佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 ウィーンフォルクスオパー来日公演  忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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スッペ作曲「ボッカチオ」
演出 ヘルムートローナー
指揮 アンドレアスシュラー
独唱 アンティゴネパポウルカス、マルティナドラーク




 がっかりした。これだからクラシック音楽はつまらないと言われる。イタリアの艶笑話。いろんな女とどうやってセックスするか、妻は妻で退屈な旦那の目を盗んでどうやるかというエロ話が全てのストーリー、主要なエロ話の登場人物の誰からも性欲の絶対性を感じさせる空気も演技もみられない。ボッカチオ役のズボン役以外は声も酷い。あれなら日本の音大出身者で幾らでも唄える人がいる。また合唱陣もただ突っ立っていたり、ただぐるぐる回ったりでキチンと演技が出来ている人がいない。寝取られる3人組の方がコミカルな演技ができていて魅力的。これじゃ喜歌劇の「劇」部分が成立しないではないか。しかし、こちらも唄で3人があわせるところや言葉が細かく音符で刻まれるところなど技術的な問題多数あり。それでも、まだこちらの方が…。
 美術プランもあったもんではない。唯一オーケストラが頑張っていたのが救い。
 エノケンが唄った浅草オペラの名曲がちりばめられた名曲で、珍しい作品なので大枚S席(36000円)で見たのだが、エノケンの唄の方が本場の彼らより数段良かった。
 あと、台詞部分だけドイツ語でやるのは勘弁して欲しい。

2008年5月31日
東京文化会館大ホール



フロトー作曲「マルタ」
指揮 アンドレアス・シュラー
演出 マイケルマッカフェリー
出演 ヘルベルトリッペルト ほか



 フォルクスオパーの面目躍起の公演だった。会場は沸き立ち、単純明快なストーリーにしっとり系とアップテンポな曲、高音を聞かせたり、唄のハーモニーを楽しめるもの、合唱など、さまざまな手法を手を替え品を替えだしてくる手法に観客は飽きるわけもない。それも、庭の千草などいい名曲も入っている。それほど大きな予算を組んでいるわけではないだろうが、場面転換もそこそこあり、衣装や振付け、コーラス、群衆処理などもきちんとされていた。歌手も欧米のオペラハウスのトップクラスとは言わないがこの曲を楽しく聞くには充分の実力者。そして重要な演技力もあって合格点。
 そして、何よりもオーケストラがこの作品を熟知しきちんと楽しませる演奏をしてくれたことが成功の要因だった。休憩中に中年の女性が「わたし、こういう単純な話大好き!」と言っていたことが印象的だった。いや、楽しかったです。◎

2008年6月8日
東京文化会館大ホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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