佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 ウォーキングスタッツフ 剃刀 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作 中村吉蔵
脚色/演出 和田憲明
出演 加納幸和(花組芝居)鈴木省吾 中川安奈 津田健次郎 小田豊 ほか

 和田さんはこういう作品もやるんだと思うと、何か不思議だった。作品は主人公である加納さん演じる為吉の人生の黄昏と絶望感から、殺意とそれを抑えることのバランスのいったりきたりのスリルとサスペンスが全編に渡り展開されるというもの。その気持ちは芝居の前半で吐露されてしまう。
 時々、このまま剃刀で喉をきって人を殺したくなる衝動があるのだと。
 加納さんの演じる為吉の、その後からの剃刀シーンはスリル満点のシーンになる。ああ、この人は殺人を起こしてしまうのではないか!不安と緊張が観客の心に走るのである。加納さんは、スリルを観客に増幅させたり薄めてみたり。嫌らしくなくやるのである。だから、リアルに感じられ、観客はただのひげ剃りシーンが続くだけなのに、ハラハラドキドキ。もちろん、上手い俳優だからこそできるシーンだな、とつくづく思った。
 和田演出に、加納幸和さんは、いつもの演技手法をかなぐり捨てて挑み成功。全編に渡り加納さんに釘付けになった。いやあ、怖かった。まるで目の前で人が殺される瞬間を見なくてはいけない、それ。ヒッチコック流のサスペンスでした。特に「裏窓」的なそれです。しかし、為吉の抱える絶望感は「ベニスに死す」に通じるもものもありました。残念だったのは一部のキャストがミスキャストだろと思ったこと。でも、加納さん、中川さんを中心に魅せてくれました。和田演出オソルベし。

 


2008年5月21日
THEATER/TOPS
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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