佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 劇場短信2011年7月ー8月 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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「リンダ リンダ」

「むなしく空回りする舞台を見て」
 演劇界の巨人、鴻上尚史の作演出であるが、一般人も含めて大量の招待動員を仕掛けた公演だったのに客席には空席が目立つ。まあ、それはどうでもいいことなのだが、作品が良くない。新国立劇場が出来た時に、野田秀樹と鴻上尚史の作品は演劇部門での動員を引っ張るはずだった。野田作品がソールドアウトとなるのと比較して鴻上尚史の作品はチケットが売れず、空席が目立った。そして、呼ばれなくなった。何でだろうと思うのだが、この作品にもあるように、何かが透けて見えてしまうのである。この作品は再演もので3.11以降に脚本に手を入れたのらしいが、原発とか福島といった事柄を余りにも簡単に単純に作品に取り込んでしまった。それで現代の空気を反映した作品になるとでも思っているのだろうか?
 この人はテレビタレント、エッセイストとしては未だに優秀だと思うけれど、もはや演劇人として面白い作品を全く見せてくれていない。虚構の劇団などでもがいているけれども、空回り感が拭えない。
 なぜか?
 原発、3/11、格差。現代のキーワードを作品に放り込むが、それによって生まれる新しい人間関係についてあまりにも無頓着というか、ないのである。
 作品に登場する人たちの関係性などが90年代のままの価値観、関係なのだ。
 ここでは、仕上げにブルーハーツの名曲も取り込んでいる。
 20世紀の、それもドラマの世界だけに漂っていたフィクションの価値観のままの演劇作品に現代のキーワードを切り貼りして、いかにも現代の作品にしようともがいている感じがして仕方がない。そして、たった10年チョイの時間の流れにも耐えられなかった鴻上作品と言うのは、元から良い作品ではなかったのだと思う。きっとあの当時は何らかの熱狂があったのだろう。良い役者、素晴らしいスタッフが集結しているだけに残念で仕方がない。観に行かなければ良かった作品だ。
2012年7月4日@紀伊国屋サザンシアター


スペーストラベラーズ

「90年代の面白さが現代に蘇った」
 90年代の作品であるが、決して古さを感じさせないのは、台本がしっかりしていることと、現代のテンポ、現代の感覚で読み直しているからだろう。感心した。大いに楽しんだ。「リンダ!リンダ!」のあとだけになおさら面白かった。
2012年7月9日@本多劇場

「ドリームハイ」

「誰もが楽しめるアジア発ミュージカル」
 韓国発の人気ミュージカルだそうだが、楽曲は今風だし、ダンスもストリート系で従来のミュージカルの枠を越えていた。役者の演技も水準も高く一部のファンだけの作品に成るのでは勿体ないと思う。もっと多くの人が見て楽しめる作品だ。
2012年7月12日@新国立劇場中劇場




椿組「20世紀少年少女唱歌集」
「初演を上回る成果」
 初演も見たのだが、今回は特に有名な集客用のキャスティングもなかった。しかし、ものすごくいいアンサンブルでこの鄭作品を10年ぶりくらい?で再演し、それも再演の方がレベルが高くなっていた。客演も多いのだがそれを感じさせないアンサンブルを作るのはさすが椿組である。
2012年7月14日@新宿花園神社特設会場

桂春蝶の上方落語+MUSIC

「再現芸術における個性」
去年競演した春野恵子さんの浪曲を一度生で聞いてみたく出かけた。初浪曲なのでコメントは控えるが、彼女は華がある。その華が前にドかーんと出ている。声は良いのだから、もっと歳を重ねて、彼女がどんどん消えて行く浪曲を聴いてみたいと思った。2012年7月25日@UPLINK

「千に砕け散る空の星」

「ザ・退屈」
 上村聰史がイギリスの現代作品を演出する。出演者も文学座の実力派が揃った。しかし、3時間の長尺の作品である上に、作品はあまりに個性的な価値観の内へ内へと向かって行く。個性は構わないのだが、そこに一般性を克ち得た求心力がなければ演劇としては如何なものか???どうも僕はついていけない。作品が面白いと思わないと作品に入って行けない。すっかり疲れてぐったりしてしまった。中嶋しゅうさんの全裸なんかみたくない。2012年7月27日@シアタートラム

カムヰヤッセン 「そうか、君は先に行くのか」
脚本・演出 北川大輔
[はたたがみ編] 小島明之 島田雅之(DART’S)ヨシケン(動物電気)
 堀雄貴(犬と串)甘粕阿紗子 辻貴大 ほか

「ゴメンナサイ…と」

 脚本も演技も演出も虚構の世界ではなく××なもので、75分と短い上演時間であるのだが、とても見てられなかった。刑事たちの取り調べの現場であんな人間関係を許容できるはずはない。ギャグなのかと思ったらそうでもないらしい。それに疑問をもたないのかな?他に用事もあり、さらに扉のそばの席だったこともあり、金払って途中で抜けた珍しい芝居。犬と串の掘くんという若い役者は決して器用ではないが感受性に富む若者で注目している。その堀君の出演なので選んで出ているはずと思った。ところが堀君もテンションだけでいつものクオリティも保持していない。とても残念だった。2012年8月13日@SPACE雑遊




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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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