佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 2009年 劇場短信 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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2009年劇場短信観劇したお芝居のひと言コメント

a day 劇団チョコレートケーキ@中野ザポケット 
 やっぱり岡本篤さんは面白い俳優だと認識。適切なスピード感がないとと痛切。2月5日

静かな爆 東京タンバリン@駅前劇場
 タンバリンの俳優力はスゴい。若手が面白い。高井さんのお芝居はブロガーにとって感想を書きやすいとても親切な仕掛けが山ほどあった。2月6日

ブループロパガンダ 熱帯@駅前劇場
 舞台美術で、青い部屋の壁が油絵のような質感があって美しかった。中心のハーゲンクロイツもウォーホールのモダンアートのような感じ。星条旗のやつ。2月20日

NHK交響楽団/エドデワールド @サントリーホール
 非常に手堅い演奏でとても良かった。アンサンブルはしっかりし微動だにしない。さすがである。 4月16日  


幸福の難民 elevation トラッシュマスターズ@駅前劇場
 美術の舞台転換がスゴい。役者の魅力と変身ぶりもスゴい。物語も非常にスケール感があっていいと思う。これからどんどん良くなる可能性を秘めた劇団だ。3月27日

電動夏子安置システム PerformenⅣ 〜inferno〜@シアターグリーンBOX in BOX THEATER
話題にきいていたので期待はしていた。客席からは笑いも出ていたのだが、個人的には個々の役者さんにはきっと上手い人もいるんだろうなと思いつつも、台本にも演出にもいや作品として…。これ以上は。5月9日

双数姉妹 ユニゾニア〜鏡の国のコロス〜@笹塚ファクトリー
 ホントにユニゾンでやる芝居でした。スゴく大変だと思います。話の中身が面白いのですが、ユニゾン芝居がスゴく長いので集中しづらかったなあ。このユニゾン方法の芝居は和田憲命さんが数年前にやられて大成功をしたよなあ。各務さんら客演が豪華。6月11日

宇宙レコード 鉄棒ファン @笹塚ファクトリー 2年ぶりの宇宙レコード公演に何とブルースカイが出演。ヤリきっていた。いつものように楽しくいつものように脱力系の王道だった。小林顕作は舞台と普通が別人なのが面白い。7月4日昼


おおのの2 オンナの小説@コレドシアター 太宰治の女性の独白調で書かれた短編を3つ集めて来た。俳優の力量の差がちょっとあるなあと思ってしまった。俳優座の岩崎加根子が圧倒的なのだ。あの小林美江はその岩崎と共演した「葉桜と魔笛」の方が良かったように思える。スゴい女優のバトルだった。構成的にはエピローグが長過ぎるのが残念。作品と同時に終わって全く良かった。後半の歌は藤崎卓也が良かった。7月4日夜

デキシK ホモフォビック @ スタジオ・タカタカブーン(駒込)小柳津が出ていたので観に行った。正直、相当の覚悟をして行った。千秋楽に客は20人もいないし。この作品についての欠点をあげるのは簡単だ。いろんな噂もきいていたので、上演中は苦痛の連続だと思っていたら違った。面白い部分があった。演劇ってスゴいなと思った。7月5日

JACROW 明けない夜 @サンモールスタジオ 立浪伸一、今里真に始まってすべての出演者がものすごい集中力で役を演じきっていた。劇団力を感じる公演。美術にお金もかけている。力の入った公演で劇団力を感じる。疑問に思うところも少なくないが好感。詳細はミクシイで。7月18日


THE殺陣クラブ 決闘、阿弥陀ヶ原 @ 日本橋劇場 劇団樹座の宮辺さんが楽しみながらやってる大人の遊び。素人芝居ながら工夫もされている1時間40分。中にはちょい上手い人もいたりして。いろんなこと勉強になります。 7月26日

喜劇工房 あちらのお客様から@駅前劇場 俳優の力をまざまざと感じさせられた公演だった。大森さんの八面六臂の活躍。いつもながらスゴいなあ。7月30日  

バナナ学園純情乙女組「アタシだけ超怒られた」@王子小劇場 劇団名もタイトルも惹かれるものがある上に招待までもらえたのででかけてみた。面白い俳優探しが大きな目的で少し見つかったので嬉しい。滑舌がほとんど全員悪すぎて何を言っているのか分からない90分。見ていて思ったのは今の時代のアングラって印象。違うかな? 8月1日マチネ

オルガン演奏会@聖ヤコブ大聖堂 (ローテンブルグ/ドイツ)演奏者も曲もほとんど知らない曲ばかりだが、1000円くらいで1時間たっぷりオルガンの音色を楽しんだ。世界遺産の教会のオルガンで。それはそれで良かったのだ。8月8日

カールツエラー作曲「小鳥売り」@シェーンブルグ宮殿内宮殿歌劇場(ウィーン/オーストリア) 夏のお楽しみでやってるオペレッタで、学生のようなオケと合唱団であるが、マリアテレジアの作った小さな劇場でオペレッタの楽しみを味あわせてくれた。劇場と音の轟だけ聴けばいいやと思って10ユーロの立見席で入場したのだがガラガラであったことと、皆さん座るので、客席に座って聴いたら結構良くて、2時間30分聴いてしまった。8月13日

モーツアルト作曲「レクイエム」@エステート劇場(プラハ/チェコ) プラハコレギウム管弦楽団。夏なのでなにもやっていない欧州の通常都市。観光客向けにやっていた演奏会。アマデウスのオペラシーンの撮影に使われた劇場ということもあって590コロナという席で聴いてみた。45人の演奏者で、第一バイオリンは3人という編成ではいささかサウンドに無理はあるのだが、それでも聴いていくうちにモーツアルトの音楽の良さは心の中に響いてきいてしまった。8月17日
 
劇団 STEPLESS SPEED 143年目のクリスマス @萬劇場 芝居を始めるに当たって先ずは読みの稽古を十分にしなくてはいけないことを改めて痛感。作品作りに弛みがでると大変なことになるものだと思いながら観劇。8月21日

劇団金子 漣を抱くセシル@ アートボックスホール(高田馬場)多摩美大学生劇団の第2回公演。アイデアもスタイルも面白いのだが、残念ながら未完成交響曲。思うにもっとクラシックな作品を見た方がいいと思うのです。例えばこの作品を作るのならヒッチコック「めまい」の薫りが欲しいとつくづく思ってしまう。見たのかなあ。何回も何回も。あと演技の技術が熟練していないのであれば本当にやった方がいいと思った。キスする.抱きつく。殴る。蹴る。火薬を使うシーンが2カ所あるのだが、その迫力にどれもが叶わない。8月23日

花組芝居「ナイルの死神」@俳優座劇場 久々の花組らしいサイケで華やかな衣装と舞台に心躍る。疑問点も多々あるものの貫徹された美意識が気持ちいい。八代進一が絶品。 10月26日

NHK交響楽団定期演奏会/アンドレプレヴィン@サントリーホール 珠玉の名演。余計なものがすべて削ぎ落とされ、ハーモニーやフレージングといった基本に徹底的に忠実に追いつめて到達した名演。何しろ曲目はモーツアルトの38番「プラハ」39番、40番なのだ。40番などは鬼気迫る名演。プレヴィン、足に来ているようで80歳。どうか健康に留意してまた来て欲しい。これに匹敵するような演奏ができるのはウィーンフィルだけだろう。10月29日

劇団チャリT企画 第20回公演 プレイバックpart3@王子小劇場 美術がよく、オリジナルのピアノ曲が素晴らしかった。客を楽しませることにこだわる役者陣。内山、高見ほか劇団員。そして、役者陣が素晴らしい。客演のコーヒー牛乳の石黒、岩崎純子、カムカムの米田も特筆すべき活躍。10月31日

studiolife 音楽劇 十二夜@シアターサンモール スタジオライフのファンをとことん大切にする作品だった。僕はそうでないので、ちょいとおいてきぼり。演技者の中で坂本岳大の演技にとても律したものを感じて好感。品格のようなものを感じる。今回は音楽劇で10曲くらい入るのだけど、音楽の入れ方って難しいよなあと思うことあり、大変勉強になりました。11月1日夜

プリエールプロデュース 七本の色鉛筆 @赤坂RED/THEATER 演出の西沢さんは売り出し中の演出家です。前に「夏の夜の夢」を見たので二本目。俳優たちがこの若い演出家に信頼をおいて演じているのが分かる。安心して身を任せているのだ。僕は今回の演出がいいのかどうかは分からないが、演出家の仕事のひとつは、役者が全幅の信頼をおける存在であること。それがとても重要なひとつであることは間違いない。11月10日夜

Ort-dd 『A・R−芥川龍之介素描−』@西巣鴨創造舍 原作:如月小春 構成・演出:倉迫康史 出演:村上哲也 三橋麻子 小田さやか 平佐喜子 三村聡(山の手事情社) 加藤幸夫 佐藤円 ほか 本番はとても観られそうにないので稽古場見学。倉迫の演出は見る側を忘れていないのに感心した。役者もすごく応えていて見応えのある作品になること間違いない。11月某日


東京ミルクホール 水晶の夜「グーテンターク!私たち、日本のとある元祖有名少女歌劇団です。」@東京芸術劇場小ホール2 小ホールといいながら300名収容スゴいな。そんなに金をかけても大丈夫なのかというくらい湯水のように金をかけているのが分かる。ホントに演劇をプロデュースする側からしたら背筋が寒くなるような水晶の夜でした。役者で何人かいい人発見。11月14日

マグズサムズのジャングル・ブギー@BOX in BOX theatre 招待して頂いてみてきました。客席は沸いていますし台本も考えられています。実はこの手の演技は、役者にとても難しい演技が要求されるのですが、そこを演出と台本のアイデアでウマく切り抜けているなあと思います。なるほどなあと思いつつスゴく冷静に見て来たのでありました。11月22日

バッチギ@新国立劇場中ホール 「パッチギ!」。初日。感想は…チケット高い!S席8000円は高い!と。驚いたのは最上席は9500円。避けました。渡辺哲さん、峯村リエさん、小市慢太郎さん、小林美江さんとあんな素敵な俳優が出て来て、渡辺哲さんはまだしも他の役者さんは活かされていない。贅沢な起用がね。キャストの中で一番歌が上手い山崎育三郎が唄わない。
 公演は有り体のもので、実は、台本があまり良くない。いつも羽原氏の台本の評判は良い。しかし、今回は前半は説明台詞のオンパレード。会話が少ない。臭い台詞が幾度となく出て来て…。
 映画と舞台は違うもの。ブロードウェイでも、ハリウッドでも、原則として、舞台を映画にするときには、舞台を捨てて、映画を舞台にする時にも映画を捨てて舞台化する。舞台に忠実と言われる「フロスト/ニクソン」も「笑いの学校」も全然違う「12人の怒れる男」でさえ映画的になっている。小説は小説、映画は映画、舞台は舞台の良さがあって、手法がある。もちろんウマく影響し合うのはいいですが。それが、この「パッチギ!」は映画にこだわりすぎて、演劇的な集約がされていかない。特に、肝心のドラマにならなくちゃ行けないところが。しかし、そうした構造的な欠落を役者が、小林美江が、渡辺哲が、小市さんが、………。いや、メインの若手達の熱い演技が、そうしたことを感じさせないくらいに見事に埋めて行く。ここに茅野演出のエッセンスを感じた。
 しかし、クライマックスの処理の仕方は拡散するだけで芝居が結実していかない。また、稽古不足で転換酷過ぎ。稽古なら、必ず止めるような事態が何回も何回もおきまして、見ている客の集中力が途切れてしまいました。8000円頂いて、通し稽古してんじゃないぞ〜と思わざるをえません。
 金の話ばかりで申し訳ないのですが、8000円は正直高いなあと思いました。6500円の席もあるのですが、正直遠すぎて見えない感じの席です。2009年12月4日

流山児☆事務所 田園に死す@ザスズナリ 寺山の映画から舞台版へ。脚色も演出も天野天街です。寺山的な匂いは残っているのですが、天野ワールドな作品でした。流山児さんは、60才を過ぎて面白いことをしてすごいなあと思いました。
 かつて、この劇団をにいた看板俳優はほとんど辞めてしまいましたが、びくともしていません。やることが面白ければいいんですね。ものすごくお金をかけているので羨ましい限りです。若手はホントにいい意味で狂っていて面白かった。個人的には平野直美が味があり小暮拓矢が危うさも残っていてとても良かった。もちろん、伊東弘子、木内尚、栗原茂、中田春介のベテランは安心感。藤村、竹田、山下の若手は火がつくような尖り感があった。客入れの時には非常に感じがいいのにね。ホントに演劇が好きなんだなあ。こういう若者が演劇して、頑張って何年も演劇して、その結果、演劇に絶望するようなことがあってはいやだなあ。中途半端な奴らは野たれ死んでも仕方ないとして、こう懸命にやってる人間が野垂れ死にするのを黙ってみていられないです。
 流山児さんは、シニア劇団・楽塾も作ったけれど、多くの演劇人が自分が食う為のカルチャーセンターみたいなことをやってるのに、今回はこの勝負作、本公演に2人出演していて遜色なかった。というか、出演しているからこそ面白さがあった。スゴいです。 2009年12月14日

NHK交響楽団定期演奏会 指揮シャルルデュトワ@サントリーホール デュトワが常任指揮者を降りてからもう何年経つのだろう。しかし、N響とデュトワの関係はますますいい感じがする。ラベルの音の繊細さは何だろう。弦は絹のような音を出すし、光を受けて光る美しさがある。珍しいショスターコーヴィッチ11番の交響曲も、変にがなり立てること無く、語っていく音楽はものすごく説得力があった。2009年12月17日


スマッシュルームズ 発狂チェリー@シアター711
 役者の力量に差があったものの観やすい作品に仕上がっていた。2009年12月20日

カムカムミニキーナ 浜燃ゆ@明石スタジオ
 カムカムミニキーナの明石スタジオの作品はシンプルで分かりやすいものが多いのだが、今回も本公演に比べるとストレートなメッセージが伝わってきて面白かった。松村武の演技者としての力量も高く感心した。2009年12月24日

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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