佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 壱組印 小林秀雄先生来る 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作  原田宗典
演出 大谷亮介
出演 大谷亮介 伴美奈子 草野徹 さとうこうじ 水内清光 ほか

 やっと壱組印を観られた。大谷亮介さんの素晴らしさは、もう幾つもの舞台で見知っていたから今更とか思っていたのです。が、違った。ここでの大谷亮介さんの素晴らしさは、筆舌に尽くし難く重厚かつ軽妙で、ものすごい技術力をもって舞台に望むのだが、それを表にこれぞと出すようなことはしない。すべてがいま人間の内から沸き起こるものとして送出されていく。表現というか、演技というかそれを越えているものなのだ。役をなぞる演技ではまったくない。瑞々しさにあふれた名演!講演が終わったあとの去る姿。その後ろ姿。歩いて行くその姿は、あああ、あの人だ。何と、チャーリーチャップリンが「街の灯」や「ライムライト」で見せた姿とだぶる。
 それに、草野徹さん!この人もこんなにスゴい人だとは。いや、今までも幾つもの舞台での演技を観て来て上手いのはしっていたが、これほどコメディも堂々とされる。素晴らしい。さらに草野さんの演技をみて感じたことは、草野さんがスゴく役を慈しみ大切に育てあげているということ。お芝居を見ていると、主演の役者さんだと、すごい集中力をもって力を入れるシーンと少し遊んでいる?シーンがあったりする。草野さんは、そういう濃淡がない。ひとつひとつをホントに丁寧に作り上げておられる。何かお芝居をする大変さと難しさがすこし分かって来た自分は、それがとても感じられて泣けてきた。自分は技術もないのに、自分の役をこれほど愛して舞台に立ったか?舞台に立つ者としての大前提を突きつけられたように思った。草野さんは、大谷さんが登場する前までの舞台をそういう誠実さで背負った。そこに、佐藤こうじさんの独特の笑いの世界が加わる。ものすごい間の取り方と台詞の音程の素晴らしさ。表情や身体の使い方も本当にプロの中でも超一流。また、扉座の看板女優の伴美奈子ちゃんがまたや大ホームラン。伴美奈子さんも、誠実一筋の人。今回もホントにそれを感じさせてくれた。そして、いやあ、面白い。上手い。すごいなあ。
 終盤の小林秀雄の講演会のシーン。20分に渡る独り台詞は、大谷さんのものすごさが分かる名シーン。まったく飽きないし途切れないどころか、小林秀雄の世界がどんどんと心と頭に入ってくる。しかし、このメンバーだったら、台本がなくても、いやどんな台本でも、とにかく面白くなるんだと。え!?。いやあ、とにかく面白かった。大谷さんがスゴかった。
 
 僕は今日、秘かな野望を持ちました。いつの日か、大谷さんや草野さんと…。





2008年5月28日
新宿THEATER/TOPS
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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