自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
やはり僕は好きになれない。
東京セレソンデラックス「笑う巨塔」を鑑賞。何と500円で見せてくれるとカンフィティという演劇のチケットサイトに載っていた。6500円のチケ代で観に行こうとは思わないが、最終公演だし出演者は豪華だし、前にみたときの印象が変わるかもしれないと、この10年でもっとも商業的に成功した小劇場出身の劇団のひとつの解散公演を観に行った。で、やはり好きでない。嫌いだ。
理由は前回と同じ。お客は笑っている。楽しんでいる。役者も松本明子や石井さん、金田さんなど名うての役者が出ている。しかし、笑いの源泉を人の身体の特徴、ブス、デブ、チビ、ハゲということをストレートに徹底的に笑いものにする。また、肉親をガンで亡くしたものにとっては笑えない設定。それをも笑いにする。これは前に観た時にもそう思ったんだけど、これだけお客さんが入っている限り、みんなそういうところには無関心なんだろうか。僕はちょっと…なのである。
今回も思ったのだけれど、宅間さんという人は才能のある人だと思うのだけれど、きっと育った環境が文学や演劇というよりもテレビなんだと思う。すぐに演劇からコントに脱線し、芝居の流れを止めてしまう。コントというか、アドリブトークというか、客席からの笑いがあるから引っ張る、引っ張る。笑いが取れれば何でもあり?これ喜劇なのか?と思ってしまう。
もちろん、松本明子、金田明夫、石井宣一(こざとへんなしでゴメンネ)デビット伊東らの芸達者の至芸は見事。
2012年10月20日@サンシャイン劇場
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佐藤治彦 Haruhiko SATO
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演劇ユニット経済とH 主宰
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演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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