自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
指揮=スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
クラリネット=リチャード・ストルツマン
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
スクロヴァチェフスキ:クラリネット協奏曲(日本初演)
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」(デ・フリーヘル編)
フケセン系クラオタとしてMrS白鳥の歌(予定)
日本のクラオタは、今や2種類に分かれる。腐女子系なら、ランランなど若いイケメンの追っかけ。男子は、河村尚子、庄司紗矢香などアイドル系演奏家の演奏を求めている。これ新種である。しかし、それ以前からあった、自らを本格的音楽ファンと信じているクラオタの王道は、フケセンである。80歳以上の高齢演奏家を珍重し至芸と信じて拝聴させていただくというそれである。
日本のファンの間で、話題となっていたスクロヴァチェフスキが、ザールブリュッケンと来日した時に初めてきいた。2つか3つのプログラムを聴いた。プログラムはブルックナーだったが、ギュンターワントのレベルとは違うなと思ったのである。
僕はスクロヴァの熱狂者にはならなかった。
告白する。個人的に音楽のトラウマがある。結局カールベームの生演奏を聴き損なったことだ。聴こうと思えば聴けた最晩年のウィーンフィルとの来日。チケットは高額ということもあって完売でなかった。行きたかったのに、行かなかった。
カールベームが亡くなった時に、ああ、俺はもうベームの音楽が好きだったのに聴かなかった、、、と後悔した。強い後悔となって、それから、気になる高齢演奏家のコンサートを最優先して聴くようになったのだ。こうしてフケセンのクラオタになっていった。
ということで、フケセン指向なのであるが、それも、前述のスクロヴァで終わるなと思った。さらに、先日の読響/ゲルトアルブレヒトのブラームスで完全に終わった。ああ、歳とってもう制御できなくなっても指揮棒を振る人っているんだ。いろんな人がいるんだと。中には老害、耳が遠い、短気指揮者もいるのだろうと。
3月に聴いたスクロヴァのベートーヴェンもイマイチだった。ということで、僕はスクロヴァを聞く最期の機会になるだろうと思って今宵でかけたのだ。
「魔弾の射手」ではオケの出だしが会わない。縦が揃わない。ああ、そういう指揮なんだと、ちょっとがっかり感が増し始めた。スクロヴァの曲は面白くなかったけれど、ストルツマンのクラリネット演奏はよかったので、今日はこれで良しとしようと思った。
トイレにいきつつ、来年の読響の会員継続は、なしかもなあと思ったのだ。(プログラムもいまひとつなのだ)
で、後半。これがよかった。
弦も木管も金管も素晴らしかった。
超一流の演奏であった。
トリスタンとイゾルデの物語がそこに立ち上がってくるわけではないのだが、純粋に管弦楽として素晴らしい演奏をしたのだ。特に弦は深いが重くなく艶やか。ソリストも素晴らしく、1時間のこの曲を満喫した。こんな音を読響から引き出せるのかと驚いた。
こうなると、スクロヴァとお別れすることができなくなってしまった。
Mr.Sの白鳥の歌と思って聴いたのだが、ちょっと予定変更である。
実はこの1週間、体調が悪く、先週は3つもチケットを無駄にした。今宵も日曜の演奏会をチケットを替えてもらって聴いたのだ。来て良かった。
2012年9月24日@サントリーホール
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演劇ユニット経済とH 主宰
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