佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 新国立劇場「イル・トロヴァトーレ」 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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ヴェルディ作曲
東京フィルハーモニー管弦楽団
指揮 :ピエトロ・リッツォ Pietro Rizzo 
演出 :ウルリッヒ・ペータース Ulrich Peters
レオノーラ/タマール・イヴェーリ Tamar Iveri マンリーコ/ヴァルテル・フラッカーロ Walter Fraccaro ルーナ伯爵/ヴィットリオ・ヴィテッリ Vittorio Vitelli
 アズチェーナ/アンドレア・ウルブリッヒ Andrea Ulbrich フェルランド/妻屋 秀和 老ジプシー/タン・ジュンボ イネス/小野 和歌子



「新国立劇場の水準は高い」
 外来オペラを聴きまくった9月から10月にかけて最後にきいたのがヴェルディ中期の3大オペラのひとつ。トロヴァトーレ。初めは初日に行こうと思ってチケットを買ったのだが「ナクソス島」でめちゃくちゃいい席が手に入り妹に譲渡。こちらの幕が空いてからの評判が良くて千秋楽に間に合った次第。こちらはレオノーラが当初のタケシュメシェ・キザールが来日したものの体調不良で帰国、ルーナ伯爵も当初のゲオルグガクニーゼが原発問題で出演降板ということであったのだが…。4人の歌手の水準が十分に高くてこのオペラの魅力は十分に発揮された公演であった。僕は最初に見たのは1987年藤原歌劇団のそれで、バブル時でカネボウが相当金を出したらしく出演者も豪華であった。アズチェーナ : フィオレンツァ・コッソット  レオノーラ : 林 康子 マンリーコ : ジョルジョ・ランベルティ  ルーナ : マウロ・アウグスティーニ フェランド : イヴォ・ヴィンコ アルベルト・ヴェントゥーラ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団。アズチェーナがコソットである。もうコソットが全部持って行った感のある公演だったのだ。そのあとで印象に残っているのがやはり1990年前後にニューヨークで見た公演。パバロッティ、コソット、そして、ジョンサザーランドだった。
 ということで、この水準が僕にとってはこのオペラをみるときの基準になってしまう。それが決して悪くなかったのだが、アンサンブルの水準が非常に高かったからだ。先ずは東フィルのオケが素晴らしい。特に2幕の2場くらいからは絶好調で、日本のオケなのに、まるでカラヤンが求めるような音を出すなあと思った。演出は黒のルーナと赤のマンリーコと色を分けたのが分かりやすく、割とシンプルなドイツ的な舞台装置(大階段が真ん中にあって…)も分かりやすかった。終幕など鉄格子の前で唄われると、何でこんなに国賊と思ってる奴とアクセス自由なんだよ!といつも思っていたが、閉じ込められた牢獄の前で唄われるとそうだよなあとなるわけだ。
 それから照明が美しかった。2幕の青いシルエットとなる照明など、戦うことのバカらしさ愚かさを辞める事のできない人間の哀しさが伝わって来た。ところが、1幕は上手側の箱のような囲いが4面紗幕で囲まれていてそこで、レオノーラやイネスは2重唱を披露する。これが、どうも唄に悪影響。紗幕がなくなってからのレオノーラの声はきちんと響き良かったのだが、ここだけは何かイマイチインパクトに欠けるし、イネスなどは全く聞こえて来ないのだ。歌手泣かせな演出だったと思う。
 ザランカーロを初めとするメインの歌手、コーラスなども十分に唄ってくれて3時間のヴェルディのドロドロの愛憎劇を楽しむ事が出来た。過去の超名演には及ばないが、普段着で行ける気軽さのある新国立劇場でこれだけのレベルの演奏を普通に聴けるようになったのは幸せなことだと改めて思った。B席3階サイド。
 2011年10月17日 新国立劇場オペラパレス
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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