自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
作/赤堀雅秋 演出/河原雅彦
出演/伊藤正之 市川しんぺー 吉本菜穂子 平田裕一郎 橋下淳 板橋駿谷 駒木根隆介 田島ゆみか

お子ちゃまのみる芝居ではない、が。
2012年は後述する理由もあって、日本の演劇をあまり見ていない。そういう状況にありながらも、私は断言できる。この作品は2012年の日本演劇界が産み出した傑作である。
作者は赤堀雅秋氏。もう何年もザシャンプーハットの作品を見ていなかったのであるが、この作品はスゴかった。原罪、刧や宿命、現代の絶望や人間の深い哀しみが容赦なく提示され突きつけてくる。この作品のすごいところは、ストーリーとして知性で見て行くことも、感性で感じ取って行くことでも観客は作品にアプローチできることである。
例えば、それは異様に強調される笑いに現れている。さまざまな登場人物は、さまざまなことに笑いを使う。現実と向き合わない、人と向かわない、いろんなことに笑いで閉ざして行く。笑えないことを笑いで塗りたくろうとしているのである。
これはとても分かりやすい。
今回の観客は、イケメン君出演者のファンの若い女子たちが観客のほとんどである。どす黒い思いに悩まされたり、絶望しか無い時間を過ごす経験の少ない観客にこの純文学系の深い作品を理解させたのは演出の河原雅彦氏の物事の本質をずばっとつかんで観客に上手くデリバーする。そして、若い俳優たちも含めた俳優陣の見事なこと。この演出力なくして、このクォリティの上演はなかったはずだ。
演技陣では、加藤啓のテンションが上下する感じがしたのが気になるくらい。名前は分からないが、親を亡くした不良兄妹役をやった俳優、刑事役や巡査役の佇まいもよかったなあ。駒木根という俳優のテンションはスゴかった。
演出家に必要なものを感じさせてくれる舞台でもある。
最近の芝居は、集客の難しさから守りに入った芝居が続いているのだが、この作品はそれと真逆。挑戦的でやりきった感の高い、非常に水準の高い舞台で芝居をみる喜びに圧倒された。残念なのは客席に大人が少ないこと。この作品こそ大人が見るべき芝居なのである。 2012年9月25日@本多劇場
出演/伊藤正之 市川しんぺー 吉本菜穂子 平田裕一郎 橋下淳 板橋駿谷 駒木根隆介 田島ゆみか
お子ちゃまのみる芝居ではない、が。
2012年は後述する理由もあって、日本の演劇をあまり見ていない。そういう状況にありながらも、私は断言できる。この作品は2012年の日本演劇界が産み出した傑作である。
作者は赤堀雅秋氏。もう何年もザシャンプーハットの作品を見ていなかったのであるが、この作品はスゴかった。原罪、刧や宿命、現代の絶望や人間の深い哀しみが容赦なく提示され突きつけてくる。この作品のすごいところは、ストーリーとして知性で見て行くことも、感性で感じ取って行くことでも観客は作品にアプローチできることである。
例えば、それは異様に強調される笑いに現れている。さまざまな登場人物は、さまざまなことに笑いを使う。現実と向き合わない、人と向かわない、いろんなことに笑いで閉ざして行く。笑えないことを笑いで塗りたくろうとしているのである。
これはとても分かりやすい。
今回の観客は、イケメン君出演者のファンの若い女子たちが観客のほとんどである。どす黒い思いに悩まされたり、絶望しか無い時間を過ごす経験の少ない観客にこの純文学系の深い作品を理解させたのは演出の河原雅彦氏の物事の本質をずばっとつかんで観客に上手くデリバーする。そして、若い俳優たちも含めた俳優陣の見事なこと。この演出力なくして、このクォリティの上演はなかったはずだ。
演技陣では、加藤啓のテンションが上下する感じがしたのが気になるくらい。名前は分からないが、親を亡くした不良兄妹役をやった俳優、刑事役や巡査役の佇まいもよかったなあ。駒木根という俳優のテンションはスゴかった。
演出家に必要なものを感じさせてくれる舞台でもある。
最近の芝居は、集客の難しさから守りに入った芝居が続いているのだが、この作品はそれと真逆。挑戦的でやりきった感の高い、非常に水準の高い舞台で芝居をみる喜びに圧倒された。残念なのは客席に大人が少ないこと。この作品こそ大人が見るべき芝居なのである。 2012年9月25日@本多劇場
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
HP:
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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