佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 映画 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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監督 中村義洋
脚本 斎藤ひろし ほか
出演 竹内結子 阿部寛 吉川晃司 國村隼 平泉成 山口良一 野際陽子 ほか

 大変優れた知的エンタティメント。物語は冒頭から核心から始まる。すぐに犯人探しが始まるのだ。映画で良くある冒頭の人物紹介のシークエンスなどは、竹内結子が事情聴取をするときに全て処理がされるので無駄がまったくない。ステージもののように、舞台は病院内にしぼられていて、非常に濃密な空気となる。クールな空気が流れている映画の中に、「エグイ」手術のシーンや山口良一さんのトチ狂ったロック中年の歌や死んだ後のMRIのシーンなどが放り込まれる現代的なセンスは、ケラリーノサンドロビッチの芝居のごとくである。キャラが強い阿部寛を冒頭から出さないので、きちんと登場人物ひとりひとりを観客に紹介し分からせた後で出したのも成功。脚本がいいのだ。手術のシーンなどは緊迫感もあり細部にまでこだわっていることが伺い知れる。後半は竹内、阿部と観客も謎解きに参加できるようになっており、いやはや良く出来ている。
 台本で唯一残念なのは、犯人がその殺人の動機を「面白そうだったので殺した」みたいな理由をいうだけで終わってしまうこと。それは、それでいいのだが、それまでが、すべてクールな感じだったので、急にいわれて夢落ちみたいな感じになってしまった。そんな結末なら何でもありじゃん。
 犯人がもう人間として壊れていることを前半で暗示するようなシーンがあったら良かったのにと思った次第。





公式ホームページ http://www.team-b.jp/index.html
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監督 平川雄一朗
脚本 金子ありさ
出演 岡田准一 西田敏行 平山あや 三浦友和 ほか

 昨年岡田准一さんと仕事をしたこともあるし、売れない頃の劇団ひとりのステージを見ていたものとして、ちょっと見てしまったらぐいぐい引き込まれた。先ずは台本がスゴくいい。原作は短編小説集なのだが、それを上手く縦横無尽に折込んだ。西田敏行が相変わらず面白いし、三浦友和が社会の底辺で生きるどうしようもない鬱積感を静かに表現している。頑張れよ!って簡単に言っちゃいけないなと思ってしまった。人間は歯車が上手く行かないとなかなか這い上がれないものなのです。
 また、多くの人の善意を感じながらもそれに応えられない岡田准一のダメ男ぶりがとてもいいです。見た人が、他人に対してもっと優しくなれる映画だと思いました。
 こういう秀作が今の日本映画には生まれているということを、すごく羨ましく思う。僕の中学高校時代は、ホントごく限られた人以外の作品は、大人の鑑賞に堪えうるものが少なかったし。



公式ホームページ http://www.kage-hinata.jp/index.html
監督 ケビンリス
脚本 ビルケリー
出演 エイミーアダムス スーザンサランドン ジェームズマースデン

 完全なドラッグムービーなのであります。むかし、お気に入りだった1951年制作の「不思議の国のアリス」は公開当時、マリファナなどを吸った若者がケラケラ笑いながら見たという。確かに、美術も登場人物もとんでいる!?ディズニーのアニメーターたちの中には、そういった派閥?みたいなのがあって、非現実的なものを描きたがるらしいです。他にも「ダンボ」の中の桃色の象のシーンがそうだとか。ディズニー亡き後のディズニーアニメは健全でそういった狂ったようなシーンはほとんどありません。「アラジン」「ライオンキング」「美女と野獣」などなど。しかし、これは、ディズニー作品のセルフパロディだし、子ども向けというよりは、ひねくれた大人向けの一大爆笑作品なのであります。
 設えはディズニーらしいもので、ニューヨークの父と幼い娘と、お伽の国からやってきた可笑しげな人たちの話なんですけど、例えば「シンデレラ」などであるねずみや馬が歌を歌うと掃除をしてくれるシーン。有名な「WORKSONG」ってのがあるんですけど、それを実写でやってしまうわけです。糞だらけの街の鳩や、ドブネズミ、ゴキブリなどが掃除をがんがんしてくれる。実写で。
 急に唄いだすヒロイン、王子。ニューヨークですから邪魔です。唄いだすと急に現れた多くの自転車にひかれてしまう。ミュージカルをやりながら、ミュージカルをおちょくるセンス。
 このジゼルというヒロインを登場させたのがニューヨークってのが上手い。ニューヨークならどっかトチ狂って、頭がどこかに行ってしまった人がいないわけでもありません。アーチスト系の人なんかそうでしょう。ウォーホールとか、ウディアレンとか見ただけで行っちゃった人だもんね。ニューヨークならありです。
 このジゼルがお伽の国で着ていた豪華なドレス、お城はどことブロードウェイを歩き、ラブホテルの城の作りをお城だと思ってしまう。いやはや、大笑いです。
 おとぎ話の部分は、結局、王子である息子を手放したくない母=魔女が、息子の恋路の邪魔をするという話なんですけど、結局男が馬鹿だとか、自立していないとか、現代の話も上手く入れています。呆れ返るほどに過去の名作をパロディにしたことを相当スゴいなあと思います。
 彼らが、そのままディズニーランドのキャラクターになったら、結構可笑しいかも。
 スーザンサランドンの怪演は必見です。音楽のメロディラインもパロディになってます。



公式ホームページ http://www.disney.co.jp/movies/mahokake/html/index.html
監督/脚本 クリスワイツ
出演    ニコールキッドマン エバグリーン サムエリオット ほか





 また3部作ものが始まった。ハリーポッターやリングの成功から、多いなあ。ナルニア国物語はこけたのに、二作目が来るしなあというわけです。しかし、守護精霊=ダイモンを登場させてしまえば、もう登場人物の心のうちは、ガンガン語ってくれるから台本書くのも楽だよなあと思っていたら、それが話の中軸でした。シロクマのイエルクに、いつの時代かちょいと分からない不思議な世界でなかなか面白いのであります。ニコールキッドマンの悪女ぶりも素晴らしく、おいキレイだよ!とつぶやいてしまったくらいです。
 こういう作品はあれこれいわずに楽しめばいいと思っているので、はい。楽しませて頂きました。もう一回見てもいいなと思ってるくらいです。いつかこういうのに出演してみたいです。






公式ホームページ http://lyra.gyao.jp/
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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