佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 男はつらいよ 寅次郎心の旅路 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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出演
渥美清 (車寅次郎)倍賞千恵子 (さくら)
淡路恵子 (マダム)下絛正巳 (車竜造)
三崎千恵子 (つね)太宰久雄 (社長)
佐藤蛾次郎 (源公)吉岡秀隆 (満男)
前田吟 (諏訪博)笠智衆 (御前様)
関敬六 (ポンシュウ)イッセー尾形 (馬場)
武野功雄 (巡査)笹野高史 (車掌)
マーチン・ロシュバーガー (ヘイマン)
柄本明 (坂口兵馬)竹下景子 (江上久美子)
監督 山田洋次
脚本 朝間義隆/山田洋次


「男はつらいよ。終わりの始まり」
 平成元年消費税導入元年の年の夏に公開されたシリーズ第41作である。前から観たかったのだが、買ったまま観られなかった。ここでの寅さんは、タコ社長と喧嘩もしないし、竹下景子を愛したとしても自分から積極的にドンドン行くわけでもなくいつもにもまして受け身である。それは映画全体でも言えて、柄本明や、淡路恵子が非常に積極的な演技で攻めるのに対して、渥美さんはどこか違う。
 この作品が最後のお盆映画ということらしい。このあと、寅さん映画は正月のみになる。きっと渥美さんの肉体のことを考えてのことではなかったのだろうか?いろいろのことを考えると、「男はつらいよ」の終わりの始まりだったのかもしれない映画だ。竹下景子に寅さんは惚れるのであるが、竹下の方は寅さんを男してはほとんど意識していない。寂しい恋である。冒頭は松島なんかも写り、最後には関敬六と啖呵をきっての物売りシーンなんかもあるのだが、若い頃の長い啖呵を切るようなところもない。
 この映画、寅さん映画では唯一大型の海外ロケをした映画だ。美しいウィーンの街並をこれほどきちんと映画に取り込んだ映画を私は知らない。きちんと必然性もあって取り込むってのは本当に難しいのだが、それをきちんとやってのけた。
 ここでの柄本明の演技は特筆ものである。ちょっとホモっぽい悩める中年を演じているのだが本当にウマい。山田洋次の偉大なるマンネリを満喫した。きっと山田監督と渥美清さんが一緒に海外に出かけた最後の記録なんだろうと思う。何か胸がジーンとするよ。
 2012年6月25日 DVD
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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