佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 映画 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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ロブマーシャル監督
 ベネロペクルス ニコールキッドマン ジュディデンチ ケイトハドソン ソフィアローレン ダニエルディルイス ほか


 ロブマーシャル監督は、この作品がもともとフェリーニの作品だということを熟知して映画化している。カメラワークの自由さ、叙事詩的なストーリー運び、知性よりも感性に訴えなければならないのである。そこにハリウッド映画の弱点があるように思えるのだ。ハリウッド映画は、徹底的なマーケティングに基づいて多くの人に見てもらいたいと作られる映画なのである。
 マーシャル監督はそれに抵抗し、作家性をこの作品に折込もうとしている。半ば成功し、多いに失敗しているように思える。物語が解体されないまま作品は終わってしまうからだ。
 もちろん見どころは山ほどある。美しい美術、美しい女、美しいイタリア。歌が上手い人はいないけれど、ソフィアローレンの歌声を「ラマンンチャの男」以来きけたのはもうけもの。彼女はいまだに魅力的なのは奇跡だ。ジュディデンチやペネロペクルス、キッドマンの歌もきける。
 映画の中では物語は解体されずにあくまでもハリウッド的に進んでいくのだが、観客の僕は勝手に物語を解体し、感覚でこの映画を見ていたのだ。それほど彼女たちは美しい。

2010年4月19日
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出演 ロバートダウニーJr ジュードロウ
監督 ガイリッチー


 抜群に面白いホームズ映画だ。主演2人の組み合わせもいいし、2人がこのホームズとワトソンに新しい光を照らしたことも特筆される。音楽や美しい美術にも賞賛を!悪役のマークストロングはどこかで舞台を見ているなあと思うのだけれど。どこだろう?
 きっと続編も作られるだろうから、今から楽しみだ。

2010年4月19日
テリーギリアム監督作品
ヒースレンジャー クリストファープラマー 
ジョニーディップ コリンファレル 出演



 テリーギリアム節が堪能できる作品である。物語はしっかりあって、それはそれで面白いのであるが、作品の魅力は決してストーリーにはない。俳優の演技にもない。何しろ、舞台がまたもや移動劇団。おいおい、「バロン」と似すぎてやないかって感じだ。そして、内部でおきる創造の世界の話も同じ。でもさ、同じでもいいのだ。だって、こういう作品を作れる人はいまや世の中に2人しかいないのだから。テリーギリアムとティムバートン。僕はこれから略して2BigTと呼ぶことにしようかな。クリストファープラマーは、「サウンドオブミュージック」が代表作の古い俳優だが、塗り替えるなあ代表作を。最近いろんな作品に出ていい味出しているのだ。
 こういう作品はテクノロジーの進歩があって可能になった世界。もしも、フェリーニや黒澤明が生きていたら、どんな作品を撮るだろうかと思います。フェリーニなんか嫉妬してるのかな。分からないけれど。テリーギリアムやティムバートンのスゴいところは、テクノロジーで可能になった画像だけれど、手ざわり感っていうか一流の職人が作った空気が残っているんだよなあ。それが、「スターウォーズ」の1〜Ⅲに欠けていたものではないかなあと思った。

山田洋次 監督
吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井佑 ほか


松竹映画は生きている。そう感じさせる映画だ。山田洋次は小津さんのことをどう思っているのかしら?そう思いながらも観た。東京大学を卒業し、エリートで左翼という山田洋次監督。知的でな秀才の造り上げた作品も大好きだけれども、やはり小津安二郎には叶わないなあと思うのだ。
 そして、頭のいい人が一生懸命台本を書き、監督をし作っても、例えば寅さんシリーズの渥美清やこの作品の笑福亭鶴瓶の放つ魅力は、彼らを上回ってしまう。台本や演出で描けない深いところを鷲掴みにしていく。すごいなあと思う。山田監督は時代劇ものではそのようなところに頼りはしなかった。いや寅さんシリーズ以降は封印してきたのだ。しかし、この作品で再び自分では及べない才能を受け入れることによって魅力ある作品を作り上げた。知性では届かない魅力がそこにあった。山田監督の偉大さはそういうことをきちんと分かっているところに一端があるのだろう。

2010年4月19日
映画「釣りバカ日誌20 ファイナル」

出演 西田敏行 三国連太郎 浅田美代子 杉野なつ美 ほか

 とても楽しんだ。そして、三国さんが弱って崩れる前にきちんと作品をファイナルしてくれて良かった。ファイナルだからこそ、祝最適なハチャメチャ感のある作品で良かった。それも、三途の川でサンバを延々とやるところなどいいですなあ。もちろん松竹映画の伝統的な市井の人間を描くことも忘れていないのだけれども。しかし、釣りバカの釣り部分は相当ないなあ、これ!と久々にみて思うのだ。いいなあと思っていた杉野なつ美がいい役で出ていたのもとても嬉しかった。彼女は素晴らしい女優です。もっと知られていいのです。
 西田敏行って本当にいいなあと思う。寅さんと並んでやっぱり彼の魅力があったから22本もこのシリーズが作られたのだから。他の俳優も、この作品ではぐっと上手い芝居をする。きっと現場で鍛えられているんだろうなあ。若手の俳優が出ていると本当に羨ましい。いい現場で金もらって、芝居上手くなって,次の現場の仕事につながるんだから。



2010年4月19日
出演 メリルストリープ スティーブマーティン アレックボールドウィン
監督 ナンシーマイヤーズ


 見始めて騙された!と思った作品だった。恋するベーカリーってまったくベーカリーな話はあまりなくて、別れた男とセックスしたらとても良くて、それがきっかけに結局よりを戻すっていう話だった。そこに、スティーブマーティンの設計士からの恋も絡む。ベーカリー、ベーカリー。何で????と思って、あとで原題を調べたら「It's Complicated」人生って複雑!みたいなタイトルなわけですよ。そういうタイトルならいいんだけど、これ、恋するべーカリーは、本当にズルいタイトルだよなあと思うな。あんぱんだと思って買ったら、ジャムパンで、違うじゃんと言ったら、でもジャムパンも美味しいでしょ?って言われている感じですよ。全く。まあ、確かに3人ともいい味出して芝居を軽く楽しんでいてね、悪くはないんだけど。

2010年4月14日
ジェームスキャメロン監督


 飛行機の中で見てしまった。160分。あっという間。面白い。話は現代的で深みもある。
なるほどこれは3Dで見てみたいなあ。ジェームズキャメロンは本当に上手い職人芸の、そして、名プロデューサーだと思った。


2010年4月14日
テリーギリアム監督
ヒースレンジャー ジョニーディップ ジュードロウ コリンファレル クリストファープラマー


 どういう映画?と問われれば、いつものテリーギリアムの感じ、という。俳優にヒースレンジャーなど名優がいるからちょっと違うのかもしれないが、例えば、移動演劇団という寺山修司的な、フェリーニ的な記号で起きる迷宮ものは決して珍しいものではない。
 新しさを感じるわけでもないのだが、こういう作品が生まれることがとても嬉しい。それは、現代でこのような映像詩人ができる映画作家はもう2人しかいない感じがするのだ。イギリスのテリーギリアムと、アメリカのティムバートン。両方ともジョニーディップがお気に入りというのもなるほどね、という感じだけれど。ティムバートンが作ったことでバットマンシリーズが面白くなった自分としては、テリーギリアムにもバットマンシリーズの監督をやってもらいたいのだけれど。まだやっていないよね?
 僕は黒澤とか、フェリーニが彼の作品を見たら、とても喜ぶだろうし、ああ、いまの映像技術だったら、どんな映像を作っていたのかも見てみたいなあと思う。

2010年4月14日
ヒュージャクソン 製作



 とても面白い映画だ。俳優は全員無名。監督は新人。しかし、何で今までこういう作品を創らなかったんだろうというくらい新しく根源的なテーマを内在した作品だ。ドキュメンタリーのスタイルを取りながら劇映画となっていく。南アフリカに出現したエイリアン=海老のためのゲットー。そこでおきる非常に人間らしい出来ごと。差別は表面上ではなくなってきている。しかし、それはもっと内在化し陰湿になってきているのが現実だ。そんな現代社会を投影したような映画なのである。
 徹底的なエンタティメント!!皮肉とユーモアにあふれたエンタティメント!

2009年3月20日
原題:Gran Torino
監督・製作:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
美術:ジェームズ・J・ムラカミ
2008年アメリカ映画 上映時間:1時間57分
出演 クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー、クリストファー・カーレイ、ジョン・キャロル・リンチ

 
 非常に力強い映画である。観るものを感動させるとともに、強く問いかける映画でもある。そういう意味で年老いたイーストウッド氏からの遺言状でもあるように思える。現代のアメリカの問題でもあり9.11以降のアメリカで逆行してしまった問題も投影されているが、そのようなことはどうでもいいのだ。そこから目を背けることはしてはいけないのだが、もっと個人一人一人にずしりと迫ってくるのだ。あなたは、そうやって生きていますか?とである。人生は孤独で虚無なものでもあるけれど、生き方によって、永遠の幸福を手に入れることができることを優しく問いかける。
 孤高に気高く生きることは厳しく寂しいものであるけれど、外に向かって開かれていれば美しい孤独かもしれないが幸福なものをを手に入れることもできるのだ。
 素晴らしい台本、静かだけれどパワフルな映像、誠実でハートフルな演技、本当に素晴らしい21世紀の映画が生まれた。いつか僕が死んだ後も語り継がれる永遠の命をもった作品が生まれた。



アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。

2009年5月26日

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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