佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 立川談四楼 独演会 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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「落語をきく楽しみがここにあったと思う」

 始めに断っておくが、私は落語の事は分からない。年に数回聞きにいくだけ。これで、今年は4回、5回目くらい。ほとんど聞いていない。31歳のころに生まれて初めて落語をきいて、20年以上になるが、生できいたのは150回に満たない。だから、いつも以上に批評でなく感想です。
 今回は、立川談四楼独演会、である。3年前に志らくさんの演劇の時に、共演者として大変世話になって、必ず聞きに伺いますとか調子良くいって、3年もかかってしまった。この会を逃すと、来年になっちまう。実はこの日、これも一度は生を聞きたい桂歌丸師匠の会が新宿であって、そのチケットを買っていたのだが、調べたら、立川談四楼師匠の会があって、そりゃ順番が違うだろということで、歌丸師匠はまた別の機会にということで、こちらに伺う事に。
 北澤八幡神社。二礼だけして、いざ会場へ。
 受付で佐藤さんですね?って、会員価格にしときますねって。安いな〜、2000円だって。
 どのくらいの大きさかは分からないけれど、ちゃんと緞帳つきの舞台がある和室に座布団多数。到着した6時30分ごろには、後ろにある椅子席に座る方と、前の方のかぶりつき席に15人くらい。会が始まる19時ごろには、40人いや、60人くらいになっていたかなあ。
 3人の前座さんたちの噺は15分くらいづつ。だん子さん「子ほめ」。談笑さんの弟子の笑笑(わらわら、って居酒屋みたいですね)さん「まんじゅうこわい」、そして元編集者の寸志さん「豆売り」と続く。前座さんの中では、寸志さんの熱量が半端なかった。まあ、妻子ある中で一流出版社の編集者の職をなげうっての遅くの入門だからね、そりゃ違うよね。初めて聞くが、落語愛の深さを感じた。冒頭に数々の物売りの、金魚や、豆腐屋とかを、少し長めに話して、本題の世界に引き込もうと。この人は声がいいね。通る声。えーーってのがちょいと多すぎだけど。下げのテンポは絶妙でござんした。寸志さん、笑笑さん、憶えさせて頂きました。
 さて、いよいよ登場の談四楼師匠。2席「目黒のさんま」と「抜け雀」。
 最初に、弟子のことを思ってか、いろいろと語る。先物買いして下さい。お客さんの前でやることが大切なんです。前座っていってもいろいろあるでしょ?正直、下向いて明らかに嫌な顔して、早く終われみたいな顔している人もいて、まあね、僕も人前で話したり、最近は、ないけど演じたりもしたので、ね。ま、若い人の、ちょいと気持ちは分かりますね。
 まあ、こんな性格なんで、何人入って興行収入はこんくらい、ゲストで呼んだシンゴさんという太鼓たたきに払うギャラや、会場費など諸々考えると、これは、談四楼師匠が、落語愛で開いている会だなあと思う次第です。
 興行ってのは、自分の好きなとこだけで判断するのではなく、全部、総合で見ないといけない。宣伝や予約受付、会場受付から興行は始まっているのです。掃除してない汚い会場だったら、客の気持ちも落ちるって具合で。総合的なものなんですね。
 この会。2000円しか払ってない客が、前座さんたちに、お前は下手だ、ツマラナイっていう顔する、そういうのってね、どういう了見かね。も少し暖かい感じでさ接してもいいのになって思うな。

 さて「抜け雀」はなぜか、少ない落語鑑賞歴の中で、しょっちゅう出合う演目で、これ、もういろんなのを聞かせてもらった。喬太郎、たい平、談慶などなど。主役の相模やっていう宿屋夫婦の会話に重きを置く噺家さんが多い中、談四楼師匠は、冒頭のスポットを絵描きに当てた。相模屋がボロいとか、夫婦の半金もらってこいといったところでなくである。時おり、そういうサイドの部分をねっちょりやる噺家さんもいて、それはそれで面白いのだが、抜け雀の話は止ってしまう。
 談四楼さん、何と言うか、やり過ぎない。だから、テンポがいい。噺がすすすーっと進んでいく。ギャグを入れるにしても、サイドディッシュに抑えておく品格がある。
 飛んでいく雀をしつこくやらない。驚く宿屋の親父や、泊まりにきた人、殿様をひとつひとつねっちょりやって、噺を止めない。
 実は、僕は落語に大爆笑を求めてはいない。一番欲しいのは、落語の作り出す世界と空気。それを楽しみ、人間の可笑しさ、世の中の理不尽さに、ニヤっとさせてもらったり、吹き出したり、にこやかにしてもらったりしたいだけ。大笑いしたけれど、どんな話だっけ?って笑いを求めてはいないのだ。
 もちろん談四楼師匠も、時と場所により作り方はいいジャズのようにアレンジされるのかもしれない。でも、考えてみると、この畳敷きの広間に座布団を並べ、そこで前座さんの話や、ここでしか見られないような芸人さんの一芸を見せてもらって、品のいい楽しくハッピーにさせてもらう談四楼さんの落語2席。
 なんかね。ああ、来て良かった。落語を聞く楽しみってこうだよな。談四楼さんの噺だけでなく、会場の選び方から、雰囲気、受付、演目、出演者。もろもろ全てが暖かくていい。そして、お代は2000円。談四楼さんは、前座さんの噺を受けて、養成場みたいなことを言ってたけれど、落語ファンを作り育てる場でもあるなあと思った。若手を競わせ、人前でコテンパンに貶めるという会もあるけれど、ここではそんなことはない。落語をやってる、落語を愛するものを愛しく思ってる空気があった。きっと若手の噺家の中には、ありがたい現場だと思ってるのではないだろうか。そういう場を作ってるのだなあと。6時に始まり、終わったのは9時。たいしたもんだ。
 会の後には、懇親会までやるという。お客さんもお疲れさまというわけだ。まあ、僕は、久しぶりなので、ご挨拶だけして、ほんわかした気持ちで会場を後にした。目黒のさんま の噺をきいて、さんまが無性に食いたくなって居酒屋に駆け込んだくらい。
 自分も放送人、ちょっとしたモノを書くことを生業にしているが、なんかね、このほんわか空気を作り出せるようにないたいなと思った。
 2014年10月15日@北澤八幡神社参集殿

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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