佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 オペラ 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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チャイコフスキー作曲 スペードの女王
ミハエルプレトニュフ 指揮
V フォーキン 演出
タチアーナモノガローワ(リーザ)、ウラディミールガルーシン(ゲルマン)、ワシリーラデューク(公爵)、エレナオブラスツオワ(伯爵夫人)

ボリショイ



 歌唱もオーケストラもすごかった。ガルーシンは何回もきいた。確かゲルギレフと来日したときに初めて聴いたはずである。でも、今回の素晴らしい歌は今までのそれと次元の違うものだった。絶唱である。演技もスゴかった。モノガローワの天性の素晴らしい声は何だろう。ラデュークもよく、全盛期とは違うもののオブラスツオワが健在だったのも嬉しかった。それ以外のすべてのソリストは満足する歌唱をし、合唱は見事だった。そして、プレトニョフ指揮のオケの素晴らしさ!何と行ってもボリショイこそがロシアを代表するオペラハウスなのだ!と言いにきているように気迫のこもった演奏だった。感動した。
 しかし、演出や美術はなんだろう。ああいうのを独りよがりという。ドイツのオペラにあるようなシンボライズさせて、ドラマツルギーを作り上げるものでもなく、写実的でもなく、何か中途半端な思いつきアイデアで全編を通したような演出だった。分かりにくく、ドラマが浮き上がってもこない。衣装もセットも全員が黒。バカみたいなこだわりだった。

 17年前の来日のときに、親子で鑑賞した「エフゲニーオネーギン」を思い出した。僕は2001年にモスクワに行った時に、ボリショイ劇場でそれに再会。劇場は古びていたし、客席は携帯なり放題でオケも歌手もイマイチだった。今回の来日はどうだろう?と思ったら、ホントに新生ボリショイいっていいほど素晴らしかった。それなのに、この演出!ホントに残念。客席も空席だらけだった。


2009年6月21日
NHKホール
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ドン・ラミーロ アントニーノ・シラグーザ
ダンディーニ ロベルト・デ・カンディア
ドン・マニフィコ ブルーノ・デ・シモーネ
アンジェリーナ ヴェッセリーナ・カサロヴァ
アリドーロ ギュンター・グロイスベック
クロリンダ 幸田 浩子 ティーズベ 清水 華澄

合 唱 新国立劇場合唱団 管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
指 揮デビットサイラス
演出美術衣装 ジャンピエールポネル

 待っていました!こういうロッシーニ。すべてが超一流!観客の反応もよくシラクーザはアリアをもう一度唄うくらいにノリノリ!楽しくばかばかしくでもスピーディで美しくでも簡素なポネルの演出と美術も素晴らしい。カサロヴァや他の招聘歌手だけでなく、日本勢のお二人も大健闘。演技が少しアジア風でしたけど。ロイヤルオペラで働くサイラスの指揮も手堅い。世界でもホントに一流の歌手を集め演出も借りて来たのだから簡単に喜んでいいのか分からないが、日本のオペラ団体がこれほどロッシーニを見事に上演できると誰が思っていただろうか。ロッシーニ!ホントに難しいのだ!!
 何が難しいって、あれですよ。重くないんです。軽くふんわり流れて富んで行く音楽。笑いと軽さ、その中に人生の真実を折込んで。粋で品が良くて。早口で唄い、ピアニシモで唄い、その真髄を客に伝えるのは難しいですよ。何しろ話はシンデレラなわけだしね。
 新国立劇場のオペラの中でも最高レベルの傑作として長く人々の記憶に残るだろう。もう一度見たいなあ。



2009年6月12日
新国立劇場オペラパレス
ヴェルディ作曲 ナブッコ
指揮/ネロサンティ 演出/ジョナサンミラー
チューリッヒ歌劇場管弦楽団/合唱団


出演/MitAngeles Blancas (Abigaille), Stefania Kaluza (Fenena), Liuba Chuchrova (Anna); Leo Nucci (Nabucco), Carlo Colombara (Zaccaria), Boiko Zvetanov (Ismaele), Valeriy Murga (Der Oberpriester des Baal), Miroslav Christoff (Abdallo)


 スイスにバカンスにでかけた時にやっていたので聴いてみた。チューリッヒ歌劇場はとても評判のいい歌劇場で、先年の初来日時には、Rシュトラウスのバラの騎士とサロメを演じて高い水準を証明してみせた。この上演でも、ネロサンティやジョナサンミラー、カルロコロンバーニ、ネロヌッチなど手堅い名前が並んでいた。歌劇場は1000人と少ししか入らない非常に小振りなもので、驚いた。演出はお金がないところがやるオーソドックスなものだったし、音響も日本のオペラハウスに比べてもデッドな響きであまり歌に適しているとは思わなかったが、序曲が終わり、物語が流れ始める頃にはオケはものすごいイタリアンサウンドを奏でるし、歌手たちの絶唱や名唄がきけた。こんなに水準が高いとは。何か良く分からないストーリーで、まだ青いベルディの作品をこれほどまでに魅力的に聴かせる凄さを感じた。また機会があったらこのオペラハウスできいてみたい。



2009年5月20日
チューリッヒ歌劇場
グルッグ作曲
マークモリス プロダクション
ジャームズレバイン 指揮
ステファンブライツ ハイディグランドマーフィ 他 出演

 ヨーロッパのバロックオペラブームがニューヨークにも飛び火していた。レヴァインが指揮していたこともあるが、メトのオケはしっかりしたアンサンブルで緻密な音を出していたし、歌手も良く、合唱の衣装も面白く、さらにダンスも楽しかった。そして、メトならではの豪華な美術と衣装。90分の短いオペラを堪能した。しかし、最初に見るオペラがこれだと、ちょっとツライかもなあ。この日の上演はテレビカメラに収められたのでいづれDVDなどで発売になるはず。興味があったら見て下さい。




2009年1月17日
メトロポリタンオペラハウス(ニューヨーク)
フンパーベルグ作曲
コリンディビス指揮
アンジェリカキリヒンガー ダイアナダイマウ エリザベートコーベル トーマスアレン
演出 モーゼライザー ほか

 昔から知ってるヘンゼルとグレーテルのオペラ。でも生は初めてである。ロイヤルオペラの新演出ということで、プレミアムキャストで上演される。キュヒリンガーやトーマスアレンが唄い、指揮はコリンディヴィス。豪華である。そして、数年前にきいた時は愕然としたオケも今日はまともに演奏していた。いい時と悪い時があり過ぎだよ!
 この作品は初めて生でみたのだが、なんのひねりもない作品だが、一流がやると面白いし飽きない。そして、演出や美術もキッチュな感じで良かったです。到着初日に見たので寝るかと思ったけど、ギラギラに楽しみました。キュヒリンガーもこういう作品だと自分の声を自慢したような唄い方をしないのでいいですね。 
 演出面でもおとぎ話にせず、大人も楽しめるブラックな笑いも取り入れていて、1等席で見たのですが、どうみても金持ちの方々もゲラゲラ笑っていました。オペラもパフォーミングアーツのひとつだと割り切るイギリスの姿勢。賛成です。



さて映像です。実はこの日、僕は劇場におりました。1階席の平土間のやや後方で見ています。
僕が見た日の映像です。





ユーチューブを探してもらうと全幕観られるようです。スゴい時代だなあ。
2008年12月16日 
ロイヤルオペラハウス(ロンドン)
作曲 ウォルフガング アマデウス モーツアルト
演出 ロベルト・デ・シモーネ
リッカルドムーティ指揮
ウィーン国立歌劇場管弦楽団/合唱団

 もう数えられないほどコシはきいた。でも最高峰のひとつは、もう20年以上前にきいたロイヤルオペラのコシだろう。キリテカナワ!あなたは真のデームでした。多くの歌劇場が日本で名演を残してきたのだがウィーンがやるとなると別。ムーティがこだわるモーツアルト。シモーネの美しい演出も相まってとても気になる。芝居の稽古も始まっているタイミングだがこれだけは!という感じで行くのだ。今回の3演目のなかでこれだけに絞ったので許して下さい。



 僕は人がいうほどムーティの指揮って好きじゃありません。そんなに魅力も感じない。けれど、今宵のモーツアルトは素晴らしかった。先ずはこの作品がナポリの辺りでの話であることを再度認識せてくれた美術衣装。そして音楽を壊さない品のいい演出。良かったなあ。歌手も素晴らしくケチを付けたいような人がいない。もちろん、ロイヤルオペラのキリテカナワ、トーマスアレンできいたときのようなカリスマ性はないのだけれど、ムーティのもとにみんなで作り上げた上演として本当に素晴らしいものだった。このような当たりに出会うことがあるから、オペラ通いが辞められない。
2008年10月21日
東京文化会館大ホール
作曲 ロッシーニ
「マホメット2世」
指揮 アルベルドゼッダ
演出 ミハエルケンペ
「オッテロ」
指揮 グスタフクーン
演出 ジャンカルロ=モナコ

管弦楽 ボルツァーノトレンド ハイドンオーケストラ
合唱  プラハ室内合唱団

 始めて見るオペラは分かりやすい演出の方がいい。特に筋立てがしっかりしているものは。そういう意味で古くさいと言われるかもしれないが「マホメット2世」のちゃんと立て込んだ美術セットの中で物語が進行するほうが何倍もいい。アルベルドゼッダの指揮も良かった。僕の知ってるロッシーニの軽やかさよりは、ドラマチックな音作りに挑戦しているようで、でもマイナー系の音楽はどうしても創りだせなくて、時々漏れてくるロッシーニの軽やかな旋律がパロディのように面白い。
 歌手は表題役の人が声がなくて困ったが、他はテナーもナンシー役の人も良くて満足。
 一方「オテロ」の方は何かオラトリオみたいな演出でアレレという感じ。あれならば演奏会形式でやってもらった方がいい感じだった。



2008年 11月
オーチャードホール




ジェラールモルティエ総裁
パリオペラ座管弦楽団/合唱団

ポールデュカス作曲
アリアーヌと青ひげ
演出 アンナ・ヴィーヴロック
指揮 シルヴァンカンプルラン
出演 デボラポラスキ ウィラードホワイト

 パリオペラ座来日公演初日に言ってきた。この深い感銘はなんだろう。演出家や台本を書いた方には申し訳ないが、僕は筋などをあまり追っていない。その時おりの登場人物の舞台上での関係性とそれぞれが発するさまざまなエネルギー。例えば喜怒哀楽の、疑念とか、絶望とか…。そういうものを感じ取るだけなのだ。そして、このワーグナーのように深淵で、ラベルのように繊細であるフランス哲学のようなオペラを本当に楽しんだのだ。フランス哲学は知的水準が高いだけでなく、大切なことを直感で捉えようとするから、ドンドン先に非線形的に跳んで行く。そんなフランス文化と思想の最先端を行くような作品だった。
 ポールデュカスといえば魔法使いの弟子!きっと写実的で分かりやすい音楽だと思いきや、最初の一音からワーグナーのように深遠であることを提示し、それでもフランス的な直感力。それは廻りからみると受け入れられないとウザイものでしかないが。その醍醐味を味わわせてくれる。歌手の3人は望みうる最高のキャスト。もう声がうごうごすごい。そして、オラオラオーラ。
 美術、照明、効果、衣装。演出もされていて、こころからこの現代的であるけれど、19世紀ともつながる。つまり人間の根本的なところに根ざしたオペラを楽しんだ!

 ブラボー!!!!!!!
 




2008年7月23日
オーチャードホール



ワーグナー作曲
トリスタンとイゾルデ
演出 ピーターセラーズ
指揮 セミヨンビシュコフ
出演 クリフトンフォービス ビオレッタウルマーナ



 最高にいい席で拝見した。18列目6番!58000円。高い。三ツ星レストランのフランス料理のように!しかし、モルティエはパリから最高のものをもってきてくれた。
 音楽はビシュコフ!私はこの人のトリスタンをウィーン国立歌劇場で2001年に聞いている。天井桟敷のボックス席で舞台がほとんど見えない席だったが、この指揮者の辣腕ぶりに驚いたものだ。今日もそれは言えて、それも、パリのオペラハウスのオケは休暇も取れるように二編成が交替でやってるらしいのだが、それらから選抜したメンバーらしく、パリオペラ座の最高峰の技術力でこの大作に対峙してくれた。これらが生み出す音楽の官能は人類が生み出した最高峰のものであった。
 私のトリスタン初体験の1980年代のウィーン国立歌劇場来日公演のトリスタン、眠ってしまった。2000年のアバド指揮ベルリンフィルとのイースター音楽祭の来日公演でのそれ。初めて面白さが分かった気がした。そして、バイエルンはコンベンチュニーの演出。ベルリン国立歌劇場も素晴らしいそれを聞かせてくれた。そして、生まれて初めて非ゲルマン系の国のオペラハウスのトリスタンを聞いたのだ。何て色っぽい音なんよ!
 そして、会場中をくまなく使う。コーラスは一階の最後列や、廊下から。ソリストは3階のバルコニーから、管楽器も同じく。1階のど真ん中にいた私はピットから聞こえてくる音も含めて360度美しいエロい音楽に囲まれた。
 音楽はそれほどエロいのに、ピーターセラーズの演出はむしろ禁欲的なのだ。でかいスクリーンとあとはなにも無い舞台。スクリーンでは美しい風景や、男女が出会って完全裸体になったり、水を浴びたり、まあいろんな映像が映され、それは、さまざまな隠喩であることは分かる。
 しかし、舞台上では歌手がほとんど目を合わせたり、対峙したりというよりも、何か狂言や能の手法を使い最小限のモメントの中に押し込んでしまったような感じがする。ただし、動きは最小なのだが、演技し唄っているわけで、歌手(役者?)の内部で起こっている感情の起伏はどかん!どかん!と表現される。それらは、相手役と見事にシンクロしているものだから。ね、ホント、能のような舞台でした。

2008年7月27日
オーチャードホール

べラ・バルトーク作曲
青ひげ公の城
演出 ラ・フラ・パウス
指揮 グスタフクーン
出演 ウィラードホワイト ほか

 なにもない真っ暗な空間に半裸の男の上半身だけが舞台から出ている。そして唄われる内面の告白のヤナーチャク、同じく真っ黒の素舞台に映し出される鮮烈な映像!そして名唱。正直、映像を多用するオペラで良かったと思った試しが無かったのだが、今回のパリオペラ座は違った。特に青ひげ公に関してはガルニエのパリオペラ座自体をある種の腐敗と権力の象徴にしていた。それをぶち壊すようなオペラばかりをするパリオペラ座の立ち位置は。オペラハウスが林立しそれこそ、ミラノスカラ座やウィーン国立歌劇場などと真正面から戦ったら負けてしまうパリオペラ座ならではの立ち位置を確保している。3晩とも素晴らしいオペラ体験であったが、S席58000円という高額なチケットを買ったオペラ初心者の方や年に一度の場ととして楽しみにきたご夫人たちが求めていたものとあまりにも違ってがっかりされていたことも事実。
 パリオペラ座が観客のために行う商業主義的な発想でなくオペラのためにおこなうオペラハウスであることを証明した。そして、その精神に従う観客だけを求めていることもはっきりしたのだ。このようなオペラ公演は少ない。ぜひともまた来日して欲しい。



同時上演
ヤナーチェック作曲
消えた男の日記
指揮、演出など同じ

2008年7月30日
オーチャードホール





スッペ作曲「ボッカチオ」
演出 ヘルムートローナー
指揮 アンドレアスシュラー
独唱 アンティゴネパポウルカス、マルティナドラーク




 がっかりした。これだからクラシック音楽はつまらないと言われる。イタリアの艶笑話。いろんな女とどうやってセックスするか、妻は妻で退屈な旦那の目を盗んでどうやるかというエロ話が全てのストーリー、主要なエロ話の登場人物の誰からも性欲の絶対性を感じさせる空気も演技もみられない。ボッカチオ役のズボン役以外は声も酷い。あれなら日本の音大出身者で幾らでも唄える人がいる。また合唱陣もただ突っ立っていたり、ただぐるぐる回ったりでキチンと演技が出来ている人がいない。寝取られる3人組の方がコミカルな演技ができていて魅力的。これじゃ喜歌劇の「劇」部分が成立しないではないか。しかし、こちらも唄で3人があわせるところや言葉が細かく音符で刻まれるところなど技術的な問題多数あり。それでも、まだこちらの方が…。
 美術プランもあったもんではない。唯一オーケストラが頑張っていたのが救い。
 エノケンが唄った浅草オペラの名曲がちりばめられた名曲で、珍しい作品なので大枚S席(36000円)で見たのだが、エノケンの唄の方が本場の彼らより数段良かった。
 あと、台詞部分だけドイツ語でやるのは勘弁して欲しい。

2008年5月31日
東京文化会館大ホール



フロトー作曲「マルタ」
指揮 アンドレアス・シュラー
演出 マイケルマッカフェリー
出演 ヘルベルトリッペルト ほか



 フォルクスオパーの面目躍起の公演だった。会場は沸き立ち、単純明快なストーリーにしっとり系とアップテンポな曲、高音を聞かせたり、唄のハーモニーを楽しめるもの、合唱など、さまざまな手法を手を替え品を替えだしてくる手法に観客は飽きるわけもない。それも、庭の千草などいい名曲も入っている。それほど大きな予算を組んでいるわけではないだろうが、場面転換もそこそこあり、衣装や振付け、コーラス、群衆処理などもきちんとされていた。歌手も欧米のオペラハウスのトップクラスとは言わないがこの曲を楽しく聞くには充分の実力者。そして重要な演技力もあって合格点。
 そして、何よりもオーケストラがこの作品を熟知しきちんと楽しませる演奏をしてくれたことが成功の要因だった。休憩中に中年の女性が「わたし、こういう単純な話大好き!」と言っていたことが印象的だった。いや、楽しかったです。◎

2008年6月8日
東京文化会館大ホール
デンマーク王立歌劇場管弦楽団/合唱団
指揮 Giordano Bellincampi
演出 Peter Langdal
トスカ  Iréne Theorin
カラバドッシ Misha Didyk
スカルピア Per Høyer



 2005年に新しく立てられたコペンハーゲンのオペラハウスは近代的な北欧建築の推移を集めたもので、シドニーラーセン氏によるもの。何かシドニーのオペラハウスを思わせる奇抜なフォルム。しかし、人魚姫の像や王宮を海?運河向こうにみながらの好立地。ガラス主体の建築物の中に大きな木の球体があり、その中が舞台と客席になっている3階建て。まあ、馬蹄形に近い形のオペラハウスだった。このオペラハウスの建設費460億円はひとりの海運王が出したという。すげーなー。
 新しいだけに舞台機構も素晴らしいのだろう。今回のトスカは今までに見たトスカのなかで一番斬新な舞台デザインだった。奥行きのある舞台は5層くらいに別れていて、それぞれがゆがみ上下する。舞台上で起きている事態に併せて安定したり、歪ませてみたりという具合だ。しかし、初めてこのオペラを観る人には分かり難いかもなあと思う。まあ、設定場所は文言で説明されるのだけれど、それだけじゃああね。
 オケも歌手も立派な歌唱で、1700人の座席の隅々まで声は届いていた。スカルピア悪漢ぶりもいいし、トスカの情熱さも出ていた。カラバドッシも良かったスヨ。ほとばしるような色気や人間の情みたいなものは感じなかったけれど。良かったです。このオペラはホントに不滅だなあと思いました。そう普通にいい演奏だった。新国立劇場もこのくらいのレベルでやって欲しいと思いました。
 





オペラハウス(コペンハーゲン)
2008年5月13日

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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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