佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 日の浦姫物語 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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作/井上ひさし 演出/ 蜷川幸雄
出演/大竹しのぶ 藤原竜也 辻萬長 たかお鷹 立石涼子 木場勝己
赤司まり子 原康義 大門伍朗 妹尾正文 ほか


あまりにも見事な蜷川演出
 1978年初演の舞台を知らない。しかし、1978年、杉村春子主演、そして、テキストを当たって行くと、今回とはまったく別物の舞台だった様な気がする。それは、ギリシア悲劇の様な人間の業に迫る舞台だったのではないか?
 しかし、時代は流れ。現実は物語を凌駕するようにもなる。この近親相姦のラブストーリーを蜷川幸雄は純粋な愛の形として描き、社会の規範によって引き裂かれながらも愛し合う物語のひとつとして舞台に仕上げた。本来であればドロドロと暗い話も、人間の本性の部分の下りに大胆にコメディタッチを導入することに寄って、人間てこういうものだから、こんなイケナイことも時にはやっちゃうバカで愚かで可笑しい生き物だよね。でも観客のあなたも同じでしょ?と、観客に笑いながら受け入れさせてしまうのだ。それがあまりにも見事で感服した。笑いだけでなくスゴく芝居芝居した演技を演技者にさせるので、観客は安心して見られる。さらに、美術がこの夏の「海辺のカフカ」でも見られた様な可動式の枠ものが主体。歌舞伎の手法やさまざまな演劇的なものを導入して飽きないが、透徹されるのは、美術からもリアル感をある程度消しさり、おとぎ話の様な美術に仕上げたのも効果的。リアル感がありすぎると見ていて辛い内容なのだ。こうして、主役二人の話も全部終わってめでたし!と思ったら、最後のエピローグの段で、物語を現代に放り込む。社会の規範が登場し、観客は笑って引き込まれていた架空の物語が現実の自分のものとして突きつけられる。自分に引き戻される。この幕切れも演劇鑑賞の喜びを感じさせてくれるのだ。
 3時間10分の舞台はスピーディで、大竹、藤原の二人は魅力的で素晴らしいが、ここに狂言回しであり、観客の目線であり、観客と物語をつなぐ狂言廻しに木場を配した。この木場があまりにも見事なのだ。芝居は旨いし、何といっても声がいい。日本を代表する役者だなあ。この人で、チェホフとか、アーサーミラーとか見たい。大竹×藤原の初共演が話題の舞台だが、最終的な勝者はまたもや蜷川幸雄なのである。
2012年11月21日@シアターコクーン
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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