佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 演劇 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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第二部
一、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
  浜松屋見世先の場より滑川土橋の場まで
          弁天小僧菊之助  菊五郎
             南郷力丸  左團次
            赤星十三郎  時 蔵
             忠信利平  三津五郎
             岩渕三次  錦之助
           浜松屋宗之助  菊之助
             関戸吾助  松 江
            狼の悪次郎  市 蔵
            木下川八郎  團 蔵
            伊皿子七郎  友右衛門
           浜松屋幸兵衛  彦三郎
          青砥左衛門藤綱  梅 玉
             鳶頭清次  幸四郎
           日本駄右衛門  吉右衛門


二、忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)  将門
       傾城如月実は滝夜叉姫  玉三郎
           大宅太郎光圀  松 緑

新歌舞伎座へ初見参
 あたらしい歌舞伎座は華やいでいた。歌舞伎座、新開場後、初見参。第2部を2階席から満喫。いやあ菊五郎が良かった。幸四郎丈は苦手なのだが昨日は良かった。きっと初役で緊張して取り組んでいるのだろう。台詞も動きも美しい。玉三郎が妖艶、松緑ってどんどん良くなるなあ。何か真面目なんだ。きっちりやる。菊之助は人の芝居をじゃましない品の良さ。ああ、歌舞伎はいいね。歌舞伎座、東銀座駅と直結で、夏冬は開場を待つのにも大変助かるなあ。エスカレーターも完備でこれからだんだん歳を取る僕には大変心強い。中に入ると松竹の人々が改築をすごく悩んだのが分かる。だって、ああここもあそこも前の歌舞伎座を残そうと工夫した跡が残っているんだもの。名俳優のブロンズ像や川端龍子の大作を3年ぶりに見て、ああ戻ってきた戻ってきたと思う。近代的だが気持ちの通った劇場だ。そして、歌舞伎座での歌舞伎は違う。やはり演舞場とは違う

第三部
 近江源氏先陣館 一、盛綱陣屋(もりつなじんや)
            佐々木盛綱  仁左衛門
               篝火  時 蔵
               早瀬  芝 雀
             伊吹藤太  翫 雀
             信楽太郎  橋之助
             竹下孫八  進之介
              四天王  男女蔵
                同  亀三郎
                同  亀 寿
                同  宗之助
          高綱一子小四郎  金太郎
          盛綱一子小三郎  藤間大河
           古郡新左衛門  錦 吾
               微妙  東 蔵
             北條時政  我 當
           和田兵衛秀盛  吉右衛門


 歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
            武蔵坊弁慶  幸四郎
              源義経  梅 玉
             亀井六郎  染五郎
             片岡八郎  松 緑
             駿河次郎  勘九郎
            太刀持音若  玉太郎
            常陸坊海尊  左團次
            富樫左衛門  菊五郎

第2部 2013年4月4日@歌舞伎座
第3部 2013年4月15日@歌舞伎座
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一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)
徳川慶喜 市川染五郎 山岡鉄太郎 中村勘九郎 天野八郎 市川男女蔵 高橋伊勢守 片岡愛之助

二、藤娘(ふじむすめ)藤の精 中村七之助

三、鯉つかみ(こいつかみ)
滝窓志賀之助実は鯉の精 滝窓志賀之助実は清若丸 片岡愛之助 


2013年5月7日 @明治座

一、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

  序 幕 住吉鳥居前の場
  二幕目 難波三婦内の場
      長町裏の場
  大 詰 田島町捕物の場

      団七九郎兵衛/徳兵衛女房お辰  市川海老蔵
               一寸徳兵衛  中村亀 鶴
               玉島磯之丞  中村種之助
                傾城琴浦  中村米 吉
              三河屋義平次  市川新 蔵
                釣舟三婦  片岡市 蔵
             三婦女房おつぎ  市川右之助
              団七女房お梶  市村家 橘



二、口上(こうじょう)
三、高坏(たかつき)

                次郎冠者  市川海老蔵
                 高足売  中村亀 鶴
                太郎冠者  市川新十郎
                 大名某  片岡市 蔵

 仁義亡き戦い、歌舞伎若手俳優編(仁義あるかも?)

 ル・テアトル銀座 で歌舞伎をやるのは珍しい。それも市川海老蔵が亡くなった中村勘三郎の十八番をやる。これは見ておきたいと思って、チケットを購入したらいけなくなって無駄にして、それでも歌舞伎通のというか、歌舞伎評論家の、というか、Nさんが見ておいた方がいいと言っていたので見に行った。確かに面白かった。
 話は知っているのでどうでもいいのだが、海老蔵の歌舞伎役者としての商品価値というか、将来性というかがとても面白く思った。
 「夏祭浪速鑑」という2時間半4場の大歌舞伎の芝居の中に、海老蔵は現代口語演劇とも思える発声や心持ちの芝居を山ほど放り込む。ナイロン100℃の役者がやるようなナンセンスなリアクションを取り込んだりする。俺はいちいち、なんじゃこれ〜!である。しかし、このルテアトル銀座という歌舞伎をやるには小さな小屋。海老蔵座長というすべてを背負える機会。いろいろと実験的なことをやるのはいい機会。それも、面白がってやってる姿も面白い。拍手喝采である。
 実は、この態度、この歌舞伎愛こそが、すなわち勘三郎精神なのではないだろうか。現代における歌舞伎とはなんだろう。歌舞伎の可能性はどこまであるのだろうと、再生演劇だけにとどまる事を拒む心持ち。うるさい先輩がいなくなったからか。好きに試しているようにも思える。
 こういうやんちゃブリなら若様、存分にお好きにやりなされ!

 そして…。。。

 見には行ってないが、本家本元の公演であるはずの新橋演舞場の花形歌舞伎公演がガラガラで、半額券がばらまかれているらしいが、そんな状態で見に行った客席の熱気のない芝居は面白いはずがない。行かなくて正解。再生演劇なんだろうと想像。そんなの、先輩達の方がもっと上手かったんだよ。客は行かずに彼らにヤキを入れる。

だから…。。。
 それよりは、客の入りも評判もいいのがTBSの赤坂ACTシアターで公演されている、中村勘九郎座長の「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」。その噂話が絶えない。
 こちらも勘三郎のおなじみの作品。最後にみたのは数年前の納涼歌舞伎だった(泣)。
 主役はもちろん勘三郎。早変わりに大仕掛けで面白かった。沢瀉屋じゃこうはならないんだよなあと思いつつ、ああ、これこそ歌舞伎、かぶく、日本の芝居は世界で愛される理由だよと思った。そして、若い貧乏俳優と駆け出し女優を連れてきてあげれば良かったと後悔した。会場中は拍手喝采。幕が引かれても、客席は熱気むんむん。そのまま、夜の東銀座に繰り出すことになる。そんな芝居。納涼にならない(笑)。
 
 勘九郎にしてみれば、亡き父の十八番を海老蔵が銀座でやってるのだから、負ける訳にはいかない。切符の売れ方も尋常でなく立ち見券が売りに出されているという。やるな、若様。中村屋にはこの人がいるといいたい僕のごひいき、亀蔵も出演して面白いのだろう。だろうな。でも、僕には早すぎる。まだお父さんの残像がくっきりしすぎていて見られない。
 まさか勘三郎さん、亡くなるとは思ってなかった。昨年の4月5月の平成中村座、昼も夜も本当に面白かった。ブログに書いたけれど、勘三郎のすごさは見ればみるほど強くなっていった。でもね、去年はこうも思った。勘三郎ってすげえ、いいなあと思うと同時に勘九郎がすごい、すごくなったってこと。こんなに上手い俳優になったんだと思った。どんだけ頑張ったんだろう。すごいねえ。生まれてからすぐに、フジテレビがずーーっと追いかけてきたから、ホントに子どものころから世間にさらされて、そんな人がこんな大俳優の道を歩むようになったのかと感慨ひとしお。陰で血みどろの努力をしてるんだろうなあ。
 そして、僕の髪の毛を20年以上やってくれている宮藤さんは、実は中村屋さんもごひいき。店で勘九郎さんや七之助さんが髪の毛をきってもらっているのも見た事があるし、僕の大好きな新派のあの方も、昔、四谷に店があったときにはよく拝見した。それに…。。。まあ、いいや。何かね、ちょっと親近感があるわけです。

 この数ヶ月の同じ冬の季節に勘三郎と団十郎という歌舞伎界のトップスターの実父を亡くした若い二人の俳優。その二人の歌舞伎愛を証明するための、歌舞伎界の頂上決戦の火ぶたが切られた感じがする。若き男よ、ライバルとして激しくトップスターの座を争ってほしい。素晴らしき火花散る歌舞伎戦争の開戦だ。
 となると、俺なんか江戸っ子ではないけれど、火事とけんかの見物が大好きな下世話な野次馬とすると、見せてもらおうじゃないのという感じになる。面白いぜ、あんんたもどう???若い血気盛んな花形役者が、舞台の上で戦うってよ、仁義なき戦いかどうかは分からねえが、面白い事は間違いない。いつからだって、そりゃ序盤戦は今月始まっちまったけど、いよいよだよ。いよいよ4月2日から。

 いよいよ4月2日が近づいて、3年ぶりの歌舞伎座の開戦、いや開幕だ。素晴らしい重鎮俳優を5人も失い歌舞伎はどうなるか本当に心配だが、僕も野次馬見物券(チケット)購入しましたので見に行きます。お客は正直ですね。本当なら真っ先に売れてもいい第3部が売れ残り。団十郎がいない勧進帳なんか見たくないということなのでしょう。こけら落とし公演なのにね。4月は第3部のみ売れ残り。何とかしろよ。KとS。分かる?誰だか??? ちなみに見物料は4000円から。

 さ、けんかだ、けんかだ。見に行こうぜ!
2013年3月@ルテアトル銀座


一、お種と仙太郎
茂林寺文福 作/平戸敬二 脚色/米田亘 演出

息子夫婦の仲の良さを羨む姑と、その姑にいびられてもジッと耐える嫁、そして姑を懲らしめようと乗り出す家族。笑いの中に様々な形の愛情が盛り込まれています。

大坂でも名高い住吉神社の境内で茶店を営むお岩(英太郎)は、亭主に先立たれてから女手一つで息子の仙太郎(曽我廼家八十吉)と娘のお久(山吹恭子)を育てて来ました。その甲斐あって、お久は良家の丹波屋へ嫁ぐ事が出来、仙太郎は気立てのやさしいお種(山村紅葉)をもらいました。仙太郎とお種は人もうらやむ程の仲の良さ。それがお岩には面白くなく、何もかもに当たりどおし。お種に無理難題を押し付けてはイジワルをしていました。
そんなある日、たまたまお岩がお種をいじめているところに出くわした丹波屋の御寮人・おせい(井上惠美子)。これではあまりにもお種が可哀相と、息子の新二郎(丹羽貞仁)と嫁・お久に一計を授けて、お岩の心を正そうと乗り出したのですが…。

二、大当り高津の富くじ -江戸育ち亀屋伊之助-
平戸敬二 作/成瀬芳一 補綴/門前光三 演出

上方落語の名作「高津の富」をヒントに舞台化された作品。伊之助は上方和事の“つっころばし”で演じられていましたが、今回は中村梅雀に当てて江戸育ちに設定を変え、江戸前の気前のいい若旦那・伊之助をご覧頂きます。

伊之助(中村梅雀)は、浪花の紙問屋・亀屋の後取り息子ですが、江戸育ちで「宵越しの銭は持たぬ」と色街で放蕩三昧。見るに見かねた父親は伊之助を勘当します。伊之助が転がり込んだ先は、亀屋へ親の代から出入りしている大工の棟梁・辰五郎(渋谷天外)の家。ひとかたならぬ恩義を感じている辰五郎は女房のおとき(山村紅葉)や小頭の市三(曽我廼家寛太郎)と共に快く伊之助を迎え入れます。
 そんなある日、亀屋の御寮人・おこう(水谷八重子・波乃久里子交互出演)が辰五郎を訪ね、贅沢罷りならぬのお布令により上質の紙の売れ行きが落ち、老舗を誇る亀屋も五百両の金が無くてはのれんを降ろさなくてはならないという窮状を吐露しました。そんなこととは露知らぬ伊之助は、女義太夫・りん蝶(藤田朋子)や芸者・色香(瀬戸摩純)など困っている人に出会う度に、人の難儀が金で救えるものならと次から次へと金と引き換えに人助けをして行きます。
 世の中を甘く見ていた伊之助に、初めて金の有難味が分かる時がやって来ます。それは何気なしに買った一枚の富くじでした…。

三、おやじの女
安藤鶴夫 原作/舘直志 脚色/成瀬芳一 演出

亡くなった兄の妻と愛人との悶着の間で、弟が右往左往する可笑しみを描いた、新派の味に近い新喜劇作品。水谷八重子・波乃久里子・渋谷天外という劇団新派と松竹新喜劇の本格的な共演作品にご期待下さい。

死んだ親父の名は都路太夫。歌舞伎の義太夫語りでした。酒は呑む、女道楽はするで、さんざんしたい放題し尽くしたのにも関わらず、人からは「ええ人やった」と言われて大往生。特に太夫の相方の三味線弾きだった実弟・半助(渋谷天外)にとっては、夫に死なれた後家の心境です。息子の藤一郎(丹羽貞仁)は、父親の性格とは反して、地道な会社員となり、妻・はつ子(石原舞子)妹・やす子(藤田朋子)と共に母親・つる(波乃久里子)への親孝行も怠りませんでした。
 父親の百ヶ日も過ぎた或る日、姫路から生前のおやじの女・花村よね(水谷八重子)が、線香をあげさせてほしいと、知人である大隅社長(高田次郎)を通じて頼んで来ました。幼時、およねのために嫌な思いをした藤一郎は、この申し出を断りますが、おつるのひと声で迎え入れる事になりました。
 浮気をされながらも誰よりも夫に惚れていたおつるの気持ちを一番理解していた半助は、やってきた兄の愛人・およねが、おつると共に仏前で二人並んで合掌している後姿に憎悪より懐旧の思いへの変化を感じとりホッとするのですが。それも束の間…。

キャスト/水谷八重子 波乃久里子 中村梅雀 渋谷天外 ・藤田朋子 山村紅葉 丹羽貞仁 高田次郎 英太郎 井上惠美子 田口守 瀬戸摩純 曽我廼家八十吉 曽我廼家寛太郎 石原舞子 井上恭太 

芝居小屋の楽しさに溢れた演劇玉手箱
歌舞伎座が閉まってしまっていたから新橋演舞場は仮歌舞伎座みたいな劇場になっていたので、こういう芝居が東京でほとんど見られなかった。いやあ行って良かった。今回は3本だて。その上演時間は50分、75分、75分。この短い時間でこれだけの要素が詰まっているとは驚くばかり。笑って泣ける人情喜劇の王道の芝居が3本。それも、125周年の新派と松竹新喜劇の合同公演の様相。名優が多いのだが、誰かひとりの芸を中心に見せる座長芝居にドライブがかかってないのも嬉しい。楽しい。飽きない。いろんな要素の詰まった演劇玉手箱、演劇万華鏡である。演舞場であるが、芝居小屋の雰囲気。ストーリーで見せる。役者の芸で見せる。お見事、お見事なのだ。水谷八重子、波乃久里子、中村梅雀、渋谷天外、高田次郎は旨いことは知っていたが、英太郎がこんなに旨い俳優なのだと今回改めて実感。この人は三越劇場よりも演舞場の箱の大きさが合うんだなああ。50分の中で後半はもうちょこっと動いただけで笑えるのだ。お見事!
 山村紅葉はテレビの芝居では何かウルサいなあと思うこともあったけれども、舞台ではこんなこともあんなこともできると感心することしかり。そして、田口守!この人は本当に昭和の加藤大介や宮口守といった昭和の名優と相通じる旨さ。シリアスもコメディも怪演もできる俳優さん。スゴいなあ。スゴい!三木のり平さん演出の舞台でも見てみたかった。この人、もちろん新派の舞台でも毎回名演技。見た目の派手さはないかもしれないがロバートデニーロ系の芝居をする。つまり、でる芝居によって化けるのだ。今回も見事に化けていた。
 自分もこういう芝居を書いてみたいし、こういう腕のある役者さんと芝居がしたいなあと思った次第。さらに、もうひとこと。今回生まれて初めて演舞場の3階席で見た。これが案外舞台に近くて細かい芝居もきちんと見られて驚いた。チケ代も小劇場くらいの安さ。松竹の偉いところは、1等席も作るけれども、こうした格安でも芝居を見せるところ。もう一度見たい。今度は1階席で。最後に辛口のことを一言。井上恭太は新派のホープ、二枚目である。若いから小さい役でも舞台に乗る。その時の芝居が細か過ぎて残念。二枚目なのだから、無理にアンサンブルにとけ込まずにドーンと立っていて欲しい。特に上半身が動きすぎる。ドーンと立って最低限の芝居だけしていれば、客が見つけてくれるもの。長谷川一夫はあんなに動かなかった。2013年2月10日@新橋演舞場
作/橋田壽賀子 演出/石井ふく子
出演/藤山直美 三田佳子 小林綾子 金子貴俊 橋爪淳 沢田雅美 他


必見!藤山直美×三田佳子の超名演。橋田台本のスゴさ!
舌を巻く公演であった。橋田壽賀子の本は演劇の王道だけれども、現代的なスピーディさ。そして、終わり方も結構アバンギャルドで面白かった。藤山直美はやはりお見事。泣かせるし笑わせる。本を使って、彼女の強烈なキャラで、身体を使って演じる。お見事。驚いたのは三田佳子。立ち方から台詞の良い方までテレビや映画で見たことがない。そして、身体が本当に良く動く。三田佳子が大女優であることが本当に良くわかった。小林綾子も金子貴俊もお見事で本当に楽しかった。老若男女が大喜び、大泣き。2幕になると客が興奮してガンガン話すのが困るけれども。。。。勉強になった。こういう芝居が好きだ。こういう芝居を書いてみたい。こういう芝居ができる俳優と芝居がしたい。
2012年2月9日@明治座
作演出/西田シャトナー
出演/松山ケンイチ/美波/筒井道隆/吉沢悠/手塚とおる・竹下宏太郎 福田転球 細貝圭 
彩乃かなみ 小松利昌 保村大和/石川禅/田口トモロヲ/安蘭けい



舞台でしか見ることのできない舞台。
 物凄い顔ぶれである。2時間45分のラブストーリーである。パワーマイムの手法も取りながらも西田シャトナーは、いつもの彼の手法だけに頼ること無くゼロベースで芝居作りに取り組んだ。大したものである。西田のいつもの舞台と共通するキーワードは舞台でしか表現できないもの。衣装や音楽、美術、照明などの力は借りながらも、やはり西田の舞台は素舞台の延長上でしかない。だから、俳優陣は舞台にその世界を自ら表出させなくてはならない。世界観がでかく深いから、その取り組み方はスゴかった。さて話題の松山ケンイチは初舞台をこの布陣で、こうした映像のアクティングとはいろんな部分で大きく違う世界に取り組んだわけで大したものである。もちろんスターであるから、それなりの輝きはあるのであるが、やはり名うての役者に比べると見劣りする部分もある。しかし、この作品のセミの幼虫が脱皮していくように、この舞台を通して、多くの観客の前で演じることによって脱皮して行くのである。
 舞台にお客が入らない時代に演劇人が必死に演劇の魅力を多くの観客にプレゼンテーションしている。演劇も脱皮しなくては行けない部分が多いのである。
2013年2月2日(公開ゲネプロ)@赤坂ACTシアター

出演
バーのマダム/水谷八重子
池田鶴代(泰子の母)/波乃久里子
池田泰子/瀬戸摩純
高松五郎/井上恭太
池田浩三(祖父)/安井昌二
石津圭三/市川月乃助
青柳喜伊子/田口守/石原舞子/鴫原桂/川上彌生/鈴木章生/児玉真二

あらすじ 昭和二十四、五年頃。
自動車工場を経営する石津圭三は今年三十四歳になるのだが未だに独身で仕事一途である。そんな圭三に見合い話が持ち上がった。その相手とは得意先の会社の専務佐藤が以前仕えていたお邸のお嬢さん、池田泰子であった。佐藤専務の手前義理で会う事にしたのだが、泰子に会った瞬間、想像していたような高慢さもなく気高さと美しさを兼ね備えた彼女に心を打たれた。意外にも泰子からも結婚の了解を得、家を訪ねた圭三はあまりの豪邸に目を見張る。

しかし、立派な作りではあるが何となく寒々とした様子。よくよく話を聞いてみるとこの邸は抵当に入っていてその期限もあと三月。結婚は金目当てかと不信感を抱くが泰子の事が諦め切れない圭三は期限を定め、交際を始めるのだが…。


新派の125周年に乾杯田口守に乾杯
朝日新聞の劇評が厳しいものだったので心配だったのだが、いやあ面白かった、楽しかった。
冒頭の口上。15分のものなのだが、歌舞伎の口上のようなものを想像していたら、素晴らしい日舞の披露が主なものだった。新派の俳優さんは皆さん踊りを勉強されているだろうが、なかなかそれを見ることはできない。それを存分に見せて頂いた。正月らしい華やかさが劇場に広がる。実際の口上はさらっとしていてとても良かった。
 で、本編。朝日の劇評は若手を売り出すための興行か!みたいな書き方なのだが、僕は全く別の感想。それはベテランのスゴさである。今年85才の安井昌二は、子供のころの子供向けテレビドラマ、チャコちゃんシリーズのお父さん役で見てから知ってるからもう45年くらい前から知ってるわけで。。。今や、どかーんといるだけで存在感があり、その表情から家庭のおかれている立場と実情を表現していた。美術やセットやストーリーや説明台詞があっても俳優がそれを体現していなくては仕方が無い。それが安井にはある。
 そして、水谷八重子。例えば、終盤に、石津が彼女と別れたと言った時のリアクション。もう絶品。あの哀しさと戸惑いと落胆と愛情といろんな感情が混ざり合った感情の噴出。そして、幕切れの喜びに満ちてグラスを上げた時に出す空気。この素敵なドラマが、昭和を舞台にし昭和の感性を大切にしながら創り上げているけれども、それは今の時代の気持ちにも通じることを演じてみせた。そして、今回驚いたのが井上恭太。僕はこの人は化けるかもしれない新派の秘密兵器だと思うし、水谷さん自身も舞台で語っているけれども、その期待を背負ってみる度に巧くなる。僕はこの人の問題点は滑舌だと思っていたのだが、それがこの2年で見事に克服された。こういう鍛錬が物凄く大変なのだ。そして台詞を語っていない、舞台の脇にいる時の表情や佇まい。演技をし続ける腕前は大したものだ。この人、朝の連ドラにぴったりなのだ。一度出てしまえばスターになること間違いない。
 そして、誰が何といおうと今回の最大の功労者は、田口守だ。巧い。巧すぎる。そして、俳優としての存在感がものすごい。この人は例えば加藤大介のような昭和の俳優のもっていたスゴさがある。映画やテレビがこの人をもっと使わないのはバカだ。演技力も、存在感も抜群なのだ。名バイプレイヤーとして絶対に注目すべきだ。
 演出にひとこと。主役の二人の話し方は、映画の二人のそれと非常に似すぎていて、そこまでやらなくてもと思った。特に石津の演技がオーバー過ぎて見ていて時々辛かった。
 

2012年1月22日@三越劇場

一、 ひらかな盛衰記(ひらかなせいすいき)
   逆櫓
       船頭松右衛門実は樋口次郎兼光  幸四郎
                   お筆  福 助
                女房およし  高麗蔵
              船頭明神丸富蔵  松 江
              船頭灘若九郎作  廣太郎
                 畠山の臣  宗之助
                 畠山の臣  桂 三
                漁師権四郎  錦 吾
              船頭日吉丸又六  錦之助
               畠山庄司重忠  梅 玉



   四世中村雀右衛門一周忌追善狂言
二、 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)

   七段目
   祇園一力茶屋の場
               大星由良之助  幸四郎
                   お軽  芝 雀
                 赤垣源蔵  友右衛門
               富森助右衛門  廣太郎
                 大星力弥  廣 松
                 鷺坂伴内  男女蔵
                矢間重太郎  秀 調
                 斧九太夫  家 橘
               寺岡平右衛門  吉右衛門



三、 釣女(つりおんな)

                 太郎冠者  又五郎
                  大名某  橋之助
                   上﨟  七之助
                   醜女  三津五郎

※市川團十郎休演につき、配役変更にて上演いたします。



ここには正月興行の華やかさはなかった。
正月なので特等席で観劇。「逆櫓」も「七段目」も幸四郎がメインでこの正月興行はまるで幸四郎独演会の様相を醸し出している。ところが僕は幸四郎が苦手。以前は台詞はいいなあと思っていたのだが、最近はその台詞もクリアでなくなってきてしまって、なくなった勘三郎や悪の華であるが海老蔵などがもっている内面から出て来た感情で芝居をしているのと距離があるように思えてしかたないのだ。それは人間的な魅力に欠けるということを意味するわけで、舞台の華やかさはない。むしろ、衣装や美術の豪華さから俳優の魅力の欠如が浮き立ってしまったのだ。「釣女」でほっとした。これが正月興行かと思うと正直寒い。コメディダンスであるが楽しめた。

2012年1月10日@新橋演舞場


京劇超入門公演。
幼い頃にテレビで観た京劇にはいろいろの様相があるのだが、この劇場での出し物では、外国人観光客が分かりやすいアクションとノンバーバールでも分かる笑いで構成されていた。まあ、生演奏もつくけれど、ちょっと物足りない。上演時間が60分なので、京劇超入門としてはいいかもしれないが少しでも知ってる人には物足りなさ200%かもしれない。もっと現代と向っている本物が見たかった。2013年1月5日@梨園劇場 北京/中華人民共和国


カンフーはスゴかったけれど。
すでに数千ステージやっているカンフーミュージカル。貧乏な子供が口減らしのために寺に入れられ、さまざまな欲望(主にセックス)を捨てて立派な坊さんになるまでの話。まあ、いろいろのカンフーをどう見せるかを考えて作られた作品である。2008年の北京オリンピックでリニューアルしたというが、要は台詞部分を英語の録音に合わせて口パクするというもの。これが行けない。あの北京五輪の開会式の口パク少女やら合成映像花火とかを強く思わせてしまった。パフォーマーの肉体のスゴさだけで勝負すればいいのになあ。中国の欧米文化への憧れと劣等感。けれども自らの自負心というのが入り交じったものだった。この劇場は毛沢東夫人の紅青夫人の活躍した劇場らしい。それだけでいいか。。。
2013年1月3日 紅劇場@北京/中華人民共和国
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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