佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 近藤嘉宏ピアノリサイタル 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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近藤嘉宏ピアノリサイタルシリーズ Vol.1
「ピアノの詩人と巨人 ショパン&ラフマニノフ」ラフマニノフ
ヴォカリーズ Op.34-14
前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2「鐘」
ショパン
舟歌 Op.60
スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
ショパン
エチュード 変イ長調 Op.25-1「エオリアンハープ」
エチュード ハ短調 Op.10-12「革命」
エチュード ホ長調 Op.10-3「別れの曲」
エチュード 嬰ハ短調 Op.10-4
ラフマニノフ
楽興の時 Op.16(全6曲)




「ラフマニノフ、ラフマニノフ、ラフマニノフ」
 日本のピアニストはどうやって生きているんだろうと思っていた。リサイタルで1万円以上のチケット代の取れる日本のピアニストは内田光子しかいない。あとはしばらくは辻井さんもそうなんだろうけれど、今はそんなに高くないし、あの消費のされ方は大成するピアニストの行く道とは思えない。ランランや、ユンディリーのような中国人ピアニストにまで世界中のマーケットを抑えられている。国内のオーケストラの協奏曲にも入り込む余地がどんどんなくなってきている。例えば国内でも来日オケでも演奏会にソリストとして呼ばれ、協奏曲を聞かせてもらって、アンコールでソロのピースをやって、じゃあリサイタルも行ってみようというのが新規顧客の有効な獲得方法だと思うのだけれども、日本人のピアニストは若手の一部を除いてどんどんはじかれている。特に、来日系は招聘事務所に所属するか、よほど関係の深い日本人ピアニストでないと呼ばれないから。
 そして、日本のオケのソリストとして呼ばれる場合は、集客力をやはり問われる。話題性が必要ということか。10年前なら頻繁に呼ばれていたピアニストでもほとんど呼ばれないという人が多い。

 近藤さんは、たまたまツイッターをフォローし合って、何枚かのCDを聞かせてもらって、ああ、良いピアニストだなと思って生演奏を聴きたくていた。日本人のピアニストのリサイタルは内田光子をのぞくと、20年ぶりくらいではないか?その前は大阪のフェスティバルホールできいた横山幸雄さん。
 あ、熊本マリさんに招待してもらって聞いた事もあったか。それにしても10年は聞いてない。
 この日の演奏会は表参道にあるカワイ楽器のサロンで行なわれた。演奏会場の音響は普段聞いているコンサートホールの音響と違いデッドな音響である。それでなくても空間の容積が少いので音が広がらない。大変難しい会場だ。
 近藤さんのショパンの演奏はCDで聞く分には良かった。下手な媚がまったくなく淡々と弾く。ショパンは分かりやすくいうと甘ったるい演奏をするとダメなのだ。バレエでなく床運動みたいな演奏の方が断然いいのだ。それを日本のピアニストはテンポを動かして遅めにしたり、変なところでテヌートをかけたりする。音にメチャクチャ思いを込めたりもする。要らないクレッシェンドやピアニシモ。ゲンナリだ。それが近藤さんのCDにはなかった。ああ、良い演奏だと思って聞きにいった。が、あのデッドな音響空間に負けたのか、今日のライブではずいぶん甘く演奏していたように思う。テンポを動かしすぎだ。それも内面から出たものと言うよりも、音楽に化粧をした感じでフレーズを決めていく。
 ああいう演奏は、指は動くけれども音楽の分かってない学生やピアノ愛好家に特に多い。会場の事を考えてそういう演奏にしたのだろうが、CDでちゃんとした一流の演奏を残しているのに、みっともない。クラシック音楽においては、客を楽しませようとしたとたん音楽の質が落ちる。演奏家は、スコアと対峙してくれればいいのだ。そして、あのデッドな音響空間でやっているのだから、普段コンサートホールできけない、まるで自宅のホールの音響とは別種の空間で弾くようなときのショパンを聴かせてくれればいいだけなのにな、と思った。
 その点、ラフマニノフは良かった。難曲ということもあるのか、もしくは、ショパンほどには弾いていないからか、本人もものすごく集中し好演。ショパンで客にサービスした分、音楽に集中していた。きっとこの曲を普段のコンサートホールできくと、これだけ音の粒をむき出しにして聞く事はできないだろう。音は混ざり合い影響し合うだろう。それがない楽しみがあった。化粧していない美少女を見た感じだった。繰り返しになるが、こういう会場で聞く楽しみはあるものなのだ。あと、演奏の前後などに話さない方がいい。音楽だけで勝負して欲しい。男を下げてる。最後に、お客さん同士の多くが知り合いで、挨拶しあってる。まるで同窓会というか、小劇場のロビーのようだった。2012年5月24日(木) 19:00開演( 18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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