自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
一、国性爺合戦(こくせんやかっせん)
獅子ヶ城楼門/獅子ヶ城内甘輝館/同 紅流し/同 元の甘輝館
和藤内 松 緑 錦祥女 芝 雀 老一官 歌 六 渚 秀太郎
甘輝 梅 玉
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶 團十郎 富樫左衛門 幸四郎 源義経 藤十郎
団十郎の声が枯れて痛々しい。
以前、オモダカ屋の公演でみた実は会話劇「国性爺合戦」とおなじみ「勧進帳」を観た。今月は昼夜で幸四郎と団十郎が弁慶と富樫を入れ替えるというのが目玉なんだけど、団十郎の声が掠れて痛々しかった。幸四郎は相変わらず台詞廻しが上手い。技巧で演じていると思うときもあるが、今日は相手が弱っているからかいい意味で力が抜けていた。団十郎は大病もしたし今までのような全力で足して行く芝居でなく、そろそろ引いて行く芝居にして、役柄の骨格だけが残るようなアプローチにして行った方がいいように思う。
松緑がいい。声がいい。テンションが高い。手を抜いていない。いわゆる元三の介の中ではあるが、決して華があるわけではないし、見栄えも良くないけれど、精進してどんどん良くなって、この人の役回りというのがくっきりしてきた。今回の和藤内なんかもそのひとつ。何か一筋のスゴさを感じる。
2012年10月24日@新橋演舞場
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佐藤治彦 Haruhiko SATO
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演劇ユニット経済とH 主宰
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演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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