佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 エドデワールト/N響定期 2012年11月 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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2012年11月定期
エドデワールト指揮
NHK交響楽団

Aプログラム
武満 徹作曲 遠い呼び声の彼方へ!(1980)*
      ノスタルジア~アンドレイ・タルコフスキーの追憶に(1987)*

ワーグナー作曲 楽劇「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式)
ヴァイオリン:堀 正文*
ジークリンデ:エヴァ・マリア・ウェストブレーク 
ジークムント:フランク・ファン・アーケン
フンディング:エリック・ハルフヴァルソン

世界最高峰の水準で聞かせる充実の演奏会
 圧倒的な成功というのはこのことを言う。ウェストブレークのジークリンデは4月にメトロポリタンオペラの「ワルキューレ」でも聞いたのだが、今回の方が圧倒的だった。http://palove.blog.shinobi.jp/Entry/495/ それは、この日本を、いやアジアを、それよりも2010年代の世界を代表するオーケストラの充実した演奏が彼女の歌手魂に火をつけたからだと思う。高音まで圧倒的な声量でコントロールされた歌唱は、適度な重さがありドラマのキーワードが客席に伝わってくる。こうなると、男性陣二人も負けてられない。重責のジークムントは見事に応えるし、フンディングは理想的なワーグナーバスである。
 ワールトの作るワーグナーは、余計な解釈や個性で音楽に痕跡を残す下品な演奏ではなく、合奏力、演奏力の水準を追求して行く、見事な職人的な指揮で、それはワーグナーのスコアが持っている力がそのまま、どんどん伝わってくる。理想的なものだ。演奏会形式であるが、3人の出演者はその関係性や舞台上の出はけをきちんと表現して行くから、ドラマもきちんと伝わってくる。メトロポリタンオペラで観た大掛かりな作品をジャマする舞台装置があるよりもドラマがどかーんと伝わってくる。余計なことを語るのはもうよそう。今夜の演奏は現存する録音も含めて世界最高峰の演奏である。これ以上の演奏は個々の心と想像上の中でしかありえない。いまのN響の水準とはそのレベルなのである。
 65分のワルキューレの前に演奏された2曲の武満徹作品も素晴らしい演奏だった。ここでも見事なアンサンブル、そして掘さんの感傷的ではないけれども余情たっぷりのソロが見事だった。私はN響の定期会員であることを本当に幸せだと思う。そして、先日のお下劣ティーレマン/ドレスデン。1晩で32000円であるが、その金額があれば、D席ならN響の年間定期会員になることもできる。私たち、日本の音楽ファンは、そろそろ20世紀に持っていた欧米至上主義の音楽鑑賞を本格的に捨て去る時であることを自覚したい。そこには、輝きを失ったかつての一流ブランド品が多くあることを忘れてはならない。むしろ、N響、都響など東京ブランドの質の高さと費用対効果(そこはあまり関係ないことでもあるのだが)を考えるべきである。
 2012年11月10日@NHKホール



Bプログラム
曲目;メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」作品26
   ブルッフ作曲 ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26
   R. シュトラウス作曲 家庭交響曲 作品53

ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン


どこまでも豊麗なサウンドに、えっ?N響

 わけあって、いつもの座席でなく金のない時に良く座ったRAブロックの音のバランスがとても悪い席。どんだけ音楽のバランスを崩しているかとことんわかる。
 しかしながら、ワールト/N響の仕事はそれはそれは見事である。フィンガルの洞窟を生で聞くのは今世紀初めて。非常に絵画的な楽曲をそのまま演奏する。ワールトは、ワールトの個性の痕を残そうとしない。全てはスコアに語らせる。何と品のいい本格的な指揮者なのだろう。ブルッフでは、リズムが立っていて圧釜炊飯器で炊いた粒のたったご飯のうまさがある。そこにヤンセンというスター性のある若い感性で楽曲を弾いてくれるから、おかずも満足という感じか。
 今宵のメインはもちろんシュトラウスだった。カラヤン/ベルリンフィルの名盤で予習して行ったのだが、生のN響で聞く方がそれこそ何十倍もこの楽曲の魅力を感じる。シュトラウスの曲は巨大な編成でありながら室内楽的な緻密さと個人芸も求める聞いていてぞくぞくするような曲だ。リヒャルトシュトラウスは何十年にも渡ってウォルフガングサバリッシュがこのオーケストラで何回も何回も取り上げてきた。スコアを弾くとともに、その微妙なニュアンスが出て欲しいと思うのだが、今宵はそれが完璧。一言で言えば艶やかなサウンド。やりすぎない、すべてある。そして魅力的。こういう演奏はウィーンフィル並の超一流のオケの演奏会でも、オケの状態が良く指揮者とのコンビネーションが旨く行くときでないと聞けない。僕は目をつむりながらこのユーモアに溢れた楽曲を微笑みながら聞いていたけれど、何回もまぶたを空けた。え、この至極なサウンドは、ホントにN響なの???ウィーンフィルでも、ドレスデンシュターツカペレでもなくて???サバリッシュがこの場にいたら、嬉しくて小躍りしただろう。そうそう!そう!2012年11月22日@サントリーホール


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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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