佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 NHK交響楽団2012年6月A/C定期 アシュケナージ指揮 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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ウラディミールアシュケナージ指揮
NHK交響楽団 定期演奏会


「アシュケナージ的なものに必要なこと」
 ピアニスト時代のアシュケナージにも思ったのだけれど中庸の徳をこの人は行こうとしているのは良くわかる。それはとても正しい路線なのである。感情が高ぶってもそれは内面で起こるのであって、決して音にそれをぶつけない。品格のある演奏になる。アシュケナージの演奏を聴いていて驚いたことは一度もない。それはがっかりする事も、へぇ、この音楽はこういう側面があるんだと思うこともない。
 それでこの厳しい音楽業界に生き残るのは至難の業なのである。
 昨年のちょっと変わったプログラムの時に、久しぶりにアシュケナージの指揮の演奏をきいて思ったのは、この人は老成すればするほど味が出るんだろうなと思ったことと、N響はアシュケナージとどこまで付き合う気があるのだろうと思ったことなのだ。いまやN響はアシュケナージから、学ぶ事はほとんどないのではないだろうか?それが演奏の緊張感のなさに現れてしまうようではいけないのだと思う。
 アシュケナージは中庸の徳の演奏を極めるのであれば、他の月では聞けないようなピッチのあった弦のセクションとか、立ち上がりのいいホーンセクションの音にこだわって欲しいのだ。合奏の極みをN響から引き出してくれないと、アシュケナージ的なもので行くのであれば、それがないと、いけないと思う。
 だから、今月の定期ではソリストがすべてをかっさらっていった。
 バルトークの2番コンチェルトは、空気や色合いの変化までこだわった演奏で、そこにブーレーズも認めるパウゼという稀代のピアニストが非常に現代の息吹のある鋭利な演奏をのっけた。もっとN響も尖って良いはずなのに、アシュケナージはそういう方向にはいかない。
 パボラークは現代最高のホルン吹きだということは良くわかった。N響もいい演奏をするのだが、彼の持つ飛び抜けた技術の前には、いい演奏であって、惚れ込む演奏とならない。
 アシュケナージはこれから演奏家としてどこに向かうのであろうか?来年は定期に登場しないのだが、さて、次があるのだろうか?と思ってしまう。



A定期
リムスキー・コルサコフ / 組曲「サルタン皇帝の物語」作品57
グリエール / ホルン協奏曲 変ロ長調 作品91(1950)
チャイコフスキー / 交響曲 第4番 ヘ短調 作品36
ホルン/ラデク・バボラーク
2012年6月10日@NHKホール



C定期
コダーイ / ガランタ舞曲
バルトーク / ピアノ協奏曲 第2番
R.シュトラウス / 交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」作品30
ピアノ/ジャン・エフラム・バヴゼ

2012年6月15日@NHKホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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