも思う。コンサート形式で上演し、観客の頭の中で舞台があるくらいでいい作品だと思う。反対に後者の「スペインの時」は上演するのにふさわしいオペラだと思った。
まあ、そんなことよりも、僕は小澤さんのボストン交響楽団との初来日から35年以上に渡って、音楽を聴き続けてきた。77才の小澤サンはご存知のように食道がんとの闘病中。キャンセルも多い。そういう中で今年は相当の熱意をもって望まれている。指揮もムリをせず、1時間弱の上演。時折立ち上がって指揮もするし、はねるようではないが十分元気。ああ、よかった。終演後。手が痛くなるくらい拍手をし、長年の感謝の思いもブラボーと叫ばせてもらった。
2013年8月31日 まつもと市民芸術館
「こどもと魔法」
出演: こども:イザベル・レナード
肘掛椅子、木:ポール・ガイ
母親、中国茶碗、とんぼ:イヴォンヌ・ネフ
火、お姫様、うぐいす:アナ・クリスティ
雌猫、りす:マリー・ルノルマン
大時計、雄猫:エリオット・マドア
小さな老人、雨蛙、ティーポット:ジャン=ポール・フーシェクール
安楽椅子、こうもり:藤谷佳奈枝
合唱:SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団
「スペインの時」
出演: コンセプシオン(時計屋の女房):イザベル・レナード
ラミロ(ロバ引き):エリオット・マドア
トルケマダ(時計屋):ジャン=ポール・フーシェクール
ゴンザルヴ(詩人気取りの学生):デイビット・ポーティロ
ドン・イニーゴ・ゴメス(銀行家):ポール・ガイ
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾「こどもと魔法」、ステファヌ・ドゥネーヴ「スペインの時」
演出:ロラン・ペリー
装置:バーバラ・デリンバーグ「こどもと魔法」
キャロリーヌ・ジネ「スペインの時」
オリジナルデザイン:キャロリーヌ・ジネ、フロランス・エヴラール
照明:ジョエル・アダン
衣裳:ロラン・ペリー/ジャン=ジャック・デルモット
「小沢征爾さんありがとう」
今回で5回目くらいの同音楽祭だが、前回の「ヴォッエック」の時にも思ったけれども、まつもと芸術市民館という世界にも誇れる素晴らしいホールを得て、この音楽祭は本当に充実するようになった。これで、日本のオケをひとつ、海外のオケをひとつゲストとして呼んでもっと大きなものにすれば、松本に滞在し、音楽祭を楽しむ人も増えるだろうにと思うくらい。僕は日帰りだった。
先ずはこの音楽祭のオペラ上演らしく、あまり上演されない現代、もしくはそれに近いオペラを世界最高峰のレベルで上演するという具合は今回も成立していた。二つのオペラとも高いレベルであった。子どもと魔法は昨年のN響・デュトワの名演のあととうこともあるけれど、あれだけ実際に見せられるとなあとも思う。コンサート形式で上演し、観客の頭の中で舞台があるくらいでいい作品だと思う。反対に後者の「スペインの時」は上演するのにふさわしいオペラだと思った。
まあ、そんなことよりも、僕は小澤さんのボストン交響楽団との初来日から35年以上に渡って、音楽を聴き続けてきた。77才の小澤サンはご存知のように食道がんとの闘病中。キャンセルも多い。そういう中で今年は相当の熱意をもって望まれている。指揮もムリをせず、1時間弱の上演。時折立ち上がって指揮もするし、はねるようではないが十分元気。ああ、よかった。終演後。手が痛くなるくらい拍手をし、長年の感謝の思いもブラボーと叫ばせてもらった。
2013年8月31日 まつもと市民芸術館
尾高忠明指揮 5月11日@NHKホール
ウラディミールフェドセーエフ 指揮 5月18日@NHKホール
ウラディミールフェドセーエフ 指揮 5月18日@NHKホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
HP:
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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