佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 シャルルデュトワ/NHK交響楽団定期演奏会 2011年12月 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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Aプロ
マーラー / 交響曲 第8番 変ホ長調「一千人の交響曲」
指揮|シャルル・デュトワ
ソプラノ|エリンウォール(クリスティーネ・ブリューワー代役)
ソプラノ|中嶋彰子(メラニー・ディーナー代役)
ソプラノ|天羽明惠
アルト|イヴォンヌ・ナエフ
アルト|スザンネ・シェーファー
テノール|ジョンヴィラーズ(ポール・グローヴズ代役)
バリトン|青山 貴
バス|ジョナサン・レマル
合唱|東京混声合唱団
児童合唱|NHK東京児童合唱団
ゲストコンサートマスター ダンカンリデル
2011年12月3日@NHKホール
「超満員の観客は喝采した」
 NHKホールの定期演奏会が売り切れることはあまりない。しかし、1ヶ月ほど前には7000枚を越えるチケットは完売しネットではプレミアムチケットとして売買されていた。1500円の自由席が9000円といった具合。僕は2階席のB席できいた。NHKホールの巨大なステージに溢れんばかりの演奏陣。合唱だけで400人くらいはいたんじゃないかなあ。それn140人近いオケのメンバーで1000人とは言わなくても500人を越える陣容だったわけだ。コントラバスだけで12人。ハープが4台。驚くよ。第一部から先ずは合唱の迫力に寄った。代役が多いにも関わらずソリストたちは素晴らしかった。オケはゲストオーケストラマスターにデュトワが芸術監督を努めるロイヤルフィルのコンサートマスターを招いての演奏。きっとこの陣容だから外部のオーケストラからの助っ人も多かったんではないか。オケの演奏に荒さを感じたのは気にし過ぎかな?僕に取ってはもう10年以上前に都響/インバル@新宿文化センター以来の生演奏だ。多くは求めまい。巨大なシンフォニーを聴く楽しみに酔った。
Cプロ

ブラームス / ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
バルトーク / 歌劇「青ひげ公の城」作品11(演奏会形式)
指揮|シャルル・デュトワ
ヴァイオリン|リサ・バティアシュヴィリ
青ひげ|バリント・ザボ
ユディット|アンドレア・メラース
「どちらも見事なメイン料理でおなかいっぱい。」
 ギトリス、川畠の色も艶も技術もないある意味貴重なバイオリンコンチェルトを聞いたばかりだった事もあったからかもしれないが、バティアシュヴィリの高い技術で艶のある音色、見事なフレージング、重厚というよりはカラフルなブラームスの協奏曲を楽しんだ。3楽章の開放感たるやスゴかったなあ。オーケストラも木管楽器、弦のセクションのアンサンブルも音色も美しく、全体に見事な構成で、ブラボーであった。
 「青ひげ公の城」はブタペストのオペラハウスで実演を観たのが最初だったかな。メトロポリタンオペラハウスでジェシーノーマンの歌で聞いたけれども作品の面白さが伝わったのかというと、良くわかんなかった頃だった。先年のパリオペラ座の来日公演でもみた。そう何度か実演も観たり聞いたりしているのだが、今回ほど胸に刺さった公演はなかった。オーケストラは緻密で重くなりすぎずその色彩美から舞台を心の中に浮かび上がらせる。ユディットのメラースの声は強く、女の芯を見事に演じ唄いきって大満足。人間の業を一枚一枚、剥いでいく見事なドラマがそこに浮かび上がった。ブラボー

2011年12月10日@NHKホール

Bプロ
ヒンデミット / ウェーバーの主題による交響的変容
プロコフィエフ / ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26
バルトーク / オーケストラのための協奏曲
指揮|シャルル・デュトワ
ピアノ|ニコライ・ルガンスキー
「いいのか、ホントにいいのか」
 僕が若いときのN響から今日のようなサウンドを期待できただろうか。ありえない。今宵のオケコンを聞いた時、メータ/イスラエルフィルや小澤/ボストン響できいたのと何の遜色もない見事な演奏に、こんな素晴らしい演奏を日常にきけることに改めて愕然とした。フルートのトランペットのクラリネットの、バルトークの描いたファンタジーをなんて美しく奏でるんだろう!音色は変幻自在に変化していき、この万華鏡のような曲をさらっと演奏してみせた。弦のピアニシモの美しいこと。
 プロコフィエフのピアノ協奏曲。ロシア生まれ、あのタチアナニコライエワ(一度だけバッハを聞いた)の弟子のテクニック抜群のルガンスキーとともにプロコフィエフの世界を作り上げる実力。10年ほど前までN響は海外公演をすると技術はあるけど…と書かれていたが、このドイツものも、フランスものも、ロシアものも、縦横無尽に変化し演奏できる演奏技術はもはや世界のトップクラスのオケと肩を並べるところにきているのだ。
 もはやもっといい指揮者を呼ばねばならぬ。もっと世界のトップクラスの指揮者が指揮をしていいオケになったのだと、喜びを噛み締めたコンサートだった。
12月15日 サントリーホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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