佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 劇団新派 大つごもり 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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原作:樋口一葉、脚色:久保田万太郎、
現代語訳:島田雅彦、補綴・演出:成瀬芳一、
言葉監修:渡邉治美

出演:水谷八重子、青柳喜伊子、勝見史郎、
矢野淳子、川崎さおり、井上恭太、松村沙瑛子、
木内宣輝、田居美由姫、田居大宗

この公演は水谷八重子の自主公演で、水谷八重子が樋口一葉として舞台で朗読をし、新派俳優がそれぞれの役で演じるという新しい形の朗読劇です。

「豊かに広がった劇空間
/多くの人に見てもらいたい新派入門に最適の作品」
 明治の金持ちとそこに奉公する貧乏人の、大晦日の悲喜こもごもを綴った作品。名も無く貧しく美しくとせず、善人に宿る罪の火種などもきちんと描いた樋口一葉の現代にも通じる物語を70分でこれだけ堪能させてくれる舞台がどこにあるだろうか?きっとこの作品を見ると、人に寛容になれるし、もっと多くの人を愛する事ができるようになるだろう。年の瀬に一年の生の感謝を思いながら見るのに相応しい作品だ。12月は忙しいから上演時間70分というのも嬉しいのでは?
 新派の伝統を次代に受け継ぎ、ベテランにも普段はあまりやらないような配役をあてがい、劇団新派自体の筋力アップにもつながっている。シンプルな美術であるが必要なものはきちんとあり、衣装や床山まできちんと行い。文語調の文章の難解な部分は現代語役もつけての見事な構成も素晴らしい。麻布区民センターで9年めとのことだが、来年以降も続ける価値のある作品だし、たった4000円で見せてくれるので、新派を観た事の無い人には、時間もお財布もちょうど入門向きにも最適ではないか?また小劇場の俳優さんなんかにも是非みてもらいたい。
 役者は、水谷八重子がカーテンコールで新派のホープと語った井上恭太から語りたい。現代的なのに古風な部分も十分有る理想的な二枚目だし、芝居も伝統だけでなく現代の口語芝居なども含めいまの流行も意識していてうまい。唯一の欠点は声が抜けていかない事か。これからますます大役も多くなるだろうから必須の課題だと思う。
 みねを演じた松村沙瑛子は、入門から間もないというが、この役にぴったりの風貌で時にぎこちないところもあったけれど、それも含めて初々しく良かった。しんを演じた矢野淳子やあやを演じた青柳喜伊子などはベテランの余裕も感じられて芝居を支えていた。
 水谷さんは例によってガラガラの声なんだけれど、可愛くて。狂言廻りにはぴったりだった。もう少し台本から目を離してくれるともっと嬉しいな。だって眼力のある人だから。
 来年もきっと上演があるだろうから、ぜひ行かれる事をお薦めする。
2011年12月9日@麻布区民センター
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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