佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 SETジェネレーションギャップ「部屋と僕と弟のはなし」 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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面白かった。満席の客席は大いに笑い、そして終盤ではすすり泣き、目をこするヒト多数。男女年齢問わずであった。スーパーエキセントリッツクシアターは三宅さんと小倉さんがどかーんと目立ち、特に若手の存在感はあまりないなあというのが正直なところなのだが、この芝居をみて、奥が深い劇団なのだと改めて思った。再演であるこの作品は、井上ひさし作「頭痛肩こり樋口一葉」、自転車キンクリーツの「蠅とり紙」や映画「ゴースト」「天国から来たチャンピオン」などなど、今までにも数多くある幽霊が出てくる。それだけに、大変むずかしく本当の名人芸が必要となるのだと思うのだが、台本がしっかりしている上に出演者のアンサンブルが素晴らしく見応えのある一級の作品に仕上がっていた。山崎大輔さんと安田裕のボケ突っ込みに三谷悦代さんが絡むだけで相当に面白いのだが、そこに杉野なつ美さんという大型キャラがいた。彼女は30年くらい前のゆうきちほ、今の樹木希林を思わせる独特の空気と時間軸を持つ素晴らしい女優さん。他の誰にも換え難い素晴らしさとがこのことだ!こんな素晴らしい女優がSETにはいるのだと今更ながら気がついた自分が恥ずかしい。
 久下恵美さんの明るさは南イタリアの陽射しを思わせ、ハイテンションを揺るがすことなく突っ走る。また、出口哲也の抑えた演技は最後の仕掛けに重要な役割を担っていた。廻りが面白いから自分もやりたくなる。笑いが欲しくなる。それを全て捨ててやり通していた。すごいなあ。これに比べるとメインの3人はこれらの強力キャラの中で損な存在だが、軸をずらすことなく演じるところはスゴいなあと感心。
 この作品は誰が見ても面白く感動できる。いや、この台本は商業演劇にも十分通用する普遍性をもっているのだ。そんな芝居は小劇場では少ない。素晴らしい芝居に出会えた嬉しさと、東京ヴォードヴィルショーと同じようにSETの老舗劇団の奥深さ、人材の豊富さに改めて驚いた次第。

2008年7月4日
シアターグリーン BOXinBOX THEATER
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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